『蹴りたい背中』の読書感想文を書こうとして、筆が止まっていませんか。
この小説は綿矢りささんが十九歳のときに書き上げ、芥川賞を受賞した話題作。
クラスの中で微妙に浮いた存在の女子高生と、同じく周囲になじめない男子生徒との、不思議な距離感を描いた物語となっています。
大きな事件は起こりません。
でも、読み終えたあとにじわりと心に残る、そんな一冊なんですよね。
私は読書が趣味で、年間百冊以上の本に目を通していますが、この作品はその中でも特に「感想文が書きにくい」と言われる小説だと感じています。
ストーリーの起伏が少ないぶん、あらすじだけをなぞると、あっという間に文字数が尽きてしまうからです。
そこで今回は、書き方のコツから例文、題名や書き出しのアイデアまでまとめました。
そのままコピペして使えるテンプレートも用意したので、中学生にも高校生にも役立つはずです。
『蹴りたい背中』の読書感想文に使える「あらすじ」の型
読書感想文の中で『蹴りたい背中』のあらすじを説明したいとき、どこまで書けばいいのか迷いますよね。
ここでは、感想文にそのまま組み込みやすい200字前後のあらすじを三つのタイプに分けてご紹介します。
好みや文章の流れに合わせて、使いやすいものを選んでみてください。
タイプ①:作品紹介からテーマにつなげる型
『蹴りたい背中』は、高校生活の中でクラスになじめず、どこか孤独を感じている女子高生が主人公の物語だ。彼女は同じように周囲から少し浮いた存在の男子生徒と関わるうちに、自分の気持ちや他人との距離感について向き合っていくことになる。大きな事件は起こらないが、教室の空気や心の揺れが細やかに描かれた作品だった。派手さはない分、じっくりと心理を追いかけたい人に向いている一冊だ。
タイプ②:テーマを中心に紹介する型
この小説は、思春期特有の孤独と、人間関係の複雑な感情を描いた作品だ。主人公は表面的な付き合いを続けながらも、本音では誰とも深く関わろうとしない。そんな彼女が少し変わった同級生と接するうちに、分かり合いたい気持ちと近づきすぎることへの不安の間で揺れ動いていく。派手な展開はないが、心理描写の緻密さが光る一冊だった。読めば読むほど、じわりと心に残る余韻があった。
タイプ③:自分の経験につなげる型
友達といても、本当の気持ちは話せていないと感じたことはないだろうか。『蹴りたい背中』の主人公も、そんな寂しさを抱えたまま高校生活を送っている。周囲に合わせながらも心のどこかで距離を置き、少し風変わりな同級生とだけ妙に意識し合う関係を築いていく物語だ。読んでいるうちに、自分自身の学校生活と重ねてしまう場面が多かった。共感できる部分の多い、身近な一冊だと思う。
※もう少しくわしいあらすじを知りたい方はこちらをご覧ください。

『蹴りたい背中』の読書感想文の書き方
『蹴りたい背中』の読書感想文をスムーズに書くには、まず押さえておきたいポイントが三つあります。
「孤独」「距離感」「自分らしさ」、この三つです。
ここから先は、その三つのポイントを詳しく解説したうえで、そのまま埋めていくだけで感想文が完成する穴埋め式テンプレートもご用意しました。
順番に進めていけば、自然と文章がまとまっていくはずです。
絶対に書くべき「心に残る」3つのポイント
『蹴りたい背中』の感想文を書くうえで、絶対に外せない要点が三つあります。
まずは簡単に挙げておきますね。
- ①孤独とは何か
- ②人との距離感、分かり合うことの難しさ
- ③自分らしさと「普通」とは何か
この三つは、いずれも主人公の心の動きと深く結びついているテーマです。
ただ内容を説明するだけでなく、それぞれについて自分が「どう感じたか」をメモしておくと、感想文がぐっと書きやすくなります。
メモの取り方は簡単。
ノートやスマホのメモ帳に、「共感した」「意外だった」「自分とは違うと思った」など、短い言葉で構わないので思ったことを書き留めておきましょう。
あとで文章にするとき、このメモがそのまま感想の土台になってくれます。
なぜ「どう感じたか」がそれほど重要かというと、読書感想文で評価される部分があらすじの正確さではなく、読み手自身の考えや変化にあるため。
正直、この点に気づくまでは、あらすじばかり丁寧に書いてしまう人が多いのではないかと思います。
①孤独とは何か
主人公はクラスの中で完全にひとりというわけではありません。
それでも、本当の意味で分かり合える相手がいないという寂しさを心の奥に抱えています。
「一人でいること」と「孤独」は、実は同じではないんですよね。
周りに人がいても、孤独を感じてしまうことがある。
学校で居場所がないと感じた経験や、一人でいることと孤独の違いについて、ぜひ自分の言葉でメモしてみてください。
②人との距離感、分かり合うことの難しさ
主人公と同級生の関係は、友情とも恋愛とも言い切れない、なんとも不思議な距離感で描かれています。
近づきたいのに、近づきすぎるのは怖い。
理解したいのに、理解しきれない。
そんな相反する気持ちが、丁寧に綴られているんです。
友達との関係で誤解された経験や、相手を理解することの難しさを感じた場面があれば、それも立派な感想の材料になります。
とはいえ、分かり合えないからといって関係を諦める必要はありません。
その難しさこそが人と関わることの意味なのかもしれませんね。
③自分らしさと「普通」とは何か
主人公は、いわゆる「普通」の高校生活にうまくなじめません。
この作品は、「普通とは何か」という問いも投げかけているように思います。
人と違うことは、本当に悪いことなのでしょうか。
周囲に合わせることだけが正しいとは、私には思えません。
周りに合わせようとして自分の意見を言えなかった経験がある人は、きっと少なくないはずです。
ただし、合わせることが必要な場面があるのも事実。
そのバランスについて考えてみると、感想に深みが増していきます。
穴埋め式テンプレート
ここからは、実際に空欄を埋めていくだけで感想文が完成するテンプレートです。
順番に沿って書き進めてみてください。
ステップ1:書き出し
私は『蹴りたい背中』を読みました。
この本を選んだ理由は、( )だったからです。
読み始める前は、( )という物語だと思っていました。
しかし読み終えたあとには、( )ということを強く感じました。
ステップ2:あらすじ
『蹴りたい背中』は、高校生活の中で周囲になじめず孤独を感じる主人公が少し変わった同級生と関わることで、人との距離や自分自身について考えていく物語です。
私は、( )というテーマが特に印象に残りました。
ステップ3:孤独について
私が一番考えさせられたのは、「孤独」とは何かということです。
主人公は、( )という気持ちを抱えていました。
私は、( )という経験があるので、主人公の気持ちに(共感した・少し共感できた・共感できなかった)です。
ステップ4:距離感について
この作品では、人と分かり合うことの難しさも描かれていました。
私は、( )という場面を読んで、人は( )存在なのだと思いました。
ステップ5:自分らしさについて
私はこの作品を読んで、「普通」とは何なのかについて考えました。
主人公は、( )という点で周囲との違いを感じています。
私は、( )という経験から、周囲に合わせることも大切ですが( )ことも同じくらい大切だと思いました。
ステップ6:まとめ
私は『蹴りたい背中』を読んで、( )ということを学びました。
これからは、( )という気持ちを大切にしたいと思います。
『蹴りたい背中』の読書感想文の例文
ここからは、中学生と高校生、それぞれの学年に合った文字数でまとめた『蹴りたい背中』の読書感想文の例をご紹介しますね。
あくまで一例なので、自分の経験や言葉に置き換えながら参考にしてみてください。
1200字の中学生向け
【題名】分かり合えないからこそ
私が『蹴りたい背中』を読んで一番心に残ったのは、人との距離の取り方はとても難しいということだった。
この小説は、高校生活の中で周囲になじめず孤独を感じる主人公が少し変わった同級生と関わることで、人との距離や自分自身について考えていく物語だ。派手な事件は起こらないが、主人公の心の動きが細かく描かれていて、自分の学校生活と重なる部分が多いと感じた。
主人公はクラスの中で完全に一人ではない。それでも、本当に分かり合える相手がいないという孤独を抱えている。私にもその気持ちは少し分かる気がした。新しいクラスになったとき、周りは楽しそうに話しているのに自分だけ会話に入れず、友達がいるのに一人ぼっちのような気持ちになったことがあるからだ。誰かと一緒にいるのに寂しいと感じる瞬間は、意外と誰の身にも起こるものなのかもしれない。
この小説を読み始めたときは、恋愛小説のような話を想像していた。しかし読み進めるうちに、それだけではないと気づかされた。
作品の中で主人公は、少し風変わりな同級生と関わるようになる。二人の関係は、親友とも恋人とも言えない不思議なものだ。だからこそ、この物語は現実に近いと思った。人間関係は「仲が良い」「仲が悪い」だけでは説明できないものだ。相手に近づきたい気持ちと、一人でいたい気持ちが同時にあることもあるのだと感じた。矛盾しているようで、実はとても自然な感情なのだと思う。
私はこれまで、友達とは何でも分かり合えるものだと思っていた。しかし、人は完全には分かり合えないからこそ、お互いを知ろうと努力することが大切なのだと思うようになった。相手の考えを決めつけず、話を聞こうとすることが本当の思いやりにつながるのではないだろうか。分かり合えないことを怖がるのではなく、少しずつ歩み寄る姿勢のほうが大切なのだと気づかされた。
また、「普通」とは何かについても考えさせられた。学校では周りに合わせることが多く、みんなと違うことをすると不安になることがある。でも、この作品を読むと、人それぞれ感じ方や考え方が違うのは当たり前だと思えた。それを無理に同じにする必要はないのだ。
この小説を読んで、自分と違う人をすぐに理解できなくても、相手を知ろうとする気持ちを持ち続けたいと思った。そして、自分も周りに合わせることだけを考えるのではなく、自分らしさを大切にしたいと思う。
『蹴りたい背中』は、派手な出来事は少ない作品だが、人との関係や自分自身について深く考えさせてくれる物語だった。これから高校生になって新しい人間関係が始まっても、この小説で学んだ「相手を決めつけないこと」と「自分らしくいること」を忘れずに過ごしていきたい。友達の数よりも、一人ひとりとどう向き合うかのほうがずっと大事なことなのだと今は思う。
2000字の高校生向け
【題名】孤独は誰の中にもある
『蹴りたい背中』を読み終えたあと、心に残ったのは、孤独は特別な人だけが感じるものではないということだった。
この小説は、思春期特有の孤独と、人間関係の複雑な感情を描いた作品だ。主人公は表面的な付き合いを続けながらも、本音では誰とも深く関わろうとしない。そんな彼女が少し変わった同級生と接するうちに、分かり合いたい気持ちと近づきすぎることへの不安の間で揺れ動いていく。大きな事件も劇的な展開もないが、その分、心の揺れが丁寧に描かれていると感じた。
主人公は周囲になじめず、どこか居心地の悪さを抱えている。一方で、周りの人と完全に関わりを断っているわけでもない。その曖昧な立場がとても現実的だと思った。学校では多くの人が友達と過ごしているように見えるが、本当に自分の気持ちを話せる相手がいる人は、意外と少ないのかもしれない。教室というのは不思議な場所で、大勢の中にいるほど、逆に自分の輪郭がぼやけていくような感覚に陥ることがある。
私自身も、高校生活の中で自分だけ浮いていると感じたことがある。周囲に合わせて笑っていても、本当は違うことを考えている場面は少なくない。そのような経験があったからこそ、主人公が抱える孤独は決して他人事ではなかった。誰かに合わせて笑う時間が長くなるほど、本当の自分がどこにいるのか分からなくなる、そんな感覚を覚えたこともある。
作品には、人と分かり合いたいという気持ちと、近づきすぎることへの怖さが同時に描かれているように思う。人間関係は近ければ幸せというものではない。近づけば誤解も生まれるし、傷つくこともある。それでも人は、誰かと関わらずには生きていけない。この矛盾した感情こそ、思春期の難しさなのだろう。分かってほしいという気持ちと、分かられたくないという気持ちが同時に存在することもあるのだと、この作品を読んで初めて言葉にできた気がした。
また、この作品は「普通」という言葉についても考えさせてくれた。学校では無意識のうちに「普通」が基準になり、それと違う人は目立ってしまう。しかし、「普通」とは誰が決めるものなのだろうか。主人公や同級生の姿を見ていると、人それぞれ価値観や興味が違うことは自然であり、それを無理に同じにする必要はないと思えた。多数派と同じ振る舞いをすることが安心につながる一方で、そこに自分の気持ちを合わせすぎると、次第に息苦しさを感じてしまうこともあるように思う。
正直なところ、読み始めたときはもっと単純な友情物語を想像していた。しかし読み進めるうちに、その予想は裏切られた。とはいえ、それは悪い意味ではない。むしろ、予想を超えた分だけ、心に残るものが大きかったように思う。
現代ではSNSの影響もあり、人と比べる機会が以前より増えている。多くの人とつながれる一方で、自分だけが取り残されていると感じる人も少なくない。だからこそ、この小説が描く孤独は、発表当時だけでなく現在にも通じるテーマだと感じた。画面越しのつながりが増えたぶん、目の前の相手と向き合う時間の重さを私たちは忘れかけているのかもしれない。
一方で、この作品は孤独を悲しいものとしてだけ描いてはいないようにも思えた。孤独だからこそ、自分自身と向き合う時間が生まれる。他人に流されず、自分は何を考え、何を大切にしたいのかを見つめるきっかけにもなる。その意味で、孤独は決して否定されるものではなく、人が成長するために必要な時間なのかもしれない。誰かと一緒にいる時間だけでなく、一人で自分の内側を見つめる時間もまた、人を形づくる大切な要素なのだと実感した。
私はこの作品を読んで、相手を完全に理解することは難しいという事実を受け入れることが人間関係の第一歩なのだと思った。分からないからこそ話を聞き、違いを認め合う姿勢が大切なのだろう。また、自分自身も周囲に合わせることだけを考えるのではなく、自分らしさを失わずに人と関わっていきたいと思うようになった。読み終えたあと、自分がこれまでどれほど「分かってもらうこと」を急いでいたのか、少し反省するような気持ちにもなった。焦らずに、少しずつ相手との距離を縮めていければ十分なのだと、この作品を通じて教わった気がする。
『蹴りたい背中』は、思春期の孤独を描いた作品であると同時に、人はどう他者と向き合い自分らしく生きるのかという問いを投げかける作品でもあった。高校生活だけでなく、大人になってからも人間関係に迷うことはあるだろう。そのとき私は、この作品で感じた、違いを恐れず自分も相手もそのまま受け止めようとする姿勢を思い出したい。分かり合えないことも含めて、人と関わることの意味をこれからも探し続けていきたいと思う。
書き出し例×5
①本を選んだ理由から始める
『蹴りたい背中』という少し変わった題名にひかれて、この本を手に取った。読み始める前は、不思議な物語なのかと思っていた。しかし読み終えたあとには、人との関わり方について深く考えさせられる作品だと感じた。大きな事件が起こるわけではないのに、なぜかページをめくる手が止まらなかったのが印象的だった。表紙を見たときの第一印象とは、まったく違う読後感が残った。静かな物語ほど、読み終えたあとにじわじわと効いてくるものなのかもしれない。
②自分の経験と結び付ける
学校生活の中で、周りに友達はいるのに、なんとなく一人ぼっちだと感じたことはないだろうか。私自身、そう感じた経験が何度もある。『蹴りたい背中』を読んで、その気持ちを抱えているのは自分だけではないのだと知り、少しほっとしたような気持ちになった。同じような孤独を抱える人がいると分かるだけで、心が軽くなることもあるのだと思う。この本を読み終えたとき、自分の中にあったもやもやとした気持ちに、初めて名前がついたような気がした。
③疑問から始める
「友達」とは、いったい何なのだろうか。ただ一緒にいるだけで、友達と呼べるのだろうか。それとも、お互いの気持ちを理解し合えることこそが本当の友達なのだろうか。『蹴りたい背中』は、そんな根本的な問いを投げかけてくる作品だった。読み終えたあとも、この問いはしばらく頭から離れなかった。単純そうに見えて、実はとても難しい問いだと思う。答えが一つに決まらないからこそ、この小説を読みながら自分なりの答えを探してみたくなった。
④心に残ったことから始める
『蹴りたい背中』を読み終えて、一番印象に残ったのは、人は誰でも孤独を感じることがあるという事実だった。主人公の気持ちを追いながら、私自身の学校生活についても、改めて考え直すことになった。特別な出来事がなくても、心が揺れる瞬間はいくらでもあるのだと、この小説から教えられた気がする。静かな物語なのに、心にはしっかりと爪痕を残していった。読み終えたあとしばらく、本を閉じたままぼんやりと考え込んでしまったほどだった。
⑤学んだことを最初に伝える
私はこの小説を読んで、人は完全に分かり合うことはできなくても、相手を理解しようとする気持ちはとても大切なのだと学んだ。そのことは、読み終えたあともずっと心に残っている。派手な展開のない静かな物語だからこそ、じわじわと胸に染み込んでくるものがあった。読む前と読んだあとで、人との接し方が少し変わった気がする。たった一冊の本で考え方が変わることもあるのだと、改めて実感させられた出来事だった。読書の面白さを久しぶりに強く感じさせてくれた作品でもある。
題名の例×5
読書感想文の題名は、本のタイトルをそのまま使うのではなく、自分が学んだことや感じたことを表す言葉を添えるとぐっと印象的になります。
| 番号 | 題名の例 |
|---|---|
| ① | 孤独の中で見つけた自分らしさ |
| ② | 人との距離を考えた一冊 |
| ③ | 分かり合えないからこそ |
| ④ | 「普通」とは何だろう |
| ⑤ | 『蹴りたい背中』が教えてくれた、人との向き合い方 |
振り返り
ここまで『蹴りたい背中』の読書感想文の書き方について、あらすじの型から穴埋め式テンプレート、中学生・高校生向けの例文まで幅広くご紹介してきました。
この小説は、派手な事件が起こらないぶん、あらすじだけで文字数を埋めるのは難しい作品です。
だからこそ、「孤独」「距離感」「自分らしさ」という三つのポイントをもとに、自分自身の経験と結び付けて書くことが何よりの近道になります。
正直、私自身も学生時代はこの手の感想文にかなり悩まされました。
でも一方で、書き方のコツさえつかめば、感想文はそれほど怖いものではありません。
今回紹介したテンプレートや例文を参考にしながら、ぜひ自分だけの言葉で、あなたらしい一本を完成させてください。
きっと、いい感想文が書けるはずです。
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