『世界から猫が消えたなら』の読書感想文を書く予定のみなさん、こんにちは。
川村元気さんが手がけた心温まる傑作『世界から猫が消えたなら』は、余命宣告を受けた主人公が悪魔との取引を通じて、日常の大切さを見つめ直す物語です。
映画化もされてヒットしたのは記憶に新しいところ。
今回は『世界から猫が消えたなら』の読書感想文の書き方を読書が趣味で年間100冊以上の本を読む私が、中学生・高校生のみなさんに向けて詳しく解説していきますよ。
例文も1200字と2000字の2パターンを用意しました。
書き出しから題名の付け方まで、コピペではない自分だけの感想文が書けるよう、しっかりサポートしていきます。
『世界から猫が消えたなら』の読書感想文で触れたい3つの要点
『世界から猫が消えたなら』の読書感想文を書く際に、必ず触れておきたい重要なポイントがあります。
以下の3つの要点について、読みながら「自分はどう感じたか?」をメモしておくことをおすすめします。
- 日常にある「当たり前」の大切さと、失うことの意味
- 家族の絆と愛情の深さ
- 限りある命の中で、何を選んで生きるかという人生観
メモを取るときは、物語の場面を読みながら「私だったらどうするだろう?」「なぜ主人公はこんな気持ちになったのかな?」と自分に問いかけてみてください。
そして感じたことを素直に書き留めておきましょう。
このメモが後で感想文を書くときの貴重な材料になります。
なぜなら読書感想文では、あらすじを書くことよりも「あなたがどう感じたか」を伝えることの方がずっと大切だからです。
日常にある「当たり前」の大切さと、失うことの意味
主人公は悪魔との取引で、電話、映画、時計、そして猫を世界から消していきます。
普段は何気なく使っているものや、いつもそばにいる存在が消えてしまったとき、初めてその大切さに気づくのです。
電話が消えた日、主人公は元恋人との思い出を振り返ります。
携帯電話がなかった頃の不便さを思い出し、当時の彼女の気持ちを理解するシーンは印象的でしょう。
映画が消えた日には、家族で見た『E.T.』の記憶がよみがえります。
時計が消えた日、主人公は時間に追われない猫の生き方から多くのことを学びます。
これらの場面を読みながら、あなた自身の生活を思い浮かべてみてください。
もしもスマートフォンが世界から消えたら?
もしも好きな音楽が世界から消えたら?
そんな想像をしながら読むと、より深く物語を理解できるはずです。
失ってから気づく大切さではなく、今あるものに感謝する気持ちの重要性を、この物語は教えてくれます。
家族の絆と愛情の深さ
『世界から猫が消えたなら』では、主人公と両親、そして愛猫キャベツとの関係が丁寧に描かれています。
癌で亡くなった母親との思い出、疎遠になってしまった父親への複雑な気持ち、そして母親が拾ってきた猫キャベツとの日々。
家族それぞれとの関係性を通じて、愛することの意味や家族の大切さが浮き彫りになります。
特に印象深いのは、主人公が母親から預かった手紙を読む場面です。
また、猫のキャベツが話せるようになってからの会話も心温まります。
キャベツが主人公を「お代官様」と呼んで慕う姿からは、ペットも大切な家族の一員であることが伝わってきます。
あなたにも家族やペットとの特別な思い出があるでしょう。
この物語を読みながら、そんな記憶を思い出してみてください。
普段は照れくさくて言えない感謝の気持ちや、大切に思う気持ちを再確認できるかもしれません。
家族との関係は時に複雑で、思うようにいかないこともあります。
でも、それでも家族は かけがえのない存在なのだということを、この物語は優しく教えてくれます。
限りある命の中で、何を選んで生きるかという人生観
主人公は余命1週間という状況で、命を1日延ばすために何かを犠牲にするという選択を迫られます。
この設定を通じて、「生きるとは何か?」「本当に大切なものは何か?」という深いテーマが提起されます。
ただ長く生きることが幸せなのか、それとも大切なものに囲まれた短い時間の方が価値があるのか。
主人公の葛藤は、読者である私たちにも同じ問いを投げかけます。
物語の終盤、主人公は重要な決断を下します。
その選択の理由を考えながら読むと、人生の優先順位について深く考えさせられるでしょう。
あなたにとって一番大切なものは何ですか?
もしも明日がないとしたら、今日をどう過ごしたいですか?
そんなことを考えながらこの物語を読むと、日々の生活に対する見方が変わるかもしれません。
命は有限だからこそ美しく、限られた時間だからこそ一瞬一瞬が輝いて見える。
『世界から猫が消えたなら』は、そんな人生の真理を優しく伝えてくれる作品です。
※『世界から猫が消えたなら』で作者が伝えたいことはこちらで考察しています。

『世界から猫が消えたなら』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】失ってから気づく大切なもの
川村元気さんの『世界から猫が消えたなら』を読んで、私は今まで当たり前だと思っていたものの大切さについて深く考えさせられることになった。
この物語は、余命宣告を受けた主人公が悪魔と取引をして、世界から大切なものを一つずつ消していくという不思議な設定である。
でも読み進めるうちに、これは非現実的なストーリーでありながら私たちの日常生活にも通じる大切なメッセージが込められていることに気づいた。
まず印象に残ったのは、電話が消えた時の主人公の気持ちだった。普段何気なく使っているスマートフォンや電話が突然なくなったら、私はどんなに困るだろう。友達や家族と連絡が取れなくなり、きっと不安でいっぱいになると思う。
主人公が元恋人との思い出を振り返る場面では、携帯電話がない時代の不便さを知り、今の便利さがどれほど恵まれているかを実感した。私も普段からスマートフォンを使いすぎているかもしれない。この物語を読んで、もっと直接会って話すことの大切さを学んだ。
次に心に響いたのは、家族との関係について描かれた部分だった。主人公は母親を亡くし、父親とは疎遠になっている。でも猫のキャベツを通じて、家族の愛情や絆の深さを思い出していく。
私にも両親や兄弟がいるが、普段は一緒にいることが当たり前すぎて、感謝の気持ちを忘れがちだ。ときにうっとしく思うこともあり、「うざい」と口に出してしまうことだってあるほど。
主人公が母親からの手紙を読むシーンでは、家族の愛がどれほど深いものかを改めて感じた。私も家族ともっと話をして、大切な時間を過ごしたいと思った。
そして一番考えさせられたのは、猫のキャベツのことだった。キャベツが人間の言葉で話すようになり、主人公との会話を通じて、ペットも家族の一員だということが伝わってきた。
私の家にも犬がいるが、言葉は話せなくても、いつも私たちを癒してくれる大切な存在だ。もしもペットがいなくなったら、きっと毎日がさびしくなってしまう。キャベツが主人公のことを「お代官様」と呼んで慕う姿を見て、ペットとの絆の深さを感じた。
この物語を読んで、私は「失ってから気づく」のではなく、「今あるうちに大切にする」ことの重要性を学んだ。主人公は命を延ばすために大切なものを犠牲にしていくが、最終的には別の選択をする。その選択から、本当の幸せとは何かを考えることができた。
普段の生活では、学校や友達のこと、将来のことで頭がいっぱいになりがちだ。でもこの本を読んで、もっと身近にある小さな幸せに目を向けたいと思った。
家族との食事の時間、友達との何気ない会話、ペットと過ごすひととき。そんな日常の中にこそ、本当の宝物があるのかもしれない。
『世界から猫が消えたなら』は、私に大切なことを思い出させてくれた特別な一冊になった。
『世界から猫が消えたなら』の読書感想文の例文(2000字の高校生向け)
【題名】今この瞬間の尊さを知る
『世界から猫が消えたなら』を読み終えて、私は人生における優先順位について深く考え込んでしまった。川村元気が描いたこの物語は、一見ファンタジックな設定でありながら、現代を生きる私たちが見失いがちな本質的な価値観を鋭く問いかけている。余命宣告を受けた主人公が悪魔との取引を通じて直面する選択は、読者である私にも同様の問いを突きつけてきた。
物語の冒頭で主人公が脳腫瘍の宣告を受ける場面から、私は強い衝撃を受けた。30歳という若さで突然死を意識しなければならない状況は、高校生の私にとって想像がつかない。もし私が同じ立場に置かれたら、どのような選択をするだろうか。そんな想像をしながら読み進めていくうちに、日常生活で当たり前のように享受している様々な恩恵について、改めて意識するようになった。健康や人間関係、そして目に見えないつながりのありがたさが、少しずつ胸に染み込んでいった。
特に印象深かったのは、電話が世界から消える場面だった。主人公が元恋人との思い出を振り返りながら、コミュニケーションツールの変化とそれに伴う人間関係の変化を描いた部分である。携帯電話がなかった時代の不便さと、それゆえに生まれる相手への思いやりや配慮。現在の私たちはSNSやメッセージアプリを通じて瞬時に連絡を取ることができるが、果たしてそれが本当に豊かなコミュニケーションにつながっているだろうか。便利さと引き換えに失っているものがあるのではないかと考えさせられた。たった一通の手紙に込められた思いの重さや、沈黙の中に宿る温かさのようなものを、今の私たちは見落としてはいないだろうか。
映画が消える場面では、主人公が家族との思い出を映画館で振り返る姿が描かれている。真っ白なスクリーンを見つめながら、かつて家族で観た『E.T.』の記憶をたどる主人公の心境は、私にも身近な体験として感じられた。私も小さい頃、両親と一緒にディズニー映画を観て感動した記憶がある。その時の温かい気持ちや家族の絆を思い出すと、エンターテイメントが単なる娯楽を超えて、人と人をつなぐ大切な媒体でもあることに気づかされる。さらに、スクリーンを通して共有した感動が、言葉以上の意味を持っていたことに、今になってようやく気づいた。
時計が消える日の描写も非常に興味深かった。時間という概念から解放された世界で、猫のキャベツが人間の言葉を話すようになる。キャベツの「拙者」という一人称と「お代官様」という呼び方は微笑ましく、読んでいて心が温まった。しかし同時に、キャベツが母親のことを全く覚えていないという事実は、記憶と愛情の関係について考えさせられる重要な要素だった。愛される側が愛した人を覚えていなくても、愛すること自体に価値があるのだということを、この物語は教えてくれている。存在そのものに意味があるという感覚は、時として忘れがちな真実なのかもしれない。
物語のクライマックスで主人公が直面する最後の選択は、読者である私にとって最も重要な問いかけとなった。猫を世界から消すか、それとも自分の運命を受け入れるか。この場面で私が最も感動したのは、キャベツが主人公に対して示す無償の愛情だった。「お代官様のいない世界で生きていくのは辛い」という言葉からは、真の愛とは相手の幸せを最優先に考えることなのだという深いメッセージが伝わってくる。その想いは、どんな奇跡よりも強く、美しいと感じた。
この物語を読んで、私は自分の人生観について深く見つめ直すことになった。普段の高校生活では、テストの点数や進路のこと、友人関係など、目先のことばかりに気を取られがちだ。しかし本当に大切なのは、今この瞬間に自分の周りにある愛情や絆なのかもしれない。家族との何気ない会話、友達との他愛もない時間、ペットとの触れ合い。そういった日常の小さな幸せこそが、人生の真の価値を構成しているのではないだろうか。時間に追われる日々の中で、見過ごしていたたくさんの大切なものに、改めて目を向けることができた気がする。
また、この作品は選択することの重みについても教えてくれた。人生は連続する選択の積み重ねであり、何を選び、何を手放すかによって、その人の価値観や生き方が決まっていく。主人公の最終的な選択は、命の長さよりも質を重視する考え方を示している。これは現代社会を生きる私たちにとって非常に重要な示唆を含んでいる。選ぶという行為の裏側にある「失うこと」の意味までをも真正面から描いた本作には、人生の本質に迫る力があると感じた。
『世界から猫が消えたなら』は、日常の中に隠れている本当の宝物を見つけることの大切さを教えてくれた。失ってから気づくのではなく、今あることに感謝し、大切にしていく。そんな当たり前のようで実は難しいことを、この物語は優しく教えてくれている。読み終えた今、私は家族やペット、友人たちとの時間をより大切にしたいと強く思っている。そして何よりも、目に見えないけれど確かに存在する「想い」の尊さを、これからも忘れずに生きていきたい。
振り返り
『世界から猫が消えたなら』の読書感想文について、書き方のポイントから具体的な例文まで詳しく解説してきました。
この記事で紹介した3つの要点を意識しながら、あなた自身が感じたことを素直に書いてみてください。
中学生向けの1200字例文と高校生向けの2000字例文を参考にしながら、コピペではない自分だけの感想文を作成してくださいね。
題名や書き出しで悩んだときは、今回の例文を参考にしてみてください。
大切なのは、物語のあらすじを書くことではなく、あなたがどう感じたかを伝えることです。
きっと素晴らしい読書感想文が書けるはずですよ。
※『世界から猫が消えたなら』のあらすじはこちらでご紹介しています。

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