住野よるさんの『かくしごと』の読書感想文の書き方や例文をお探しの皆さん、お疲れさまです。
『か「」く「」し「」ご「」と「』は住野よるさんが手がけた青春小説で、特殊な能力を持つ高校生5人の友情と成長を描いた連作短編集です。
人の感情が記号や数字で見えるという独特な設定と、思春期の繊細な心の動きがみごとに描かれたこの作品は、読書感想文のテーマとしても非常に魅力的な本といえるでしょう。
私は年間100冊以上の本を読む読書好きで、特に青春小説には目がありません。
この記事では『かくしごと』の読書感想文を書く予定の皆さんに向けて、感想文で触れるべき要点から具体的な例文まで、コピペではなく自分の言葉で書けるよう丁寧にサポートしていきますね。
高校生向けの本格的な書き方から、題名や書き出しのコツまで、この小説の魅力を存分に伝える感想文作りのお手伝いをさせていただきます。
『かくしごと』の読書感想文で触れたい3つの要点
『かくしごと』の読書感想文を書く際に、ぜひ盛り込んでいただきたい重要な要点を3つご紹介しますね。
これらのポイントを押さえることで、この小説の魅力と深いメッセージを効果的に伝える感想文が完成するはずです。
- 特殊能力という設定が生み出す人間関係の複雑さと成長
- 多視点構成によって描かれる青春のリアルな心の動き
- 「かくしごと」が象徴する自分らしさと他者との繋がり
それぞれの要点について、皆さんが「どう感じたか」をメモしながら読み進めることをおすすめします。
感想文を書く際は、ストーリーの説明よりも「自分がどう思ったか」「何を感じたか」という個人的な体験や気づきが最も大切になります。
メモを取るときは、心に残った場面やセリフ、登場人物の行動に対して「なぜそう思ったのか」「自分だったらどうするか」を具体的に書き留めてください。
特殊能力という設定が生み出す人間関係の複雑さと成長
『かくしごと』最大の魅力は、登場人物たちが持つ特殊能力の設定です。
主人公の京は人の感情が記号で見え、ミッキーは心のバーで感情の波がわかり、パラは心拍数、ヅカは喜怒哀楽がマークで、エルは恋心が矢印で見えるという設定。
この能力があることで、彼らは他人の気持ちをある程度理解できる一方で、逆に複雑な誤解や不安を生み出してしまうこともあります。
「見える」ことと「理解する」ことは全く別物だという深いテーマが、この設定を通して浮かび上がってきますね。
皆さんも日常生活で「相手の気持ちがわかればいいのに」と思ったことがあるのではないでしょうか。
しかし実際にわかったとしても、それで全てが解決するわけではないという現実を、この小説は教えてくれます。
特殊能力を持つ彼らが、それでも悩み、迷い、成長していく姿に、皆さんはどのような感情を抱かれましたか。
多視点構成によって描かれる青春のリアルな心の動き
『かくしごと』は章ごとに語り手が変わる多視点構成で書かれています。
同じ出来事でも、見る人によって全く違った意味を持つことが、この構成によって鮮やかに描き出されているんです。
最初は京の視点で見ていた場面が、他の登場人物の視点になると「そんな風に考えていたのか」という新たな発見があります。
これは私たちの日常でも同じことですよね。
友達との何気ない会話一つとっても、自分と相手では受け取り方や感じ方が違うことがよくあります。
多視点構成を通して、人間関係の奥深さや、相手を理解することの難しさと大切さを改めて考えさせられるのではないでしょうか。
皆さんは読み進める中で、どの登場人物の視点に最も共感されましたか。
また、視点が変わることで新たに気づいた登場人物の魅力はありましたか。
「かくしごと」が象徴する自分らしさと他者との繋がり
タイトルにもなっている「かくしごと」は、この物語の核心となるテーマです。
登場人物たちが抱える「かくしごと」は、特別な大きな秘密ではありません。
むしろ、誰もが心の中に持っているような小さなコンプレックスや言いにくい気持ち、ささやかな後悔や願いといった、身近で親しみやすいものばかりです。
この「かくしごと」を持つことで、彼らは時には自分を守り、時には他者との距離を感じてしまいます。
しかし、勇気を出してその秘密を打ち明けることで、より深い繋がりが生まれていくのです。
現代を生きる私たちにとって、SNSなどで表面的な繋がりは増えても、本当に心を通わせる関係を築くのは難しくなっているかもしれません。
『かくしごと』は、完璧ではない自分を受け入れ、他者と真摯に向き合うことの大切さを教えてくれる作品です。
皆さんにも誰にも言えない「かくしごと」があるのではないでしょうか。
この物語を読んで、自分自身の秘密や他者との関係について、どのようなことを考えられましたか。
『かくしごと』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】見えない心と、繋がる勇気
住野よるさんの『かくしごと』を読んで、最初に思ったのは「この気持ち、すごくわかる」ということだった。
この物語には、それぞれが特殊な能力を持った高校生5人が登場するのだが、みんなの心の中にある「かくしごと」が、まるで自分自身の秘密みたいに感じられて、ぐっと引き込まれてしまった。
主人公の京は、人の感情が「!」や「?」などの記号で見えるという不思議な能力を持っている。
他にも、心のバーが見える子や、心拍数がわかる子など、みんな特別な力があるのだ。
まるで能力系バトル漫画の特殊能力を青春小説に持ち込んだような、ユニークな設定となっている。
私にはこの設定がとても面白く感じて、「もし自分にもこんな力があったらどうだろう?」と想像しながら読み進めた。
でも、能力があるからといって、すぐに相手の気持ちが全部わかるわけではないというところが、すごくリアルだと思った。
人と人って、言葉だけじゃなくて、いろいろなもので繋がっているんだなと、改めて考えさせられた。
この物語に出てくる「かくしごと」は、すごく大きな秘密とか、誰にも言えないような怖いことばかりではない。
むしろ、ちょっとしたコンプレックスだったり、言いにくい気持ちだったり、誰でも持っているような小さな秘密なのだ。
だからこそ、みんなの気持ちに共感できた。
「ああ、私もこんなこと、誰にも言いたくないって思うことあるな」って。
秘密を抱えている時のドキドキする気持ちとか、誰かに知られるのが怖い気持ちとか、すごく丁寧に描かれていて、読んでいて胸が締め付けられることもあった。
物語は、いろいろなキャラクターの視点から描かれていて、それがまた面白かった。
最初は京の目を通して物語を見ていたのに、途中から他の子の視点になって、同じ出来事でも全然違う風に見えるのだ。
これって、実際の友達関係でもそうに違いないはずだ。
自分からはこう見えても、相手は全然違うことを考えていたりするのだろう。
この本を読んで、もっと相手の気持ちを考えてみようと思えたのは収穫だった。
「かくしごと」を持っていることは、時には自分を守るためだったりするけど、誰かと心を通わせるためには、勇気を出して打ち明けることも必要なんだなと感じた。
みんなが自分の秘密を少しずつ打ち明けて、お互いを理解していく過程が、すごく温かくて感動した。
完璧じゃない自分を認めて、みんなと繋がっていく姿は、見ていて安心した。
この本を読んで、私は自分の心の中にある「かくしごと」について、少しだけ考えてみた。
そして、友達や家族と、もっと正直に話してみることの大切さを改めて感じた。
住野よるさんの文章は、すごく優しくて、読み終わった後も、じんわりと温かい気持ちが残るのだ。
もし、誰かに言えない気持ちを抱えている人がいたら、ぜひこの本を読んでみてほしい。
きっと、優しい気持ちになれると思う。
『かくしごと』の読書感想文の例文(2000字の高校生向け)
【題名】隠された心と、真の理解への道のり
住野よるさんの『かくしごと』を読み終えて、まず心を奪われたのは、その繊細で美しい文章表現だった。
まるで、登場人物たちの心の中をのぞき見ているかのように、彼らの感情の揺れ動きが鮮やかに描かれていて、あっという間に物語の世界に引き込まれていった。
この物語の最大の魅力は、やはり「感情を視覚化する特殊能力」という設定だと思う。
人の感情が記号や数字、色やバーで見えるというのは、本当に斬新で面白い発想だった。
特に、京が「!」や「?」で感情を読み取る能力や、ミッキーが心のバーで感情の波を見る描写は、読んでいてワクワクしたし、もし自分にもそんな力があったら、人の気持ちがもっとわかるようになるのかな、でも逆に複雑になるのかな、などと想像が膨らんだ。
この能力があることで、ただの高校生の日常が、ぐっと奥深く、そしてミステリアスな青春物語になっていると感じた。
登場する5人のキャラクターも、それぞれが個性的で魅力的だった。
内向的で繊細な京、裏表のない明るさを持つミッキー、計算高いようでいて実は不器用なパラ、優しさの中に迷いを抱えるヅカ、そして内気ながらも芯の強いエル。
みんなが「かくしごと」を抱えているのだが、それが決して人生を左右するような重大な秘密ではなく、誰もが心の中にしまい込んでいるような、ささやかな劣等感や不安、小さな後悔だったりするのが印象的だった。
だからこそ、彼らの悩みに深く共感できたし、「ああ、私にもそういう気持ち、あるな」と、共感を覚えずにはいられなかった。
物語が複数のキャラクターの視点から描かれている多視点構成も、この作品の大きな特徴だ。
同じ出来事でも、視点が変わることで全く違った意味を持つことが示され、人間関係の複雑さや奥深さを改めて実感させられた。
私たちは普段、自分の視点だけで物事を見てしまいがちだが、相手には相手の事情や感情がある。外からはうかがい知れない隠したい秘密の部分は誰にだってあるものだ。
その当たり前だけど忘れがちなことを、この作品は教えてくれた。
また、他者とのすれ違いや誤解が生まれる背景には、見えない「かくしごと」が存在するということにも気づかされた。
相手の心の中まで完全に理解することはできないけれど、それでも理解しようと努めることの大切さを感じた。
特に印象深かったのは、京がエルを避けてしまったことで、エルが登校拒否になってしまうエピソードだ。
京の不用意な発言と、気持ちが見えるが故の深読みが原因だったのだが、このシーンを読んで、コミュニケーションの難しさを痛感した。
相手の気持ちがわかるからといって、それが必ずしも良い結果を生むわけではない。
むしろ、わかりすぎることで生まれる複雑さや誤解もあるのだと気づかされた。知らないほうが人間関係がうまくいく場合だってあるのだろう。
「かくしごと」を持つことは、時には自分を守るためであったり、自分らしさを保つためであったりする。
しかし、この物語は、その秘密を勇気を出して他者と分かち合うことで、より深く人と繋がり、自分自身も成長できるというメッセージを伝えてくれている。
バラバラだった5人が、それぞれの「かくしごと」を通じて互いを理解し、温かい絆を育んでいく過程は、読んでいて胸が熱くなった。
その過程には、ぶつかり合いや迷いもあったけれど、それを乗り越えたからこそ得られた繋がりの尊さがあった。
完璧ではない自分を受け入れ、他者と心を通わせることの尊さが、この作品には詰まっていると思う。
高校生である私たちにとって、この時期は友情や恋愛、進路など、様々な悩みを抱える多感な時期だ。
そんな中で、自分の中の「かくしごと」とどう向き合い、どう他者と繋がっていくか、改めて考えさせてくれる一冊だった。
私自身も、友達に言えないちょっとした悩みや、家族にも話しにくい将来への不安を抱えている。
この物語を読んで、そうした秘密を抱えることは決して悪いことではないけれど、信頼できる人には少しずつでも心を開いていくことの大切さを学んだ。
また、相手の立場に立って物事を考えることの重要性も再認識した。
自分の視点だけでなく、相手がどんな気持ちでいるのか、どんな事情を抱えているのかを想像することで、より良い人間関係を築けるのではないかと思う。
住野よるさんの美しい言葉遣いは、私たちの心に優しく寄り添い、読み終えた後もじんわりとした温かさと、前向きな気持ちを残してくれる。
まるで静かな光のように、読者の心をそっと照らしてくれるような物語だった。
この本は、きっとこれからも長い間、多くの人の心に、小さな光を灯してくれるだろう。
特殊能力という非現実的な設定でありながら、そこに描かれている感情や人間関係は非常にリアルで、私たちの日常にも通じるものがたくさんあるからだ。
『かくしごと』は、青春の複雑さと美しさを見事に描いた、心に残る一冊だった。
振り返り
ここまで『かくしごと』の読書感想文について、書き方のポイントから具体的な例文まで詳しくご紹介してきました。
住野よるさんが描く繊細な青春模様と、登場人物たちの心の動きは、きっと皆さんの心にも深く響いたことでしょう。
特殊能力という設定、多視点構成、そして「かくしごと」というテーマ。
これらの要素を自分なりに感じ取り、素直な気持ちで文章にしていけば、必ず心に響く感想文が書けるはずです。
大切なのは、コピペに頼らず自分の言葉で表現すること。
皆さんが『かくしごと』を読んで感じた気持ちは、世界でただ一つの貴重な体験なのですから。
ぜひ自信を持って、素敵な読書感想文を書き上げてくださいね。
※『かくしごと』の簡単なあらすじはこちらでご紹介しています。

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