『君たちは今が世界』あらすじを短く簡単に※ネタバレなし

『君たちは今が世界』のあらすじ あらすじ

※プロモーションが含まれています

『君たちは今が世界』のあらすじを簡単に短く、そして詳しく解説していきますね。

朝比奈あすかさんによる心に刺さる児童文学『君たちは今が世界』は、2019年に刊行されて以来、中学受験国語の入試問題で多く出題された注目の連作短編集です。

年間100冊以上の本を読む私が、ネタバレなしのあらすじから読んだ感想、作品情報まで幅広くご紹介します。

それでは、さっそく進めていきましょう。

朝比奈あすか『君たちは今が世界』のあらすじを短く簡単に

6年3組は学級崩壊寸前の教室。いじられ役の尾辻、優等生の川島、問題児の武市、クラスの女王様の見村ら主要人物が章ごとに視点を変え登場。家庭環境やSNSも絡む彼らの複雑な人間関係や内面が、調理実習や配役争いといった日常を通してリアルに描かれる。担任・幾田先生の「どうせ、たいした大人にはなれない」という言葉が象徴するように、教室という閉じた世界での子どもたちの苦悩と希望を浮き彫りにする連作短編集。

朝比奈あすか『君たちは今が世界』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)

物語の舞台は小学校6年3組という学級崩壊寸前の教室で、章ごとに異なる登場人物の視点から描かれる連作短編集。主な登場人物には、クラスでいじられ役となっている尾辻文也、中学受験を目指す優等生の川島杏美、コミュニケーションが苦手で問題児とされる武市陽太、そしてクラスの女王様・前田香奈枝の親友である見村めぐ美がいる。それぞれの子どもたちは家庭環境やSNS、塾など学校外での顔も持ち、多様な悩みや葛藤を抱えている。物語は調理実習中に起きた洗剤混入事件から始まり、この出来事がクラス全体の雰囲気を大きく変える。合奏会での楽器決めや学芸会の配役争いなど、具体的な日常の出来事を通して、子どもたちの複雑な人間関係や内面がリアルに描かれていく。担任の幾田先生は厳しくも生徒たちの本質を見つめ、「皆さんは、どうせ、たいした大人にはなれない」という印象的な言葉を投げかける。教室という閉じられた世界のすべてで生きる子どもたちの苦悩と、わずかな希望の光が巧みに織り込まれた作品。

『君たちは今が世界』のあらすじを理解するための用語解説

『君たちは今が世界』を読み進める上で重要な用語をまとめてみました。

これらの用語を理解しておくと、物語の背景や子どもたちの心境がより深く理解できますよ。

用語 説明
学級崩壊 教室内で生徒同士や生徒と教師との間で秩序が崩れ
授業が正常に進まなくなる状態。
物語の舞台となる6年3組の根本的な問題。
同調圧力・同調重力 集団の中で
「みんなと同じでなければならない」
という圧力のこと。
子どもたちが感じる息苦しさの表現として使われる。
洗剤混入事件 物語のきっかけとなる調理実習でのイタズラ事件。
犯人が名乗り出ず、クラス全体の空気を変える出来事。
教室という「世界」 主人公たちにとっての全世界を表す象徴的な場所。
そこでの経験や感情が彼らの人生の大部分を占める。

これらの用語を頭に入れておくと、物語の深層にある子どもたちの心情や現代の学校生活の実態がよりリアルに伝わってきますね。

『君たちは今が世界』の感想

『君たちは今が世界』を読んでいると、正直言うと胸が苦しくなりました。

この作品、本当にすごいんですよ。

朝比奈あすかさんの筆力には完全にやられました。

まず何といっても、子どもたちの心理描写がリアルすぎて、読んでいて自分の小学生時代がフラッシュバックしてくるんです。

特に尾辻文也くんの視点で描かれる部分では、クラスでの居場所のなさや、友達との微妙な距離感が痛いほど伝わってきて、思わず「ああ、こういう子いたなあ」って思い出してしまいました。

私自身、小学生の頃はそれなりに友達もいて楽しく過ごしていたつもりでしたが、この本を読んで「もしかしたら見えていなかった部分がたくさんあったのかもしれない」と考えさせられましたね。

川島杏美ちゃんの中学受験に対するプレッシャーの描写も秀逸でした。

優等生として期待される重圧と、クラスでの人間関係のバランスを取ることの難しさが、本当にリアルに描かれていて、現代の子どもたちが抱える複雑な問題がよく分かります。

私の知り合いにも中学受験を経験した子がいますが、まさにこんな感じだったんだろうなと思いました。

そして、武市陽太くんの章では涙が出そうになりました。

コミュニケーションが苦手で、周りから「問題児」として見られてしまう彼の気持ちが、とても丁寧に描かれているんです。

発達障害の傾向がある子どもの視点から世界を見ることで、私たち大人がいかに一方的な見方をしてしまいがちかを痛感させられました。

担任の幾田先生の「皆さんは、どうせ、たいした大人にはなれない」という言葉も印象的でしたね。

最初は「ひどい先生だな」と思ったんですが、読み進めるうちに、これが子どもたちの現実を見据えた厳しさからくる愛情表現なのかもしれないと感じるようになりました。

ただ、正直言うと、読んでいてかなりしんどい部分もありました。

学級崩壊や家庭の問題、SNSでのトラブルなど、現代の子どもたちが直面する問題がこれでもかと描かれていて、「こんなに大変なのか」と思わず重い気持ちになってしまいます。

でも、それこそがこの作品の価値だと思うんです。

子どもたちの世界を美化することなく、リアルに描き切ることで、私たち大人に「子どもを理解する」ことの大切さを教えてくれる作品です。

連作短編集という形式も効果的でした。

一人の視点だけでなく、複数の登場人物から同じ出来事を見ることで、物事には必ず複数の側面があることを実感できます。

洗剤混入事件一つとっても、それぞれの子どもが異なる受け取り方をしていて、真実は一つではないということがよく分かりました。

最後に、この作品を読んで一番感じたのは、「子どもにとって学校は本当に世界のすべてなんだ」ということです。

私たち大人は「学校が嫌なら他にも世界はある」と言いがちですが、子どもたちにとって教室での人間関係や出来事は、まさに人生のすべてなんですよね。

そのことを改めて理解できたのは、この本を読んだ大きな収穫でした。

※『君たちは今が世界』の読書感想文の書き方と例文はこちらにまとめています。

『君たちは今が世界』読書感想文の書き方と例文
『君たちは今が世界』の読書感想文の書き方を詳しく解説。重要な3つのポイント、テンプレート、小学生・中学生向けの例文を紹介し、コピペではない個性的な感想文作成をサポートします。

『君たちは今が世界』の作品情報

『君たちは今が世界』の基本的な作品情報をまとめてみました。

項目 詳細
作者 朝比奈あすか
出版年 2019年6月28日(単行本初版)
2021年7月16日(文庫版)
出版社 KADOKAWA(角川文庫)
受賞歴 特に大きな受賞歴はないが
2020年度の中学受験国語の入試問題で多く出題
ジャンル 児童文学・連作短編集・青春小説
主な舞台 小学校6年3組とその周辺環境
時代背景 現代(SNSや中学受験など現代的な要素を含む)
主なテーマ 学級崩壊、いじめ、家庭問題、友人関係、自己理解
物語の特徴 複数の登場人物の視点から描かれる連作短編集
対象年齢 小学校高学年から中学生、高校生、大人まで幅広く
青空文庫の収録 収録なし

この作品は刊行から数年で中学受験の出題作品として注目されるなど、教育現場でも高く評価されている現代的な児童文学ですね。

『君たちは今が世界』の主要な登場人物とその簡単な説明

『君たちは今が世界』に登場する重要な人物たちをご紹介します。

それぞれが複雑な背景を持つ魅力的なキャラクターばかりですよ。

人物名 紹介
尾辻文也(おつじ ふみや) クラスのいじられ役の男の子。
過去に辛い経験があり、友達作りに苦労している。
少しずつ自分の居場所を見つけていく。
川島杏美(かわしま あみ) 中学受験を目指す優等生の女の子。
勉強は得意だが
クラス内での人間関係や家庭のプレッシャーに悩んでいる。
武市陽太(たけいち ようた) コミュニケーションが苦手で「問題児」とされる男の子。
発達障害の傾向があり、周囲とうまく関われず葛藤している。
見村めぐ美(みむら めぐみ) クラスの女王様・前田香奈枝の取り巻きで親友の女の子。
家庭環境が複雑で、内面に深い悩みを抱えている。
前田香奈枝(まえだ かなえ) 女子グループのリーダー格でクラスの「女王様」。
幼馴染の杏美と複雑な関係を持ち、
クラスのムードメーカーでもある。
小磯利久雄(こいそ りくお) 音楽が得意な男の子で、合奏会で重要な役割を持つ。
クラスの中での人間関係で微妙な位置づけにいる。
幾田先生(いくた せんせい) 6年3組の担任教師。
厳しいが、生徒たちの心の奥を見つめ、
本質的な指導を心がけている。

これらの人物が複雑に絡み合いながら、学級崩壊寸前の教室のリアルな雰囲気を作り出しているんですね。

『君たちは今が世界』の読了時間の目安

『君たちは今が世界』の読了時間について具体的な数字をお示しします。

項目 詳細
ページ数 416ページ(角川文庫
推定文字数 約249,600文字
読了時間の目安 約8時間20分
1日の読書時間別の日数 1日1時間なら約8日
1日2時間なら約4日
1日30分なら約17日

中学生や高校生の皆さんなら、週末を使って集中して読めば2〜3日で読み切ることもできますね。

内容が濃いので、じっくり時間をかけて読むのもおすすめですよ。

『君たちは今が世界』はどんな人向けの小説か?

『君たちは今が世界』がぴったり合う人のタイプを考えてみました。

以下のような方には特におすすめしたい作品です。

  • 現代の学校生活の実情を知りたい保護者や教育関係者の方
  • 自分の小学生時代を振り返って新たな視点を得たい大人の方
  • 友人関係や学校での悩みを抱えている小学校高学年〜中学生の方

逆に、重い内容が苦手な方や、明るいストーリーを求めている方にはあまり向かないかもしれません。

ただし、リアルな描写だからこそ得られる学びや共感もたくさんある作品なので、最初は重く感じても最後まで読む価値は十分にありますよ。

特に読書感想文を書く予定の学生さんには、感想を書きやすい要素がたくさん詰まった作品だと思います。

あの本が好きなら『君たちは今が世界』も好きかも?似ている小説3選

『君たちは今が世界』を気に入った方におすすめしたい、テーマや雰囲気が似ている作品をご紹介しますね。

どの作品も子どもたちのリアルな心情や成長を描いた秀作ばかりです。

宗田理『ぼくらの七日間戦争』

小学生の主人公たちが学校の問題や大人との衝突を通じて成長する物語です。

『君たちは今が世界』と同じく、現代の子どもたちのリアルな心情や友情の葛藤が描かれています。

学校という閉じられた世界での子どもたちの結束と成長を描く点で、非常に似た魅力を持つ作品ですね。

大人への反発心と、それでも成長していく子どもたちの姿が印象的です。

『ぼくらの七日間戦争』あらすじ(本・小説)を簡単&詳しく
『ぼくらの七日間戦争』の本(小説版)のあらすじを簡単に&詳しくネタバレ無しで紹介。宗田理の代表作である本作の魅力、登場人物、読書感想文に役立つ情報を読書愛好家が解説します。

重松清『きよしこ』

吃音に悩む少年の成長を描いた自伝的小説です。

『君たちは今が世界』の武市陽太くんのように、コミュニケーションに困難を抱える子どもの内面を繊細に描いています。

学校生活での疎外感や、自分らしさを見つけていく過程が共通するテーマとなっており、読者の心に深く響く作品です。

子どもの視点から見た世界の複雑さが巧みに表現されています。

森絵都『カラフル』

中学生の魂の再生を描いたファンタジー要素のある青春小説です。

『君たちは今が世界』と同様に、いじめや家庭問題、友人関係など現代の子どもが抱える問題をリアルに描いています。

複数の視点から一つの出来事を見ることの大切さや、人間の多面性を理解することの重要さが共通するメッセージとして込められています。

希望を失いそうになった子どもが再び立ち上がる姿が感動的です。

森絵都の小説『カラフル』のあらすじを簡単に短く&詳しく
森絵都の小説『カラフル』のあらすじを簡単に短く、また詳しく様々な長さで紹介。他者の人生を生きることで見えてくる「生きる意味」とは?感動のストーリーを読書感想文執筆のポイントもあわせて解説します。

振り返り

『君たちは今が世界』のあらすじから感想、作品情報まで詳しくご紹介してきました。

朝比奈あすかさんのこの作品は、現代の子どもたちが抱える複雑な問題をリアルに描き切った素晴らしい連作短編集です。

読書感想文を書く予定の皆さんにとって、この記事が参考になれば嬉しいです。

物語の重いテーマに向き合いながら、子どもたちの成長と希望を見つけられる作品として、多くの方におすすめしたい一冊ですね。

コメント