『風の又三郎』の読書感想文を書く予定の小学生のみなさん、こんにちは。
宮沢賢治の代表作のひとつである『風の又三郎』は、山間の小さな学校を舞台に、謎めいた転校生と村の子どもたちとの交流を描いた短編小説です。
賢治の死後に発表されたこの作品は、現実と幻想が織りなす美しい世界観で多くの読者を魅了し続けています。
この記事では、読書が趣味で年間100冊以上の本を読む私が『風の又三郎』の読書感想文の書き方や例文、題名の付け方、書き出しのコツなどをくわしく解説。
小学生のみなさんがコピペせず、自分の言葉で素晴らしい感想文を書けるようサポートしていきますよ。
『風の又三郎』の読書感想文を書くうえで大切な3つのポイント
『風の又三郎』の読書感想文を書く時は、次の3つのポイントを意識することが重要です。
- 風の又三郎の正体についての謎と解釈
- 宮沢賢治が描く詩的で美しい自然の表現
- 短い出会いの中で生まれる友情の意味
この3つのポイントは、『風の又三郎』という作品の核心に触れる重要な要素です。
それぞれのポイントについて、どのように感想文に活かしていけばよいか詳しく見ていきましょう。
風の又三郎の正体についての謎と解釈
『風の又三郎』の最大の魅力は、転校生の三郎が本当に人間なのか、それとも風の精霊なのかという謎にあります。
物語の中で三郎は、他の子どもたちとは明らかに違う不思議な存在として描かれています。
赤い髪に標準語で話す姿、そして風とともに現れて風とともに去っていく様子は、まるで本当に風の化身のようです。
しかし一方で、三郎は北海道から来た鉱山技師の子どもという現実的な設定も与えられています。
この曖昧さこそが宮沢賢治の狙いであり、読む人それぞれが自分なりの解釈を持てるようになっているのです。
感想文では、あなたが三郎をどのような存在だと感じたか、その理由とともに書いてみましょう。
「私は三郎が本当に風の精霊だと思う。なぜなら…」「私は三郎がただの転校生だと思う。でも特別な何かを持っていて…」など、自分の考えをはっきりと述べることが大切です。
正解はありませんから、あなたが感じたことを素直に表現してください。
宮沢賢治が描く詩的で美しい自然の表現
『風の又三郎』を読んでいると、風や空、雲、川などの自然の描写がとても美しく印象的なことに気づくでしょう。
宮沢賢治は自然を単なる背景として描くのではなく、まるで生きているかのような存在として表現しています。
風は三郎と一体となって吹き、空の色は子どもたちの心情と重なり合います。
特に印象的なのは、嘉助が霧の中で迷子になる場面や、川で遊ぶ子どもたちの様子、台風の日の描写などです。
これらの自然描写は、ただ美しいだけでなく、物語の神秘的な雰囲気を作り出す重要な役割を果たしています。
感想文では、どの自然の描写が一番心に残ったか、そしてその描写を読んでどんな気持ちになったかを書いてみましょう。
「台風の風の音を読んでいるだけで、本当に風が吹いているような気がした」「霧の場面では、自分も嘉助と一緒に迷子になったような不安な気持ちになった」など、具体的な感想を述べることで、読み手に伝わりやすい文章になります。
自然に対するあなたの感受性を素直に表現することが大切です。
短い出会いの中で生まれる友情の意味
『風の又三郎』では、三郎と村の子どもたちの交流がわずか12日間という短い期間で描かれています。
最初は三郎を警戒していた一郎や嘉助たちも、一緒に遊んでいるうちに徐々に心を開いていきます。
川で泳いだり、ヤマブドウを採りに行ったり、普通の子どもらしい遊びを通じて、彼らの友情は深まっていくのです。
しかし、その友情が深まったちょうどその時、三郎は突然姿を消してしまいます。
この短い出会いと別れの中に、宮沢賢治は真の友情とは何かというメッセージを込めています。
友情は時間の長さではなく、心のつながりの深さで決まるということです。
三郎がいなくなった後も、一郎たちの心の中には三郎との思い出がしっかりと残っています。
感想文では、この短い友情についてあなたがどう感じたかを書いてみましょう。
「私も転校した友達がいて、三郎と一郎たちの気持ちがよくわかった」「短い時間でも本当の友達になれることを知った」など、自分の体験と重ね合わせて書くと、より深い感想文になります。
別れの寂しさと同時に、出会えた喜びについても触れることで、バランスの取れた内容になるでしょう。
読書感想文を書くために『風の又三郎』を読みながらメモしたい3項目~あなたが感じたことを大切に~
『風の又三郎』を読みながら、次の3つについてあなたがどう感じたかをメモしておくことをおすすめします。
- 三郎の言動や行動に対してあなたが抱いた印象
- 印象に残った場面とその時の気持ち
- 物語を読み終えた時の全体的な感想
これらの項目についてメモを取っておけば、感想文を書く時に自分の気持ちを思い出しやすくなります。
感想文で最も大切なのは、あなた自身がどう感じたかということだからです。
三郎の言動や行動に対してあなたが抱いた印象
三郎は物語の中でさまざまな行動を取ります。
友達に鉛筆をあげたり、先に謝ったり、時には意地悪をしたり、友達を溺れさせそうになったり。
このような三郎の行動を読みながら、「三郎って優しいな」「ちょっと危険だな」「不思議な子だな」など、あなたが感じたことをメモしておきましょう。
また、三郎の話し方にも注目してください。
他の子どもたちが方言で話しているのに対して、三郎は標準語で話しています。
この違いからも、三郎の特別さを感じることができるでしょう。
あなたが三郎に対してどんな印象を持ったか、その理由も含めてメモしておくことが大切です。
これらのメモは、後で感想文を書く時の重要な材料になります。
印象に残った場面とその時の気持ち
『風の又三郎』には印象的な場面がたくさんあります。
嘉助が霧の中で三郎のガラスのマントを見る場面、みんなで川遊びをする場面、台風の日の場面など、どの場面が一番心に残ったかをメモしておきましょう。
そして、その場面を読んだ時にどんな気持ちになったかも書いておくことが重要です。
「ドキドキした」「悲しくなった」「不思議な気持ちになった」「楽しそうでうらやましかった」など、素直な気持ちを記録してください。
なぜその場面が印象に残ったのか、理由も考えてみましょう。
「自分も同じような経験をしたことがあるから」「今まで読んだことのない不思議な場面だったから」など、あなたなりの理由があるはずです。
このような具体的な場面についての感想は、読書感想文を書く上でとても貴重な材料になります。
物語を読み終えた時の全体的な感想
『風の又三郎』を最後まで読み終えた時、あなたはどんな気持ちになったでしょうか。
「寂しい気持ちになった」「不思議な気持ちになった」「感動した」「もう一度読み返したくなった」など、読後の気持ちをメモしておきましょう。
また、この物語から何を学んだか、何を感じ取ったかも重要なポイントです。
「友情の大切さを学んだ」「自然の美しさを感じた」「出会いと別れについて考えさせられた」など、あなたが感じたメッセージを書き留めておいてください。
さらに、この物語を読んで、あなたの中で何か変わったことがあるかどうかも考えてみましょう。
「風の音を聞くと三郎のことを思い出すようになった」「友達との時間をもっと大切にしようと思った」など、読書によってもたらされた変化があれば、それも感想文の大切な要素になります。
これらの全体的な感想は、感想文の締めくくりの部分で活用することができますよ。
※『風の又三郎』のお話の疑問点や宮沢賢治が伝えたいことはこちらで解説しています。


『風の又三郎』の読書感想文の例文(800字の小学生向け)
【題名】風とともにやってきた不思議な友達
『風の又三郎』を読んで、私は風の音を聞くたびに三郎のことを思い出すようになった。
三郎は本当に人間だったのだろうか。
それとも本当に風の精霊だったのだろうか。
私は読みながらずっとそのことを考えていた。
三郎には他の子どもたちとは違う不思議な雰囲気があった。
赤い髪に標準語で話す姿は、確かに普通の転校生とは思えない。
でも友達に鉛筆をあげたり、けんかの後に先に謝ったりする優しさは、まぎれもなく人間の心だと思う。
私は三郎が人間と風の精霊の両方の性質を持った特別な存在だったのではないかと考えている。
特に印象に残ったのは、嘉助が霧の中で迷子になる場面だった。
嘉助が見たガラスのマントを着て空を飛ぶ三郎の姿は、本当に幻想的で美しかった。
この場面を読んでいる時、私も嘉助と一緒に霧の中にいるような気持ちになった。
宮沢賢治の自然の描写はとても詩的で、読んでいるだけで風や霧を肌で感じることができる。
また、みんなで川遊びをする場面も楽しそうで印象的だった。
最初は三郎を警戒していた一郎や嘉助たちも、一緒に遊んでいるうちに心を開いていく様子がよく描かれている。
私は三郎と村の子どもたちの友情に深く感動した。
たった12日間という短い期間だったが、彼らの間には本当の友情が生まれていた。
私にも転校で離れ離れになった友達がいるので、三郎がいなくなった時の一郎たちの気持ちがよくわかる。
でも短い時間でも心でつながることができれば、それは本当の友達なのだと思う。
三郎がいなくなった後も、一郎たちの心の中には三郎との楽しい思い出が残っている。
それが友情の証拠だと私は感じた。
『風の又三郎』を読んで、私は友達との時間をもっと大切にしようと思った。
そして自然の美しさにももっと目を向けてみたいと思う。
風が吹くたびに、どこかで三郎が元気にしているような気がしてくる。
『風の又三郎』の読書感想文の例文(1200字の小学生向け)
【題名】風の又三郎から学んだ本当の友情
『風の又三郎』を読み終えた時、私の心には風が吹き抜けるような爽やかさと、少しの寂しさが残った。この物語は、風とともに現れて風とともに去っていった不思議な転校生三郎と、山間の小さな学校の子どもたちとの交流を描いている。私はこの短いけれど濃密な友情の物語に深く心を動かされた。
まず私が最も興味を引かれたのは、三郎の正体についてである。三郎は本当に人間なのか、それとも風の精霊なのか。物語を読み進めながら、私はずっとこの謎について考えていた。三郎の赤い髪、標準語で話す言葉遣い、そして風とともに現れて風とともに消えていく不思議さ。これらすべてが、三郎を普通の転校生とは思えない存在にしている。
しかし一方で、三郎は友達に鉛筆をあげたり、けんかの後に先に謝ったりする優しい心を持っている。また時には意地悪をしたり、危険な面もある。私は三郎が人間でありながら、同時に風の精霊でもあるような特別な存在だったのではないかと考えている。
次に私が感動したのは、宮沢賢治の美しい自然描写である。風、空、雲、川、霧などの自然が、まるで生きているかのように描かれている。特に嘉助が霧の中で迷子になり、幻想の中で三郎がガラスのマントを着て空を飛ぶ姿を見る場面は映画のワンシーンみたいだった。この場面を読んでいる時、私も嘉助と一緒に霧の中にいるような不思議な気持ちになったくらいだ。
また、みんなで川遊びをする場面では、水の冷たさや子どもたちの歓声が聞こえてくるようだった。台風の日の風の描写も印象的で、読んでいるだけで風の音が耳に響いてくるようだった。
そして最も深く心に響いたのは、三郎と村の子どもたちの友情である。最初は三郎を警戒していた一郎や嘉助たちも、一緒に遊んでいるうちに徐々に心を開いていく。川で泳いだり、ヤマブドウを採りに行ったり、普通の子どもらしい遊びを通して、彼らの友情は深まっていく。しかし、その友情が深まったちょうどその時、三郎は突然姿を消してしまう。
この短い出会いと別れの中に、私は本当の友情とは何かを学んだ。友情は時間の長さではなく、心のつながりの深さで決まるということである。私にも転校で離れ離れになった友達がいる。わずか二年間の付き合いだったが、今でもその友達のことを思い出すことがある。短い時間でも心でつながることができれば、それは本当の友達なのだと改めて実感した。
『風の又三郎』を読んで、私は多くのことを学んだ。友達との時間をもっと大切にしようと思った。また、自然の美しさにももっと目を向けてみたいと思う。そして何より、出会いの大切さを学んだ。
風が吹くたびに、私は三郎のことを思い出し、この物語が教えてくれた大切なメッセージを心に刻んでいこうと思う。
振り返り
『風の又三郎』の読書感想文の書き方について詳しく解説してきました。
この記事では、作品の核となる3つのポイントと、感想文を書く際にメモしておきたい項目、そして実際の例文をご紹介しました。
大切なのは、あなた自身がこの物語を読んでどう感じたかを素直に表現することです。
三郎の正体について、美しい自然描写について、そして短い友情について、あなたなりの解釈や感想を持つことが感想文の出発点になります。
例文を参考にしながらも、あなただけの言葉で『風の又三郎』への思いを綴ってみてください。
きっと素晴らしい読書感想文が完成するはずです。
※『風の又三郎』のあらすじはこちらで簡単に短くご説明しています。

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