今回は『ぼくはうそをついた』のあらすじを簡単に短く、そして詳しく解説していきますよ。
この本は西村すぐりさんが書いた児童文学で、2024年の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書にも選ばれている注目の作品です。
広島を舞台に、小学5年生の男の子が戦争の記憶と向き合いながら成長していく物語で、平和への祈りと希望がテーマになっています。
年間100冊以上の本を読む私が、この『ぼくはうそをついた』を実際に読んで感じた魅力や感想を、ネタバレなしで分かりやすくお伝えしていきますね。
読書感想文を書く際の参考になるよう、短くて簡単なあらすじから詳しいあらすじまで丁寧に解説していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
西村すぐり『ぼくはうそをついた』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)
西村すぐり『ぼくはうそをついた』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)
広島に住む小学5年生のリョウタは、家族と一緒に原爆資料館を訪れる平和学習に参加していた。戦争の恐ろしさは理解していたものの、それはどこか遠い昔のことのように感じていた。
しかし、ある日祖父のシゲルから、自分の兄で戦争で原爆の犠牲となった「ミノル」の話を聞かされる。リョウタは初めて戦争を身近なこととして受け止め、大おじ・ミノルの足跡をたどってみたいと強く思うようになった。
一方、小学6年生でバレーボール部のキャプテンであるレイは、曾祖母のタヅおばあちゃんと一緒に暮らしている。タヅは原爆で息子のショウタを亡くし、年老いた今もなお我が子を探し続けていた。周囲の人々からは変人扱いされることもあるタヅを、レイは必死に守ろうとしている。
レイの悩みや苦しみを知ったリョウタは、タヅおばあちゃんやレイの心を少しでも軽くしてあげたいと考え、「誰かを守るためのうそ」をつくことを決意する。それはやさしさから生まれた特別な”うそ”だったが、その後、リョウタ自身や周囲の人々にさまざまな影響を与えていくことになる。
『ぼくはうそをついた』はどんな話?
- 広島の原爆という歴史的背景を舞台にしている
- 小学5年生の少年リョウタと6年生の少女レイを主人公にした二重視点の物語
- 戦争の悲惨さや命の尊さを子どもの目線で繊細に描いている
- 「やさしい嘘」をテーマにして、人を思いやる心の葛藤を掘り下げている
- 失われた命や家族の絆、世代を超えた平和の祈りが核心テーマ
- 戦後も続く原爆の傷と人々の心の痛みを描写
- 児童文学ながら大人にも深い感動を与える作品
『ぼくはうそをついた』のあらすじを理解するための用語解説
『ぼくはうそをついた』を深く理解するために、重要な用語をまとめてみました。
これらの言葉の意味を知っておくと、より物語に入り込めますよ。
用語 | 説明 |
---|---|
広島と原爆 | 1945年8月6日に原子爆弾が投下された場所。 多くの命が奪われた歴史的な出来事で、 物語の重要な背景となっている。 |
戦争の記憶と継承 | 戦争体験を次の世代に伝えることが 作品の大きなテーマ。 親や祖父母から聞く体験談で 子どもたちが平和について考える。 |
優しい嘘 | 相手を思いやるためにつく嘘のこと。 単なるごまかしではなく 相手の心の傷を癒すための思いやりの表現。 |
遺品袋 | 戦争や原爆の犠牲者の持ち物を納める袋。 命や思い出、家族のつながりを象徴する大切なもの。 |
勤労奉仕 | 公の利益や社会のために報酬を受けずに働くこと。 戦時中においては労働力不足を補うため 学生が軍需産業や農業などに動員されることを指す。 |
これらの用語は物語全体を通して重要な意味を持っていますので、覚えておくと理解が深まります。
『ぼくはうそをついた』を読んだ私の感想
タイトルを見た時は「子供がうそをつく話?」と軽く考えていたのですが、読み進めるうちに、これは単純な嘘の話ではないことが分かってきたんです。
主人公のリョウタが最初に祖父から戦争の話を聞く場面では、正直「よくある戦争の話かな」と思っていました。
でも、リョウタが原爆で亡くなった大おじ・ミノルの存在を知り、それまで「遠い昔のこと」だった戦争が急に身近なものとして感じられるようになる描写は、本当にリアルで心に響きましたね。
特に印象的だったのは、レイとタヅおばあちゃんの関係です。
原爆で息子を亡くしたタヅおばあちゃんが、年老いてもなお我が子を探し続けている姿には、読んでいて胸が締め付けられました。
そして、そんなおばあちゃんを必死に守ろうとするレイの健気さ。
レイが髪を切る場面では、その決意の強さに思わず涙が出そうになりましたよ。
この作品で一番すごいと感じたのは、リョウタが「やさしいうそ」をつく場面です。
私たちは普段「うそをつくのは悪いこと」と教えられて育ちますが、この物語では相手を思いやるための嘘が描かれています。
リョウタがタヅおばあちゃんの息子のふりをして寄り添う場面は、読んでいて本当に感動しました。
これは単なる嘘ではなく、相手の痛みを和らげようとする純粋な愛情表現なんですよね。
ただし、この「やさしいうそ」が周囲に与える影響についても、作者は丁寧に描いています。
良かれと思ってついた嘘でも、それが様々な波紋を呼ぶことがある。
その複雑さも含めて、この作品は深く考えさせられる内容になっています。
文章は小学生にも読みやすく書かれていますが、大人が読んでも十分に感動できる内容です。
特に家族の絆や命の大切さについて改めて考えさせられました。
戦争の記憶を次世代に伝えることの大切さも、この物語を通して強く感じましたね。
一つ気になった点を挙げるとすれば、現代パートの展開が少し唐突に感じる部分がありました。
でも、それを差し引いても、この『ぼくはうそをついた』は心に残る素晴らしい作品だと思います。
読み終わった後、きっと皆さんも「やさしさ」について深く考えることになるはずですよ。
※『ぼくはうそをついた』の読書感想文の書き方と例文はこちらにまとめています。

『ぼくはうそをついた』の作品情報
項目 | 内容 |
---|---|
作者 | 西村すぐり(作)・中島花野(絵) |
出版年 | 2023年6月 |
出版社 | ポプラ社 |
受賞歴 | 2024年第70回 青少年読書感想文全国コンクール課題図書 |
ジャンル | 児童文学・フィクション |
主な舞台 | 広島 |
時代背景 | 現代と第二次世界大戦時 |
主なテーマ | 平和への祈りと希望・家族の絆・命の大切さ |
物語の特徴 | 戦争体験の継承・やさしいうその意味 |
対象年齢 | 小学校高学年(小学3年~6年)を中心に 中高生や大人まで |
青空文庫の収録 | 収録されていません |
『ぼくはうそをついた』の主要な登場人物とその簡単な説明
この物語を理解するために、主要な登場人物をまとめてみました。
それぞれのキャラクターが物語にどのように関わっているか見てみましょう。
人物名 | 紹介 |
---|---|
リョウタ | 広島に住む小学5年生で主人公。 平和学習をきっかけに 原爆の悲劇を身近に感じるようになる。 |
レイ | 小学6年生でリョウタの先輩。 バレーボール部のキャプテンで、 曾祖母タヅを支えたいと強く思っている。 |
タヅさん | レイの曾祖母。 戦争で息子ショウタを亡くし 年老いても息子を探し続けている。 |
シゲルじいちゃん | リョウタの祖父。 原爆で亡くなった兄ミノルの話を リョウタに語る重要な人物。 |
ミノル | シゲルじいちゃんの兄。 原爆投下時に勤労奉仕中 中学生で命を落とした。 |
ショウタ | タヅさんの息子。 戦争で命を落とし 物語には直接登場しないが重要な存在。 |
ミドリ先生 | 戦時中にシゲルが通っていた学校の先生。 17歳で代用教員となり 原爆で被害を受けながらも子どもたちのために尽くした。 |
これらの登場人物たちが織り成すドラマが、『ぼくはうそをついた』の魅力の一つです。
『ぼくはうそをついた』の読了時間の目安
読書感想文を書く皆さんにとって、どのくらいの時間で読めるかは気になるところですよね。
こちらの表で読了時間の目安をチェックしてみてください。
項目 | 詳細 |
---|---|
総ページ数 | 174ページ |
文字数(推定) | 約104,400文字 |
読了時間の目安 | 約3時間30分 |
1日の読書時間別 | 30分/日なら約7日 1時間/日なら約3~4日 |
『ぼくはうそをついた』は児童文学として書かれているので、漢字にはふりがなが付いていて読みやすいです。
1日1時間程度の読書時間があれば、3~4日で読み終えることができますよ。
『ぼくはうそをついた』はどんな人向けの小説か?
この『ぼくはうそをついた』は、特に以下のような人におすすめしたい作品です。
- 戦争や平和について考えたい小学生・中学生の皆さん
- 家族の絆や命の大切さについて深く考えたい人
- やさしさや思いやりの本当の意味を知りたい人
主人公が小学5年生なので、同世代の読者は特に共感しやすいでしょう。
また、親子で一緒に読んで、読後に戦争や平和について話し合うのにも適した内容です。
逆に、アクション満載の冒険小説や恋愛小説を期待している人には、少し物足りないかもしれません。
でも、心の成長や人と人とのつながりを描いた物語が好きな人なら、きっと満足できる作品ですよ。
あの本が好きなら『ぼくはうそをついた』も好きかも?似ている小説3選
『ぼくはうそをついた』と似たテーマや雰囲気を持つ作品を3つご紹介しますね。
この本が気に入った皆さんなら、きっと以下の作品も楽しめるはずです。
『火垂るの墓』野坂昭如
太平洋戦争末期を舞台に、空襲で家族を失った兄妹の物語です。
少年の視点から戦争の理不尽さと家族愛を描いている点で、『ぼくはうそをついた』と共通しています。
戦争が子どもたちに与える影響を真摯に描いた名作で、命の大切さについて深く考えさせられます。

『パンプキン! 模擬原爆の夏』令丈ヒロ子
現代の少年が戦争中の「模擬原爆」投下の歴史を知り、平和について考え始める物語です。
現代と過去が交差する構成や、少年の視点から戦争を見つめる姿勢が『ぼくはうそをついた』と似ています。
広島・長崎の原爆投下前に行われた模擬原爆という、あまり知られていない歴史も学べる作品です。
『少年たちの戦場』那須正幹
明治維新から第二次世界大戦までの戦場で翻弄される日本の少年たちを描いた児童文学です。
戦争に巻き込まれる子どもたちの心の葛藤や成長を等身大の視点で描いている点で、『ぼくはうそをついた』と共通するテーマを持っています。
リアルな歴史描写と心理描写が印象的な作品です。
振り返り
『ぼくはうそをついた』は、単なる戦争小説ではなく、現代の子どもたちが戦争の記憶と向き合いながら成長していく物語です。
リョウタの「やさしいうそ」を通して、思いやりの本当の意味や家族の絆について深く考えさせられる作品でした。
読書感想文を書く際には、主人公の心の変化や「うそ」の意味について、自分なりの考えをまとめてみてください。
きっと皆さんにとっても、心に残る一冊になるはずです。
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