『蹴りたい背中』のあらすじを簡単に&詳しく!ネタバレなし

『蹴りたい背中』のあらすじ あらすじ

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『蹴りたい背中』のあらすじについて、簡単で詳しい解説をしていきますね。

綿矢りささんが2003年に発表し、芥川龍之介賞を受賞したこの青春小説は、思春期の孤独と人間関係の機微を繊細に描いた傑作。

私が読んだのはもう20年ほど前ですが、いまでも読んだ当時の心のヒリヒリ感がかすかに残っています。

それでは物語の核心から登場人物の心理まで、ネタバレを避けながら丁寧に解説していきましょう。

読書感想文を書く予定の皆さんにとって、この記事がきっと役に立つはずです。

『蹴りたい背中』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)

陸上部に所属する高校1年生のハツは、クラスで浮いた存在である。理科の授業で班を組んだ際、同じように疎外感を抱くオタクの男子・にな川と出会う。にな川は女性モデル「オリチャン」の熱狂的なファンだった。ハツが過去にオリチャンと遭遇した体験を話すと、にな川は興味を示す。二人は奇妙な友情を築いていくが、ハツの心には複雑な感情が渦巻いていく。

『蹴りたい背中』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)

主人公のハツは陸上部に所属する高校1年生だが、クラスメイトとの関係に馴染めずにいた。ある日の理科の授業で班分けをした際、同じく孤立しがちな男子生徒・にな川と同じ班になる。にな川は女性ファッション誌を読んでおり、そこに掲載されているモデル「オリチャン」の大ファンであることが判明する。ハツは中学生の頃、偶然にも無印良品でオリチャンに遭遇した経験があり、その話をするとにな川は強い関心を示した。放課後、にな川の家に招かれたハツは、彼の部屋でオリチャンへの異常なまでの執着を目の当たりにする。二人は奇妙な関係を築いていくが、ハツの心の中では愛着と苛立ちが入り混じった複雑な感情が育っていく。

『蹴りたい背中』の感想を投稿レビュー風に書いてみた!

「★★★★☆ 芥川賞作品だけど、想像以上に刺さった」

正直、芥川賞って堅苦しいイメージがあって敬遠してたんですが、友人に勧められて読んでみました。結果、めちゃくちゃ良かったです!

まず冒頭の「さびしさは鳴る」でいきなりやられました。

こんな表現思いつかないよ…天才か。一行でこんなに胸がキュンとするなんて反則レベルです。

主人公のハツちゃんが本当にリアル。思春期の女の子のモヤモヤ感がもう完璧に再現されてて、読んでて「うわあああ」ってなります。あの時期の訳わからない感情を文字にするって相当難しいと思うんですが、綿矢さん凄すぎる。

にな川くんも最高のキャラでした。オタク男子のピュアさと気持ち悪さが絶妙にミックスされてて、嫌いになれない。 オリチャン推しなところとか、今で言う「推し活」の走りですよね。時代を先取りしてる。

二人の関係がまた絶妙で…恋愛なのか友情なのかよくわからない距離感が、思春期あるあるすぎて泣けます。お互い気になってるのに素直になれない感じ、懐かしくて切ない。

タイトルの「蹴りたい背中」も天才的。愛おしいけどイライラする、その複雑な気持ちを一言で表現してるのが本当に上手い。私にも蹴りたい背中を持つ人、いたなあ…

文章も美しいです。変に飾らないシンプルな文体なのに、情景がありありと浮かんでくる。さすが芥川賞作家。

★を一個減らしたのは、結末がちょっとモヤモヤするから。でもこれも狙いなんでしょうね。人生って大抵スッキリしないもんな?

若い頃読んでたらもっと刺さったかも。でも大人になってから読んでも十分楽しめました。青春小説好きな人には絶対おすすめ!

『蹴りたい背中』の作品情報

『蹴りたい背中』の基本情報をまとめておきますね。

項目 内容
作者 綿矢りさ
出版年 2003年
出版社 河出書房新社
受賞歴 第130回芥川龍之介賞
ジャンル 青春小説・中編小説
主な舞台 高校・家庭・無印良品
時代背景 2000年代初頭の現代日本
主なテーマ 思春期の孤独・人間関係・アイデンティティ
物語の特徴 内面的・心理描写重視・日常系
対象年齢 高校生以上

『蹴りたい背中』の主要な登場人物とその簡単な説明

『蹴りたい背中』の登場人物は決して多くありませんが、それぞれが印象的に描かれています。

主要なキャラクターをご紹介しますね。

登場人物 説明
ハツ(長谷川初実) 主人公。陸上部所属の高校1年生。
クラスで浮いた存在で、冷めた視点を持つ
にな川(蜷川智) ハツの同級生。
オリチャンの熱狂的なファンで、いわゆるオタク気質
絹代(小倉絹代) ハツの中学時代からの友人。
社交的でハツとは対照的な性格
オリチャン(佐々木オリビア) 27歳のモデル。
にな川が憧れる存在で、物語の重要な要素

『蹴りたい背中』の読了時間の目安

『蹴りたい背中』は中編小説なので、比較的短時間で読み終えることができますよ。

読書のペースによって変わりますが、目安をまとめてみました。

項目 内容
ページ数 192ページ(河出文庫版
推定文字数 約115,200文字
読了時間(平均的な速度) 約3時間50分
読了時間(ゆっくり読む場合) 約5時間30分

一日で読み終えることも十分可能ですし、じっくり味わいながら2〜3日かけて読むのもおすすめです。

文章が美しいので、急がずに読み進めた方が良いでしょうね。

『蹴りたい背中』はどんな人向けの小説か?

『蹴りたい背中』は特定の読者層に深く刺さる小説だと思います。

どんな人におすすめできるか、まとめてみました。

  • 思春期の複雑な感情を理解したい人
  • 学校生活で疎外感を感じたことがある人
  • 繊細な心理描写を好む人
  • 日常の中の小さな変化を大切にする人
  • 明確な結末よりも余韻を楽しみたい人
  • 現代文学の美しい文章を味わいたい人
  • 人間関係の微妙な距離感に興味がある人

逆に、派手な展開やハッピーエンドを求める人には向かないかもしれません。

この作品の良さは静かな描写と内面の探求にありますからね。

あの本が好きなら『蹴りたい背中』も好きかも?似ている小説3選

『蹴りたい背中』を気に入った方におすすめしたい、似た雰囲気を持つ作品をご紹介します。

思春期の心理や人間関係の機微を描いた秀作ばかりですよ。

#『コンビニ人間』村田沙耶香

芥川賞受賞作品で、社会の「普通」から外れた主人公の心理を描いています。

36歳の独身女性がコンビニでアルバイトを続ける日常を通して、現代社会の価値観を問い直す作品です。

『蹴りたい背中』と共通するのは、主人公が社会の常識に違和感を抱きながら生きている点ですね。

どちらも「普通」とは何かを考えさせてくれる深い内容になっています。

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『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ

高校生たちの群像劇で、スクールカーストや青春の光と影を描いた作品です。

それぞれの生徒が抱える悩みや複雑な人間関係が丁寧に描写されています。

『蹴りたい背中』と似ているのは、学校という閉鎖的な空間での人間関係の難しさを描いている点ですよ。

どちらも思春期特有のもどかしさが伝わってくる名作です。

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『ひらいて』綿矢りさ

同じ綿矢りささんの代表作で、こちらも思春期の少女の心理を繊細に描いています。

『蹴りたい背中』と共通するのは、作者特有の美しい文体と、主人公の内面描写の深さですね。

綿矢文学の魅力を存分に味わえる作品として、ぜひ併せて読んでほしいです。

振り返り

『蹴りたい背中』は思春期の孤独と人間関係を繊細に描いた傑作でした。

ハツとにな川の奇妙な関係性、美しい文章表現、そして読者に委ねられた解釈の余地など、多くの魅力を持つ作品です。

読書感想文を書く際は、登場人物の心理変化や、タイトルの意味について深く考察してみてください。

この作品が皆さんの心に響き、豊かな読書体験となることを願っています。

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