『ぼくは満員電車で原爆を浴びた――11歳の少年が生きぬいたヒロシマ』は、米澤鉄志さんの被爆体験を、由井りょう子さんが文章にまとめたノンフィクション作品。
1945年8月6日、11歳だった鉄志さんが、満員電車の中で原爆に遭った実際の体験がえがかれています。
初めてこの本を読んだとき、胸がしめつけられるような気持ちになりました。
それと同時に、「この重いテーマを、どうやって読書感想文にまとめればいいのだろう」と迷った人も多いのではないでしょうか。
この記事では、あらすじの型から、基礎的な書き方、コピペ可の穴埋め式テンプレート、そして小学生・中学生向けの例文まで丁寧に解説していきます。
書き出しや題名に迷っている人にも、きっと役立つ内容になっているはずです。
戦争や原爆という重いテーマを前に、何から書けばいいのか分からない人こそ、最後まで読んでみてください。
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』の読書感想文に使える「あらすじ」の型
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』の読書感想文を書くとき、本文の中に組みこみやすい短めのあらすじがあると、とても便利。
ここでは、200字前後にまとめたあらすじを、タイプ別に3パターンご紹介します。
自分の文章のリズムに合いそうなものを選んで、感想文の中に取り入れてみてください。
タイプ①:出来事を中心にまとめたあらすじ
1945年8月6日、11歳だった米澤鉄志さんは、母親と満員電車に乗って広島市内へ向かっていた。電車が爆心地から約750メートルの地点にさしかかったとき、原子爆弾が投下される。車内は爆風と熱線に襲われ、大混乱におちいった。鉄志さんは大けがを負いながらも、周囲の状況が重なり、奇跡的に一命をとりとめる。その後、破壊された広島の街を、母親とともに歩いて疎開先へ向かうことになる。
タイプ②:人物の気持ちに寄りそったあらすじ
11歳の鉄志少年は、母親と乗った満員電車の中で、とつぜん原爆の閃光に包まれる。何が起きたのか分からないまま、車内は混乱し、鉄志さんも大きなけがを負ってしまう。電車を降りた先に広がっていたのは、それまで見たこともない広島の姿だった。恐怖と混乱の中、鉄志さんは母親に支えられながら、必死に生きのびようとする。その体験は、少年の心に、生涯消えない記憶として刻まれることになる。
タイプ③:テーマを意識したあらすじ
本作は、原爆によって「ふつうの日常」が一瞬でうばわれた実話をえがくノンフィクション。11歳の少年が満員電車の中で被爆し、家族とともに生きのびようとする姿が記されている。戦争の被害は、爆発の瞬間だけで終わらない。被爆後も続く苦しみや、家族との別れをつうじて、平和のとうとさと、体験を語り継ぐことの重みが描かれている。
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』の読書感想文の書き方
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』の読書感想文を書くうえで、重要なポイントは3つ。
この3つのポイントさえおさえれば、あとは穴埋め式テンプレートに当てはめるだけで、感想文を組み立てられます。
まずは、どんなポイントに注目すればいいのか、順番に見ていきましょう。
この本で絶対に欠かせない3つのテーマやポイント
この本で読書感想文を書くなら、次の3つは欠かせないテーマ・ポイントです。
- ①ふつうの日常が一瞬でうばわれたこと
- ②被爆した人の苦しみがその後も続いたこと
- ③戦争の記憶をこれからどう受け継ぐか
この3つについて、本を読みながら「自分はどう感じたか」を、その場でメモしておくのがおすすめ。
メモの方法は難しく考えなくて大丈夫です。
ノートやふせんに、「驚いた」「こわかった」「切なかった」など、感じたことを一言で書き留めておくだけで十分。
あとで読み返したとき、そのときの気持ちを思い出しやすくなります。
感想文は、あらすじをなぞるだけでは点数がのびません。
自分の心が動いた瞬間をきちんと言葉にできるかどうかが、感想文の評価を大きく左右します。
それでは、3つのポイントを一つずつ見ていきましょう。
①ふつうの日常が、一瞬でうばわれたこと
鉄志さんと母親は、いつもと変わらない用事のために、満員電車に乗っていました。
その日、まさか原爆が投下されるとは、二人とも思っていなかったはずです。
電車、通学路、家族との食卓。
そうした当たり前の日常が、一瞬でうばわれてしまう恐ろしさが、この本の大きなテーマの一つ。
自分の毎日と重ねながら読むと、感じ方がぐっと深くなります。
②被爆した人の苦しみが、その後も続いたこと
原爆の恐ろしさは、爆発した瞬間だけにとどまりません。
やけどや放射線の影響で、被爆後もしばらくしてから体調を崩す人が少なくなかったといいます。
鉄志さんの家族にも、被爆後、つらい出来事が重なっていきました。
戦争が終わっても、被害はすぐには終わらない。
このことに気づけるかどうかが、感想文の深みを大きく変えます。
③戦争の記憶を、これからどう受け継ぐか
「自分には戦争の経験がないから関係ない」と感じてしまうのは、現代の若者にとっては当たり前の実感かもしれません。
でも一方で、体験者が語ってくれたからこそ、私たちはその出来事を知ることができるのも事実。
この本を読んだ自分が、これから何を大切にしていきたいか。
そこまで書けると、あらすじの紹介だけでは終わらない、自分らしい感想文になります。
ここまでの3つのポイントを意識するだけで、感想文のかたが、ぐっと整いやすくなるはずです。
穴埋め式テンプレート
先ほどの3つのポイントを、感想文の中に自然に組みこめるよう、ステップごとの穴埋め式テンプレートを用意しました。
空欄に自分の言葉を当てはめていくだけで、感想文の骨組みが完成する仕組みです。
順番に見ていきましょう。
STEP1 読む前の気持ちを書く
「この本を読もうと思ったきっかけは、__________です。」
「タイトルを見たとき、私は__________と思いました。」
「読む前、原爆について__________というイメージを持っていました。」
STEP2 簡単なあらすじを書く
「この本は、__________という体験をした著者が、原爆によって起こったことを伝えた作品です。」
「物語では、著者が__________しているときに原爆が投下され、その後__________という出来事が描かれています。」
STEP3 ポイント①を書く(ふつうの日常が奪われたこと)
「私が一番強く印象に残ったのは、__________というところです。」
「私は普段、__________ことを当たり前だと思っています。しかし、この本を読んで、それは__________なのだと感じました。」
STEP4 ポイント②を書く(戦後も続いた苦しみ)
「私は、原爆の恐ろしさは__________だけではないと思いました。」
「被爆した人たちは、その後も__________という苦しみを抱えていました。」
「もし自分が同じような経験をしたら、__________と思います。」
STEP5 ポイント③を書く(記憶を受け継ぐこと)
「私はこの本を読んで、戦争を経験していない私たちにも__________ことが大切だと思いました。」
「これからは、__________していきたいです。」
STEP6 自分の生活と結びつける
「私の今の生活では、__________ことができます。」
「このような生活ができることは、決して当たり前ではなく、__________ことなのだと感じました。」
STEP7 変化と結びをまとめる
「この本を読む前、私は原爆について__________と考えていました。」
「しかし、この本を読んで__________と考えるようになりました。」
「『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』を読んで、私は__________ということを学びました。」
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』の読書感想文の例文
ここからは『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』の読書感想文の例文をご紹介します。
小学生向けには800字、中学生向けには1200字と、それぞれの学年に合った長さでまとめました。
あくまで一つの例として、自分の言葉に置きかえながら参考にしてみてください。
800字(原稿用紙2枚)の小学生向け
【題名】あたりまえの毎日を守りたい
私はこの本を読むまで、原爆は昔の出来事だと思っていた。
でも、『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』を読んで、その考えは変わった。
主人公の鉄志さんは、十一歳のとき、お母さんと満員電車に乗っていた。
いつもと同じ、ふつうの一日だったはずだ。
そこへ、突然、原子爆弾が落とされた。
電車の中は大混乱になり、鉄志さんも大きなけがを負った。
それでも、周りの大人たちや電車の頑丈さが重なり、鉄志さんは奇跡的に助かった。
私はこの場面を読んで、すごく驚いた。
鉄志さんは、私と同じくらいの年れいだったからだ。
もし自分が同じ場所にいたらと考えると、こわくてたまらなくなった。
電車を降りたあとの広島の様子も、忘れられない。
やけどを負った人たちが、水を求めながら歩いていたそうだ。
川には、たくさんの遺体が流れていたという。
その光景を想像するだけで、胸がとても苦しくなった。
戦争は、兵士だけを傷つけるものではない。
ふつうに暮らしていた子どもや家族の日常を、一しゅんでうばうものなのだと知った。
私は毎日、学校に行ったり、家族と話したり、友だちと遊んだりしている。
そんな毎日が、当たり前に続くと思っていた。
でも、この本を読んで、それは当たり前ではないのだと気づかされた。
原爆のあと、鉄志さんの家族にも、つらい出来事が続いたそうだ。
被爆した人が、その後も苦しみをかかえていたことを知り、私は少し切ない気持ちになった。
戦争が終わっても、被害はすぐには終わらないのだと分かったからだ。
私はこれまで、戦争のことを、自分には関係のない話だと思っていた。
しかし、この本を読んだ今は、そうは思わない。
戦争を知らない私たちにも、伝える責任があるのだと思う。
これからは、ニュースで戦争の話を見たときも、しっかり考えるようにしたい。
そして、今の当たり前の毎日を、大切に過ごしていきたい。
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』は、私に平和のとうとさを教えてくれた一冊だ。
1200字(原稿用紙3枚)の中学生向け
【題名】記憶を受け継ぐということ
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』を読むまで、私にとって原爆は、教科書の中の遠い出来事にすぎなかった。
しかし、この本を読んだあと、その距離は一気に縮まった。
主人公の米澤鉄志さんは、十一歳のとき、疎開先から広島市内へ向かう途中、お母さんと満員電車に乗っていた。
いつもと変わらない、ごくふつうの朝だったはずだ。
その日、電車が八丁堀付近を走っていたとき、原子爆弾が投下された。
車内は強い光と爆風に包まれ、一瞬にして地獄のような光景に変わったという。
鉄志さんも大けがを負ったが、周りにいた大人たちや、電車が鋼鉄でできていたことなど、いくつもの偶然が重なり、奇跡的に命をとりとめた。
私はこの場面を読んで強い衝撃を受けた。
十一歳といえば、私たちとそう変わらない年れいだ。
ふだん何気なく利用している電車の中で、突然そんな出来事が起こるとは、想像したこともなかった。
電車を降りたあとに広がっていた広島の様子も、忘れることができない。
やけどで皮ふが垂れ下がった人や、水を求めながら力尽きていく人たちの姿が、本の中には生々しく描かれている。
読んでいるあいだ、何度も手が止まった。
戦争は、戦っている兵士だけを傷つけるものではない。
その日をふつうに生きていた市民の日常を、一しゅんでうばい去るものなのだと、あらためて思い知らされた。
私はふだん、学校へ行き、友人と話し、家族と夕食を囲むという生活を、当たり前だと感じている。
でも、この本を読んだあとは、その感覚が少しゆらいだ。
当たり前だと思っていた毎日は、実はとても不安定な土台の上に成り立っているのかもしれない。
もうひとつ、印象に残ったのは、原爆の被害が投下の瞬間だけで終わらないという事実だ。
鉄志さんの家族にも、その後、つらい出来事が重なったと本には記されている。
被爆した人たちが、けがや病気に苦しみながら、その後の人生を生きていかなければならなかったことを知り、私は言葉を失った。
戦争が終わっても、被害が終わるわけではない。
このことに気づいたとき、私はそれまで抱いていた戦争のイメージが、いかに表面的だったかを痛感した。
とはいえ、こうした重い事実は、読んでいて目をそむけたくなる場面もあった。
それでも、目をそらさずに読み進める価値が、この本にはあると思う。
私はこれまで、戦争や原爆の話を、どこか自分とは関係のないものとして受け止めていた。
しかし、この本を読んだ今は、そう単純には言い切れない。
戦争を体験していない私たちだからこそ、体験者の記憶を受け継ぎ、次の世代へつなげていく責任があるのではないだろうか。
もちろん、私一人にできることは大きくない。
それでも、この本で知ったことを忘れず、身近な人に伝えていくことなら、今の私にもできるはずだ。
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』は、私に、当たり前の毎日のとうとさと、記憶を受け継ぐことの意味を教えてくれた一冊だった。
書き出し例×5
①疑問から始めるパターン
もし、いつもと同じように電車に乗っているとき、突然原爆が落ちてきたら、私はどうするだろうか。
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』を読んで、私はそんなことを考えた。
この本には、十一歳の少年が、まさにそんな状況に巻きこまれた実話が描かれている。
ふだん何気なく利用している電車の中で、そんな出来事が起こりうるとは、想像したこともなかった。
だからこそ、この本の内容は、ひとごとではないと感じた。
②普段の生活との比較から始めるパターン
私は毎日、学校へ行ったり、友だちと話したり、家族と夕食を囲んだりしている。
この本を読むまでは、そんな毎日が当たり前に続いていくと思っていた。
しかし、『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』を読んで、その考えは大きくゆらいだ。
ふつうの日常は、決して保証されたものではないのだと知った。
この気づきが、感想文を書くきっかけになった。
③タイトルから始めるパターン
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』というタイトルを見たとき、私は「満員電車の中で原爆を浴びるとは、いったいどんな状況だったのだろう」と思った。
ふだん通学で使っている電車と、原爆という重いテーマが結びつかず、少し戸惑いながらページを開いた。
読み進めるうちに、その疑問は、想像をこえる衝撃に変わっていった。
④自分の経験と結びつけるパターン
私も、電車に乗って出かけることがある。
だからこそ、この本を読んで、普段何気なく乗っている電車の中で原爆を経験した人がいたことに、大きな衝撃を受けた。
自分の日常とかさなる場所だからこそ、本の中の出来事が、より身近に感じられた。
その距離の近さが、この感想文を書く原動力になっている。
⑤読後の強い印象から始めるパターン
この本を読み終えたとき、私は「戦争は昔の出来事だから、自分には関係ない」とは、もう思えなくなっていた。
そこには、私たちと同じように、ふつうの毎日を過ごしていた人たちの体験が描かれていたからだ。
読み終えたあとも、しばらく本を閉じることができなかった。
それほど、心に残る一冊だった。
題名の例×10
感想文の題名に迷ったときは、以下の表を参考にしてみてください。
| タイプ | 題名の例 |
|---|---|
| 原爆・戦争の恐ろしさ | 一瞬で奪われた日常 |
| 原爆・戦争の恐ろしさ | 原爆が奪ったもの |
| 原爆・戦争の恐ろしさ | 戦争の恐ろしさを知って |
| 原爆・戦争の恐ろしさ | あの日、電車の中で起きたこと |
| 平和や未来 | 当たり前の毎日を大切に |
| 平和や未来 | 平和な毎日を守るために |
| 平和や未来 | 戦争を知らない私たちにできること |
| 平和や未来 | 忘れてはいけない記憶 |
| 自分自身の変化 | 「昔の話」では終わらせない |
| 自分自身の変化 | この本を読んで、私が考えたこと |
振り返り
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた』の読書感想文について、あらすじの型から書き方、テンプレート、例文まで、一通りご紹介してきました。
重いテーマの小説だからこそ、何を書けばいいのか、最初は戸惑ってしまいますよね。
でも一方で、テーマが重い作品だからこそ、自分の言葉で書けたときの感想文は、きっと読み手の心に残るものになります。
①ふつうの日常が奪われたこと、②その後も続いた苦しみ、③記憶を受け継ぐこと。
この3つのポイントさえおさえれば、あとは穴埋め式テンプレートに、自分の気持ちを当てはめていくだけです。
難しく考えすぎなくて、大丈夫。
この記事を参考にすれば、あなたにも、きっと自分らしい読書感想文が書けるはずです。
ぜひ自信を持って、原稿用紙に向かってみてください。
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