『オン・ザ・ライン』の読書感想文の書き方について詳しくお話ししていきます。
朽木祥さんによる青春小説『オン・ザ・ライン』は、テニスを通して友情や挫折、そして再生を描いた感動的な作品です。
2012年に青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選ばれた名作でもありますね。
今回は読書が趣味で年間100冊以上の本を読む私が、読書感想文を書く予定の学生の皆さんのために、書き方のコツから例文まで、テンプレートも含めて丁寧に解説していきます。
コピペではなく、皆さん自身の言葉で素晴らしい読書感想文が書けるよう全力でサポートしますね。
書き出しから題名の付け方まで、具体的な方法をお伝えしていきましょう。
『オン・ザ・ライン』の読書感想文で触れたい3つの要点
『オン・ザ・ライン』で読書感想文を書く際には、特に注目してほしい3つの要点があります。
これらのポイントに焦点を当てることで、単なるあらすじの説明ではなく、深みのある感想文が書けるようになりますよ。
- 主人公・侃の二面性(体育会系と文学少年)
- 事故による挫折と心の変化
- 友情の力と再生への道のり
これらの要点について読んでいる最中に「どう感じたか」をメモしておくことをおすすめします。
メモの取り方は簡単です。
気になる場面や心に響いた言葉があったら、付箋に「ここで悲しくなった」「侃の気持ちがよくわかる」といった短い感想を書いて貼っておきましょう。
なぜ「どう感じたか」が重要なのかというと、読書感想文は「感想」がメインだからです。
物語の内容を説明するだけでなく、あなた自身がどんな気持ちになったかを伝えることで、読み手に響く文章になるんですね。
主人公・侃の二面性
主人公の日高侃は、とても興味深いキャラクターです。
テニス部でエースとして活躍する体育会系の一面を持ちながら、同時に「活字中毒」と呼ばれるほど文学を愛する繊細な心の持ち主でもあります。
この二面性こそが、『オン・ザ・ライン』を単なるスポーツ小説ではない、奥深い作品にしている要因なんです。
私たちも実際には、学校での顔、部活での顔、家での顔など、いろいろな顔を持っていますよね。
侃のように「意外な一面」を持つ人物に共感できるかどうか、そしてその二面性がどんな風に物語に影響していくかに注目してみてください。
読書感想文では、侃のどちらの面により親近感を覚えたか、なぜそう感じたかを書いてみると良いでしょう。
事故による挫折と心の変化
物語の大きな転換点は、侃をかばった親友の羽鳥貴之が交通事故に遭い、テニスを続けることが困難になるところですね。
侃は自分を責め、テニスも学校もやめてしまうほど深く傷つきます。
この部分を読んでいて、あなたはどんな気持ちになったでしょうか。
「もし自分だったらどうするだろう」と考えたかもしれません。
「侃の気持ちがよくわかる」と感じたかもしれませんね。
挫折の描写がリアルで、読んでいて胸が苦しくなる人も多いでしょう。
読書感想文では、この挫折の場面であなたが何を感じたか、そして日常生活での似たような経験と重ね合わせて書いてみると説得力が増します。
友情の力と再生への道のり
絶望の底にいた侃を救ったのは、周りの人々の温かさと、特に友情の力でした。
瀬戸内海の祖父の島での療養生活で、侃は少しずつ心を回復していきます。
認知症の祖父の言葉「人間は、自分で自分が赦せなくて苦しむんだ」という深いメッセージも印象的です。
そして何より、事故にあった貴之自身が侃を責めることなく、むしろ心配してくれる姿に感動した人も多いのではないでしょうか。
この友情の描写は、真の友達とはどういうものかを教えてくれます。
読書感想文では、この友情の場面で何を学んだか、あなた自身の友人関係と比べてどう感じたかを書いてみましょう。
また、侃が立ち直っていく過程で最も印象に残った場面について、具体的に感想を述べると良い文章になりますよ。
※『オン・ザ・ライン』の小説のあらすじはこちらで簡単にご紹介しています。

『オン・ザ・ライン』の読書感想文のテンプレート
ここからは『オン・ザ・ライン』の読書感想文が楽に書けるテンプレートをご紹介します。
このテンプレートに沿って空欄を埋めていけば、しっかりとした構成の感想文が完成しますよ。
ステップ1:書き出し(本との出会い)
朽木祥さんの『オン・ザ・ライン』は、( )をテーマにした青春小説である。
私がこの本を選んだ理由は( )だからだ。
読み始めてすぐに、主人公の侃に( )を感じた。
ステップ2:印象に残った場面(3つの要点から選択)
最も印象に残ったのは( )の場面である。
この場面で私は( )と感じた。
なぜならば( )だからである。
特に(具体的な台詞や描写)という部分は、( )と思った。
ステップ3:自分の体験との関連付け
この物語を読んで、私は自分の( )を思い出した。
(具体的なエピソード)という経験があったからこそ、侃の気持ちが( )。
私も侃と同じように( )を感じたことがある。
ステップ4:学んだことや気づき
『オン・ザ・ライン』を読んで、私は( )ということを学んだ。
特に( )については、これまでとは違う見方ができるようになった。
友情について言えば、( )が大切だと気づかされた。
ステップ5:まとめ(今後への決意)
この作品は、私に( )を教えてくれた。
今後、困難に直面した時には、侃のように( )していきたい。
『オン・ザ・ライン』は、私の( )に大きな影響を与える一冊となった。
『オン・ザ・ライン』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】友情の本当の意味
朽木祥さんの『オン・ザ・ライン』は、テニスに青春をかける高校生たちの物語だが、単なるスポーツ小説ではない。
人間の心の奥深くを描いた、とても感動的な作品だった。
主人公の侃は、テニス部のエースでありながら、文学を愛する「活字中毒」でもある。
この二面性が私にはとても新鮮だった。
私の周りにも、運動が得意なのに実は絵を描くのが好きだったり、おとなしそうに見えて実はお笑いが大好きだったりする友達がいる。
人は一つの顔だけでは語れないということを、侃を通して改めて実感した。
物語が大きく動くのは、事故のシーンだ。
侃をかばった親友の貴之が事故に遭い、重傷を負ってしまう
このシーンを読んだ時、私は胸が苦しくなった。
自分の大切な友達を傷つけてしまったらと想像すると、侃の絶望がよくわかる。
私も部活で友達に怪我をさせてしまったことがあるので、その時の申し訳ない気持ちや、どうしていいかわからない混乱を思い出した。
侃が「全部、俺のせいだ」と自分を責める気持ちが痛いほど伝わってきた。
その後の侃の立ち直りの過程が、この物語で最も印象的な部分だった。
テニスから離れ、絵を描くことで自分の心と向き合っていく侃の姿は、とても勇気づけられるものだった。
最初はぐちゃぐちゃだった絵が、少しずつ形になっていくように、侃の心も徐々に回復していく。
一つのことがダメになっても、別の方法で立ち直ることができるということを学んだ。
何より感動したのは、事故にあった貴之が侃を恨まず、逆に心配してくれることだった。
普通なら「お前のせいで」と責めてしまいそうなところを、貴之は侃のことを思いやり続ける。
この友情の深さに涙が出そうになった。
本当の友達とは、お互いが楽しい時だけでなく、困難な時にこそ支え合える関係なのだと気づかされた。
私も友達との関係を振り返ってみた。
今まで友達とけんかした時は、相手が悪いと決めつけていたことが多かった。
でも『オン・ザ・ライン』を読んで、本当の友情はお互いを思いやることから始まるのだと学んだ。
これからは貴之のように、相手の立場に立って考えられる友達でありたい。
侃が再びテニスコートに立つ決意をする場面も印象深い。
それは以前のような勝利のためではなく、テニスが自分にとって大切なものだと再確認したからだった。
挫折を乗り越えて見つけた新しい目標は、きっと前よりも意味のあるものになったのだろう。
『オン・ザ・ライン』は、私たち中学生が日々経験する友情や挫折について、大切なことを教えてくれた。
人生には予期しない困難が待っているかもしれないけれど、周りの人との絆を大切にし、自分自身と向き合うことで、必ず乗り越えていけるのだと信じられるようになった。
この本は、私がこれから成長していく上で、大切な道しるべになってくれると思う。
『オン・ザ・ライン』の読書感想文の例文(2000字の高校生向け)
【題名】挫折の向こう側にあるもの
『オン・ザ・ライン』を読み終えて、私は深い感動とともに、人生における挫折と再生について考えさせられた。
この作品は、テニスというスポーツを舞台にしながらも、単なる青春スポーツ小説の枠を大きく超えた、人間の内面を鋭く描いた傑作だった。
主人公の日高侃という人物に、私は最初から強く惹かれた。それは「活字中毒」という設定のせいだ。
テニス部でエースとして活躍する体育会系の顔と、文学を深く愛する知的な顔を併せ持つ彼の二面性は、私たち高校生の複雑な内面を象徴しているように感じられた。
私自身も、学校では真面目な生徒として過ごしながら、家では音楽にのめり込んだり、一人の時間には哲学的なことを考えたりしている。
テニスをプレイしながらも、その瞬間の感覚を文学的な言葉で捉えようとする彼の感性は、スポーツと芸術を対立するものではなく、お互いを支えあうものという描き方がユニークだと感じた。
物語の核心である事故のシーンは、読んでいて本当に息が詰まるような思いがした。
親友の貴之が自分をかばったせいで、彼の将来を奪ってしまうかもしれないという状況。
この場面で私が最も印象的だったのは、事故の瞬間の描写ではなく、その後の侃の心理状態の変化だった。
彼の自責の念、絶望感、そしてテニスラケットを握ることすらできなくなるほどの深い心の傷。
これらの感情が、静かで深い筆致で描かれていることに、作者の技量の高さを感じた。
私も高校生活で自分のミスで他人に迷惑をかけてしまった経験がある。
その時の「取り返しのつかないことをしてしまった」という絶望感は、規模は違えど侃の気持ちと通じるものがあった。
侃の立ち直りの過程で特に印象に残ったのは、瀬戸内海の島での療養生活の描写だった。
認知症の祖父との交流や、島の子どもたちとの関わりを通して、侃が少しずつ心を開いていく様子が丁寧に描かれている。
祖父の「人間は、自分で自分が赦せなくて苦しむんだ」という言葉は、特に深く心に響いた。
この言葉は、単に侃の状況だけでなく、私たち誰もが抱える自己嫌悪や後悔の感情について、本質的な真実を語っているように感じられた。
侃の再生の物語は、絵を描くという新しい表現手段を通して展開される。
テニスで表現していたものを、今度は絵筆で表現しようとする侃の姿は、人間の創造性の多様さを示している。
最初はぐちゃぐちゃだった絵が、徐々に形を成していく過程は、まさに彼の心の回復過程と重なり合っている。
この部分を読んで、私は芸術や表現活動が持つ治癒力の大きさを改めて認識した。
私自身も、つらい時期に音楽を聴いたり、詩を書いたりすることで心の平静を取り戻した経験がある。
そして、この物語で最も感動的だったのは、友情の描写だった。
事故の被害者である貴之が、加害者である侃を責めるどころか、逆に心配し、支えようとする姿勢。
この友情の深さと美しさは、読んでいて涙が出そうになるほど感動的だった。
現実の世界では、こうした寛容さを示すことは非常に難しい。
しかし、貴之の態度は、真の友情とは何かを教えてくれる。
それは、お互いの幸福を願い、相手の成長を支える関係なのだということを。
この友情の描写を読んで、私は自分の友人関係を振り返ってみた。
表面的な付き合いではなく、本当に困った時に支え合える関係を築けているだろうか。
物語の終盤で、侃が再びテニスコートに向かう決意を固める場面も印象深い。
しかし、それは以前のような単純な勝利欲求からではなく、テニスが自分にとって本当に大切なものであることを再確認した上での決断だった。
挫折を通して、彼は自分の本当の気持ちと向き合うことができたのだ。
これは、私たち高校生にとっても重要なメッセージだと思う。
受験や進路選択において、私たちは往々にして外部の期待や社会的な価値観に流されがちだ。
しかし、本当に大切なのは、自分自身の心の声に耳を傾け、自分にとって本当に意味のある道を選択することなのかもしれない。
『オン・ザ・ライン』は、私に人生における挫折の意味について深く考えさせてくれた。
挫折は単なる失敗や不幸ではなく、自分自身と深く向き合い、本当に大切なものを見つけるための機会なのかもしれない。
そして、そのような困難な時期を乗り越えるためには、芸術や創作活動による自己表現、そして何よりも周囲の人々との深い絆が不可欠なのだということを学んだ。
この作品は、私がこれから社会人として歩んでいく上で、困難に直面した時の道標となってくれるだろう。
侃のように、挫折を恐れずに、そしてそこから学び、成長していける人間でありたいと心から思う。
振り返り
『オン・ザ・ライン』の読書感想文について詳しく解説してきました。
大切なのは、あらすじをまとめるのではなく、あなた自身が「どう感じたか」を中心に書くことです。
侃の二面性、事故による挫折、そして友情の力という3つのポイントを軸にしながら、あなた自身の体験や価値観と結びつけて感想文を作成してみてください。
テンプレートを活用すれば、構成に悩むことなくスムーズに書き進められるはずです。
中学生向けの例文では親しみやすい表現を、高校生向けの例文ではより深い考察を盛り込んでいます。
あなたの学年や文字数制限に合わせて参考にしてくださいね。
読書感想文は、作品との対話を通して自分自身を見つめ直す貴重な機会です。
『オン・ザ・ライン』という素晴らしい作品と真摯に向き合うことで、きっと心に響く感想文が書けるでしょう。
あなたにも必ず素晴らしい読書感想文が書けます。自信を持って取り組んでくださいね。
■参照サイト:オン・ザ・ライン | 書籍 | 小学館
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