『宙わたる教室』のあらすじ【原作本・小説】ネタバレなし!

『宙わたる教室』のあらすじ あらすじ

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『宙わたる教室』のあらすじを詳しく解説していきますね。

この原作小説は伊与原新さんによる感動的な青春群像劇で、2023年に文藝春秋から刊行されました。

定時制高校を舞台に、さまざまな背景を持つ生徒たちが科学部で「火星のクレーター再現実験」に挑戦する本作品は、第70回青少年読書感想文全国コンクール課題図書にも選ばれています。

年間100冊以上の本を読む私が、読書感想文を書く予定の皆さんのお役に立てるよう、ネタバレなしでじっくりと解説していきますよ。

この記事では、簡単なあらすじから詳しいストーリー、登場人物の紹介まで幅広くカバーしているので、小説の理解が深まること間違いなしです。

当記事で扱うのは原作(本・小説)のあらすじでありNHKドラマのあらすじは除外しています。

伊与原新『宙わたる教室』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)

東京都立東新宿高校の定時制課程には、ディスレクシアに悩む21歳の柳田岳人、子ども時代に学校に通えなかったフィリピン系ハーフの越川アンジェラ、起立性調節障害で不登校だった名取佳純、70代で学び直しをする長嶺省造など、それぞれ異なる事情を抱えた生徒たちが通っていた。彼らはある日、理科教師・藤竹の指導のもとで科学部を結成し、「火星のクレーター再現実験」という壮大なプロジェクトに挑戦することになる。

伊与原新『宙わたる教室』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)

東京都新宿区にある定時制高校が物語の舞台。主人公の柳田岳人は21歳で、ディスレクシア(読み書き障害)という学習障害を抱えながらも数学は得意だった。中学時代にまともに通えず、劣等感と挫折を背負いながら定時制高校に通っている。そんな彼が出会ったのは、43歳のフィリピン系ハーフ・越川アンジェラ、起立性調節障害で不登校になった1年生の名取佳純、中学卒業後すぐに集団就職した70代の長嶺省造といった、多様な年齢と背景を持つ仲間たちだった。理科教師・藤竹の呼びかけで科学部を結成した彼らは、実験室の中に「火星のクレーター」を再現するという壮大な科学実験に取り組むことになる。実験は何度も失敗を重ね、それぞれが抱える過去のトラウマや困難とも向き合いながら、仲間との絆を深めていく。科学という共通の目標に向かって努力する中で、生徒たちは自己肯定感を取り戻し、新たな可能性を見出す姿が描かれる。

『宙わたる教室』のあらすじを理解するための用語解説

『宙わたる教室』をより深く理解するために、重要な用語を整理しておきましょう。

用語 説明
定時制高校 昼間に通えない人のために夕方から夜に授業を行う高校。
さまざまな事情を抱えた生徒が学び直しに通う場所です。
ディスレクシア 読み書きに困難がある学習障害の一種。
主人公・柳田岳人が抱える困難で、
文字の読み書きが難しい特性を指します。
火星のクレーター再現実験 科学部で挑戦する大きなプロジェクト。
火星の地形を研究し、
科学の楽しさと挑戦の過程を象徴しています。
起立性調節障害 自律神経の異常により立ちくらみや
朝起きられないなどの症状が出る疾患。
名取佳純が不登校になった原因の一つです。
集団就職 高度経済成長期に中学・高校卒業者が
集団で都市部に就職した制度。
長嶺省造が体験した時代背景を理解する鍵となります。

これらの用語を押さえておくと、登場人物の背景や物語の展開がより理解しやすくなりますよ。

『宙わたる教室』を読んだ私の感想

『宙わたる教室』を読み終えた時、私の心はホカホカの温かい感動でいっぱいになりました。

この小説のすごいところって、出てくる人たちがみんなすごく「いるいる!」って感じのリアリティがあるのに、それぞれが全然違う個性を持っているところだと思うんです。

21歳で字を読むのが苦手な岳人くんから、70代の長嶺さんまで、年齢も背景もバラバラな人たちが同じ教室で学ぶって、最初は「え、そんなことある?」ってちょっとビックリしたんですけど、読み進めるうちに「あ、これが本当の定時制高校なんだな」って、妙に納得しちゃいました。

特に岳人くんの描写は、胸にグッときましたね。文字を読むのは大変だけど、数学はめちゃくちゃ得意っていう設定が、なんかこう、「字が読めない=頭が悪い」っていう決めつけは全然違うんだよ!って教えてくれるようで。世の中の偏見を爽快にぶっ壊してくれる感じが、すごくスカッとしました。

アンジェラさんの人生経験の豊かさも印象的でした。43歳でまた高校生として学び直すって、本当にすごいことですよね。「学ぶことに年齢なんて関係ないんだな」って、改めて教えてもらえた気がします。フィリピン料理屋さんを切り盛りしながら勉強する彼女の姿には、もう頭が下がりっぱなしでしたよ。

そしてそして、藤竹先生!もう、最高! 生徒一人ひとりの個性や悩みをちゃんと理解して、その子の良いところをぐんぐん引き出そうとする姿勢は、まさに理想の先生って感じでした。「自動的にはわからない」っていう先生の言葉は、学びの本質をズバッと言い当ててる、まさに名言だと思います。

火星のクレーター再現実験の場面も、すごく面白かったです。理系出身の伊与原さんらしい、科学的な説明がすごく丁寧で分かりやすいから、私みたいな理系苦手な人間でも「へぇ~、科学って面白いんだ!」って素直に思えました。実験がうまくいかなくて、みんなで試行錯誤する場面なんて、こっちまでハラハラドキドキしちゃいましたもん。

正直なところ、物語の展開がちょっと「都合良すぎない?」って感じる部分も正直ありました(笑)。現実って、もっとドロドロしてたり、もっと簡単にいかないことばかりじゃないですか。でも、それでもこの作品がくれる「希望と励ましのメッセージ」は、揺るぎないんですよね。

最後のみんなで学会発表する場面は、もう感動で涙腺がウルウルきちゃいました。みんなが力を合わせて一つの目標に向かっていく姿って、青春小説の醍醐味ですよね!

この小説は、何か壁にぶつかってたり、ちょっと自信をなくしちゃってる人に、大きなエールを送ってくれる作品だと思います。

年齢とか、これまでどんな人生を送ってきたかとか、全然関係なく、人はいつからだって変われるし、成長できるんだっていうメッセージが、私の心に深く響きました。読み終えた後、すごく前向きな気持ちになれる、本当に素敵な一冊でした!

※『宙わたる教室』の読書感想文の書き方と例はこちらに掲載しています。

『宙わたる教室』の読書感想文の書き方と例【中高生向け】
『宙わたる教室』読書感想文の例を中学生・高校生別に紹介。書き方のコツや題名のつけ方も解説。コピペに頼らず自分らしい感想文を書く準備を始めましょう。

『宙わたる教室』の作品情報

項目 内容
作者 伊与原新
出版年 2023年
出版社 文藝春秋
受賞歴 第70回青少年読書感想文全国コンクール
課題図書(高等学校の部)
ジャンル 青春小説・群像劇・科学小説
主な舞台 東京都立東新宿高校定時制課程
時代背景 現代
主なテーマ 学び直し・挑戦・多様性・成長・科学の楽しさ
物語の特徴 多視点での群像劇・実話ベース・感動的な青春ドラマ
対象年齢 高校生以上(特に高校生におすすめ)

『宙わたる教室』の主要な登場人物と簡単な説明

『宙わたる教室』の核となる登場人物たちを紹介しますね。

人物名 紹介
柳田岳人 21歳の主人公。
ディスレクシア(読み書き障害)を抱えながらも数学は得意。
過去の挫折を背負いながら定時制高校で成長を遂げる。
藤竹叶 定時制高校の理科教師で科学部の顧問。
生徒たちの個性や困難に寄り添い、
学びの場を提供する重要な存在。
越川アンジェラ 43歳のフィリピン系ハーフ。
子どもの頃は学校に通えなかった経験があり、
フィリピン料理店を営みながら学び直している。
名取佳純 1年生。
起立性調節障害のため不登校になり、定時制高校に通う。
SF小説好きという一面も持つ。
長嶺省造 70代の生徒。
中学卒業後すぐに集団就職したが、今になって学び直しを希望し定時制高校に入学。
庄司麻衣 2年生。
学校とキャバクラでの仕事を両立しながら娘を育てている。
池本マリ 2年生でアンジェラの友人。
中学生時代にいじめられて問題を起こした過去がある。

それぞれが異なる背景を持ちながら、科学部での活動を通して成長していく姿が丁寧に描かれています。

『宙わたる教室』の読了時間の目安

『宙わたる教室』の読書にかかる時間を計算してみました。

項目 詳細
ページ数 288ページ
推定文字数 約172,800文字
(1ページ600文字で計算)
読了時間 約5時間46分(1分間500文字で計算)
読書ペース 1日1時間読書なら6日程度で読了可能

比較的読みやすい文体で書かれているので、高校生でもスムーズに読み進められると思います。

感動的なシーンが多いので、一気に読んでしまう人も多いでしょうね。

『宙わたる教室』はどんな人向けの小説か?

『宙わたる教室』がどんな読者に向いているか考えてみました。

  • 学び直しや再挑戦に興味がある人 – 年齢に関係なく挑戦することの大切さを教えてくれます
  • 多様性や包容性について考えたい人 – さまざまな背景を持つ人々が支え合う姿が描かれています
  • 感動的な青春群像劇が好きな人 – 仲間と一緒に目標に向かって頑張る姿に心を打たれるでしょう

逆に、劇的な展開やスリリングなストーリーを求める人には物足りないかもしれません。

この作品は静かで丁寧な描写が特徴なので、じっくりと読書を楽しみたい人におすすめですね。

あの本が好きなら『宙わたる教室』も好きかも?似ている小説3選

『宙わたる教室』と似た魅力を持つ小説を紹介しますよ。

定時制高校や学び直し、多様な背景を持つ人々の成長を描いた作品を中心に選んでみました。

重松清『空より高く』

地方の定時制高校を舞台にした青春群像劇です。

年齢や背景が異なる生徒たちが悩みや苦しみを抱えながらも、友情や成長を遂げていく物語。

昼は働き夜は学ぶという”普通ではない”青春の中で、自分を見直し人生に向き合っていく姿が温かな視線で描かれています。

定時制高校・再挑戦・多様な背景という点で『宙わたる教室』と非常に近いテーマを持ちますね。

加藤シゲアキ『オルタネート』

架空のSNSアプリを題材に、さまざまな悩みや壁を抱える高校生たちの成長を描いた作品です。

人とのつながり、自己発見、夢への挑戦を重ねていく青春小説として読みごたえがあります。

複雑な背景や問題を持つ登場人物同士が友情や信頼を築く姿は、『宙わたる教室』の魅力と重なる部分が多いですよ。

「自分と向き合う」「挑戦」「多様な仲間」という共通点があります。

灰谷健次郎『兎の眼』

新任女性教師と心を閉ざす少年との交流を描いた名作です。

学校という場での教育・成長の意味、背景にある家庭や社会の問題を丁寧に描いています。

教科外活動を通して学び直しや再生を描く点や、多様な生徒たちのドラマ性など、『宙わたる教室』の魅力と重なる部分が多くありますね。

教育の本質について考えさせられる作品です。

振り返り

『宙わたる教室』のあらすじから感想まで、詳しく解説してきました。

この小説は、定時制高校という舞台で多様な背景を持つ生徒たちが科学部の活動を通して成長していく感動的な物語でしたね。

ディスレクシアを抱える主人公・岳人をはじめ、それぞれが困難を乗り越えて挑戦する姿は、読者に大きな勇気と希望を与えてくれます。

読書感想文を書く際は、登場人物の成長過程や科学実験への取り組み、多様性の大切さなどに焦点を当てると良い文章が書けると思いますよ。

この記事が皆さんの読書体験や感想文作成のお役に立てれば嬉しいです。

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