夏目漱石『夢十夜』のあらすじを簡単に!第一夜~第十夜まで

夏目漱石『夢十夜』のあらすじ あらすじ

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夏目漱石『夢十夜』のあらすじを簡単に、そして第一夜から第十夜まで全10話の詳しい内容をご紹介していきますね。

『夢十夜』は夏目漱石が1908年に発表した短編集で、明治時代の文豪が見た10の不思議な夢を描いた幻想的な作品です。

「こんな夢を見た」という印象的な書き出しで始まる各話は、現実と非現実が交錯する独特の世界観を持っています。

年間100冊以上の本を読む私が、この作品の魅力や読みどころを詳しく解説していきます。

読書感想文を書く予定の皆さんにとって、きっと参考になる情報をお届けできるはずですよ。

それでは、さっそく進めていきましょう。

『夢十夜』のあらすじ(簡単に全体を通して)

『夢十夜』は夏目漱石が見た10の奇妙な夢を描いた短編集である。第一夜では死にゆく女性との百年の約束と百合の花での再会、第二夜では悟りを求める侍の物語、第三夜では背負った盲目の子供が百年前に殺した相手だった恐怖が描かれる。第四夜は蛇に変身する爺さん、第五夜は古代の戦と恋人の物語、第六夜は運慶の仁王像彫刻を見る話、第七夜は謎の船旅と海への飛び込み、第八夜は床屋の鏡に映る人々、第九夜は戦時中の母子の百度参り、第十夜は庄太郎が女に騙され豚の群れに襲われる話で構成されている。

『夢十夜』の第一夜~第十夜のあらすじ(各章ごと)

第一夜

「私」が枕元で見守る中、美しい女が静かに「もう死にます」と告げる。女は、「死んだら大きな真珠貝で埋め、天から落ちて来る星の破片を墓標に置いてほしい。そして、墓の傍で百年待っていてくれれば、必ず逢いに来る」と懇願する。女は目を閉じ息絶える。「私」は言われた通りに埋葬し、墓の傍で腕を組み、百年の時を待ち始める。

赤い日が幾度となく昇り沈み、途方もない時間が過ぎるうちに、「私」は女に騙されたのではないかと疑念を抱く。その時、苔むした墓石の下から青い茎が伸び、白い百合が咲き誇る。その花に接吻した「私」は、暁の星が瞬くのを見て、百年が既に過ぎていたことに初めて気づくのだった。

第二夜

「私」(侍)は、和尚から悟りを開けていないと罵られ、激しく憤慨する。和尚の侮辱に耐えきれず、「次の刻限までに悟らなければ自刃する」と決意。部屋に戻り、朱鞘の短刀を手に覚悟を決め、坐禅を組む。「無」の境地を目指すが、肉体的苦痛と精神的な焦燥に苦しみ、悟りへの道は険しい。和尚への怒り、悟れない無念さ、自らの誇りをかけた戦いの中で、「私」は極限状態に追い込まれていく。その時、隣室の置時計が鳴り始める。刻限が迫る中、時計が二つ目の音を打つと同時に、「私」は短刀に手をかけるのだった。

第三夜

「私」は、目が見えない六歳の息子を背負い、夜の田舎道を歩いている。子供は異常に大人びた言葉遣いで、「私」の内心を見透かすような発言を繰り返す。やがて、闇の中に大きな森を見つけた「私」は、そこで子供を捨てようと考える。しかし、子供は「今に重くなるよ」と言い、さらに森の道案内まで始める。

子供の異様な言動に恐怖を感じながらも、「私」は森へと進む。すると子供は、「ちょうどこんな晩だったな」「御前がおれを殺したのは今からちょうど百年前だね」と語り出す。その言葉を聞いた瞬間、「私」は文化五年辰年の百年前のこの晩に、この場所で盲目の人を殺したという記憶が蘇り、自分が人殺しであったことに気づく。その途端、背中の子供は石地蔵のように重くなり、「私」は愕然とする。

第四夜

「私」(子供)は、ある家に立ち寄り、謎めいた老人と出会う。老人は年齢も素性も明かさず、意味深な言葉を繰り返すばかり。やがて、柳の下で子供たちを集め、不思議な手品を始める。手拭いが蛇になるというのだが、手拭いは動かない。老人は手拭いを箱に入れ、「箱の中で蛇になる」と言いながら、まっすぐに歩き去る。

蛇が見たい「私」は老人を追いかける。老人は「今になる、蛇になる」と歌いながら川岸へ。そして、橋もない川の中へ入っていく。深まる水の中でも老人は歌い続け、ついにはその姿が完全に水中に消えてしまう。「私」は対岸で蛇を見せてくれると信じ、蘆の茂る岸辺で待ち続けるが、老人は二度と現れなかった。

第五夜

古代の戦で敗北し捕虜となった「私」は、敵の大将の前に引き据えられる。「死ぬか生きるか」の問いに「死ぬ」と答えた「私」は、最期に愛する女に一目会いたいと願う。大将は鶏が鳴くまでの猶予を与える。

女は、夜明けまでに「私」のもとへ向かうため、白馬を駆り、闇夜を疾走する。しかし、目的地に近づいた時、暗闇の中から突然「こけこっこう」という鶏の声が響く。この声は、実際は天探女(あまのさぐめ)という敵の罠だった。鶏の声に驚いた女は手綱を引くが、馬はバランスを崩し、深い淵に転落してしまう。結果、「私」は女に会うことなく、運命を待つことになる。岩に残された馬の蹄跡が、この悲劇を今に伝えている。

第六夜

「私」は、護国寺で仁王像を彫る運慶の評判を聞きつけ、見物に行く。集まった野次馬たちが好き勝手な批評をする中、運慶は微動だにせず、黙々と鑿を動かしている。その古風な佇まいと彫刻の技に「私」は感嘆する。

ある若い男が、「運慶は眉や鼻を鑿で作るのではなく、木の中に埋まっているそれを掘り出しているだけだ」と語る。この言葉に触発された「私」は、彫刻とはそういうものかと納得し、自分も仁王を彫れるのではないかと考える。

早速家に帰り、薪にする予定だった樫の木を彫り始める。しかし、どの木からも仁王は現れない。結局、「私」は明治時代の木には仁王が埋まっていないことを悟り、運慶がなぜ現代まで生き続けているのか、その理由を理解するのだった。

第七夜

「私」は、どこへ行くのか分からぬまま、黒い煙を吐きながら進む巨大な船に乗っている。毎日、太陽が昇り沈むのを追いかけるように船は進むが、決して追いつかない。船員に尋ねても要領を得ず、「私」は不安と絶望に苛まれる。

船内には様々な人々がおり、悲しみに暮れる女や、信仰を説く異人、あるいは世俗的なことに没頭する男女もいるが、「私」の孤独感は深まるばかり。ついに「私」は絶望し、海に身を投げることを決意する。

しかし、甲板を離れた瞬間、命を惜しむ気持ちが湧き上がる。後悔するも、もはや引き返せない。「私」は、無限の後悔と恐怖を抱えながら、黒い波へと静かに沈んでいく。船は、そのままただ通り過ぎていった。

第八夜

「私」は床屋を訪れる。座った椅子からは鏡越しに外の往来が見え、庄太郎や豆腐屋、芸者などが行き交う。散髪が始まり、白い着物の男がハサミを鳴らす。男は「金魚売を見たか」と尋ねるが「私」は見ていない。

散髪中、外で起こる騒ぎや、粟餅屋の音が聞こえるが、鏡に映るのは自分の顔と、外のわずかな光景のみ。ふと鏡の奥にある帳場格子を見ると、そこには銀杏返しの髪で、大量の十円札を数える女がいた。その札は、いくら数えても尽きないように見えた。

「私」がその光景に茫然としていると、散髪を終えた白い男に「洗いましょう」と言われる。振り返ると、女も札も消えていた。店を出ると、そこには桶に入った金魚たちと、それを見つめる金魚売がいた。金魚売は「私」がそこにいる間、微動だにせず、まるで時間を止めてしまったかのようだった。

第九夜

世の中が騒がしい中、「私」の家では父が夜中に姿を消し、帰ってこない。若い母は三歳の子供と二人きりで父の帰りを待つが、子供は「あっち」としか答えない。夜になると、母は子供を背負い、草履の音を響かせながら、ひそかに八幡宮へ通い始める。

母は、夫の無事を一心に祈り、百度参りをする。子供はしばしば夜中に泣き出すが、母は祈りを止めず、子供を拝殿に縛り付け、百度参りを続ける。子供が泣き止む夜もあれば、泣き止まずに母を困らせる夜もある。

しかし、「私」が夢の中で母から聞いた話によると、父は既に浪士に殺されており、母の必死の祈りは届かないままだった。「私」は、母の献身と悲劇的な運命を知る。

第十夜

町一番の好男子である庄太郎は、水菓子屋で女性を眺めるのが唯一の道楽だった。ある日、美しい女性に魅せられ、パナマ帽を脱いで挨拶すると、女性は水菓子を庄太郎に持たせるよう依頼。庄太郎はそのまま女性について行き、7日間行方不明となる。

7日後、庄太郎が熱を出して帰宅し、健さんが「私」にその顛末を語る。庄太郎は女性と電車で山へ行き、広大な原野の先の絶壁にたどり着いた。女性は庄太郎に飛び込めと命じるが、庄太郎は拒否。すると女性は「豚に舐められるぞ」と脅す。豚嫌いの庄太郎は、襲い来る無数の豚を杖で叩き落とし続けるが、力尽き、豚に舐められて倒れてしまう。健さんは「女を見るのは良くない」と忠告し、庄太郎のパナマ帽を狙う。庄太郎は危篤状態にあり、パナマ帽は健さんのものになるだろうと暗示される。

『夢十夜』のあらすじを理解するための用語解説

『夢十夜』に登場する専門的な用語を分かりやすく説明します。

これらの用語を理解することで、より深く作品の世界観を楽しめるでしょう。

用語 説明
瓜実顔 瓜の種のような面長の顔立ち。
美人の典型的な顔の形として用いられる表現。
ねんごろ 心がこもって親身なさま。
丁寧で思いやりのある態度を表す古語。
運慶 鎌倉時代の仏師で、仁王像などの仏像彫刻で有名。
第六夜に登場する実在の人物。
百度参り 同じ神社やお寺に百回お参りする祈願方法。
願い事の成就を祈る伝統的な宗教行為。
水菓子 果物のこと。
明治時代の呼び方で、現在の生菓子とは異なる。
パナマの帽子 夏用の高級帽子。
当時の上流階級が身に着けていた西洋風の帽子。
異化表現 物や出来事を初めて見るもののように過度に描写する表現技法。
読者に新鮮な印象を与える文学的手法。

これらの用語は明治時代の文化や宗教観を反映しており、当時の社会背景を理解する手がかりになりますね。

『夢十夜』の感想

正直に言うと、最初に『夢十夜』を読んだ時は「なんだこれは?」という感じでした。

普通の小説とは全く違う構成だし、明確な結末もないし、読後感も何とも言えない不思議な気持ちになったんです。

でも、これがまた不思議な魅力があるんですよ。

第一夜の百年待つ話なんて、時間の感覚がものすごく曖昧で、夢の中にいるような感覚になります。

「赤い日が東から昇り、西へ沈む」という表現が何度も出てくるんですが、これが妙にリアルで、本当に時間が流れているような錯覚を覚えました。

第三夜の背負っている子供の話は、正直鳥肌が立ちましたね。

盲目の子供が周りの状況を言い当てるところから、だんだん恐怖感が増していって、最後に「御前がおれを殺したのは今からちょうど百年前だね」って言われた時は、本当にゾクッとしました。

これは夢だからこそ表現できる恐怖だと思います。

第六夜の運慶の話は、芸術論としても面白いですね。

「木の中に埋まっている仁王を掘り出しているだけ」という考え方は、創作活動の本質を突いているような気がします。

私も何かを作る時に、既に完成されたものを見つけ出すような感覚になることがあるので、この表現にはすごく共感しました。

ただ、理解できなかった点もいくつかあります。

第四夜の蛇に変身する爺さんの話とか、第八夜の鏡の中を人が通り過ぎる話とか、象徴的すぎて正直何を表現しているのか分からなかったです。

でも、それでいいんじゃないかとも思います。

夢って、そもそも論理的に説明できないものですからね。

全体的に見ると、漱石の文章の美しさに圧倒されました。

特に情景描写が素晴らしくて、「真白な百合」とか「赤い日」とか、色彩豊かな表現が印象的です。

短い文章の中に、これだけの世界観を込められるのは、さすが文豪だなと感心しました。

読書感想文を書く学生さんには、ちょっと難しい作品かもしれませんが、日本文学の奥深さを知るには最適な作品だと思います。

一つ一つの話が短いので、気軽に読めるのも良いところですね。

夢の世界を文学にした珍しい作品として、一度は読んでおいて損はない名作だと思います。

※『夢十夜』で夏目漱石が伝えたいことはこちらで考察しています。

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『夢十夜』の作品情報

項目 詳細
作者 夏目漱石
出版年 1908年(明治41年)
出版社 東京朝日新聞社(連載)
受賞歴 特になし
ジャンル 幻想文学・短編集
主な舞台 夢の世界・日本各地
時代背景 明治時代・神代・鎌倉時代・未来
主なテーマ 生と死・時間・愛・芸術・人間の内面
物語の特徴 10の独立した夢を描く連作短編
対象年齢 高校生以上
青空文庫 収録済み(こちら

『夢十夜』の主要な登場人物とその簡単な説明

『夢十夜』は夢の世界を描いた作品なので、通常の小説とは異なり固定された登場人物はいません。

各話ごとに異なる人物が登場する構成になっています。

人物名 紹介
自分(語り手) 全話を通じて夢を見ている主人公。
年齢や職業は明示されず
各話で異なる立場に置かれる。
女(第一夜) 死にゆく女性で
主人公に「百年待っていてください」と頼む。
死後は百合の花として生まれ変わる。
和尚(第二夜) 侍である主人公を
「無を悟れていない」と馬鹿にする僧侶。
主人公の悟りを試す役割を持つ。
子供(第三夜) 六歳の盲目の子供で、
主人公が背負って歩く。
実は百年前に主人公に殺された相手。
爺さん(第四夜) 手ぬぐいを蛇に変えると言う不思議な老人。
川の中に入っていく謎めいた人物。
大将(第五夜) 戦に敗れた主人公を捕らえる敵軍の大将。
鶏が鳴くまで処刑を待ってくれる。
恋人(第五夜) 主人公の恋人で、
馬を駆って陣を目指す女性。
主人公を救おうとする。
運慶(第六夜) 鎌倉時代の仏師で
仁王像を彫刻している。
芸術創作の本質を体現する人物。
庄太郎(第十夜) 水菓子屋で女に出会い
崖に連れて行かれる男性。
豚の群れに襲われる。
女(第十夜) 庄太郎を崖に連れて行き
飛び降りろと言う謎の女性。
庄太郎を恐怖に陥れる。

これらの登場人物は、それぞれの夢の中でのみ存在し、物語全体を通じたつながりは薄いのが特徴です。

『夢十夜』の読了時間の目安

『夢十夜』の読了時間について、具体的な数字でご紹介します。

短編集なので、比較的短時間で読み終えることができますよ。

項目 詳細
文字数 約16,000文字
推定ページ数 約27ページ
読了時間 約32分
1話あたりの時間 約3〜4分
おすすめ読書期間 1〜2日

『夢十夜』は10の短編から構成されているので、一度に全部読まなくても大丈夫です。

1話ずつ読んで、その余韻を楽しむのもおすすめの読み方ですね。

忙しい学生さんでも、通学時間や休憩時間を使って気軽に読めるボリュームです。

『夢十夜』はどんな人向けの小説か?

『夢十夜』は独特の世界観を持つ作品なので、読む人を選ぶ傾向があります。

以下のような方には特におすすめできる作品です。

  • 幻想的で象徴的な物語が好きな人
  • 哲学的なテーマや人間の内面に興味がある人
  • 短編小説や文学的な深みを求める人

『夢十夜』は現実と非現実の境界が曖昧な世界観や、詩的で美しい文章表現が特徴的です。

生と死、時間、愛といった普遍的なテーマが各話に織り込まれており、読者自身が解釈を深めることを楽しめる人には最適でしょう。

また、漱石の代表作とは異なる幻想的な一面を知りたい方にもおすすめです。

一方で、明確なストーリー展開や分かりやすい結末を求める人には、少し物足りなく感じられるかもしれません。

しかし、日本文学の多様性や深さを知るには絶好の作品だと思います。

※『夢十夜』の面白いところはこちらの記事でご紹介しています。

『夢十夜』は面白い?意味不明でも楽しい4つの読みどころ
『夢十夜』は面白い! この言葉に嘘はありません。100年以上前に書かれた小説なのに、なぜ今も多くの読者の心を掴むのか。幻想的な夢の世界に隠された深い人間ドラマと漱石の天才的な表現力。この傑作の真の魅力に迫ります。古典文学の入り口にピッタリの一冊です。

あの本が好きなら『夢十夜』も好きかも?似ている小説3選

『夢十夜』と似た雰囲気や要素を持つ小説をご紹介します。

幻想的な世界観や哲学的なテーマが好きな方には、きっと気に入っていただけるでしょう。

『河童』(芥川龍之介)

芥川龍之介の『河童』は、精神病患者の語りを通して河童の世界を描いた幻想的な作品です。

主人公が河童の世界に迷い込み、その社会を観察する中で人間社会の矛盾や不条理を浮き彫りにします。

『夢十夜』と同様に、現実と非現実が交錯する世界観を持ち、象徴的な描写を通して深いメッセージを伝える点が共通しています。

また、両作品とも通常の物語の枠を超えた実験的な構成を取っており、読者に様々な解釈の余地を与えています。

『高野聖』(泉鏡花)

泉鏡花の『高野聖』は、山奥で高僧が体験する不思議な出来事を描いた怪奇小説です。

妖しい美しさと恐ろしさが同居する独特の世界観が特徴で、人間の欲望や精神の深層を探求します。

『夢十夜』と同じく、夢や幻のような非現実的な情景が中心にあり、象徴的な描写が多用されています。

読者に独特の不安感や美的な感動を与える点も共通しており、日本文学の幻想的な側面を楽しめる作品です。

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『星の王子さま』(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)

フランスの作家サン=テグジュペリによる『星の王子さま』は、童話の体裁を取りながら深い哲学的メッセージを込めた作品です。

様々な星を巡る王子さまの物語を通して、人生の意味や愛について問いかけます。

『夢十夜』と同様に、短くて象徴的な物語を通して普遍的なテーマを探求し、読者の想像力を刺激する構成になっています。

直接的な物語性よりも、作品全体から立ち現れる思想や心象風景を味わう点でも共通点があります。

『星の王子さま』のあらすじを短く簡単に&詳しく(本・小説)
哲学的寓話『星の王子さま』の簡単で短いあらすじと詳しく深い読み解きをお届け。象徴的な表現の意味から現代社会への問いかけまで、作品の魅力を余すことなく紹介。読書感想文執筆のヒントが詰まった充実の内容です。

振り返り

『夢十夜』は夏目漱石が描いた10の不思議な夢を通して、生と死、時間、愛といった普遍的なテーマを探求した幻想文学の傑作です。

各話が短編でありながら深い内容を持ち、読者の解釈に委ねる部分が多い実験的な構成が特徴的でした。

第一夜から第十夜まで、それぞれが独立した物語でありながら、全体として漱石の内面世界を表現した貴重な作品として読み継がれています。

読書感想文を書く際には、各話の象徴的な意味や、夢という形式を通して表現された人間の心の深層に注目すると良いでしょう。

約16,000文字という手頃なボリュームなので、じっくりと味わいながら読み進めることができます。

日本文学の多様性と深さを知るには最適な一冊だと思います。

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