『最後の一葉』のあらすじをこれからご紹介していきます。
オー・ヘンリーの名作として知られる『最後の一葉』は、人の命を救うための芸術家の自己犠牲を描いた感動的な短編小説。
私は年間100冊以上の本を読む読書好きですが、この物語は何度読んでも心に残る名作だと思います。
読書感想文を書く予定の皆さんのために、短い簡単なあらすじから詳しいあらすじまで、丁寧に解説していきますね。
この記事を読めば、『最後の一葉』の本質をしっかり理解して、素晴らしい読書感想文が書けるようになりますよ。
『最後の一葉』の簡単なあらすじ
画家のジョンジーは重い肺炎で生きる希望を失い、窓の外の蔦の葉がすべて落ちたら自分も死ぬと思い込んだ。嵐の夜、最後の一葉だけが残り、それを見てジョンジーは生きる気力を取り戻した。実はその葉は老画家ベアマンが命がけで描いた傑作だった。ジョンジーは回復したが、ベアマンは肺炎で亡くなった。
『最後の一葉』の中間の長さのあらすじ
画家のジョンジーとスーはワシントン・スクエア近くのアパートで貧しいながらも仲良く暮らしていた。ある日、ジョンジーは肺炎にかかり、窓の外の蔦の葉がすべて落ちたら自分も死ぬと思い込んでしまう。
階下に住む老画家ベアマンはこの話を聞き、嵐の夜、壁に葉を描いた。翌朝、最後の一葉を見たジョンジーは生きる希望を取り戻したが、ベアマン自身は肺炎で亡くなってしまった。
『最後の一葉』の詳しいあらすじ
ニューヨークのワシントン・スクエア近くにある古びたアパートに、画家のジョンジーとスーが住んでいた。二人は貧しいながらも楽しく暮らしていたが、ある日ジョンジーは重い肺炎にかかってしまう。医者は「ジョンジーは生きる気力を失っている。このままでは助かる可能性は十に一つ」とスーに告げた。弱り切ったジョンジーは、窓の外に見える壁を這う蔦の葉が落ちるのを数え、「あの葉がすべて落ちたら、私も死ぬ」と言うようになる。
階下には老画家ベアマンが住んでいた。彼はいつか傑作を描くと豪語しつつも長く絵筆を握らず、酒を飲んでは人を嘲る日々を送っていた。ジョンジーの様子を知ったベアマンは「ばかげている」と怒ったが、その夜激しい嵐が吹き荒れた。翌朝、蔦の葉は最後の一枚になっていた。さらに嵐が続いた次の朝も、その一枚は落ちずにあった。
それを見たジョンジーは生きる希望を取り戻し、奇跡的に回復した。しかし、ベアマンは肺炎で亡くなった。実は最後の一葉は、ベアマンが嵐の中で描いた本物そっくりの絵だったのだ。スーはこれこそが、ベアマンがずっと語っていた「傑作」だったと語った。
『最後の一葉』の作品情報
『最後の一葉』について、基本的な情報をまとめてみました。
項目 | 内容 |
---|---|
作者 | オー・ヘンリー |
出版年 | 1905年 |
出版社 | 岩波書店、岩崎書店、新潮社、KADOKAWAなど |
受賞歴 | 特になし |
ジャンル | 短編小説 |
主な舞台 | ニューヨーク・ワシントン・スクエア近くの芸術家アパート |
時代背景 | 20世紀初頭のアメリカ |
主なテーマ | 自己ぎせい、希望、芸術の力 |
物語の特徴 | 感動的な結末、象徴的な表現 |
対象年齢 | 小学校高学年以上 |
『最後の一葉』の主要な登場人物
『最後の一葉』に登場する主な人物たちを紹介します。
それぞれのキャラクターは、物語の中で重要な役割を担っていますよ。
人物名 | 説明 |
---|---|
ジョンジー(ジョアンナ) | 物語の主人公。 画家。重い肺炎を患い、生きる希望を失っている。 |
スー | ジョンジーのルームメイトであり友人。 同じく画家。 |
ベアマン(ベールマン) | 同じアパートの階下に住む老画家。 酒好きだが心優しい。 |
医者 | ジョンジーを診察する医師。 彼女の回復には「生きる気力」が必要だと指摘する。 |
登場人物は少ないですが、それぞれが深い人間性を持っており、読者の心に強く残る存在です。
『最後の一葉』の文字数と読了時間
『最後の一葉』を読むのにどれくらいの時間がかかるのか、目安をお伝えします。
項目 | 数値 |
---|---|
総文字数 | 約7,000文字 |
ページ数 | 約12ページ |
読了時間の目安 | 約14分 |
『最後の一葉』は短編小説なので、15分もあれば十分に読み終えることができます。
簡単に読める長さなので、何度も読み返して深く理解することができるのも魅力です。
『最後の一葉』の読書感想文を書くうえで外せない3つの重要ポイント
『最後の一葉』の読書感想文を書く際には、以下の3つのポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 希望の象徴としての「最後の一葉」
- ベアマンの自己ぎせいと真の芸術
- 生きる意味と他者とのつながり
これらのポイントについて詳しく見ていきましょう。
希望の象徴としての「最後の一葉」
この物語において、蔦の「最後の一葉」は単なる植物ではなく、希望の象徴として描かれています。
ジョンジーにとって、その葉は自分の命と同じものでした。
一枚また一枚と葉が落ちていく様子を見ながら、ジョンジーは自分の命も同じように消えていくと思い込んでいたのです。
読書感想文では、この「葉=希望」という象徴性について考察してみるといいでしょう。
なぜジョンジーは葉に自分の命を重ね合わせたのか、希望を失うとはどういうことなのか、そして最後の一葉を見たときにジョンジーの心にどんな変化が起こったのかを掘り下げてみてください。
また、私たちの日常生活においても、希望を持つことがいかに大切かについて、自分の経験と結びつけて考えてみるのもよいでしょう。
ベアマンの自己犠牲と真の芸術
老画家ベアマンの行動は、この物語の核心部分です。
彼はいつか「傑作」を描くと言いながらも、長い間実際には描いていませんでした。
しかし、ジョンジーの命を救うために命がけで描いた「最後の一葉」こそが、彼の本当の傑作となったのです。
読書感想文では、ベアマンの自己犠牲的な行為について深く考察してみましょう。
芸術とは何か、真の傑作とは何かというテーマについても触れると良いでしょう。
また、他者のために自分を犠牲にするという行為について、自分はどう思うかを述べるのも効果的です。
生きる意味と他者とのつながり
『最後の一葉』は、生きる意味や他者とのつながりについても深いメッセージを持っています。
ジョンジーは病気で弱っていただけでなく、精神的にも生きる希望を失っていました。
そんな彼女を救ったのは、ベアマンの思いやりと、彼が命がけで描いた一枚の葉でした。
読書感想文では、人と人とのつながりがいかに大切かについて考えてみましょう。
私たちは一人では生きていけないこと、誰かの思いやりや行動が他の人の命や心を救うことがあるという点に着目すると良いでしょう。
また、生きる意味や目的について、自分自身の考えを述べるのも良いでしょう。
※作者が『最後の一葉』で伝えたいことは、以下の記事で考察しています。

『最後の一葉』の読書感想文の例(原稿用紙3枚/約1200文字)
私は今回、オー・ヘンリーの『最後の一葉』という短編小説を読んだ。
たった十数ページの短い物語だったが、読み終えた後、長い間考え込んでしまうほど深い印象を受けた。
この物語は、肺炎を患ったジョンジーという女性画家と、彼女を救うために命を犠牲にした老画家ベアマンの話だ。
最初にこの物語を手に取ったとき、タイトルの『最後の一葉』がどういう意味なのか分からなかった。
でも読み進めていくうちに、窓の外の蔦の葉がジョンジーの命と重ね合わされていることが分かってきた。
病気で弱っているジョンジーが「最後の葉が落ちたら私も死ぬ」と言ったとき、正直「なんてバカな考えだ」と思った。
でも考えてみれば、私だって時々ささいなことで落ち込んだり、希望を失ったりすることがある。
試験の点数が悪かっただけで「もう勉強なんて無理だ」とか思ってしまうこともある。
ジョンジーの気持ちは、よく分かる気がした。
この物語で一番心に残ったのは、老画家ベアマンの行動だ。
いつも酒ばかり飲んで大きな口をたたいていた彼が、嵐の夜に外に出て命がけで葉っぱを描いたという事実に驚いた。
しかも、それが原因で彼自身が肺炎にかかって亡くなってしまうなんて。
最初はただの嫌な老人だと思っていたベアマンが、実は心の底からジョンジーのことを心配していたんだと分かった瞬間、なんだか胸が熱くなった。
自分だったら、他人のために自分の命を危険にさらすことができるだろうか。
そう考えると、自信がない。
ベアマンの行動は、本当の意味での芸術家の魂を感じさせる。
彼がずっと描きたいと言っていた「傑作」は、賞をとるような立派な絵ではなく、一人の命を救うための一枚の葉だった。
それこそが、彼にとっての真の芸術だったのかもしれない。
この物語からは、希望の大切さも強く感じた。
ジョンジーは葉が全部落ちたら死ぬと思い込んでいたけれど、実はそんなことはない。
でも、彼女が希望を持ち続けることができたからこそ、病気から回復できたんだと思う。
私たちの人生でも同じことが言えるんじゃないだろうか。
希望があれば、どんな困難も乗り越えられる。
逆に、希望を失うことほど怖いことはない。
最後に、人と人とのつながりの大切さも考えさせられた。
スーがジョンジーを助けようとしたこと、ベアマンが命を賭けてまでジョンジーを救おうとしたこと。
周りの人の愛や思いやりがなければ、ジョンジーは助からなかったかもしれない。
私たちも日々の生活の中で、誰かの小さな思いやりに助けられていることがたくさんあるはずだ。
そして、自分も誰かの「最後の一葉」になれるかもしれない。
『最後の一葉』を読んで、私は人生における希望の大切さ、芸術の本当の意味、そして人と人とのつながりについて深く考えさせられた。
たった一枚の葉っぱが持つ力、一人の芸術家の行動が持つ意味。
この物語は短いけれど、とても深いメッセージを持っていると思う。
『最後の一葉』はどんな人向けの小説か
『最後の一葉』は多くの人に感動を与える作品ですが、特に以下のような方におすすめです。
- 人の思いやりや優しさに感動したい人
- 芸術の本当の価値や意味を考えたい人
- 短い時間で深い感動を味わいたい人
- 希望や生きる意味について考えたい人
- 読書感想文の課題が出ている学生
また、人間関係に悩んでいる人や、生きる希望を見いだせずにいる人にも、この物語は大きな勇気を与えてくれるでしょう。
『最後の一葉』に類似した内容の小説3選
『最後の一葉』を読んで感動した方に、同じような感動や思考を与えてくれる作品を3つ紹介します。
『賢者の贈り物』(オー・ヘンリー)
同じオー・ヘンリーの作品で、自己ぎせいと愛をテーマにした短編小説です。
貧しい若い夫婦が、クリスマスに互いへのプレゼントを買うために、自分の大切なものを手放すという物語です。
『最後の一葉』と同様に、他者への深い思いやりと自己ぎせいの美しさが描かれています。

『嘘をもうひとつだけ』(東野圭吾)
この短編集には「優しい嘘」をテーマにした作品が含まれています。
人を思いやるための嘘や行動が、相手の心を救うという点で『最後の一葉』に通じるものがあります。
東野圭吾独特の緻密な構成と温かい人間描写が魅力です。
『にごりえ』(樋口一葉)
遊郭で働く女性が貧しい男に惚れ、自己犠牲的な愛を貫く物語です。
『最後の一葉』と同様、人間の深い感情や献身が中心となっており、切なさと感動を呼び起こします。
振り返り
この記事では、オー・ヘンリーの名作『最後の一葉』について、あらすじから読書感想文の書き方まで詳しく解説しました。
短編小説ながら、希望や自己犠牲、芸術の真髄といった深いテーマを持つこの作品は、読者に多くの気づきを与えてくれます。
読書感想文を書く際には、「希望の象徴としての最後の一葉」「ベアマンの自己ぎせいと真の芸術」「生きる意味と他者とのつながり」というポイントを押さえておくと良いでしょう。
この記事が、皆さんの読書体験と感想文作成のお役に立てば幸いです。
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