『ライオンのおやつ』の読書感想文を書く予定の皆さん、こんにちは。
小川糸さんが描いた心温まる傑作『ライオンのおやつ』は、2019年にポプラ社から刊行され、第17回本屋大賞で第2位を受賞した素晴らしい作品です。
この小説は、余命宣告を受けた主人公・海野雫が瀬戸内の島にあるホスピス「ライオンの家」で過ごす最後の日々を描いた物語。
毎週日曜日に行われる「おやつの時間」を通じて、生きることの意味や人とのつながりの大切さを静かに教えてくれる名作ですね。
今回は読書が趣味で年間100冊以上の本を読む私が中学生・高校生の皆さんに読書感想文を書く際の書き方のポイントから、実際の例文まで詳しく解説していきますよ。
題名の付け方や書き出しのコツ、そして感想文作成に必要な情報をすべてお伝えします。
『ライオンのおやつ』の読書感想文で触れたい3つの要点
『ライオンのおやつ』の読書感想文を書く前に、必ず押さえておきたい3つの要点があります。
これらの要点についてどう感じたかをメモしておくことで、感想文の骨組みがしっかりと作れるでしょう。
まずは以下の3つの要点を確認してみてください。
- 「おやつ」が象徴する人生の記憶と愛情
- 主人公・雫の心の変化と人とのつながり
- 死を見つめることで見えてくる生きることの尊さ
これらの要点を読みながら、「自分だったらどう感じるだろう?」「この場面で何を考えただろう?」といった疑問を書き留めておくことが大切です。
感想文で一番重要なのは「あなた自身がどう感じたか」という部分。
物語の内容を説明するだけでは感想文になりませんからね。
それでは、3つの要点を詳しく見ていきましょう。
「おやつ」が象徴する人生の記憶と愛情
『ライオンのおやつ』で最も印象的なのが、毎週日曜日に行われる「おやつの時間」です。
入居者たちが「人生で最後にもう一度食べたい思い出のおやつ」をリクエストするこの時間は、単なる食事の時間ではありません。
それぞれのおやつには、家族との温かい記憶や大切な人への愛情が込められているんですね。
主人公の雫が最初はおやつを選べずにいる姿からも、食べ物と記憶がいかに深く結びついているかが分かります。
あなたにも思い出深いおやつや料理があるでしょう。
その味を思い出すとき、一緒に浮かんでくる人の顔や場面があるはずです。
『ライオンのおやつ』を読みながら、自分の記憶の中にある特別な食べ物について考えてみてください。
そして、なぜその食べ物が特別なのか、どんな気持ちになるのかをメモしておきましょう。
この要点について感想文で触れる際は、物語の描写と自分の体験を重ね合わせて書くと説得力のある文章になります。
主人公・雫の心の変化と人とのつながり
海野雫は幼い頃に両親を失い、一人で生きてきた女性です。
余命宣告を受けてライオンの家にやってきた当初は、他の人との関わりを避けがちでした。
しかし、マドンナやスタッフの皆さん、そして他の入居者たちとの交流を通じて、少しずつ心を開いていきます。
犬の六花との触れ合いや、タヒチとの会話など、小さなきっかけが雫の心を変えていく過程が丁寧に描かれています。
ここで注目してほしいのは、雫が「死を前にして初めて人とのつながりの温かさを知る」という点です。
あなたは友達や家族との関係をどう感じているでしょうか?
当たり前だと思っている日常の中にも、実は特別な瞬間がたくさんあるかもしれません。
雫の変化を読みながら、自分にとって大切な人たちとの関係について考えてみてください。
そして、人とのつながりがなぜ大切なのか、あなた自身の言葉で表現してみましょう。
この要点を感想文に取り入れる際は、雫の心境の変化に共感した部分や、自分の人間関係について気づいたことを書くと良いでしょう。
死を見つめることで見えてくる生きることの尊さ
『ライオンのおやつ』は死というテーマを扱いながらも、決して暗い物語ではありません。
むしろ、限られた時間の中で精一杯生きる人々の姿を通じて、生きることの美しさを教えてくれます。
雫や他の入居者たちが、それぞれの方法で死と向き合い、残された時間を大切に過ごす姿は感動的です。
死があるからこそ、今この瞬間の価値が分かるという深いメッセージが込められています。
中学生・高校生の皆さんにとって、死について考えることはまだ現実味がないかもしれません。
でも、『ライオンのおやつ』を読むことで、今の生活がいかに貴重で大切なものかを実感できるはずです。
毎日の学校生活、友達との時間、家族との会話。
これらすべてが、実はとても特別な瞬間なんですね。
この要点について感想文で書く際は、物語を読んで自分の日常をどう見直したか、どんな気持ちになったかを中心に書いてみてください。
説教臭くならないよう、素直な気持ちを表現することが大切です。
『ライオンのおやつ』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】最後の時間に気づいた大切なもの
私は『ライオンのおやつ』を読んで、普段当たり前だと思っている日常がどれほど貴重なものかを深く考えさせられた。
この物語の主人公である海野雫は、余命宣告を受けてホスピス「ライオンの家」で最後の時間を過ごすことになる。
最初に印象に残ったのは、毎週日曜日に行われる「おやつの時間」だった。
入居者が人生で最後にもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストするこの時間を通じて、食べ物がただの栄養ではなく、大切な記憶や愛情と深く結びついていることを知った。
私にも祖母が作ってくれた手作りのクッキーの思い出がある。
思い出すと甘い香りと一緒に、祖母の優しい笑顔や温かい言葉が蘇ってくる。
また、小さいころ、父と一緒に神社のおまつりで食べたリンゴ飴も忘れられない思い出だ。
だからこそ雫がなかなかおやつを決められずにいる気持ちがよく分かった。
きっと彼女にとって特別な食べ物を選ぶことは、自分の人生を振り返ることと同じだったのだろう。
物語の中で最も心に残ったのは、雫の心の変化だった。
幼い頃に両親を失い、一人で生きてきた彼女が、ライオンの家の人々との交流を通じて少しずつ心を開いていく過程が丁寧に描かれている。
マドンナの温かい言葉や、犬の六花との触れ合い、タヒチとの何気ない会話など、小さなきっかけが雫を変えていく。
私も時々、一人でいることが楽だと思うことがある。
でも雫の姿を見て、人とのつながりがいかに大切かを改めて感じた。
友達との他愛もない会話や、家族との食事の時間も、実はとても特別な瞬間なのだと気づかされた。
この小説を読んで一番考えさせられたのは、死というテーマについてだった。
私ははまだ中学生という年齢のせいか、死について考えることは今まであまりなかったが、想像すると恐ろしいイメージばかりがつきまとう。
でも『ライオンのおやつ』は、死を恐ろしいものとして描くのではなく、限られた時間の中で精一杯生きることの美しさを教えてくれた気がする。
雫や他の入居者たちが、それぞれの方法で残された時間を大切に過ごす姿は、読んでいて胸が熱くなった。
私はまだ中学生で、これから長い人生が待っている。
でもだからこそ、今この瞬間を大切にしなければいけないと思った。
毎日の学校生活、友達とのふざけ合い、家族との何気ない会話。
これらすべてが、実はとても貴重で特別な時間なのだ。
物語の最後で、雫が静かに旅立っていく場面は涙なしには読めなかった。
でも不思議と悲しい気持ちだけではなく、温かい気持ちにもなった。
それは雫が最後まで人とのつながりの中で生きることができたからだろう。
『ライオンのおやつ』を読んで、私は自分の生活を見直すきっかけをもらった。
友達や家族との時間をもっと大切にしたいと思ったし、毎日の小さな幸せにも気づけるようになりたいと思った。
この本は、生きることの意味を静かに教えてくれる素晴らしい作品だった。
『ライオンのおやつ』の読書感想文の例文(2000字の高校生向け)
【題名】生きることの輝きを見つめて
『ライオンのおやつ』を読み終えたとき、私の心には複雑な感情が渦巻いていた。
悲しみもあったが、それ以上に温かな感動と、生きることへの新たな視点を得られた喜びがあった。
小川糸さんが描くこの物語は、余命宣告を受けた主人公・海野雫がホスピス「ライオンの家」で過ごす最後の日々を通じて、人生の本当に大切なものは何かを問いかけてくる。
最初に強く印象に残ったのは、毎週日曜日に行われる「おやつの時間」という設定だった。
入居者が人生で最後にもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストし、それをみんなで味わうという時間は、単なる食事以上の深い意味を持っている。
おやつそれぞれに込められた記憶や愛情、そして人生の重みを感じ取ることができた。
私にも特別な思い出と結びついた食べ物がある。
母が作ってくれるハンバーグの味は、幼い頃の安心感や家族の愛情と切り離せない。
雫がなかなかおやつを選べずにいる心境を読みながら、自分だったら何を選ぶだろうかと真剣に考えた。
食べ物と記憶がこれほど深く結びついているのは、それが生きることそのものと直結しているからなのだろう。
この小説で最も心を動かされたのは、雫の内面の変化だった。
幼い頃に両親を失い、その後は叔父に育てられたものの、基本的には一人で生きてきた彼女が、ライオンの家での生活を通じて人とのつながりの温かさに触れていく過程が繊細に描かれている。
マドンナの包み込むような優しさ、犬の六花の無邪気な愛情、タヒチの素朴な親切心など、小さな触れ合いの積み重ねが雫の心を少しずつ溶かしていく。
私は高校生になってから、友人関係で悩むことが増えた。
相手にどう思われているか気になったり、本当の自分を出せなかったりすることがある。
でも雫の姿を見て、人とのつながりは完璧である必要はないのだと気づかされた。
不完全でも、ぎこちなくても、そこに心からの思いやりがあれば十分なのだ。
雫が徐々に心を開いていく様子を読みながら、私も自分の殻を破る勇気をもらった気がした。
この物語が扱う「死」というテーマについても深く考えさせられた。
高校生の私にとって、死はまだ遠い未来のことのように感じられる。
でも『ライオンのおやつ』は、死を恐ろしいものや悲しいものとしてだけ描くのではなく、死があるからこそ生きることの価値が輝くのだということを教えてくれた。
雫や他の入居者たちが、限られた時間の中で精一杯生きようとする姿は美しく、読んでいて胸が熱くなった。
特に印象深かったのは、雫が最終的にミルクレープをリクエストする場面だった。
亡き父への愛情が込められたそのおやつを通じて、雫は自分の人生と向き合い、大切な人たちとの絆を確認することができた。
この場面を読みながら、私は自分の家族との関係について改めて考えた。
毎日顔を合わせているからこそ、つい当たり前に思ってしまう家族の存在。
でも実は、今この瞬間に一緒にいられることがどれほど貴重なことかを、この小説は教えてくれた。
物語の中で描かれる人々の死に対する向き合い方も印象的だった。
恐怖や絶望に支配されるのではなく、残された時間をいかに意味のあるものにするかを考え、実践していく姿勢に感動した。
これは死を前にした人だけでなく、すべての人に通じる生き方の指針だと思う。
私たちは皆、限られた時間の中で生きている。
その事実を受け入れたとき、今日という日、今この瞬間がいかに貴重かが見えてくる。
『ライオンのおやつ』を読んで、私は自分の日常を見直すきっかけを得た。
友達との何気ない会話、家族との食事の時間、好きな本を読む静かな時間。
これらすべてが、実は特別で輝かしい瞬間なのだと実感した。
また、この小説は孤独について考える機会も与えてくれた。
雫のように一人で生きてきた経験はないが、時々感じる心の寂しさや孤独感について、新たな視点を得ることができた。
真の孤独とは物理的に一人でいることではなく、心のつながりを持てないことなのだと気づいた。
逆に言えば、一人でいても心でつながれる人がいれば、それは孤独ではないのだろう。
物語の終盤で、雫が穏やかに旅立っていく場面は涙なしには読めなかった。
でも不思議と絶望的な悲しみではなく、温かく美しい気持ちで読み終えることができた。
それは雫が最後まで愛する人々に囲まれ、自分らしく生きることができたからだと思う。
『ライオンのおやつ』は、生と死という重いテーマを扱いながらも、読後に希望と温かさを残してくれる素晴らしい作品だった。
この小説を読んだことで、私は日々の生活に対する感謝の気持ちが深まったし、大切な人たちとの時間をより大切にしようと思うようになった。
また、自分が死ぬときに何を思うだろうか、どんな思い出を振り返るだろうかということも考えるようになった。
そう考えると、今をもっと丁寧に、心を込めて生きたいという気持ちが強くなる。
この本は、生きることの意味と美しさを静かに、しかし力強く教えてくれる名作だと思う。
振り返り
『ライオンのおやつ』の読書感想文の書き方について、3つの要点から具体的な例文まで詳しく解説してきました。
この記事で紹介した要点を参考にしながら、あなた自身が物語を読んでどう感じたかを大切に書いてみてください。
中学生の皆さんは1200字、高校生の皆さんは2000字の例文を参考にしながら、自分らしい感想文を作り上げてくださいね。
大切なのは、物語の内容を説明することではなく、あなたがどう感じ、どう考えたかを素直に表現することです。
『ライオンのおやつ』という素晴らしい作品と向き合ったあなたなら、きっと心に響く感想文が書けるでしょう。
頑張って書き上げてくださいね。
※『ライオンのおやつ』のあらすじはこちらの記事にまとめています。

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