『フランダースの犬』の読書感想文を書く予定の皆さん、お疲れさまです。
イギリスの作家ウィーダが1872年に発表した『フランダースの犬』は、ベルギーのフランダース地方を舞台に、貧しい少年ネロと愛犬パトラッシュの深い絆を描いた世界的名作ですね。
この物語は日本でも長く愛され続けており、多くの人が涙を流した感動的な作品として知られています。
今回は読書が趣味で年間100冊以上の本を読む私が、小学生・中学生の皆さんに向けて、この作品の読書感想文の書き方や例文、題名の付け方、書き出しのコツまで詳しく解説していきますよ。
コピペではなく、皆さん自身の言葉で心に響く感想文が書けるよう、しっかりとサポートしていきますので、安心してお付き合いください。
『フランダースの犬』の読書感想文で触れたい3つの要点
『フランダースの犬』の読書感想文を書く際には、この作品の核心となる重要なポイントを押さえることが大切です。
感想文を書く前に、以下の3つの要点について「自分がどう感じたか」をメモしておくことをおすすめします。
- ネロとパトラッシュの深い絆と友情
- 貧困と社会の無理解による悲劇
- 夢への情熱と芸術の尊さ
これらのポイントについて読書中や読み終わった直後に、皆さんが「どんなことを考えたか」「どんな気持ちになったか」を簡単にメモしておきましょう。
メモの方法は簡単です。
例えば「ネロとパトラッシュが一緒にいるシーンを読んで、友だちの大切さを改めて感じた」とか「貧しくても夢をあきらめないネロの姿に勇気をもらった」といったように、素直な感情を書き留めておけばよいのです。
このメモが感想文を書く際の材料となり、皆さんオリジナルの心のこもった文章につながっていきます。
感想文で最も重要なのは、作品を読んで「自分がどう思ったか」「何を感じたか」を表現することですからね。
ネロとパトラッシュの深い絆と友情
物語の中心にあるのは、15歳の少年ネロと老犬パトラッシュの美しい友情です。
パトラッシュは元々、金物屋にこき使われて捨てられていた犬でした。
それをネロと祖父のジェバン老人が保護し、以来ずっと家族のように暮らしてきたのです。
二人の関係は単なる飼い主とペットの関係を超えて、お互いを支え合う真の友だち、家族と呼べるものでしたね。
貧しい生活の中で、ネロは毎日牛乳を運ぶ重い仕事をしていましたが、パトラッシュがその荷車を引いてくれることで生計を立てることができました。
寒い夜には体を寄せ合って暖を取り、つらいことがあってもお互いがいることで乗り越えてきたのです。
この絆の深さは、物語の最後でより鮮明に描かれます。
すべてを失ったネロが大聖堂に向かったとき、パトラッシュも後を追ってやってきて、最期まで一緒にいることを選びました。
二人が抱き合って眠るように息を引き取るシーンは、真の友情がいかに尊いものかを教えてくれます。
この場面を読んで皆さんは何を感じましたか?
友だちや家族の大切さを改めて実感した人も多いでしょう。
または、自分にもこんな深い絆を結べる存在がいるだろうかと考えた人もいるかもしれませんね。
こうした素直な気持ちこそが、感想文に書くべき内容なのです。
現代社会では人間関係が希薄になりがちですが、ネロとパトラッシュの絆は、本当に大切な関係とはどのようなものかを示してくれています。
困ったときに支え合い、喜びも悲しみも分かち合える存在の価値について、皆さん自身の体験と重ね合わせて考えてみてください。
貧困と社会の無理解による悲劇
『フランダースの犬』は単なる美しい友情物語ではなく、当時の社会が抱えていた厳しい現実も描いています。
ネロは画家になる才能を持ちながら、貧しさゆえにその才能を正当に評価されることがありませんでした。
村人たちは彼を「貧しい孤児」として偏見を持って見ており、特にアロアの父であるバース・コゼツは、娘とネロが親しくすることを快く思いませんでした。
さらに悲劇的だったのは、風車小屋の火事の濡れ衣を着せられたことです。
ネロは何も悪いことをしていないにもかかわらず、周囲の人々は彼を疑い、結果的に仕事も奪われてしまいました。
これは現代でも起こりうる問題ですよね。
経済格差や偏見によって、才能ある人が正当な機会を与えられないという現実は今も存在しています。
ネロの祖父ジェバン老人が亡くなった後、家賃を払えずに住む場所まで失ってしまうシーンは、社会保障制度が整っていない時代の厳しさを物語っています。
現代の日本では、こうした状況に陥った人々を支援する制度がありますが、当時のベルギーでは孤児が生き抜くのは非常に困難でした。
この部分を読んで、皆さんはどんなことを考えましたか?
社会の不平等について怒りを感じた人もいるでしょうし、現代に生まれた自分の幸運を感じた人もいるかもしれません。
また、困っている人を見かけたときに自分にできることはないだろうかと考えた人もいるでしょう。
こうした社会問題への気づきや考察も、感想文の重要な要素になります。
物語を通して現実社会の問題を考える姿勢は、読書感想文を単なる本の要約ではなく、深い洞察を含んだ文章にしてくれるのです。
夢への情熱と芸術の尊さ
ネロの最大の夢は画家になることでした。
特に、アントワープの聖母大聖堂にあるルーベンスの祭壇画「キリストの昇架」と「キリストの降架」を見ることが彼の切なる願いでした。
しかし、貧しいネロには高価な観覧料を払うことができず、いつも大聖堂の外から建物を眺めるだけでした。
それでも彼は絵を描くことをやめず、村の絵画コンクールにも挑戦しました。
木こりのミシェル老人を白墨で描いた作品は、ネロが持てる技術と情熱をすべて注ぎ込んだ渾身の力作でした。
結果は落選でしたが、後に著名な画家がその才能を認めて引き取ろうとしたことから、ネロの絵が確かに価値のあるものだったことがわかります。
物語の最後、極寒の大聖堂で月光に照らされたルーベンスの絵を目にできたとき、ネロの長年の夢がついに叶いました。
この瞬間は悲しくも美しく、芸術への純粋な憧れがいかに尊いものかを示しています。
皆さんにも何か夢中になって取り組んでいることや、将来の夢があるのではないでしょうか。
ネロの姿を通して、困難な状況でも夢をあきらめない強さの大切さを感じ取ることができるはずです。
また、芸術や文化の価値についても考えさせられますね。
お金がなくても美しいものに感動し、創作への情熱を持ち続けたネロの心は、物質的な豊かさとは異なる本当の豊かさを教えてくれます。
現代では美術館や図書館など、誰でも芸術に触れられる環境が整っています。
こうした恵まれた環境にいる私たちは、ネロが願ってやまなかった芸術体験を当たり前のように受け取ることができるんですね。
この作品を読んで、改めて芸術の素晴らしさや、夢を追い続ける勇気について考えてみてください。
皆さん自身の経験と照らし合わせて、どのような感想を持ったかをメモしておきましょう。
※『フランダースの犬』が伝えたいことはこちらで考察しています。

『フランダースの犬』の読書感想文の例文(800字の小学生向け)
【題名】ネロとパトラッシュが教えてくれた本当の友情
私は『フランダースの犬』を読んで、友達の大切さと夢をあきらめない心について深く考えた。
主人公ネロは15歳の少年で、おじいさんと愛犬パトラッシュと貧しいながらも温かい生活を送っていた。パトラッシュはかつてひどい扱いを受けていたが、助けられてからはネロとおじいさんにかわいがられ、特にネロとは親友同士みたいな関係になった。
二人の絆を読み進めるうち、本当の友情とは何かが見えてきた。言葉を交わさずとも互いを深く理解し、牛乳運びではパトラッシュが荷車を引き、寒い夜は体を寄せ合って眠る。
私にも親友がいるが、彼らほど強いきずなを持てているだろうか。本当の友達とは、楽しいときだけでなく、苦しいときにもそばにいてくれる存在なのだと気づかされた。
ネロには画家になる夢があり、特に尊敬するルーベンスの絵を心から見たがっていた。しかし美術館に入るお金がなく、いつも外から建物を見上げるだけだった。
それでも筆をとることをやめず、村のコンクールにも挑戦した。結果は残念だったが、最後まで夢を追い続けた姿勢に深く感動した。
私も将来の夢があるが、思い通りにいかないとき簡単にあきらめてしまう。ネロのように、困難を前にしても信念を貫く強さを持ちたい。
物語の結末は悲しかったが、ネロとパトラッシュが最期にルーベンスの絵を共に見ることができたのは救いだった。二人は最期まで離れず、互いを思いやる気持ちを失わなかった。
その友情の美しさに胸が熱くなり、自然と涙があふれた。
この本を読んで、私は家族や友達をもっと大切にしようと心に誓った。困難なときに支え合える関係を築くことは、何にも代えがたい宝物だ。
また、自分の夢にもより真剣に向き合い、純粋な心で努力を重ねていきたい。そうすれば、きっと素晴らしい結果が待っているはずだ。
『フランダースの犬』は、友情の尊さと夢を追う勇気を静かに教えてくれる名作だった。
『フランダースの犬』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】真の絆が示す人生の意味
『フランダースの犬』を読み終えたあと、私はしばらく胸がいっぱいになっていた。この物語はただの感動的な友情の話ではなく、人の生き方や社会のあり方を深く考えさせる。
主人公ネロと愛犬パトラッシュの関係は、今の時代ではなかなか見られないほど純粋でまっすぐだ。二人の友情には損得や打算がまったくない。
パトラッシュは昔、人間にこき使われて捨てられた犬だったが、ネロのおじいさんに助けられ、それから家族のように暮らしてきた。言葉がなくてもお互いを理解し合い、牛乳を運ぶ重い仕事も力を合わせてこなした。寒い冬の夜には体を寄せ合って眠り、そのぬくもりが二人を守っていた。
今の私たちはSNSで多くの人とつながっているけれど、本当に心を許せる相手はどれくらいいるだろう。ネロとパトラッシュの絆は、心の奥で結ばれた関係の大切さを教えてくれる。
しかし、この物語の世界はとてもきびしかった。ネロには絵の才能があったが、貧しさのために夢を叶えるのは難しかった。村の人たちは彼を偏見の目で見て、風車小屋の火事では証拠もないのに犯人扱いした。
アロアの父バースは、ネロの人柄ではなく、家の貧しさや身分だけで判断した。こうした不公平さは、今の社会にも形を変えて残っている。
それでもネロの絵にかける思いは強く、美しかった。彼にとって絵はお金を得る手段ではなく、心を表すものだった。憧れのルーベンスの祭壇画は、ただ見たいだけではなく、魂が求めるものだった。
しかし観覧料を払えず、いつも外から見上げるだけ。それでも絵画コンクールに挑戦し、持てる力をすべて注いだ。結果は落ちたが、後に有名な画家がその才能を認めたことで、真の価値はすぐには伝わらなくても消えないとわかる。
最後は悲しいが、救いもあった。すべてを失ったネロは大聖堂でついに憧れの絵を見て、月あかりの中で神に感謝した。そこへパトラッシュが駆けつけ、二人は寄り添ったまま静かに息を引き取った。
読んでいて、まるで自分も大聖堂の静けさの中に立ち、二人を見守っているような気持ちになった。外では雪が音もなく降り、世界が二人を包みこんでいるようだった。
二人はお金や物には恵まれなかったが、最後までお互いを思いやる心と夢への情熱を失わなかった。その姿は、何が本当に大事なのかを教えてくれる。
この本を読んで、私は人との関わり方や夢への向き合い方を考え直した。表面だけのつながりではなく、心から信じ合える友だちを大切にしたい。
そして、どんなにつらくても信念を曲げない強さを持ちたい。ネロとパトラッシュの純粋さと深い愛情は、今の時代にも必要なことだと思う。
私たちはつい物やお金を追い求めがちだが、本当の幸せは心のつながりや気持ちの豊かさの中にあるのではないだろうか。『フランダースの犬』は、その大切なことを静かに教えてくれる名作だ。
振り返り
今回は『フランダースの犬』の読書感想文について、書き方のポイントから具体的な例文まで詳しく解説してきました。
この物語が持つ普遍的なテーマである友情の尊さ、社会の不平等、夢への情熱は、時代を超えて私たちの心に響く要素ですね。
感想文を書く際に最も大切なのは、作品を読んで皆さん自身が「どう感じたか」を素直に表現することです。
ネロとパトラッシュの絆に心を打たれたなら、なぜそう感じたのか、自分の体験と照らし合わせて書いてみてください。
社会の理不尽さに怒りを覚えたなら、その気持ちを率直に書けばよいのです。
コピペではない、皆さんだけのオリジナルな感想文こそが、読む人の心に届く文章になります。
今回紹介した例文を参考にしながら、ぜひ自分なりの言葉で『フランダースの犬』への想いを綴ってみてくださいね。
きっと素晴らしい読書感想文が完成するはずです。
※『フランダースの犬』のあらすじはこちらで簡単に短くご紹介しています。

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