『ごんぎつね』のあらすじについて、短く簡単にまとめた内容から詳しい解説まで、読書感想文を書く予定の皆さんのお手伝いをしていきますね。
『ごんぎつね』は新美南吉による日本を代表する児童文学の名作で、小学校の教科書にも長年掲載されている童話です。
年間100冊以上の本を読む読書好きとして、この作品の深い魅力と感動的なストーリーをじっくりと味わってほしいと思っています。
この記事では、短く簡単なあらすじ(&英語バージョンも)から感想、作品の魅力まで幅広く紹介していきますので、読書感想文を書く際の参考にしていただけると思いますよ。
『ごんぎつね』のあらすじを短く簡単に
『ごんぎつね』のあらすじを詳しく
物語の主人公は、村で悪戯ばかりしている小狐のごんである。ある日、ごんは兵十という男が川で魚を捕っているのを見つけ、捕った魚やウナギを逃がすという悪戯をしてしまう。それから10日ほど後、ごんは兵十の母親の葬列を目にする。その時、自分が逃がしたウナギが病気の母親のために兵十が用意していたものだったことを悟り、深く後悔する。
母を失った兵十への同情と償いの気持ちから、ごんは最初鰯を盗んで兵十の家に投げ込むが、これが原因で兵十が鰯屋に泥棒と間違われて殴られてしまう。この失敗を反省したごんは、今度は自分で集めた栗や松茸を毎日兵十の家に届けるようになる。しかし兵十は毎日届けられる贈り物の意味が判らず、知り合いの加助の助言で神様のおかげだと思い込んでしまう。
ごんは割に合わないとぼやきながらも届け物を続けていたが、ある日、家に忍び込んだ気配に気づいた兵十は、また悪戯をしに来たのかと思い、火縄銃でごんを撃ってしまう。倒れたごんのそばに栗が置かれているのを見て、兵十はようやく贈り物がごんからの償いだったことを理解する。
『ごんぎつね』のあらすじ(英語バージョン)
The protagonist of the story is a little fox named Gon who is always causing trouble in the village. One day, Gon finds a man named Heiju catching fish in the river and ends up playing a prank on him by setting the fish and eels he caught free. About 10 days later, Gon witnesses the funeral procession of Heiju’s mother. He realizes that the eels he set free were prepared by Heiju for his sick mother and feels deep regret.
Feeling sympathy for Heiju who has lost his mother and wanting to make amends, Gon first steals sardines and throws them into Heiju’s house, but this causes Heiju to be mistaken for a thief by the sardine seller and he is beaten. Reflecting on this failure, Gon starts to deliver chestnuts and matsutake mushrooms that he has collected to Heiju’s house every day. However, Heiju does not understand the meaning of the gifts that are delivered every day, and on the advice of his acquaintance Kasuke, he believes that they are thanks to the gods.
Gon continues to deliver the packages, although he complains that it is not worth it, but one day, when Heiju senses Gon sneaking into the house, he thinks he has come to play a prank on Gon again and shoots him with his matchlock gun. When Heiju sees chestnuts placed next to Gon as he falls to the ground, he finally realizes that the gifts were Gon’s way of making up for him.
『ごんぎつね』の感想
この作品を読んだ時の感動は、今でも心に深く残っています。
まず驚いたのは、わずか4800文字という短い物語の中に、これほどまでに深い人間の心理と感情のすれ違いが描かれていることでした。
ごんの心の変化が本当に素晴らしいですね。
最初はただのいたずら好きの狐だったごんが、自分の行いが兵十の母親の最期を悲しいものにしてしまったと気づいた時の後悔の深さ。
そして、その償いをしようと必死に努力する姿に、私は胸を打たれました。
特に心に残ったのは、ごんが毎日栗や松茸を届け続ける場面です。
誰にも感謝されず、理解されず、それでも黙々と続けるごんの健気さ。
「割に合わない」とぼやきながらも続ける姿は、純粋な愛情の表れだと感じました。
一方で、兵十の立場も理解できるんですよね。
母親を亡くした悲しみの中で、正体不明の贈り物に困惑し、神様のおかげだと思い込んでしまう。
これは決しておかしなことではありません。
ごんと兵十、両者の心情がどちらも理解できるからこそ、最後の悲劇がより一層胸に響くのだと思います。
そして、あの結末!
ごんが撃たれて倒れ、兵十が栗を見つけて真実を理解する場面は、何度読んでも涙が出ます。
「ごん、おまえだったのか。いつも、栗をくれたのは」
■引用:新美南吉 ごん狐
この言葉と、ごんがうなずく場面は、文学史上最も美しく悲しい場面の一つだと思います。
新美南吉の文章の美しさにも感動しました。
里山の情景描写が本当に素晴らしく、読んでいると目の前に風景が浮かんできます。
「赤い夕焼け」「権現さまの社」「栗畑」といった描写は、日本の原風景を思い起こさせ、ノスタルジックな気持ちにさせてくれます。
この作品は、コミュニケーションの大切さについても深く考えさせられます。
もしごんと兵十が言葉を交わすことができていれば、もしごんが自分の気持ちを伝える方法を知っていれば、悲劇は避けられたかもしれません。
でも、それができないからこそ、この物語は永遠に心に残る名作になったのでしょう。
現代の私たちにとっても、相手の気持ちを理解すること、自分の気持ちを伝えることの難しさと大切さを教えてくれる作品だと思います。
読書感想文を書く学生の皆さんには、ぜひこの作品の持つ普遍的なテーマについて深く考えてもらいたいですね。
※『ごんぎつね』はラストで死んだの?など、疑問点はこちらで解説&考察しています。

『ごんぎつね』の作者や作品情報
『ごんぎつね』の基本的な作者や作品情報をまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
作者 | 新美南吉 |
出版年 | 1943年(初出は1932年) |
出版社 | 帝国教育会出版部(初版) |
受賞歴 | 教科書教材として長年愛用 |
ジャンル | 児童文学・童話 |
主な舞台 | 愛知県半田市周辺の里山 |
時代背景 | 幕末から明治頃 |
主なテーマ | 償い・誤解・コミュニケーション・善意 |
物語の特徴 | 動物が主人公の寓話的作品 |
対象年齢 | 小学生から大人まで |
『ごんぎつね』の主要な登場人物とその簡単な説明
『ごんぎつね』は登場人物が少なく、それぞれが印象深く描かれています。
人物名 | 説明 |
---|---|
ごん | 物語の主人公である小狐。 いたずら好きだが、心優しい性格 |
兵十 | 猟師の男性。 ごんの悪戯の被害者だが、最後に真実を知る |
兵十の母親 | 病気で亡くなった兵十の母。 物語の発端となる重要な人物 |
加助 | 兵十の知り合い。 神様のおかげだと兵十に助言する |
主要な登場人物は以上の4人で、特にごんと兵十の関係性が物語の中心となっています。
『ごんぎつね』の読了時間の目安
『ごんぎつね』は短編童話のため、読了時間は比較的短くなっています。
項目 | 内容 |
---|---|
文字数 | 約4800文字 |
ページ数 | 約8ページ |
読了時間 | 約10分 |
推奨読書期間 | 1日 |
非常に読みやすく、短時間で読み終えることができる作品です。
ただし、内容の深さを考えると、何度も読み返して味わうことをおすすめします。
読書感想文を書く場合は、一度読んだ後、もう一度ゆっくりと読み返すと良いでしょう。
『ごんぎつね』はどんな人向けの小説か?
『ごんぎつね』は幅広い読者に愛される作品ですが、特に以下のような人におすすめです。
- 心の優しい人や動物好きの人
- 人間関係のすれ違いや誤解について考えたい人
- 短時間で深い感動を味わいたい人
- 日本の原風景や自然に魅力を感じる人
- 教訓的な物語を求めている人
- 読書感想文を書く学生
- 童話の世界観が好きな人
- コミュニケーションの大切さを学びたい人
特に、人との関係で悩んだことがある人や、相手の気持ちを理解することの難しさを感じたことがある人には、深く響く作品だと思います。
また、英語版も出版されているため、英語学習者にとっても親しみやすい教材となっています。
あの本が好きなら『ごんぎつね』も好きかも?似ている小説3選
『ごんぎつね』と似たテーマや雰囲気を持つ作品を3つご紹介します。
『手袋を買いに』新美南吉
同じく新美南吉による童話で、母子の狐が主人公の心温まる物語です。
人間社会への不安と信頼を描いた作品で、『ごんぎつね』と同様に動物の視点から人間社会を見つめています。
優しい母狐と子狐の絆、そして人間への複雑な感情が美しく描かれており、『ごんぎつね』が好きな人には必ず気に入ってもらえる作品です。

『赤い蝋燭と人魚』小川未明
恩を仇で返される悲劇的な物語で、報われない善意がテーマとなっています。
人魚が人間のために命を削ってろうそくを作り続けるも、最終的に裏切られるという結末は、『ごんぎつね』の切なさと共通するものがあります。
幻想的な雰囲気と深い悲しみを描いた名作で、『ごんぎつね』の悲劇性に心を動かされた人におすすめです。
『走れメロス』太宰治
友情と信頼をテーマにした作品で、誰かのために尽くす純粋な行動が描かれています。
メロスが友を信じて命がけで走る姿は、ごんが兵十のために黙々と償いを続ける姿と共通する美しさがあります。
人間の信じる心の尊さと、それに伴う苦悩を描いた名作として、『ごんぎつね』とは違った角度から感動を与えてくれる作品です。

振り返り
『ごんぎつね』は、短い童話でありながら、深い人間性と普遍的なテーマを描いた不朽の名作です。
ごんの純粋な償いの心と、それが理解されない悲しみ、そして最後の悲劇的な結末は、読者の心に深い感動と教訓を与えてくれます。
この作品を通じて、コミュニケーションの大切さ、相手を思いやる心の美しさ、そして誤解が生む悲劇について深く考えることができるでしょう。
読書感想文を書く際には、ぜひごんと兵十の心情の変化、物語の持つ教訓、そして現代への問いかけについて、自分なりの考えを述べてみてくださいね。
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