『君たちは今が世界』の読書感想文を書く予定の小中学生のみなさん、お疲れさまです。
朝比奈あすかさんの『君たちは今が世界』は、学級崩壊寸前の小学校6年3組を舞台にした連作短編集ですね。
2019年に刊行されたこの作品は、2020年度の中学受験国語の入試問題で多く出題され、大きな注目を集めました。
物語は尾辻文也や川島杏美、武市陽太といった個性豊かな子どもたちが、それぞれの視点から語る形で進んでいきます。
読書が趣味で年間100冊以上の本を読む私が、小学生・中学生の皆さんに向けて、この作品の読書感想文の書き方や例文、題名の付け方、書き出しのコツまで詳しく解説していきますよ。
コピペではなく、皆さん自身の言葉で心に響く感想文が書けるよう、テンプレートも用意してしっかりとサポートしていきますので、安心してお付き合いください。
『君たちは今が世界』の読書感想文で書くべき3つのポイント
『君たちは今が世界』の読書感想文を書くとき、必ず押さえておきたい重要なポイントが3つあります。
これらのポイントについて、読みながら「自分はどう感じたか」をメモしていくことが大切ですよ。
- 学級崩壊寸前の「6年3組」が子どもたちにとっての「世界」であること
- 登場人物それぞれが抱える家庭問題や自己表現の葛藤、成長の過程
- 担任の幾田先生の厳しさと温かさ、そして希望を残すラストの意味
メモを取るときは、付箋やノートを使って「なぜそう思ったのか」「自分の体験と重なる部分はあるか」まで書き留めておきましょう。
こうした感情の記録が、後で感想文を書くときの貴重な材料になるんです。
感想文で一番大事なのは「あなた自身がどう感じたか」という部分なので、この準備をしっかりやっておけば、説得力のある文章が書けるようになりますよ。
学級崩壊寸前の「6年3組」が子どもたちにとっての「世界」であること
『君たちは今が世界』というタイトルには深い意味が込められています。
小学6年生の子どもたちにとって、学校のクラスが「世界のすべて」だという現実を表しているんです。
大人から見れば小さな出来事でも、彼らにとっては人生を左右する大問題になってしまう。
調理実習での洗剤混入事件や合奏会での楽器決め、学芸会の配役争いなど、どれも子どもたちの心を大きく揺さぶる出来事として描かれていますね。
この「狭い世界」の中で生きる苦しさや葛藤を理解することが、感想文を書く上でとても重要なポイントになります。
あなた自身も学校生活で感じた「教室が世界のすべて」のような体験があるはずです。
そんな体験と重ね合わせながら、登場人物たちの気持ちに寄り添ってみてください。
友達関係のちょっとしたすれ違いで一日中落ち込んだり、クラスでの立ち位置を気にしたりする気持ち。
そうした感情の動きを丁寧に読み取って、自分の言葉で表現できれば、とても良い感想文になりますよ。
登場人物それぞれが抱える家庭問題や自己表現の葛藤、成長の過程
この作品の大きな魅力は、登場人物一人ひとりがリアルで複雑な背景を持っていることです。
クラスのいじられ役の尾辻文也、中学受験を目指す優等生の川島杏美、コミュニケーションが苦手な武市陽太、クラスの女王様の親友である見村めぐ美。
それぞれが家庭環境やSNS、塾など、学校以外の場でも様々な顔を持ち、多様な悩みや葛藤を抱えています。
例えば杏美は優等生として期待されるプレッシャーに悩み、陽太は自分の気持ちをうまく伝えられずに「問題児」扱いされる辛さを感じている。
めぐ美は複雑な家庭環境を抱えながら、表面的には明るく振る舞おうとしています。
こうした一人ひとりの内面を読み取って、「なぜその子がそんな行動を取るのか」を考えてみることが大切です。
感想文では、特に心に残った登場人物を一人選んで、その子の気持ちに共感した部分を詳しく書いてみてください。
「自分だったらどう感じるか」「同じような体験をしたことはないか」といった視点で考えると、深みのある感想が書けるはずです。
また、物語を通して登場人物たちが少しずつ変化していく様子にも注目してみましょう。
小さな成長や気づきを見つけて、それについてあなたなりの感想を書けば、とても印象的な感想文になりますよ。
担任の幾田先生の厳しさと温かさ、そして希望を残すラストの意味
担任の幾田先生のキャラクターは、この物語の重要な要素の一つです。
「皆さんは、どうせ、たいした大人にはなれない」という厳しい言葉を投げかける一方で、生徒たちの本質をしっかりと見つめている先生。
表面的には冷たく見える発言でも、実は子どもたちの成長を願う気持ちが込められているんです。
こうした「大人の複雑さ」を理解することも、感想文を書く上で大切なポイントになります。
最初は厳しすぎると感じた先生の言動が、物語が進むにつれて違って見えてくる体験をしたのではないでしょうか。
また、物語の最後に描かれる「わずかな希望」についても、じっくり考えてみてください。
学級崩壊寸前だった6年3組の子どもたちが、完全に問題が解決するわけではないけれど、少しずつ前向きになっていく様子。
この「完璧なハッピーエンドではないけれど、希望は残されている」という終わり方に、あなたはどんな印象を受けましたか。
現実的でありながら温かさも感じられるこのラストシーンについて、自分なりの解釈を書いてみると、とても個性的な感想文になるでしょう。
大人になることの複雑さや、成長することの意味について、あなた自身が感じたことを素直に表現してみてくださいね。
※『君たちは今が世界』のあらすじはこちらでご紹介しています。

『君たちは今が世界』の読書感想文のテンプレート
ここからは、『君たちは今が世界』の読書感想文を楽に書けるテンプレートをご紹介します。
先ほど説明した3つのポイントが自然に含まれるように構成していますので、空欄を埋めていけば感想文が完成しますよ。
ステップ1:書き出し(本との出会いと第一印象)
私は『君たちは今が世界』を読んで、___________について深く考えさせられた。
この物語は学級崩壊寸前の小学校6年3組を舞台にした連作短編集で、___________の視点から描かれている。
最初にこの本を手に取ったとき、___________だと思っていたが、読み進めるうちに___________ということに気づいた。
ステップ2:印象に残った場面とその理由
特に印象に残ったのは___________の場面である。
なぜなら___________だからだ。
この場面で___________という登場人物が___________したとき、私は___________と感じた。
自分の体験と重ね合わせると、___________のような経験があったため、その気持ちがよくわかった。
ステップ3:登場人物への共感と分析
登場人物の中で最も心に残ったのは___________である。
この人物は___________という問題を抱えており、___________のように行動していた。
私は___________の気持ちに共感した。
なぜなら___________だからだ。
もし私がその立場だったら、___________と感じただろう。
ステップ4:作品のテーマについての考察
この作品を読んで、___________ということについて考えさせられた。
6年3組の教室が子どもたちにとって「世界のすべて」だったように、私にとっても___________は大切な世界である。
幾田先生の「___________」という言葉は最初___________と感じたが、よく考えてみると___________という意味が込められていたのではないかと思う。
ステップ5:まとめと今後への影響
この本を読んで、私は___________ということを学んだ。
今後は___________のようにしていきたいと思う。
また、___________で困っている人がいたら、___________のように行動したい。
『君たちは今が世界』は___________について考えるきっかけを与えてくれる、とても意味深い作品だった。
『君たちは今が世界』の読書感想文の例文(800字の小学生向け)
【題名】教室という小さな世界
私は『君たちは今が世界』を読んで、学校のクラスがどれだけ大切な場所なのかを考えさせられた。
この物語は小学校6年3組の子どもたちが主人公で、それぞれ違う悩みを抱えながら毎日を過ごしている話だ。
最初は「学級崩壊って何だろう」と思いながら読み始めたが、だんだん登場人物たちの気持ちがわかってきて、最後には涙が出そうになった。
一番印象に残ったのは、調理実習で洗剤が混入された事件である。この出来事がクラス全体に大きな影響を与えて、みんなの関係がぎくしゃくしてしまう様子が描かれていた。
私も似た経験があって、クラスで問題が起きると関係ない人まで巻き込まれて嫌な気持ちになる。だからこの場面を読んだとき、6年3組の子どもたちの気持ちがとてもよくわかった。
登場人物の中で一番心に残ったのは武市陽太だった。陽太は自分の気持ちをうまく言えず、「問題児」だと思われてしまうが、本当は心優しい子で、ただコミュニケーションが苦手なだけなのだ。
私の友達にも似たような子がいて、最初は「変わった子だな」と思ったけれど、話してみるととても面白くて優しい子だった。陽太を読んでいて、見た目や第一印象だけで人を判断してはいけないと強く感じた。
幾田先生の「皆さんは、どうせ、たいした大人にはなれない」という言葉は最初冷たく感じたが、よく考えると違う意味があったのかもしれない。きっと先生は「今のままでいいわけがない、もっと成長しなさい」と伝えたかったのだと思う。
私の担任の先生も時々厳しいことを言うが、それは私たちを心配しているからだとわかった。
この本を読んで、私はクラスの友達をもっと大切にしようと思った。みんな家庭の事情や悩みを抱えていて、表面的には元気に見えても辛い思いをしているかもしれない。だから、一人でいる子がいたら声をかけ、困っている子がいたら助けたいと思う。
『君たちは今が世界』は学校のクラスをリアルに描いた作品で、同じ小学生の私にとって考えさせられることがたくさんあった。
『君たちは今が世界』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】それぞれの世界で生きる子どもたち
私は『君たちは今が世界』を読んで、子どもたちが置かれている現実の複雑さと、その中でも希望を見出していく強さについて考えさせられた。
この作品は学級崩壊寸前の小学校6年3組を舞台にした連作短編集で、様々な登場人物の視点から一つの教室の現実が描かれている。最初は「よくある学校の話」だと軽く考えていたが、読み進めるうちにその奥深さと現実味に圧倒された。
特に印象に残ったのは調理実習での洗剤混入事件である。子どものいたずらのように見える出来事がクラス全体に影響し、人間関係を大きく変えてしまう様子がリアルに描かれていた。私はこの場面を読んで、どんな小さな行動でも周囲に予想以上の影響を与えることを実感した。今でもクラスの些細な出来事が大きな問題に発展することがあり、その怖さを身をもって感じている。
登場人物の中で最も心に残ったのは見村めぐ美である。彼女は家庭環境に悩みながらも明るく振る舞おうとしている。その内面の葛藤や孤独感が繊細に描かれており、私は彼女の気持ちに強く共感した。私自身も友達の前では元気に振る舞うが、家庭の問題に悩むことがあり、めぐ美の心情がよく理解できた。
また、武市陽太という発達障害の傾向がある男の子の描写も印象的だった。陽太は「問題児」として扱われがちだが、実は繊細で優しい心を持った子である。私のクラスにも似たような同級生がいて、最初は「変わった人」だと思ったが、よく知るとその人なりの魅力があることがわかった。陽太の存在を通して、見た目や行動だけで人を判断する危険性を改めて感じた。
この作品で最も考えさせられたのは、タイトルにもある「今が世界」という表現である。子どもたちにとって学校のクラスが「世界のすべて」であり、その狭い世界での出来事が彼らの人生を左右する。大人から見れば些細なことでも、当事者には人生をかけた大問題になる。私も小学生の頃、クラスでの立ち位置や友達関係がすべてだった時期があり、その感覚を思い出しながら読むことができた。
担任の幾田先生の存在も興味深い。「皆さんは、どうせ、たいした大人にはなれない」という厳しい言葉は冷酷に聞こえるが、実は子どもたちの可能性を信じているからこその発言だったのではないか。現実を直視させつつ、それを変える力があることを伝えようとしていたのだと思う。
物語の終わり方も印象的だった。すべての問題が解決されるわけではなく、子どもたちは多くの課題を抱えたままだが、それでもわずかな希望の光が見えている。このリアルでありながら温かさもある結末に、私は大きな感動を覚えた。完璧なハッピーエンドではないが、現実味があり、深い余韻を残した。
この本を読んで、私は自分の周りの人をもっと理解しようと思った。表面的な付き合いだけでなく、それぞれの事情や気持ちに目を向け、困っている人がいれば手を差し伸べたい。『君たちは今が世界』は子どもの世界のリアルを描き、人間関係の大切さや成長の意味を考えさせてくれる作品だった。
振り返り
『君たちは今が世界』の読書感想文の書き方について詳しく解説してきました。
この作品は一見シンプルな学校の話のように見えますが、実は子どもたちの複雑な心理や現代社会の問題が巧みに織り込まれた奥深い物語です。
感想文を書くときは、登場人物たちの気持ちに寄り添って、自分自身の体験と重ね合わせながら読むことが一番大切ですよ。
今回紹介したテンプレートや例文を参考にしながら、ぜひあなた自身の言葉で心に響く感想文を書いてみてください。
きっと素晴らしい作品が完成するはずです。
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