『読書嫌いのための図書室案内』あらすじと内容※ネタバレなし

『読書嫌いのための図書室案内』あらすじ あらすじ

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『読書嫌いのための図書室案内』のあらすじをご紹介していきますね。

この作品は青谷真未さんが描く青春ビブリオ小説で、読書嫌いの高校生が図書委員として成長していく物語です。

年間100冊以上の本を読む私が、読書感想文を書く予定の皆さんに向けて、この小説の具体的な内容や魅力を余すことなくお伝えしていきますよ。

あらすじから登場人物、そして私の率直な感想まで、丁寧に解説していくので最後まで読んでみてくださいね。

青谷真未『読書嫌いのための図書室案内』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)

読書が大嫌いな高校2年生の荒坂浩二は、ある事情で図書委員になってしまう。

司書の河合先生から廃刊していた図書新聞の復刊を任された浩二は、読書好きの同級生・藤生蛍と協力することになった。

新聞に載せる読書感想文を集めるため、浩二は知り合いに執筆を依頼するが、なぜか皆から謎めいた条件を出される。

この不可解な条件の謎を解く過程で、浩二と蛍は学校で過去に起きた自殺事件や、周囲の人々が抱える秘密に迫っていくことになる。

青谷真未『読書嫌いのための図書室案内』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)

白木台高校では部活か委員会のどちらかに所属する必要があり、部活を辞めた荒坂浩二は負担が少ないと考えて図書委員を選んだ。

しかし初回の委員会で「好きな本は特にありません」と正直に答えてしまい、司書の河合先生から廃刊していた図書新聞の復刊を命じられる。

河合先生は「読書をしない荒坂くんに、本に興味がない人も手に取ってもらえるような新聞を作ってもらいたい」と言う。

同じ図書委員で読書好きの藤生蛍と組むことになった浩二は、図書新聞に載せる読書感想文を書いてもらうため知り合いに声をかけ始める。

ところが元美術部部長の緑川彰人、卓球部の八重樫徹、生物教師の樋崎先生の3人から、それぞれ不可解な条件を提示される。

緑川は書いた感想文にタイトルを書かず「当ててみて。正しいタイトルがわかったら載せていい」と言い、樋崎先生は安部公房の『赤い繭』について、蛍ではなく浩二に感想文を書かせ「先に君の書いた感想文を見せてほしい」と要求した。

浩二と蛍がこれらの謎めいた条件の理由を探っていくうちに、浩二と彰人の間にある過去の因縁、樋崎先生の隠された過去、学校で過去に起きた自殺事件との関連が明らかになっていく。

『読書嫌いのための図書室案内』のあらすじを理解するための用語解説

『読書嫌いのための図書室案内』のあらすじやストーリーに出てくる専門的な用語をわかりやすく説明しますね。

用語 説明
ビブリオ小説 書物(ビブリオ)をテーマにした小説のこと。
本や読書を通じて物語が展開される作品を指します。
図書新聞 学校の図書室が発行する新聞のこと。
本の紹介や読書感想文などが掲載されます。
共感覚 ひとつの刺激に対して複数の感覚が同時に働く現象。
音を聞いて色が見えるなどの特殊な知覚体験を指します。
裏読み 文章の表面的な意味だけでなく、
隠された意味や作者の意図を深く読み取ること。
物語を様々な角度から解釈する読み方を指します。

これらの用語を理解しておくと、物語の内容がより深く理解できるでしょう。

『読書嫌いのための図書室案内』の感想

『読書嫌いのための図書室案内』を読み終えて、まず思ったのは「なんて優しい物語なんだろう」ということでした。

読書嫌いの主人公・荒坂浩二の心境の変化が本当に丁寧に描かれていて、私自身も中高生の頃に感じていた「読書って面倒くさい」という気持ちを思い出しました。

浩二が最初に「好きな本は特にありません」と正直に答えるシーンなんて、もう等身大すぎて笑ってしまいましたよ。

でも、この主人公の素直さがあるからこそ、物語に説得力が生まれているんですね。

読書好きの藤生蛍との関係性も素晴らしかったです。

蛍が本の話をするときに目をきらきらと輝かせる描写は、本当に読書好きの人の表情そのもので、私も思わず「わかる!」と共感してしまいました。

彼女の「裏読み」の考え方にも感動しましたね。

「現実に嫌な人が現れても、たくさん裏読みをすることで『何か理由があるんじゃないか』『前向きに受け取ろう』って思える」という言葉は、読書の意味を見事に表現していると思います。

物語の中で扱われる安部公房の『赤い繭』や『箱男』といった実在の文学作品も効果的に使われていました。

これらの作品を通じて浩二が成長していく過程は、読んでいて本当に心が温かくなります。

ミステリー要素もよく練られていて、過去の自殺事件の謎や登場人物たちの抱える秘密が少しずつ明かされていく展開にはページをめくる手が止まりませんでした。

特に緑川彰人との過去の因縁や、樋崎先生の隠された思いが明らかになるシーンでは、思わず涙がこぼれそうになりましたよ。

学校という閉鎖的な環境での息苦しさや、蛍がクラスメイトに上履きを隠されるいじめの現実も丁寧に描かれていて、単なる理想論ではない重みを感じました。

浩二が蛍を助けるシーンでは「よくやった!」と心の中で拍手を送っていました。

読書嫌いだった浩二が徐々に本の魅力に気づいていく過程は、読んでいる私たち読者にも読書の意味を改めて考えさせてくれます。

本は単なる娯楽ではなく、人の心に寄り添い、現実と向き合う力を与えてくれるものなんだということを、この物語は教えてくれるんです。

最後に浩二が見せる成長ぶりには本当に感動しました。

読書嫌いの高校生が図書新聞を通じて人とのつながりを深め、自分自身と向き合っていく姿は、多くの若い読者にとって希望の光になるでしょうね。

※『読書嫌いのための図書室案内』の読書感想文の例文と書き方はこちら。

『読書嫌いのための図書室案内』の読書感想文の例文と書き方
『読書嫌いのための図書室案内』の読書感想文の書き方を詳しく解説。触れるべき3つの要点、中学生・高校生向けの例文、題名や書き出しのコツまで、コピペに頼らない感想文作成をサポートします。

『読書嫌いのための図書室案内』の作品情報

項目 内容
作者 青谷真未
出版年 2020年
出版社 早川書房(ハヤカワ文庫JA
受賞歴 特記なし
ジャンル 青春ビブリオ小説、学園ミステリー
主な舞台 白木台高校とその図書室
時代背景 現代の日本
主なテーマ 読書の意味、青春、成長、人間関係
物語の特徴 読書嫌いの主人公が図書委員として成長する物語
対象年齢 中学生以上
青空文庫の収録 なし(著作権保護期間中)

『読書嫌いのための図書室案内』の登場人物と簡単な説明

『読書嫌いのための図書室案内』の物語に登場する重要な人物たちをご紹介しますね。

人物名 紹介
荒坂浩二 主人公の高校2年生。
読書が嫌いで図書委員になる。
絵の才能があり共感覚を持つ。
藤生蛍 浩二と同じクラスの図書委員。
読書好きで本の虫。
猫背で大きな眼鏡をかけた大人しい少女。
河合先生 学校の司書。
浩二に図書新聞の復刊を任せる。
本に興味がない人の気持ちを理解したいと考えている。
緑川彰人 元美術部部長。
浩二に謎めいた条件で読書感想文を依頼される。
浩二との間に過去の因縁がある。
八重樫徹 卓球部の部員。
留学生アリシアへの思いを抱く高校生。
読書感想文に特別な条件を出す。
樋崎先生 生物教師。
物語の中で謎めいた役割を持つ人物。
隠された過去を持つ。
アリシア 留学生。
物語の一部として登場し、
周囲の人物たちの関係に影響を与える。

これらの登場人物たちが織りなす人間関係が物語の魅力のひとつですね。

『読書嫌いのための図書室案内』の読了時間の目安

この小説の読了時間について詳しくご紹介しますね。

項目 内容
ページ数 約304ページ
推定文字数 約182,400文字
読了時間の目安 約6時間5分
1日1時間読む場合 約6日で読了
1日30分読む場合 約12日で読了

『読書嫌いのための図書室案内』は文庫サイズで読みやすく、文体も平易なので読書初心者の方でもスムーズに読み進められるでしょう。

青春小説らしい親しみやすい文章なので、普段あまり本を読まない方でも無理なく楽しめますよ。

『読書嫌いのための図書室案内』はどんな人向けの小説か?

『読書嫌いのための図書室案内』がどんな方におすすめかをご紹介していきますね。

  • 読書が苦手・嫌いな中高生や若者の方
  • 青春小説や学園ものが好きな方
  • 読書の意味や価値を改めて考えたい方

特に読書嫌いの主人公が成長していく姿に共感できるので、本を読むことに苦手意識を持っている方には強くおすすめします。

また、軽いミステリー要素も含まれているため、謎解きが好きな方にも楽しんでいただけるでしょう。

逆に、重厚な文学作品や複雑な心理描写を期待される方には少し物足りなく感じられるかもしれません。

でも、そんな方でも青春時代を思い出しながら読めば、きっと心温まる体験ができるはずですよ。

あの本が好きなら『読書嫌いのための図書室案内』も好きかも?似ている小説3選

『読書嫌いのための図書室案内』と似た魅力を持つ作品をご紹介していきますね。

どれも青春や成長をテーマにした読みやすい作品です。

石田衣良『4TEEN』

14歳の少年たちの日常と成長を瑞々しく描く青春小説です。

友情や恋愛、悩みや葛藤を通して少年たちが少しずつ大人になっていく姿が爽やかに描かれています。

『読書嫌いのための図書室案内』と同様に、等身大の高校生の心境がリアルに描かれているところが共通点ですね。

どちらも読書初心者の方でも親しみやすい文体で書かれているのも似ているポイントです。

小川洋子『博士の愛した数式』

数学博士と家政婦の交流を通じて、記憶障害や人間関係、優しさが繊細に描かれる作品です。

謎や秘密を含むヒューマンドラマとして、『読書嫌いのための図書室案内』のミステリー的要素や人間関係の深まりと共通しています。

どちらも学問(数学と読書)を通じて人とのつながりを描いているところが似ていますね。

温かい人間関係が心に響く点でも共通している作品です。

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梨木香歩『西の魔女が死んだ』

現代の少女が自然や家族と向き合いながら成長する物語です。

穏やかな描写の中に人生の大切なテーマが込められており、読書に苦手意識がある人でも親しみやすく心に響く作品になっています。

『読書嫌いのための図書室案内』と同じように、主人公の成長過程が丁寧に描かれているのが共通点です。

どちらも読後に心が温かくなるような、優しさに満ちた物語ですね。

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振り返り

『読書嫌いのための図書室案内』のあらすじから感想まで、詳しくご紹介してきました。

この作品は読書嫌いの高校生が図書委員として成長していく青春小説で、読書の意味や価値を優しく教えてくれる物語です。

ミステリー要素も含まれていて、最後まで飽きることなく読み進められるでしょう。

読書感想文を書く予定の方はもちろん、本を読むことに苦手意識を持っている方にもぜひ手に取っていただきたい一冊ですね。

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