『よるのばけもの』のあらすじ【簡単に短く】

『よるのばけもの』のあらすじ あらすじ

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今日は住野よるさんの『よるのばけもの』について、あらすじから読書感想文のポイントまでをご紹介していきますね。

この物語は、夜になると化け物に変身してしまう中学生の男の子と、クラスでいじめられている女の子の交流を描いた青春小説です。

とても深いテーマが込められていて、読書感想文を書く皆さんの力になれるよう、短くて簡単なあらすじから詳しいあらすじまで、丁寧に解説していきますね。

読書が大好きで年間100冊以上の本を読む私におまかせください。

それではさっそく進めていきましょう!

 『よるのばけもの』の短くて簡単なあらすじ

夜になると化け物に変身する中学生・安達。学校に忍び込んだ夜、同じくいじめられているクラスメイトの矢野さつきと出会う。昼と夜、二つの顔を持つ安達は、矢野のにんまり笑いの真意を知り、自分の本当の姿と向き合いながら、勇気を出して彼女に「おはよう」と返す。

『よるのばけもの』の中間の長さのあらすじ

夜になると化け物に変身する中学生・安達は、ある夜、学校に忍び込んだときにクラスでいじめられている矢野さつきと出会う。いじめられても笑顔を絶やさない矢野に対して最初は距離を置いていた安達だが、彼女が恐怖から笑っていることを知る。クラスの一員として振る舞う昼の「俺」と、化け物として自由な夜の「僕」の間で葛藤する安達は、最終的に矢野の「おはよう」という挨拶に勇気を出して応えることを選んだ。

『よるのばけもの』の詳しいあらすじ

中学3年生の安達は、夜になると8つの目、6本の足、4本の尾を持つ化け物に変身するようになっていた。化け物になると睡眠が不要になり、夜に観光地や海へ行って過ごしていた。ある夜、学校に忘れた宿題を取りに行った安達は、クラスメイトの矢野さつきと出会う。矢野はクラスで壮絶ないじめに遭っていたが、いつもにんまり笑って過ごしていた。

安達は矢野をおかしな人間だと思っていたが、彼女と「夜休み」として交流するうちに、彼女が恐怖を感じると笑ってしまう癖があることを知る。彼は矢野を助けることができないもどかしさを感じながらも、昼の「俺」として振る舞うか、夜の「僕」として生きるかの葛藤に苦しむ。

ある朝、矢野の紙袋を踏みつぶしてしまった安達は、クラスの一員として「正しい」行動をとったと安堵する。しかし夜、矢野に謝りに行くと、彼女は「昼と夜、どちらが本当の姿なのか」と問いかける。翌朝、いつものように怯えながらにんまり笑って挨拶してくる矢野に、安達は勇気を出して「おはよう」と返すことを選ぶのだった。

 『よるのばけもの』の概要

作者 住野よる
出版年 2016年
受賞歴
主な舞台 中学校と夜の街
時代背景 現代日本

『よるのばけもの』の主要な登場人物

『よるのばけもの』の主人公や重要なサブキャラクターたちをご紹介しますね。

それぞれが物語に深みを与える大切な役割を持っています。

安達(あだち) 主人公。気弱で他人の目を気にする中学3年生の男子。夜になると8つ目、6本足、4本尾の化け物に変身する。昼は「俺」、夜は「僕」と自分を呼び分ける。
矢野さつき クラス全員からいじめを受けている女子生徒。いじめられてもにんまり笑っていることから「頭がおかしい」と思われているが、実は恐怖を感じると笑ってしまう癖がある。
緑川双葉 いつも図書館で過ごし、挨拶をしても「うん」としか返さない女子生徒。矢野の元友達で、矢野とは対照的な扱いを受けている。
笠井 クラスの中心人物。頭が良く、周囲を自分の思い通りに動かすことができる男子生徒。
工藤 安達と隣の席の女子生徒。元気で後輩の面倒見も良いが、矢野の頭にジュースのパックを躊躇なく投げつける一面も持つ。
中川ゆりこ 顔も性格も派手でクラスの男子から人気がある女子生徒。率先して矢野のいじめに加担する。
井口 誰にも笑顔を振りまく優しい性格の女子生徒。矢野の消しゴムを拾ったことでいじめの対象になる。
元田 野球部員。率先して矢野のいじめに加担し、夜の学校に怪獣を捕まえに侵入する。
能登先生(のんちゃん) 保健室の33歳の先生。面倒見が良いが、矢野へのいじめに介入しない姿勢を見せる。

『よるのばけもの』の文字数と読了時間

『よるのばけもの』の文字数と読むのにかかる時間の目安をご紹介します。

読書感想文を書く前の計画づくりに役立ててくださいね。

推定文字数 約172,800文字(288ページ/双葉文庫)
読了時間の目安 約5時間45分(日本人の平均読書速度1分間に500字で計算)
読破難易度 中~易(中高生向けに書かれている)

ページ数から見ると比較的短くて読みやすい長さですが、内容は深いので、じっくり味わって読むことをおすすめします。

 『よるのばけもの』の読書感想文を書くうえで外せない3つの重要ポイント

『よるのばけもの』の読書感想文を書くときに特に注目したいポイントを3つご紹介します。

これらのポイントについて考えることで、より深い感想文が書けるようになりますよ。

  • 主人公の二面性と自己受容
  • いじめの描写と集団心理
  • 「化け物」というメタファーの意味

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

主人公の二面性と自己受容

この物語の大きなテーマの一つは、主人公・安達の二面性です。

昼の「俺」と夜の「僕」という二つの人格は、私たちが持つ二面性を象徴しています。

安達は夜になると化け物になり、普段の自分とは全く違う姿になります。

この「夜の姿」は、本当の自分、あるいは隠したい自分の象徴かもしれません。

昼間は周囲の目を気にして「正しい」行動をとる安達ですが、夜になると本音で生きることができます。

物語の中で安達は「昼と夜、どちらが本当の自分なのか」という問いに直面します。

これは私たち誰もが持つ「本当の自分とは何か」という根源的な問いでもあります。

読書感想文では、安達がどのように自分の二面性と向き合い、最終的にどんな選択をしたのかを考察してみましょう。

また、あなた自身も「周囲に合わせる自分」と「本当はこうしたい自分」の間で葛藤したことはないでしょうか。

そういった自分の経験と結びつけて書くと、より説得力のある感想文になりますよ。

いじめの描写と集団心理

この作品では、矢野さつきへのいじめが生々しく描かれています。

直接的な暴力はほとんどないものの、無視やいやがらせといった「見えにくいいじめ」の残酷さが浮き彫りにされています。

特に注目したいのは、クラスの集団心理です。

井口が矢野の消しゴムを拾っただけでいじめの対象になったり、笠井を中心とした「正しさ」の同調圧力が描かれています。

安達自身も最初は傍観者の立場でしたが、矢野と交流するうちに、いじめの構造や自分自身の加担について考えるようになります。

矢野の紙袋を踏みつぶしたときの安達の「クラスの一員として正しい行動がとれた」という安堵感は、いじめの構造の中で私たちがいかに同調してしまうかを示しています。

読書感想文では、なぜいじめが起きるのか、傍観者の責任は何か、いじめをなくすためには何が必要かなどについて、物語を通して考えたことを書いてみるといいでしょう。

「化け物」というメタファーの意味

タイトルにもなっている「化け物」は、この物語の重要なメタファーです。

安達が夜になると変身する「化け物」は、単なるファンタジー要素ではなく、深い意味を持っています。

「化け物」は外見や行動が「普通」とされる基準から外れた存在として描かれますが、それは本当に悪いことなのでしょうか。

矢野は安達の化け物の姿を見ても恐れませんでした。

それどころか、「夜休み」という時間を共有し、お互いの本音をさらけ出すことができました。

この「化け物」は、社会の中で「異質」とされるものの象徴かもしれません。

また、自分の内側にある、人には見せたくない部分や本音の象徴かもしれません。

読書感想文では、「化け物」というメタファーが何を表しているのか、あなたなりの解釈を書いてみましょう。

また、社会の中で「普通」とされることへの疑問や、多様性を受け入れることの大切さについても考えを述べると、より深い感想文になるでしょう。

※『よるのばけもの』を通して作者が伝えたいことは、こちらの記事で考察しています。

『よるのばけもの』が伝えたいこと。3つの読み解く鍵とは?
『よるのばけもの』が伝えたいことには、深い意味が込められています。化け物になることの象徴性、笑顔の裏に隠された真実、夜の学校という特別な空間の意味。作品の謎を一つずつ解き明かしながら、私たちの心に届けられたメッセージを探ります。

 『よるのばけもの』の読書感想文の例(原稿用紙4枚分/約1600文字)

私は今回、住野よるの『よるのばけもの』を読んで、人間の二面性と他者への理解について深く考えさせられた。特に中学生という多感な時期の心の揺れ動きが、すごくリアルに描かれていると感じた。

主人公の安達は夜になると8つ目、6本足、4本尾を持つ化け物に変身する。昼間は周りの目を気にして生きる普通の中学生なのに、夜になると全く違う姿になってしまうのだ。最初は怖くて仕方がなかったが、次第に夜の時間を楽しむようになった安達は、ある夜、同級生の矢野さつきと出会う。その出会いが、安達の価値観を大きく変えていくことになる。

正直に言うと、最初は矢野のことが全然理解できなかった。クラスメイトからひどいいじめを受けているのに、いつもにんまりと笑っている姿には読んでいるこちらも違和感を覚えてしまう。でも、実は矢野は怖くて笑ってしまう「癖」があったということを知り、ハッとした。人の表面だけを見て判断することがどれだけ浅はかなことかを思い知らされた気がした。

作中に登場する工藤や中川ゆりこのような「普通」の生徒たちも、実は自分の弱さや不安を隠すために誰かを傷つけているのだと気づかされた。誰もが何かしらの仮面をかぶって生きているのかもしれない。

特に印象に残ったのは、井口をかばうために自分から進んでビンタをして、イジメの的になることを選んだ場面である。周りからは「頭がおかしい」と思われている矢野が、実は誰よりも他人のことを考えて行動していたことに衝撃を受けた。この場面で、自分の中の「正義」とは何なのかを考えさせられた。

安達自身も昼と夜で全く違う存在になる。「俺」と「僕」という二つの人格を持つ安達は、自分のどちらが本当の姿なのかと悩む。この部分は正直すごく共感した。自分も友達といる時と家族といる時で全然違う自分になっている気がするし、SNSでの自分と現実の自分も違う気がする。どれが本当の自分なのかなんて、簡単には答えが出ないと思う。

作品の中で一番心に刺さったのは、「夜休み」という時間だ。昼間のしがらみから解放される夜の時間は、安達と矢野にとって唯一の居場所だった。でも、矢野は「昼も夜も同じ自分」だと言い切る。この言葉には本当の強さを感じた。自分を偽らず、たとえ怖くても笑ってしまう癖も含めて、ありのままの自分でいようとする矢野の姿勢は、すごくカッコよかった。

保健室の能登先生の存在も考えさせられた。大人なのに積極的に介入しない姿勢は最初は理解できなかったが、「生き延びなさい」という言葉には、現実世界を生きていく上での厳しさと優しさが込められていたのかもしれない。

最後に安達が矢野の「おはよう」に応えるシーンは、泣きそうになった。みんなが無視する中で、一人だけでも応えることの意味。それは小さな勇気かもしれないけど、きっと大きな一歩なのだと思う。

この作品を読んで、人は誰しも複雑な内面を持っているということを学んだ。表面的な姿だけで人を判断してはいけない。自分も知らず知らずのうちに、誰かを傷つけていたかもしれない。これからは相手の気持ちをもっと考えて、その人の本当の姿を理解しようと努力したい。

化け物になる設定は非現実的だけど、人間関係や自分らしさを探す葛藤は、すごくリアルだと思った。夜の化け物も、昼間の自分も、全部ひっくるめて「自分」なのだという気づきは、今の自分にとってすごく大切な発見になった。

きっと誰にでも、昼と夜があって、見せたい自分と隠したい自分があるのだと思う。でも、それを受け入れることから、本当の意味での成長が始まるのかもしれない。この本は、そんなことを教えてくれた大切な一冊になった。そして、誰かの中にある「化け物」に気づいたとき、その存在を否定するのではなく、受け入れる勇気を持ちたいと強く思った。

『よるのばけもの』はどんな人向けの小説?

『よるのばけもの』はどんな人に読んでほしい本なのか、考えてみました。

  • 自分の居場所や本当の自分について悩んでいる中高生
  • いじめや学校での人間関係に苦しんでいる人
  • ファンタジー要素と現実の問題が融合した物語が好きな人
  • 繊細な心理描写を味わいたい人
  • 青春小説ファンで、少し異色の学園物語を求めている人

特に思春期の複雑な感情や学校での人間関係に悩む中高生には、強く響く作品だと思います。

自分自身の内面と向き合うきっかけになるかもしれませんね。

また、大人になってからでも、自分の中学・高校時代を振り返りながら読むと、新たな発見があるかもしれません。

シンプルながらも深いテーマを持つ作品なので、年齢を問わず楽しめる小説です。

『よるのばけもの』に似た小説3選

『よるのばけもの』を読んで感動した人におすすめの、似たテーマや雰囲気を持つ小説を紹介します。読書の幅を広げるきっかけになれば嬉しいです。

 『君の膵臓をたべたい』(住野よる)

住野よるさんのデビュー作で、余命宣告を受けた女子高生と彼女の秘密を知ってしまった男子高生の物語です。

『よるのばけもの』と同様に、人との距離感や本当の自分を見せることの難しさ、そして勇気を持って一歩踏み出す姿が描かれています。

主人公たちの繊細な心理描写や、シンプルながらも心に響く文体など、住野よるさんの特徴がよく表れた作品です。

『よるのばけもの』を読んで感動した人なら、きっとこの作品にも心を揺さぶられるでしょう。

『君の膵臓をたべたい』(小説)のあらすじを短く簡単に!
『君の膵臓をたべたい』の小説のあらすじを短く簡単に分かりやすくまとめました。読書感想文で外せない重要ポイントや登場人物紹介、読了時間の目安まで、きめ細かく解説しています。

 『青くて痛くて脆い』(住野よる)

こちらも住野よるさんの作品で、高校の文芸部を舞台にした青春小説です。

自分の本音と向き合うことの難しさや、人間関係の複雑さが描かれており、『よるのばけもの』と共通するテーマを持っています。

特に、主人公たちが自分の弱さや本心と向き合いながら成長していく過程は、『よるのばけもの』の安達の成長と重なる部分があります。

青春の痛みや葛藤を繊細に描いた作品として、ぜひ読んでみてください。

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 『か「」く「」し「」ご「」と「』(住野よる)

住野よるさんのもう一つの代表作で、秘密を抱えた人々の物語です。

『よるのばけもの』の「化け物」という外には見せられない部分を持つというテーマと通じるものがあります。

人それぞれが抱える「隠しごと」と、それを抱えながら生きていくことの苦しさや強さが描かれています。

人間関係の複雑さや自己受容というテーマを探求したい方におすすめです。

 振り返り

今回は住野よるさんの『よるのばけもの』について、あらすじから読書感想文のポイントまでをご紹介しました。

この作品は、化け物に変身する少年と、いじめられている少女の交流を通して、「本当の自分とは何か」「他者との関係性」「社会の中での居場所」といった普遍的なテーマを描いています。

短くて簡単なあらすじから詳しいあらすじまで段階的に紹介したので、皆さんの読書感想文作成の参考になれば嬉しいです。

特に重要ポイントとして挙げた「主人公の二面性と自己受容」「いじめの描写と集団心理」「化け物というメタファーの意味」の3つは、読書感想文を書く際に深く掘り下げると良いでしょう。

読書感想文を書くのは大変かもしれませんが、この記事が少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。

素晴らしい読書体験と、充実した感想文になりますように!

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