今回は『風の又三郎』の読書感想文について、書き方から例文まで、まとめてご紹介していきます。
本作は、宮沢賢治が遺した幻想的な短編小説。
山あいの小さな学校に現れた不思議な転校生と、村の子どもたちとの十二日間を描いた、なんとも味わい深い一冊なんです。
作者は、みなさんもご存じの宮沢賢治さん。
『銀河鉄道の夜』などでも知られる作家で、この『風の又三郎』は自然や子どもの心を丁寧に描いた作品として、長く読み継がれています。
とはいえ、幻想的な物語だけに「あらすじをどうまとめたらいいのか分からない」「感想文に何をテーマにして書けばいいのか迷う」という声もよく聞きます。
読書感想文を書く予定の小学生・中学生のみなさんの力になれるよう、書き方・例文・題名・書き出しまで、コピペしてすぐ使えるテンプレートも交えながら、丁寧に解説していきますよ。
『風の又三郎』の読書感想文に使える「あらすじ」の型
『風の又三郎』の読書感想文を書くときにまず悩むのが、あらすじの書き方ではないでしょうか。
あらすじを詳しく書きすぎると、感想を書くスペースがなくなってしまいます。
読書感想文でのあらすじは、全体の2〜3割程度が目安。
ここでは、そのまま使いやすい200字前後のあらすじを、タイプ別に3パターンご紹介します。
タイプ①:物語の始まりを中心にしたあらすじ
『風の又三郎』は、山あいの小さな学校に、高田三郎という転校生がやって来るところから始まります。赤い髪にねずみ色の服という、村の子どもたちとは違った姿の三郎を見て、みんなは「風の又三郎ではないか」とうわさをするようになりました。標準語を話す三郎と、方言を話す子どもたちの間には、はじめ距離がありました。けれど少しずつ、不思議な出来事を通して心が近づいていきます。
タイプ②:交流の様子を中心にしたあらすじ
小さな学校へ転校してきた高田三郎は、子どもたちから「風の又三郎ではないか」と思われる存在です。三郎と村の子どもたちは、高原での遊びやヤマブドウ採り、川遊びなど、自然の中でともに過ごしながら交流を深めていきます。三郎の言動にはどこか不思議なところがあり、読者も「本当に風の子なのか」と想像をふくらませながら読み進めることになります。
タイプ③:作品全体の雰囲気を伝えるあらすじ
『風の又三郎』は、山あいの小学校へ転校してきた高田三郎と、子どもたちとの交流を描いた物語です。子どもたちは三郎を「風の又三郎」と重ね合わせながら、自然の中でさまざまな出来事を経験していきます。幻想的な雰囲気の中で、人と自然とのつながりや、出会いの大切さが静かに描かれている作品です。
※『風の又三郎』のあらすじはこちらで簡単に短くご説明しています。

『風の又三郎』の読書感想文の書き方
『風の又三郎』の読書感想文を書くときは、押さえておきたい重要なポイントが3つあります。
この3つさえ意識できれば、あとは埋めていくだけ。
ここからは、その3つのポイントと、それをもとにした穴埋め式テンプレートで、感想文づくりをサポートしていきますね。
この本で大切な3つのテーマやポイント
『風の又三郎』の読書感想文を書くうえで、必ず触れておきたい要点が3つあります。
この3つを押さえるだけで、感想文の骨組みはほぼ完成したようなもの。
まずは箇条書きで確認しておきましょう。
- 又三郎は本当に「風の子」だったのか
- 友情や出会い・別れの大切さ
- 自然の美しさや不思議
この3つのテーマそれぞれについて、「自分はどう感じたか」をメモしておくことをおすすめします。
メモの取り方は難しく考えなくて大丈夫。
ノートの真ん中に線を引いて、左側に「物語で起きたこと」、右側に「そのとき自分が感じたこと」を書き出すだけで十分です。
たとえば「三郎が風の中で不思議な行動をした」という出来事の横に、「ちょっと怖いけど、かっこいいと思った」というふうに書いていく。
この作業、地味に見えて実はとても効果的なんです。
なぜ「どう感じたか」が大切なのか、疑問に思う人もいるかもしれませんね。
読書感想文というのは、あらすじを紹介する文章ではありません。
自分の心がどう動いたかを伝える文章です。
ですから、出来事を並べるだけでは、ただの説明文になってしまいます。
先生が読みたいのは、みなさんが何を感じ、何を考えたかという部分。
感じたことをメモしておけば、あとで文章にまとめるときにとても書きやすくなりますよ。
①又三郎は本当に「風の子」だったのか
この作品の一番の魅力は、高田三郎が本当に「風の又三郎」なのか、それとも普通の少年なのかが、最後まではっきりしないところです。
正直、私も最初にこの作品を読んだとき、答えがどこにも書かれていないことに少し驚きました。
ミステリー小説のように謎解きがあるわけではないんですね。
だからこそ、感想文では「自分はどう思ったか」を正直に書くことが大切です。
「絶対に風の精だった」と断定するよりも、「私は風の精だったのではないかと思いました」と、自分の考えとして書くほうが、読書感想文らしい文章になります。
三郎が自然の中で見せる、あの不思議な様子について、みなさんはどう感じましたか?
その感覚を、素直に言葉にしてみてください。
②友情や出会い・別れの大切さ
三郎は転校してきて子どもたちと少しずつ仲良くなっていきますが、その交流は永遠には続きません。
新しい友達との出会い、一緒に過ごした時間、そして別れのさみしさ。
これらは、この作品を貫く大きなテーマのひとつです。
みなさんにも、転校生が来たときのことや、仲の良い友達と離れてしまった経験はありませんか?
そうした自分の経験と重ねながら読むと、この物語がぐっと身近に感じられるはずです。
とはいえ、悲しい別れだけがテーマというわけではありません。
一緒に過ごした時間そのものが、かけがえのない思い出になる、というところにも注目してほしいんです。
③自然の美しさや不思議
宮沢賢治の作品では、自然そのものが大きな存在として描かれています。
風や空、山、草原などの描写が豊かで、それらが物語の雰囲気を作り出しているんです。
ふだん、風が吹いてもあまり気にしない人が多いのではないでしょうか。
でも、この作品を読んだあとは、風の音や空の色に、少し敏感になるかもしれません。
自然の描写のなかで、特に印象に残った場面はどこでしたか?
その場面を思い出しながら、自分なりの言葉で表現してみましょう。
結末については、ここでは触れません。
ぜひ実際に本を読んで、自分の目で最後まで確かめてみてくださいね。
穴埋め式テンプレート
ここからは、先ほどの3つのポイントを盛り込んだ、穴埋め式のテンプレートをご紹介します。
空欄を埋めていくだけで、感想文の形がどんどん出来上がっていきますよ。
STEP1 本を選んだ理由
私が『風の又三郎』を読もうと思ったのは、( )と思ったからです。
読む前は、( )という物語だと思っていました。
STEP2 あらすじ
『風の又三郎』は、小さな学校へ転校してきた高田三郎を、子どもたちが「風の又三郎ではないか」と思うことから始まる物語です。
子どもたちは自然の中で一緒に過ごしながら交流を深めますが、三郎にはどこか不思議なところがあり、読者もその正体について考えながら読み進めることになります。
STEP3 一番心に残った場面
私が一番心に残ったのは、( )の場面です。
なぜなら、( )と思ったからです。
私はこの場面を読んで、( )と感じました。
STEP4 テーマ①:又三郎は本当に風の子だったのか
私は、又三郎は( )だと思いました。
その理由は、( )だからです。
はっきり答えが書かれていないので、自分で考えながら読めるところがおもしろいと思いました。
STEP5 テーマ②:友情や出会い・別れ
三郎と子どもたちは、少しずつ仲良くなっていきました。
私は( )の場面から、友達とは( )ものだと思いました。
私も友達との時間をもっと大切にしたいです。
STEP6 テーマ③:自然の美しさや不思議
この物語には、美しい自然がたくさん登場します。
私は( )の様子が特に印象に残りました。
自然には人の心を動かす力があるのだと思いました。
STEP7 自分の経験と結び付ける
私にも( )という経験があります。
この物語を読んで、そのときのことを思い出しました。
だから私は、( )と思いました。
STEP8 まとめ
『風の又三郎』を読んで、私は( )が一番大切だと思いました。
これからは( )ようにしたいです。
この物語は、読むたびに新しい発見がある作品だと思いました。
『風の又三郎』の読書感想文の例文
ここからは、『風の又三郎』の読書感想文の例文を、小学生向け・中学生向けに分けてご紹介します。
それぞれの学年に合った長さと言葉づかいでまとめていますので、参考にしてみてください。
そのまま提出するのではなく、自分の経験や気持ちを加えて、自分自身の言葉に書き直すのがおすすめです。
800字の小学生向け
【題名】風の又三郎と過ごした十二日間
私は『風の又三郎』を読んで、いちばん考えたのは「又三郎は本当に風の子だったのかな」ということだった。
読み終わっても、はっきりした答えは分からなかった。でも、分からないからこそ、想像するのが楽しい本だった。
物語は、山あいの小さな学校に高田三郎という転校生がやって来るところから始まる。子どもたちは、その姿から「風の又三郎ではないか」とうわさをする。
私も読み進めるうちに、だんだん「本当に風の子なのかもしれない」と思うようになっていった。
一番心に残ったのは、三郎と子どもたちが自然の中で過ごす場面だ。風が急に強く吹くたびに、三郎が風とつながっているように感じられた。
正直、この場面を読んだときは少し驚いた。ふつうの転校生の話だと思っていたのに、こんなに不思議な出来事が続くとは思わなかったからだ。
だから私は、三郎は風の子だったのではないかと思う。理由は、風が吹く場面での様子が、普通の人には見えなかったからだ。
とはいえ、三郎は友達と笑い合ったり、けんかをしたりもする。どこにでもいる子どもと同じだとも思った。
もうひとつ心に残ったのは、三郎と子どもたちの友情だ。最初はぎこちなかった関係が、少しずつあたたかいものに変わっていく。
私も新しいクラスになったとき、話しかけるのを迷ったことがある。この本を読んで、そのときのことを思い出した。
一緒に過ごす時間は、当たり前ではないのだと気づかされた。今ある友達との時間を、もっと大切にしたいと思った。
この物語には風や空、山など、自然の描写がたくさん出てくる。ふだんの私は、風が吹いても気にすることはあまりない。
でも、この本を読んでからは、風が吹くたびに「又三郎がいるのかな」と、少し考えるようになった。
『風の又三郎』は、読む人に自由に想像させてくれる物語だった。私はこれからも、身の回りの不思議を大切にしながら過ごしたい。
1200字の中学生向け
【題名】答えのない問いを抱きしめて
『風の又三郎』を読み終えた今も、私は高田三郎が本当に「風の又三郎」だったのか、はっきりと言い切ることができない。
けれど、その答えが最後まで示されないからこそ、この物語は心の奥に長く残るのだと思う。
物語は、山あいの小さな学校に、高田三郎という転校生がやって来るところから始まる。赤い髪に不思議な服装をした三郎を見て、子どもたちは「風の又三郎ではないか」とうわさをする。
読み進めるうちに、私自身も「ただの転校生なのか、それとも本当に風の精なのか」と、何度も考えさせられた。
現実と幻想の境界があいまいに描かれているところが、この作品の大きな魅力だと感じた。
正直、最初はもっと単純な転校生の物語だと思っていたので、この幻想的な雰囲気には少し驚かされた。
私が最も印象に残ったのは、自然の描写だ。風や雲、山や草原などが、まるで生きているかのように細やかに描かれている。
ふだんの私は、景色を何気なく見過ごしてしまうことが多い。でも、この作品を読んでからは、自然そのものが物語の登場人物のひとつのように思えてきた。
宮沢賢治は、自然のなかに不思議さや美しさを見いだし、それを読者にも感じさせようとしたのではないだろうか。
また、この作品では友情も大きなテーマになっている。子どもたちは最初、三郎を得体の知れない存在として見ていた。
しかし、いっしょに過ごすうちに、少しずつ心を通わせていく。その様子を読んで、人は相手を知ろうとすることで、初めて本当の友達になれるのだと感じた。
私は新しいクラスになったとき、話しかけるのをためらってしまうことがあった。それでも勇気を出して声をかけてみると、今では仲の良い友達になっている人もいる。あのとき一歩を踏み出していなければ、今の関係はなかったのだと思うと、少しうれしい気持ちになる。
この作品を読んで、そのときの気持ちをあらためて思い出した。
三郎の正体について、私は「普通の少年でありながら、子どもたちの想像のなかでは風の精でもあった」のではないかと考えている。
子どもたちの豊かな想像力が、三郎という存在を特別なものに変えていったのだと思う。
大人になるにつれて、私たちはなんでも理屈で説明しようとしてしまう。でも一方で、この作品は、説明できないものを信じたり、想像したりする心も大切なのだと教えてくれたように思う。
正直なところ、読み終えたあとしばらく、どちらの解釈が正しいのか迷ってしまった。でも、その揺れ動く気持ちこそが、この物語を読む楽しさなのかもしれない。
『風の又三郎』は、友情や自然、そして想像することのすばらしさを描いた作品だ。読み終えたあとも、「もし自分の学校にも又三郎のような転校生が来たら」と、つい考えたくなる。
私はこれからも、自然の美しさや身近な不思議に目を向け、物事をすぐに決めつけずに、想像する心を忘れずにいたいと思う。答えのない問いを抱きしめながら生きることも、決して悪いことではないはずだ。
書き出し例×5
①読後の印象から始める
『風の又三郎』を読み終えても、私は「又三郎は本当に風の子だったのだろうか」という疑問が消えなかった。
物語のなかで答えははっきり示されない。
だからこそ、自分の頭で考える楽しさがある物語だと思った。
読み終わったあとも、ふとした瞬間に又三郎のことを思い出してしまう。
そんな不思議な余韻を残す一冊だった。
②本を選んだ理由から始める
私が『風の又三郎』を読もうと思ったのは、「風の又三郎」という不思議な題名にひかれたからだ。
いったいどんな人物なんだろう、そう考えながらページをめくった。
読んでみると、想像していた以上に不思議で、そして美しい物語だった。
タイトルひとつで、こんなにも想像がふくらむとは思わなかった。
そのことに、私は少し驚かされた。
③自分の経験と結び付ける
私にも、新しい友達が転校してきたときに、「どんな人だろう」と胸をどきどきさせた経験がある。
『風の又三郎』を読んで、そのときの気持ちがよみがえってきた。
転校生との出会いには、わくわくする気持ちと、少しの不安が入り混じっている。
この物語を読んで、そのことをあらためて実感した。
新しい出会いというのは、いつでも少し緊張するものだ。
④疑問から始める
「もし風の精が、本当に自分の学校にやって来たら、私は気付けるだろうか。」
『風の又三郎』を読んで、そんなことを考えてしまった。
この物語には、最後まで答えがひとつに決まらない、不思議なおもしろさがある。
読み進めるほどに、その問いは私の中でどんどん大きくなっていった。
皆さんなら、又三郎の正体をどう考えるだろうか。
⑤テーマから始める
人は、目に見えるものだけを信じてしまいがちだ。
でも、『風の又三郎』は、想像することの楽しさや、自然の不思議さを教えてくれる物語だった。
説明できないものを、そのまま受け止めてみる。
そんな読み方があってもいいのだと、この本を読んで気づかされた。
目に見えないものにこそ、大切な何かが隠れているのかもしれない。
題名の例×5
| 番号 | 題名の例 |
|---|---|
| 1 | 又三郎は本当に風の子だったのか |
| 2 | 風が運んできた友達 |
| 3 | 不思議な転校生との出会い |
| 4 | 答えのない問いを抱きしめて |
| 5 | 私が感じた風の物語 |
振り返り
ここまで、『風の又三郎』の読書感想文の書き方について、あらすじの型から例文まで、一通りご紹介してきました。
ポイントは、たったの3つ。
又三郎の正体について自分はどう考えたか、友情や出会い・別れについて何を感じたか、そして自然の美しさや不思議についてどう思ったか。
この3つを、自分の言葉と経験で埋めていけば、感想文はきっと形になります。
正直、幻想的な物語だけに、最初は何を書けばいいのか戸惑う人も多いはずです。
でも一方で、答えが決まっていないからこそ、自分だけの感想文が書けるとも言えます。
穴埋め式テンプレートや例文を参考にしながら、ぜひ自分自身の言葉で仕上げてみてください。
年間100冊以上の本を読んできた私から見ても、『風の又三郎』は、何度読み返しても新しい発見がある作品だと感じます。
皆さんの読書感想文も、きっと素敵な一篇になるはずです。
この記事を、最後まで読んでくださってありがとうございました。
※『風の又三郎』のお話の疑問点や宮沢賢治が伝えたいことはこちらで解説しています。


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