『青くて痛くて脆い』の読書感想文を書く予定の皆さん、こんにちは。
住野よるさんによる青春小説『青くて痛くて脆い』は、大学生の田端楓と秋好寿乃が理想を掲げて創設したサークル「モアイ」を中心とした物語。
2018年に刊行されたこの作品は、理想と現実のギャップに悩む若者たちの心の動きを丁寧に描いた秀作として多くの読者に愛され続けています。
この記事では、年間100冊以上の本を読む私が『青くて痛くて脆い』の読書感想文における重要な要点から、中学生・高校生向けの例文まで、書き方のコツを余すことなくお伝えしていきますよ。
書き出しから題名の付け方まで、コピペではない自分だけの感想文を完成させる手助けをしますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
『青くて痛くて脆い』の読書感想文で触れたい3つの要点
『青くて痛くて脆い』の読書感想文を書く際に必ず盛り込みたい要点を3つご紹介します。
これらの要点について読みながら「自分はどう感じたか」をメモしておくことが、感想文作成の重要なポイントになりますよ。
- 理想と現実のギャップによる挫折と成長
- 不器用な人間関係と心の変化
- 過去との向き合い方と自己受容
なぜ「どう感じたか」をメモすることが大切なのかというと、読書感想文が単なるあらすじの紹介ではなく、あなた自身の心の動きを表現する文章だからです。
メモの取り方はいたって簡単。
読みながら心が動いた場面で本を閉じて、その瞬間の気持ちを3行程度で書き留めてください。
「田端の気持ちがわかる」「こんな友達関係は嫌だな」「自分だったらどうするだろう」といった素直な反応で構いません。
理想と現実のギャップによる挫折と成長
物語の中心となるのは、主人公の田端楓と秋好寿乃が創設したサークル「モアイ」です。
二人は「世界を少しでも良くしたい」という純粋な理想を抱いてサークルを立ち上げました。
しかし時間が経つにつれて、モアイは当初の理想とは全く異なる就職活動支援サークルへと変貌していきます。
この変化に田端は強い怒りと失望を感じ、かつての理想を取り戻そうと行動を起こします。
ここで注目したいのは、理想が現実に押し潰される過程と、それに対する登場人物たちの反応です。
あなたも学校生活や部活動で似たような経験をしたことがあるかもしれませんね。
最初は純粋な気持ちで始めたことが、いつの間にか全く違うものになってしまった時の気持ちを思い出してみてください。
また、理想を追求することの美しさと同時に、それが持つ「青さ」や「脆さ」についても考えてみましょう。
若い頃の理想は時として現実離れしていることもありますが、その純粋さこそが人を動かす力になることもあります。
不器用な人間関係と心の変化
田端楓は「人に不用意に近づかない」「誰かの意見に反する意見をできるだけ口にしない」という信条を持つ内気な青年です。
そんな彼が秋好と出会い、モアイでの活動を通じて様々な人間関係を築いていく過程は、この物語の重要な要素の一つです。
特に注目したいのは、田端の不器用さです。
素直に気持ちを伝えることができず、相手を傷つけてしまったり、自分の本心とは逆の行動を取ってしまったりする場面が描かれています。
董介やポンちゃん、川原理沙といった周囲の人物たちとの関係も、それぞれが異なる価値観を持ちながらも、どこか不完全で人間らしい繋がりを見せています。
あなた自身の人間関係を振り返ってみてください。
友達との間で言いたいことが言えなかったり、誤解が生まれたりした経験はありませんか?
また、一度築いた関係が時間と共に変化していく様子についても考えてみましょう。
中学や高校時代の友情は、大人になってからも続くものもあれば、自然と疎遠になってしまうものもあります。
そうした人間関係の変化に対してどう向き合うべきか、作品を通じて感じたことをメモしてみてください。
過去との向き合い方と自己受容
物語の終盤で田端は、自分の行動が秋好を深く傷つけてしまったことに気づきます。
これまで自分が被害者だと思っていた田端が、実は他人を傷つけていたことを認識する場面は、この作品の大きなターニングポイントです。
ここで描かれるのは、過去の自分と向き合う勇気と、自分の弱さを受け入れる成長です。
田端は「間違った自分、弱かった自分」を認めながらも、それでも前に進もうとします。
大学を卒業し社会人になった田端が、最後に秋好と再会する場面では、彼の内面の成長が表現されています。
自分の過ちを認めることの難しさと、それでも相手と向き合おうとする勇気について考えてみてください。
あなたも友達や家族に対して、後から「あの時はごめん」と思うような経験があるのではないでしょうか。
また、完璧ではない自分を受け入れることの大切さについても、この作品は教えてくれます。
誰もが「青くて痛くて脆い」部分を持っているからこそ、お互いを理解し支え合うことができるのかもしれません。
過去の失敗や挫折を乗り越えて成長していく過程で、あなたが感じたことや学んだことを具体的にメモしておきましょう。
※『青くて痛くて脆い』で作者が伝えたいことはこちらで解説しています。

『青くて痛くて脆い』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】青春の光と影を見つめて
私は『青くて痛くて脆い』を読んで、青春という時期の複雑さについて深く考えさせられた。
この物語は、大学生の田端楓と秋好寿乃が理想を掲げてサークル「モアイ」を創設するところから始まる。
最初は「世界を良くしたい」という純粋な気持ちで活動していた二人だったが、時が経つにつれてサークルは当初の目的とは全く違うものになってしまう。
私がまず強く印象に残ったのは、理想と現実のギャップに苦しむ田端の心情だった。
自分たちが大切にしていたものが変わってしまった時の悔しさや怒りは、読んでいて胸が痛くなるほどリアルに描かれている。
中学生の私にも、部活動やクラスの活動で似たような経験があるからかもしれない。
最初はみんなで協力して頑張ろうと思っていたことが、いつの間にか面倒になったり、当初の目標を忘れてしまったりすることがある。
田端の気持ちは決して他人事ではないと感じた。
また、この作品で特に考えさせられたのは、人間関係の難しさについてだった。
田端は内気で人との距離感を測るのが苦手な青年として描かれている。
彼が秋好や他の仲間たちと関わっていく中で見せる不器用さは、時として相手を傷つけてしまうこともある。
私も友達との関係で、言いたいことが上手く伝えられなかったり、相手の気持ちを考えずに行動してしまったりすることがよくある。
田端の行動を見ていると、素直に気持ちを伝えることの大切さを改めて感じた。
物語の終盤で田端が自分の過ちに気づく場面は、特に印象深かった。
これまで自分が被害者だと思っていた田端が、実は秋好を深く傷つけていたことを知る瞬間は、読んでいて息が詰まりそうになった。
でも同時に、自分の間違いを認めて相手と向き合おうとする田端の勇気にも感動した。
私たちの年齢では、自分が悪いと認めることはとても恥ずかしくて難しいことだ。
でも、本当の成長というのは、そうした恥ずかしさや辛さを乗り越えた先にあるのかもしれないと思った。
タイトルの「青くて痛くて脆い」という言葉も、読み終わった今なら理解できる気がする。
青春時代の純粋さや理想は確かに美しいものだが、同時にそれは傷つきやすく壊れやすいものでもある。
でもだからといって、その「青さ」や「脆さ」が悪いものではない。
むしろそれこそが、私たちを成長させてくれる大切な要素なのではないだろうか。
『青くて痛くて脆い』を読んで、私は自分自身の人間関係や将来への向き合い方について深く考えることができた。
完璧な人間なんていないし、失敗や挫折を経験するのは当たり前のことだ。
大切なのは、そこから何を学び、どう成長していくかということなのだと思う。
この本は、これから多くの経験を積んでいく私たちに、とても大切なことを教えてくれる作品だった。
『青くて痛くて脆い』の読書感想文の例文(2000字の高校生向け)
【題名】理想という名の光と影
住野よるの『青くて痛くて脆い』を読み終えた瞬間、私の胸には複雑な感情が渦巻いていた。
この作品は単純な青春小説の枠を超えて、理想と現実の間で揺れ動く人間の心を鋭く描き出している。
小説家が持つ「心のひだ」を描き出す筆力に感動すると同時に、高校生である私自身の内面と向き合わざるを得ない強烈な体験だった。
物語の始まりは、大学生の田端楓と秋好寿乃が出会い、サークル「モアイ」を創設する場面から始まる。
二人が抱いていた「世界を少しでも良くしたい」という理想は、まさに高校生の私が日々感じている漠然とした思いと重なる部分が多かった。
社会に対する問題意識や、何かを変えたいという気持ちは誰もが持つものだと思う。
しかし、そうした純粋な理想が時間の経過と共に変質していく様子を読んでいると、理想を持つことの難しさを痛感せずにはいられなかった。
最初は秘密結社のような小さな組織だった「モアイ」が、気がつけば50人の大所帯となり、就職活動支援をメインとするサークルに変貌している。
この変化自体は決して悪いことではないかもしれない。
むしろ現実的で実用的な活動と言えるだろう。
しかし、田端にとってはそれが「裏切り」のように感じられてしまう。
私はここに、理想主義者が抱える根本的なジレンマを見た。
理想を現実の中で実現しようとすれば、必然的に妥協や変化が必要になる。
でも、その変化を受け入れることができない人にとっては、それは理想の死を意味してしまうのだ。
田端の心情を理解する一方で、私は彼の行動には疑問を感じる部分もあった。
特に、「モアイ」を破壊しようとする彼の復讐的な行為については、共感できない部分が多かった。
確かに彼の気持ちは理解できるが、他人の居場所を奪う権利が彼にあるのだろうか。
このことを考えていると、理想を追求することの美しさと同時に、それが持つ危険性についても思いを巡らせずにはいられなかった。
純粋な理想は時として独善的になってしまう可能性があるのだ。
私が最も深く考えさせられたのは、田端と秋好の関係性だった。
二人の間にある複雑な感情は、友情とも恋愛とも言い切れない微妙なものだ。
田端の秋好に対する気持ちは、憧れや依存、そして時には憎しみにも似た感情が混在している。
一方で秋好もまた、理想を追求しながらも現実との折り合いをつけようとする中で、田端の期待に応えられない苦しみを抱えている。
この二人の関係を見ていると、人間関係における期待と現実のギャップについて深く考えさせられる。
私たちは相手に対して勝手に理想像を作り上げ、その人がその通りに行動してくれることを期待してしまうことがある。
でも、相手も一人の人間であり、変化し成長していく存在なのだ。
それを受け入れることの難しさと大切さを、この作品は教えてくれる。
物語の終盤で田端が自分の行動を深く後悔する場面は、読んでいて胸が締め付けられるような思いだった。
これまで自分が被害者だと思い込んでいた田端が、実は秋好を深く傷つけていたことに気づく瞬間は、読者である私にも強い衝撃を与えた。
自分の正義を信じて行動していたはずなのに、その行動が他人を傷つけていたという事実は、田端にとって耐え難いものだっただろう。
しかし、私はここに田端の人としての成長を見ることができた。
自分の過ちを認め、相手の痛みを理解し、それでもなお前に進もうとする彼の姿勢は、まさに大人への階段を上る過程そのものだと感じた。
社会人になった田端が最後に秋好と再会する場面では、彼の内面の変化が静かに表現されている。
「無視されてもいい、拒絶されてもいい」と思いながらも、それでも相手と向き合おうとする田端の勇気に、私は深い感動を覚えた。
これこそが真の成熟なのかもしれない。
自分の弱さや過ちを受け入れながらも、それでも人とのつながりを求めていく姿勢なのだ。
『青くて痛くて脆い』というタイトルが持つ意味も、読み終えた今では深く理解できる。
青春期の理想主義は確かに美しく輝いているが、同時にそれは傷つきやすく壊れやすいものでもある。
でも、その「脆さ」があるからこそ、私たちは成長することができるのではないだろうか。
痛みを伴わない成長などあり得ないし、傷つくことを恐れていては何も始まらない。
高校生である私にとって、この作品は将来への不安と希望を同時に与えてくれた。
これから大学に進学し、社会に出ていく中で、私も田端や秋好のような経験をすることになるだろう。
理想と現実のギャップに悩み、人間関係で傷つき、時には他人を傷つけてしまうこともあるかもしれない。
でも、そうした経験を通じてこそ、本当の意味で成長していくことができるのだと思う。
完璧な人間になることはできないけれど、自分の不完全さを受け入れながら、それでも前に進んでいく勇気を持ち続けたい。
『青くて痛くて脆い』は、私にそんな大切なことを教えてくれた作品だった。
振り返り
『青くて痛くて脆い』の読書感想文について、重要な要点から具体的な例文まで詳しく解説してきました。
この記事を通じて、読書感想文は単なるあらすじの紹介ではなく、あなた自身の心の動きや成長を表現する大切な文章であることが伝わったでしょうか。
理想と現実のギャップ、不器用な人間関係、そして過去との向き合い方という3つの要点を軸に、中学生と高校生それぞれの視点から感想文の例を示しました。
でも何より大切なのは、あなた自身がこの作品を読んでどう感じたかということです。
例文はあくまでも参考として活用し、あなただけの言葉で、あなたの心に響いた部分を表現してくださいね。
『青くて痛くて脆い』が持つ深い魅力を、あなたの感想文を通じて多くの人に伝えることができるはずです。
頑張って素敵な読書感想文を完成させてください。
※小説『青くて痛くて脆い』のあらすじはこちらで短く簡単にご紹介しています。

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