『どっちでもいい子』のあらすじを簡単に短く、また詳しくネタバレなしでご紹介していきますね。
かさいまりさんによる『どっちでもいい子』は、優柔不断で自分の意見をなかなか言えない小学4年生の少女・はるの成長物語です。
2021年に岩崎書店から刊行されたこの作品は、内向的で自己主張が苦手な子どもたちの心情に寄り添った児童文学として注目されています。
私は年間100冊以上の本を読む読書家の私が、読書感想文を書く際に役立つよう、物語の核心部分をネタバレなしで丁寧に解説し、私自身の感想もお伝えしていきますよ。
かさいまり『どっちでもいい子』のあらすじを短く簡単に
かさいまり『どっちでもいい子』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)
小学4年生のはるは、何かを選ぶときにいつも「どっちでもいい」と答えてしまう優柔不断な性格だった。
自分の意見をはっきり言えず、周囲に合わせてしまう癖があり、クラスメイトからは「目立たない子」「いてもいなくてもどっちでもいい子」と言われることもあった。
新学期のクラス替えで友達ができず、ますます自信を失っていたはる。
そんな彼女の前に現れたのが、明るくて社交的な転校生の玲奈だった。
玲奈と自然に友達になれたはるは、彼女に連れられて偶然ヒップホップダンススクールを見学することになる。
そこで初めて「これだ!」という強い気持ちを感じたはるは、両親を説得してダンスを習い始める。
最初はうまく踊れずに悩むこともあったが、ダンスを通して少しずつ自分の気持ちを表現する楽しさを知っていく。
そして仲間との練習や発表会への参加を経験するなかで、はるの内面に大きな変化が訪れるのだった。
『どっちでもいい子』のあらすじを理解するための用語解説
『どっちでもいい子』を深く理解するために、重要な用語をまとめてみました。
以下の表で確認してくださいね。
用語 | 説明 |
---|---|
どっちでもいい | 主人公はるの口癖で 選択や決断ができないときに使う言葉。 優柔不断さや自己主張の弱さを象徴している。 |
優柔不断 | 物事を決められず 迷ってしまう性格のこと。 はるの成長のテーマとなる重要な要素。 |
自己肯定感 | 自分の存在や価値を認める気持ち。 物語後半でダンスを通して はるが身につけていく力。 |
ヒップホップダンス | 1970年代にニューヨークで生まれた 自由で個性的なストリートダンス。 音楽に合わせて様々なスタイルを組み合わせ 自分らしさを表現するのが特徴 |
これらの用語が物語の理解を深める手がかりになりますよ。
『どっちでもいい子』を読んだ私の感想
率直な感想ですが、いやあ、こういう子、本当にいますよね。昔の自分を見ているようで、最初から最後まで親近感に包まれていました。
子どもの頃、人前で自分の意見を言うのが苦手で、いつも曖昧な返事ばかりしていた私にとって、主人公のはるの気持ちは痛いほどよくわかります。
特に「本当は自分なりの考えがあるのに、それを言葉にするのが怖くて『どっちでもいい』と言ってしまう」という描写には、胸が苦しくなるほど共感しました。繊細な心の動きを、ここまで丁寧に描ける筆致に脱帽です。
物語に温かさを添えていたのが、親友の玲奈でした。彼女がはるを自然に受け入れ、ダンススクールに誘うシーンは、本当に「こんな友達がいたらいいのにな」と心から思いましたね。押し付けがましくない、自然体の友情の描き方がすごく良かったです。
そして何より感動したのは、ダンスを通してはるが変わっていく過程です。最初は恥ずかしがって小さく踊っていたはるが、だんだんと大胆に体を動かせるようになっていく。
それがそのまま心の成長として表現されているのが見事でした。「体を動かすことで心も解放される」という描写には、深い説得力がありましたね。
ただ、正直なところ、物語の終盤は少しスムーズに進みすぎるかな、という印象も持ちました。現実では、もう少し葛藤や紆余曲折があるはず。
でも、これは児童文学としての優しさなのかもしれませんませんね。子どもたちに「君はそのままでも大丈夫だよ」「でも、ちょっとだけ勇気を出してみない?」と語りかける、そんな前向きなメッセージが込められているのだと感じました。
総じて、この本は内向的な子どもの心にそっと寄り添ってくれる、とても温かい成長物語です。お子さんのいる方や、かつて内気な子どもだった大人たちに、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
※『どっちでもいい子』の読書感想文の書き方と例文はこちらで解説しています。

『どっちでもいい子』の作品情報
項目 | 内容 |
---|---|
作者 | かさいまり(作)
おとないちあき(絵) |
出版年 | 2021年7月15日 |
出版社 | 岩崎書店 |
受賞歴 | 特になし |
ジャンル | 児童書・YA(ヤングアダルト) |
主な舞台 | 小学4年生の教室や家庭、ダンススクール |
時代背景 | 現代の日本 |
主なテーマ | 自己肯定感の育成、成長と自己表現 |
物語の特徴 | 内向的な子どもの心情に寄り添った成長物語 |
対象年齢 | 小学校中学年〜高学年向け |
青空文庫の収録 | 収録なし |
『どっちでもいい子』の主要な登場人物とその簡単な説明
『どっちでもいい子』の重要な登場人物たちをご紹介しますね。
それぞれのキャラクターが物語にどんな役割を果たしているかも分かりますよ。
人物名 | 紹介 |
---|---|
はる | 主人公の小学4年生の女の子。 「どっちでもいい」が口癖で 優柔不断な性格に悩んでいる。 |
玲奈(れいな) | はるがクラス替え後に初めて友だちになった女の子。 社交的で、はるの心の支えとなる存在。 |
颯太(そうた) | はるの幼なじみで仲の良い男の子。 はるに励ましの言葉をかけてくれる。 |
はるの家族 | はるの両親や兄弟など。 はるの悩みや成長を見守る存在。 |
ダンススクールの先生 | ダンスを通じてはるが 自分を表現するきっかけを与える人物。 はるの成長を支える重要な役割を果たす。 |
『どっちでもいい子』の読了時間の目安
この本の読みやすさと読了時間についてまとめてみました。
読書感想文のスケジュール立てにも役立ててくださいね。
項目 | 内容 |
---|---|
ページ数 | 108ページ |
推定文字数 | 約64,800文字 |
読了時間の目安 | 約2時間10分 |
読書ペース | 1日30分読書なら約4日で完読可能 |
『どっちでもいい子』は小学生向けの児童文学なので、漢字にはふりがなが振ってあり、とても読みやすい作品です。
短期間で読み終えることができるので、読書感想文の課題図書としても取り組みやすいでしょう。
『どっちでもいい子』はどんな人向けの小説か?
『どっちでもいい子』は特に以下のような人におすすめできます。
- 自分の意見をはっきり言うのが苦手で、「どっちでもいい」とつい答えてしまう子ども
- 内向的で自己肯定感を高めたいと思っている小学生
- 学校生活の人間関係に悩みを抱えている子どもたち
逆に、すでに積極的で自己主張がはっきりしている子どもには、物足りなく感じられるかもしれません。
でも、周りにはるのような友達がいる場合は、その子の気持ちを理解する手助けになるでしょうね。
あの本が好きなら『どっちでもいい子』も好きかも?似ている小説3選
『どっちでもいい子』と似たテーマや雰囲気を持つ作品をご紹介します。
どの作品も子どもの成長や自己理解をテーマにした優れた児童文学ですよ。
オンジャリQ.ラウフ『5000キロ逃げてきたアーメット』
ロンドンに暮らす女の子アーメットが、難民としての過去や孤立に悩みながらも、周囲の協力を得て成長していく物語です。
孤立感や自己肯定感の回復というテーマが『どっちでもいい子』と共通しており、主人公が少しずつ心を開いていく過程が丁寧に描かれています。
吉野万理子『崖の下の魔法使い』
転校生の小学6年生の女の子が、新しい環境に馴染めず悩むなか、不思議なお店と魔法使いとの出会いで心の整理をしていくファンタジー作品。
自己理解や心の成長というテーマが共通しており、内向的な主人公の変化を描いた点で『どっちでもいい子』と似ています。
重松清『くちぶえ番長』
内気な主人公とクラスに新しく来た転校生の女の子が交流を通じて友情や勇気を育む成長物語。
友情や勇気、自己肯定感のテーマが『どっちでもいい子』と類似しており、学校生活を舞台にした身近な設定も共通点の一つです。
振り返り
『どっちでもいい子』のあらすじを簡単に短く、また詳しくネタバレなしでご紹介してきました。
かさいまりさんによるこの作品は、優柔不断で自己主張が苦手な子どもの心に寄り添った、とても温かい成長物語でした。
主人公のはるがダンスを通して少しずつ自分を表現できるようになる過程は、多くの読者に勇気と希望を与えてくれるでしょう。
読書感想文を書く際は、自分自身の経験と重ね合わせながら、はるの成長について考えてみてくださいね。
コメント