森絵都さんの『カラフル』って、どんな小説なのかな?と思っている方も多いのではないでしょうか。
私は年間100冊以上の本を読む読書家なのですが、『カラフル』は何度読んでも新しい発見がある素晴らしい作品だと感じています。
今回は、『カラフル』のあらすじや登場人物の紹介などを、できるだけ分かりやすくお話ししていきますね。
特に読書感想文を書く予定の方には、きっと役立つ情報がたくさんありますよ。
それでは、まずは短い簡単なあらすじから見ていきましょう。
『カラフル』の短いあらすじ
『カラフル』の簡単なあらすじ
『カラフル』の詳しいあらすじ
死後の世界で「抽選に当たった」と告げられた魂である「ぼく」は、天使のようなプラプラに導かれ、中学生・小林真の体で「ホームステイの修行」を始めることになる。
最初は不倫する真の母親や利己的な父親に反発的な態度を取る「ぼく」。しかし、スニーカーを奪われる事件や、友人との出会い、父との釣り、進路選択など、様々な出来事を通じて、人間の多面性に気づいていく。
やがて真の家族や友人との絆を深めていくが、その愛情が自分ではなく真に向けられたものだと気づき、葛藤を抱えることに。そして最後に、自分の過去と向き合うことになるのだった。
『カラフル』のあらすじを理解するための用語解説
用語・ポイント | 説明 |
---|---|
ホームステイ | 死後の世界で主人公の魂が「再挑戦」として 自殺未遂の中学生・小林真の体を借りて生活する期間。 人生をやり直し過去の過ちや本人の悩みと向き合うための試練。 |
輪廻のサイクル | 生まれ変わりの仕組み。 主人公は前世の罪によりサイクルから外れていたが、 再挑戦を通じて再び輪廻に戻るチャンスを得る。 |
「色」のイメージ | 物語全体の象徴的なテーマ。 人生の多様性や人間の多面的な性格を「色」にたとえ さまざまな側面・感情が混ざり合っていることを示す。 |
再挑戦のルール | 主人公が与えられた「ホームステイ」中に 自己の過ちを理解し受け入れなければならず、 それをしないと復帰できないという期限付きの試練。 |
『カラフル』の作品情報
森絵都さんの代表作である『カラフル』の基本情報をまとめてみました。
項目 | 内容 |
---|---|
作者 | 森絵都 |
出版年 | 1998年7月 |
主な舞台 | 関東近郊の住宅地 |
時代設定 | 1998年9月~12月 |
受賞歴 | 第46回産経児童出版文化賞 |
『カラフル』の主要な登場人物
『カラフル』という物語を理解する上で重要な登場人物たちを紹介しますね。
人物 | 説明 |
---|---|
小林真 | 中学3年生。美術部所属。 背が低いことにコンプレックスを持つ。 主人公の魂が宿る少年。 |
プラプラ | 「ぼく」のサポート役の天使。 天界では丁寧だが、下界ではぞんざいな口調に。 |
佐野唱子 | 真のクラスメイト。 真の変化に気づく女子生徒。 |
早乙女 | 真の親友となる男子生徒。 スニーカーがきっかけで仲良くなる。 |
真の父親 | 食品企業に勤めるサラリーマン。 一見利己的だが、実は家族思い。 |
真の母親 | 専業主婦。 平凡な自分に負い目を感じている。 過去に不倫経験あり。 |
『カラフル』の文字数と読了時間
この『カラフル』を読むのにどのくらい時間がかかるのか、目安をお伝えします。
項目 | 数値 |
---|---|
総ページ数 | 272ページ(文春文庫版) |
推定総文字数 | 約163,200文字 |
読了時間の目安 | 約5時間30分 |
※1分間に500文字を読むペースで計算しています。
※『カラフル』を通じて作者が伝えたいことは以下の記事で考察しています。

『カラフル』を読んだ私の感想
森絵都さんの『カラフル』を読み終えて、素直に「読んでよかったな」と思いました。最初は、「中学生の成長物語かな」と軽い気持ちで読み始めたのですが、気づけば自分自身のことにも重ねて考えていて、心が動かされていました。
物語の中で主人公が「人生は何度だってやり直せる」「失敗してもまたスタートできる」という経験をする姿は、自分のこれまでを少しやさしく振り返るきっかけになりました。
大人になればなるほど、つい過去のことを悔やんで「もうどうにもならない」と感じてしまいがちだけど、実はそんなことはなくて、毎日でも何度でも気持ちを切り替えてやり直せるのかもしれません。
また、作中に出てくる家族やまわりの人たちとの距離感やすれ違いもとてもリアルでした。若いころ抱いていた不満や、親になってからの複雑な気持ち、どちらの立場にも共感できた自分にちょっと驚きました。
お互い不器用だけど、ちゃんと向き合おうとする場面が多くて、声高に「愛してる」と言わなくても、伝わるものはたくさんあるんだなと感じました。
「カラフル」というタイトル通り、人生は決して一色じゃなくて、晴れやかな色もあれば、どうしようもなくどんよりした色もあります。
でも、そのどれもが混ざって“自分だけの色”になるんだと、物語全体を通して教えてもらえた気がします。
年齢なんて関係なく、気づいたその日からでも新しい一歩が踏み出せる。ちょっと自分に甘くなってもいいんじゃないか――そんなふうに、少し肩の力が抜けた気持ちで、読後にふっと息をつくことができた一冊でした。
※『カラフル』の読書感想文の書き方はこちらでご紹介しています。

『カラフル』はどんな人向けの小説?
『カラフル』という小説は、特に以下のような方におすすめです。
- 人間関係に悩んでいる中高生
- 家族との関係を見つめ直したい人
- 自分の生き方に迷いを感じている人
- 心理描写の丁寧な小説が好きな人
- 他人の視点で物事を考えてみたい人
特に10代の読者には、きっと多くの共感ポイントが見つかるはずです。
でも、大人が読んでも新しい発見がある。それが『カラフル』の魅力なんですよ。
※『カラフル』の面白いところは以下の記事にて解説しています。

『カラフル』に似た小説3選
『カラフル』を楽しめた方には、以下の作品もおすすめです。
『風に舞いあがるビニールシート』(森絵都)
同じ作者による青春小説です。
こちらも思春期の心の揺れ動きを繊細に描いています。
人間関係の機微や、成長の過程が丁寧に表現されているところが『カラフル』に似ています。
『星の子』(今村夏子)
主人公が自分の存在意義を探っていく物語。
家族との関係性や、自己の在り方について深く考えさせられる点が『カラフル』と通じるものがあります。
『空色勾玉』(荻原規子)
ファンタジー要素を含みながら、人間の心理を深く描いた作品。
現実と非現実が交錯する設定や、主人公の心の成長を描く手法が『カラフル』に似ています。
振り返り
『カラフル』は、一見重たいテーマを扱いながらも、どこか温かな希望に満ちた物語です。
人それぞれの「色」があって、それが混ざり合って私たちの世界は成り立っている。
そんな当たり前のことを、優しく、でも力強く教えてくれる作品です。
読書感想文を書く方は、ぜひ自分の経験と重ね合わせながら読んでみてください。
きっと、あなたならではの新しい発見があるはずですよ。
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