『トム・ソーヤーの冒険』の読書感想文を書く予定の児童・学生さん、お疲れさまです。
マーク・トウェインの代表作である『トム・ソーヤーの冒険』は、19世紀半ばのアメリカを舞台に、いたずら好きの少年トムが親友のハックルベリー・フィンと繰り広げる冒険物語ですね。
今回は読書が趣味で年間100冊以上の本を読む私が、小学生・中学生の皆さんに向けて、この作品の読書感想文の書き方や例文、題名の付け方、書き出しのコツまで詳しく解説していきますよ。
コピペではなく、皆さん自身の言葉で心に響く感想文が書けるよう、テンプレートも用意してしっかりとサポートしていきますので、最後までお付き合いください。
『トム・ソーヤーの冒険』の読書感想文で書くべき3つのポイント
『トム・ソーヤーの冒険』の読書感想文を書く際には、必ず押さえておきたい重要なポイントが3つあります。
- トムの「ずる賢さ」と「純粋さ」の二面性
- 19世紀アメリカ社会の時代背景
- 子供から大人へと成長する物語
これらのポイントについて、読みながら「どう感じたか」を付箋やメモ帳に書き留めておくことをおすすめします。
メモの取り方は簡単で、「この場面を読んで、私はこう思った」「トムの行動に対して、私はこう感じた」という形で、素直な気持ちを短い文章で書いておけば大丈夫です。
なぜ「どう感じたか」が重要なのかというと、読書感想文は皆さん自身の心の動きや考えを表現する文章だからです。
単にあらすじを書くのではなく、皆さんがどんな気持ちになったのか、何を学んだのかを伝えることが感想文の本質なんですね。
それでは、具体的な3つのポイントを見ていきましょう。
これらのポイントを意識して読み返すことで、表面的な冒険談にとどまらない、深い感想文が書けるようになりますよ。
トムの「ずる賢さ」と「純粋さ」の二面性
主人公のトム・ソーヤーは、一見するとただのいたずら好きな少年に見えますが、実は非常に複雑で魅力的な性格をしています。
彼の最も印象的な特徴は、「ずる賢さ」と「純粋さ」という相反する二つの面を持っていることです。
「ずる賢さ」の代表例は、物語の序盤に登場するペンキ塗りのエピソードでしょう。
ポリーおばさんから罰として塀のペンキ塗りを命じられたトムは、それを「とても楽しい特別な仕事」だと友達に思わせて、逆にお金をもらいながらペンキを塗らせてしまいます。
この場面では、トムの機転の利いた頭の良さと、大人を上手く出し抜く狡猾さが描かれています。
しかし、トムの行動の根底には必ず「純粋さ」があることも忘れてはいけません。
洞窟でベッキーと迷子になった際の彼の行動を思い出してください。
絶望的な状況の中でも、トムはベッキーを励まし続け、自分の命を危険にさらしてでも彼女を守ろうとします。
また、インジャン・ジョーの殺人現場を目撃した時も、恐怖に震えながらも最終的には真実を法廷で証言し、無実のマフ・ポッターを救います。
このような場面では、トムの勇気と正義感、そして他人を思いやる純粋な心が強く表れています。
読書感想文を書く際は、皆さんがトムのどの行動に最も心を動かされたか、そして彼のずる賢さと純粋さのどちらに共感したかを考えてみてください。
「私はトムの○○な部分に感動した」「トムの行動を見て、自分も△△したいと思った」といった具体的な感想を書くことで、説得力のある文章になります。
19世紀アメリカ社会の時代背景
『トム・ソーヤーの冒険』は、1840年頃のアメリカ・ミズーリ州の小さな町を舞台にした物語です。
この時代背景を理解することで、物語がより深く読めるようになり、感想文にも厚みが出てきます。
当時のアメリカは現在とは大きく異なり、社会階級の差も明確に分かれていました。
ハックルベリー・フィンが「町のゴミ」と呼ばれ、大人たちから疎外されていたのも、こうした社会背景があったからです。
また、教育制度も現在ほど整っておらず、子供たちは比較的自由に過ごせる反面、危険も多く存在していました。
トムたちが夜中に墓地へ出かけたり、洞窟で迷子になったりできたのも、現代ほど子供の行動が厳格に管理されていなかったからでしょう。
宗教的な価値観も現代より強く、日曜学校への参加や聖書の暗記などが子供たちに求められていました。
トムが日曜学校で聖書の暗記券を集めようとする場面は、こうした当時の教育システムを反映しています。
このような時代背景を踏まえて物語を読むと、トムの行動や選択により深い意味を見出すことができます。
感想文では、「現代の子供たちと比べて、トムたちの生活はどうだったか」「もし自分がその時代に生きていたら、どう感じただろうか」といった視点で書いてみるのも面白いでしょう。
また、当時の社会問題について考察を加えることで、単なる冒険物語を超えた社会的な意義についても触れることができます。
子供から大人へと成長する物語
『トム・ソーヤーの冒険』は、表面的には楽しい冒険物語ですが、その本質は一人の少年が様々な経験を通して成長していく「教養小説」でもあります。
物語の始まりでは、トムはただのいたずら好きな子供でした。
学校をサボり、大人の言うことに反発し、目の前の楽しみだけを追い求める、典型的な「やんちゃ坊主」だったのです。
しかし、物語が進むにつれて、トムは次第により重大な出来事に直面するようになります。
墓地での殺人事件の目撃は、彼にとって初めての「現実の死」との遭遇でした。
この体験により、トムは遊びの世界から現実の世界へと一歩踏み出すことになります。
真実を隠し続ける苦しみや、インジャン・ジョーへの恐怖と向き合いながら、彼は徐々に「責任」というものを学んでいきます。
洞窟での遭難は、トムにとって最大の試練でした。
ベッキーという大切な人を守らなければならないという責任感、絶望的な状況でも諦めない強い意志、そして冷静な判断力など、大人になるために必要な資質をこの体験を通して身につけていきます。
最終的に宝物を発見することで、トムは物質的な成功だけでなく、精神的な成熟も手に入れたのです。
読書感想文では、トムがどの場面で最も成長したと感じたか、そして皆さん自身の成長体験と重ね合わせて書いてみることをおすすめします。
「私もトムのように、○○の経験を通して成長できた」「トムの勇気を見習って、私も△△に挑戦したい」といった形で、自分自身の体験や目標と結び付けることで、より説得力のある感想文になりますよ。
※『トム・ソーヤーの冒険』の簡単で短いあらすじはこちらにまとめています。

『トム・ソーヤーの冒険』の読書感想文のテンプレート
ここからは、皆さんが『トム・ソーヤーの冒険』の読書感想文を効率良く書けるように、ステップバイステップのテンプレートをご紹介します。
このテンプレートに従って空欄を埋めていけば、先ほど解説した3つのポイントがしっかりと含まれた感想文が完成しますよ。
ステップ1:書き出しと作品との出会い
まずは読み手の関心を引く書き出しから始めましょう。
以下のテンプレートの空欄を埋めて、皆さんなりの導入部分を作ってください。
空欄の例:
– きっかけ:「先生に勧められたから」「友達が面白いと言っていたから」
– 最初の印象:「古い本で難しそう」「子供向けで簡単そう」
– 読み始めた感想:「意外にも現代的で面白く」「想像以上に深い内容」
– トムの特徴:「いたずら好きで自由」「勇気があって頭が良い」
– 印象的な場面:「ペンキ塗りのエピソード」「洞窟での冒険」
ステップ2:トムの性格について
次に、トムの二面性について皆さんの感想を書きましょう。
空欄の例:
– 相反する面:「ずる賢さ」「純粋さ」「いたずら好き」「正義感」
– 場面:「ペンキ塗り」「裁判での証言」「洞窟での救出」
– 共感する理由:「自分も似たような経験があるから」「そうありたいと思うから」
ステップ3:時代背景と社会について
19世紀アメリカの時代背景について感じたことを書きます。
空欄の例:
– 印象的な点:「子供たちの自由さ」「社会階級の差」「教育制度の違い」
– 感想:「羨ましい」「厳しそう」「複雑」
– 現代との比較:「もっと自由に遊べただろう」「今の時代で良かった」
ステップ4:成長の物語として
トムの成長について、皆さんの体験と重ね合わせて書きましょう。
ステップ5:まとめと今後への思い
最後に、この作品から学んだことと今後の目標を書いて締めくくります。
このテンプレートを使えば、構成のしっかりした読書感想文が書けますよ。
『トム・ソーヤーの冒険』の読書感想文の例文(800字の小学生向け)
【題名】トムから学んだ本当の勇気
私が『トム・ソーヤーの冒険』を読んだきっかけは、図書館で表紙の絵を見て面白そうだと思ったからだ。
最初はアメリカの昔の話で難しそうだなと思ったけれど、読み始めるとトムの行動が面白くて、あっという間に読み終えてしまった。
主人公のトム・ソーヤーは、私と同じくらいの年の男の子だけれど、とても頭が良くてずる賢い子だった。
一番驚いたのは、おばさんから罰としてもらった塀のペンキ塗りを、友達に「すごく楽しい仕事なんだぞ」と言って、お金までもらいながらやらせてしまったことだ。私だったら「嫌だな」と思うところを、トムは遊びに変えてしまうなんて、本当にすごいと思った。
でも、トムはただずるいだけではなかった。親友のハックや好きな女の子のベッキーが困った時には、自分の命を危険にしても助けようとする優しい心を持っていた。
特に洞窟で迷子になった時、ベッキーが泣き出しても、トムは「大丈夫、必ず出られるよ」と励まし続けていた。この場面を読んで、私は胸が熱くなった。もし私がトムの立場だったら、同じように勇気を出せただろうかと考えてしまった。
また、トムがインジャン・ジョーの悪事を法廷で話した時も、とても勇気がいることだったと思う。怖い人に恨まれるかもしれないのに、無実の人を助けるため真実を語ったトムは、本当にかっこよかった。
物語の中で、トムはいたずらばかりしていた子供から、いろいろな出来事を経験して頼りになる人に成長していった。特に宝物を見つけた時のトムは、もうただの子供ではなく、困難に立ち向かえる強い人になっていると感じた。
私もトムのように、嫌なことがあっても工夫して楽しく変えたり、友達が困った時には勇気を出して助けたりできる人になりたい。そして、正しいことと間違っていることを見分け、勇気を持って行動したい。
『トム・ソーヤーの冒険』は、友情の大切さや本当の勇気とは何かを教えてくれる素晴らしい本だった。私もトムのように毎日の生活の中で小さな勇気を出していこうと思う。
『トム・ソーヤーの冒険』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】トムが教えてくれた成長の意味
マーク・トウェインの『トム・ソーヤーの冒険』を読み終えて、私はこの物語が単なる少年の冒険談ではなく、一人の人間が成長していく過程を描いた作品であることを強く感じた。
主人公トム・ソーヤーの複雑な性格と、彼が直面する困難、そしてそこから学んでいく人生の教訓に、私は多くのことを考えさせられた。
トムの魅力は「ずる賢さ」と「純粋さ」という相反する二面性にある。ペンキ塗りの場面に象徴されるように、彼は常識を巧みに利用して自分に有利な状況を作り出す一方で、友人や恋人、そして正義のためには危険を顧みず行動する。矛盾しているようでいて、むしろ人間らしい複雑さを示しているのだと思う。私たちも時に要領よく立ち回り、時に正義感に従って行動しており、トムの姿はリアルな人間の姿を表しているといって間違いない。
また、舞台である19世紀半ばのアメリカ社会からも学ぶことが多い。当時の子供たちは今より自由に冒険できた反面、階級差別や偏見が強かった。ハックルベリー・フィンが「町のゴミ」と扱われたのもその一例だ。そんな中でトムがハックとの友情を貫いたのは、社会の偏見にとらわれない純粋さの証である。現代でも私たちは多くの固定観念に囲まれて暮らしているため、人の外見や環境ではなく本質を見抜く目の大切さを教えられた気がする。
最も印象的だったのは、トムの成長の過程だ。序盤の彼はいたずら好きな少年だったが、墓地での殺人事件、インジャン・ジョーとの対決、洞窟での遭難といった出来事を経て、徐々に責任感ある人物へと変わっていく。特に洞窟でベッキーを励まし続けた姿は、大切な人を守る責任を自覚した大人の姿に見えた。また、法廷でインジャン・ジョーの犯行を証言した場面では、恐怖に立ち向かう真の勇気を示した。命を狙われるかもしれない状況で無実の人を救うために真実を語った行動は、社会的責任をはたそうとする素晴らしいシーンで、ここを読んで私はトムに尊敬の念を抱いてしまったほどだ。
私自身も中学生として、友達がいじめられている時や困難な課題に挑戦する時など、日常の中で勇気を求められることがある。トムの姿から、真の勇気とは恐れないことではなく、恐れながらも正しいことのために行動することだと理解できた。恐怖や迷いを抱えながらも一歩を踏み出す強さこそ、人として大切なのだと思う。
『トム・ソーヤーの冒険』は冒険の楽しさだけでなく、友情や正義の価値、成長することの意味を考えさせてくれる作品だった。トムが宝物を手に入れたのは、幸運ではなく困難を乗り越えた成長の証だろう。私もこれから多くの試練に直面するだろうが、トムのように恐れず、友情と正義感を忘れずに成長していきたい。
この物語が今なお愛され続けているのは、時代を超えて人間の成長を描いた普遍的な物語だからに違いない。
振り返り
今回は『トム・ソーヤーの冒険』の読書感想文について、書き方のポイントから具体的な例文まで詳しく解説してきました。
トムの二面性、19世紀アメリカの時代背景、そして成長物語としての側面という3つのポイントを押さえることで、表面的な冒険談にとどまらない深みのある感想文が書けることがおわかりいただけたでしょう。
テンプレートを活用すれば、構成で悩むことなく効率的に感想文を完成させることができます。
そして何より大切なのは、皆さん自身がこの物語を読んでどう感じたか、トムのどの行動に心を動かされたかという素直な気持ちを表現することです。
コピペに頼らず、皆さんの言葉で書かれた感想文こそが、読み手の心に響く価値ある文章になります。
きっと皆さんにも、トムに負けないくらい素晴らしい感想文が書けるはずですよ。
この記事を参考にして、自信を持って感想文に取り組んでくださいね。
コメント