『アンネの日記』のあらすじについて、簡単に簡潔に解説していきますね。
この不朽の名作は、第二次世界大戦中にナチスの迫害から逃れるため隠れ家で過ごした13歳のユダヤ系ドイツ人少女、アンネ・フランクが残した日記です。
1947年にオランダで初版が出版されて以来、世界中で読み継がれ、2009年にはユネスコ世界記憶遺産にも登録された歴史的価値の高い作品となっています。
年間100冊以上の本を読む私が、読書感想文を書く予定の学生の皆さんに、ネタバレを含むあらすじから詳細な解説まで、丁寧に説明していきますよ。
アンネ・フランク『アンネの日記』のあらすじを簡単に簡潔に(ネタバレ)
1942年から1944年にかけて、13歳のユダヤ人少女アンネ・フランクは家族と共にアムステルダムの隠れ家で2年間を過ごした。
ナチスによるユダヤ人迫害から逃れるため、本棚の裏の秘密の部屋で8人が共同生活を送る中、アンネは想像上の友人「キティー」に向けて日記を書き続けた。
隠れ家では同居する少年ピーターとの淡い恋心や家族との葛藤、外の世界への憧れを綴った。
1944年8月4日、密告により隠れ家が発見され、8人全員が逮捕される。
アンネはアウシュヴィッツ、その後ベルゲン・ベルゼン強制収容所に送られ、1945年3月に発疹チフスで亡くなった。
唯一生き残った父オットーが戦後、娘の日記を出版し、世界的ベストセラーとなった。
アンネ・フランク『アンネの日記』のあらすじを詳しく(ネタバレ)
1942年6月12日、13歳の誕生日にもらった日記帳に「キティー」と名前を付けたアンネ・フランクは、ナチス占領下のアムステルダムで日記を書き始めた。
ユダヤ人への迫害が激化する中、フランク一家は7月6日から隠れ家での生活を開始する。
アムステルダム市プリンセンフラハト263番地のオフィスビル内、本棚で隠された秘密の部屋で、アンネの両親オットーとエーディト、姉マルゴット、そしてファン・ペルス一家3人と歯科医プフェファーの計8人が共同生活を送った。
外の世界から完全に隔離された生活の中、アンネは思春期特有の悩みや家族への反発心、特に母親との衝突を率直に日記に記した。
同居する少年ピーター・ファン・ペルスとは次第に親しくなり、初恋の感情を抱くようになる。
隠れ家での生活は常に緊張に満ちており、泥棒の侵入や外部からの脅威に怯える日々が続いた。
それでもアンネは勉強を続け、作家になる夢を抱き続けた。
1944年8月1日の日記を最後に、8月4日に密告によってドイツ保安警察に発見され、8人全員が逮捕される。
アンネは母親と姉と共にアウシュヴィッツ強制収容所に送られ、その後ベルゲン・ベルゼン収容所に移送された。
1945年3月、アンネと姉マルゴットは発疹チフスにより相次いで亡くなり、母親も収容所で死亡した。
唯一生き残った父オットーが戦後帰国し、隠れ家を支援していた人々から託されたアンネの日記を1947年に出版し、世界中の人々に感動を与えることとなった。
『アンネの日記』のあらすじを理解するための用語解説
『アンネの日記』を深く理解するために、重要な用語について解説しますね。
用語 | 説明 |
---|---|
隠れ家(後ろの家) | アムステルダムのオフィスビル内にある 本棚で隠された秘密の部屋。 8人が2年間共同生活を送った場所で 外の世界から完全に隔離されていた。 |
キティー | アンネが日記帳に付けた名前。 まるで親友に手紙を書くように 心の内を素直に綴る相手として設定した。 |
ナチス | 1920年から1945年まで存在した ドイツの極右政党でアドルフ・ヒトラーが率い 民族主義や反ユダヤ主義を掲げて独裁政権を築いた団体。 |
ホロコースト | 第二次世界大戦中にナチス・ドイツが行った ユダヤ人の組織的大量虐殺。 約600万人のユダヤ人が犠牲になったとされている。 |
強制収容所 | ナチスがユダヤ人やその他の迫害対象者を拘束し 過酷な労働や虐殺を行った施設。 アウシュヴィッツやベルゲン・ベルゼンが代表的。 |
これらの用語を理解しておくと、アンネの置かれた状況や心情がより深く伝わってきます。
『アンネの日記』を読んだ私の感想
正直言って、この作品を読み終えた時の感情は複雑でしたね。
まず驚いたのは、アンネの文章力の高さです。
13歳の少女が書いたとは思えないほど、自分の感情や周囲の人間関係を客観視して表現している。
特に母親への反発心を率直に綴っている部分では、「あー、思春期って万国共通なんだな」と妙に納得してしまいました。
私にも同じ年頃の娘がいるんですが、アンネの母親への態度を読んでいると、うちの娘と重なる部分が多くて苦笑いしてしまう場面もありましたよ。
でも、そんな普通の少女らしさがあるからこそ、置かれた状況の異常さが際立つんですよね。
隠れ家での生活描写は本当にリアルで、読んでいて息苦しくなるほどでした。
8人が狭い空間で2年間も過ごすなんて、想像しただけでストレスが溜まりそうです。
それなのにアンネは、そんな極限状態でも希望を失わず、作家になる夢を抱き続けている。
この精神力の強さには本当に感動しました。
ピーターとの恋愛関係の描写も、初々しくて微笑ましかったですね。
普通なら学校で友達と恋バナに花を咲かせるような年頃なのに、隠れ家という閉鎖された空間での初恋。
切ないけれど、それでも恋する気持ちは変わらないんだなと思いました。
ただ、読んでいて辛かったのは、この日記が1944年8月1日で途切れていることです。
その3日後に彼女の運命が決まってしまうと思うと、胸が締め付けられます。
特に最後の方で、アンネが「人間の本質は善である」と書いている部分を読んだ時は、涙が止まりませんでした。
これほど理不尽な目に遭いながらも、人間への信頼を失わなかった彼女の心の美しさに、本当に頭が下がる思いです。
歴史の授業でホロコーストについて学んだことはありましたが、こうして一人の少女の目線で体験することで、戦争の恐ろしさがより身近に感じられました。
平和な現代に生きる私たちが、決して忘れてはいけない記録だと思います。
アンネがもし生きていたら、きっと素晴らしい作家になっていたでしょうね。
彼女の夢が叶わなかったことが、本当に残念でなりません。
※『アンネの日記』の読書感想文の例文や解説はこちら。

『アンネの日記』の作品情報
項目 | 詳細 |
---|---|
作者 | アンネ・フランク |
出版年 | 1947年(オランダ初版) 日本では主に文藝春秋社から出版 |
出版社 | コンタクト社(オランダ初版) 文藝春秋(日本語版) |
受賞歴 | ユネスコ世界記憶遺産登録(2009年) |
ジャンル | 日記文学・戦争文学・青春文学 |
主な舞台 | オランダ・アムステルダムの隠れ家 |
時代背景 | 第二次世界大戦中(1942年~1944年) |
主なテーマ | 戦争・迫害・成長・希望・人間の尊厳 |
物語の特徴 | 実際の日記をもとにした実話 13歳の少女の率直な心情描写 |
対象年齢 | 小学校中学年以上~大人まで |
青空文庫 | 未収録 |
『アンネの日記』の主要な登場人物とその簡単な説明
『アンネの日記』に登場する隠れ家で共同生活を送った8人と、彼らを支援した人々について紹介しますね。
人物名 | 簡単な紹介 |
---|---|
アンネ・フランク | 日記の書き手である13歳のユダヤ系ドイツ人少女。 明るく聡明な性格で、作家になることを夢見ていた。 |
オットー・フランク | アンネの父親。 隠れ家の住人で唯一戦後まで生き延び、 娘の日記を出版した。 |
エーディト・フランク | アンネの母親。 アンネとしばしば衝突し、 日記の中で批判的に描かれることが多い。 |
マルゴット・フランク | アンネの3歳年上の姉。 おとなしく優等生タイプで、 アンネとピーターの関係を複雑な心境で見守る。 |
ピーター・ファン・ペルス | アンネの初恋の相手となる少年。 内気な性格だが、 アンネと心を通わせるようになる。 |
ヘルマン・ファン・ペルス | ピーターの父親。 フランク一家と度々摩擦を起こし、 日記でも批判的に描かれている。 |
アウグステ・ファン・ペルス | ピーターの母親、ヘルマンの妻。 コミカルな一面もあるが、 フランク一家との関係は複雑だった。 |
フリッツ・プフェファー | 隠れ家に合流した歯科医。 アンネと部屋を共有し、 日記では「デュッセル」として頻繁に愚痴の対象となる。 |
これらの人物の複雑な人間関係が、隠れ家での生活をよりリアルに描き出しています。
『アンネの日記』の読了時間の目安
『アンネの日記』の読書にかかる時間について説明しますね。
項目 | 詳細 |
---|---|
総ページ数 | 608ページ(文春文庫版) |
推定文字数 | 約365,000文字 |
読了時間目安 | 約12時間 |
1日1時間読書の場合 | 約12日間 |
1日30分読書の場合 | 約24日間 |
文章は比較的読みやすく、内容に引き込まれるため、思ったよりもスムーズに読み進められます。
中学生でも無理なく読める文体なので、読書感想文の課題図書としても取り組みやすい作品ですね。
『アンネの日記』はどんな人向けの小説か?
『アンネの日記』は幅広い読者層におすすめできる普遍的な魅力を持っていますが、特に以下のような方々に強くおすすめします。
- 思春期の悩みや成長に関心がある人:アンネの率直な心情描写が共感を呼ぶ
- 歴史や戦争について学びたい人:ホロコーストの実態を個人の視点から理解できる
- 困難な状況でも希望を失わない強さを学びたい人:アンネの前向きな精神力に励まされる
逆に、重いテーマが苦手な方や、結末が分かっている悲劇的な物語を読むのが辛い方には、心の準備をしてから読むことをおすすめします。
ただし、そうした方々にこそ、この作品の持つ普遍的なメッセージを受け取ってほしいと思いますね。
あの本が好きなら『アンネの日記』も好きかも?似ている小説3選
『アンネの日記』と共通するテーマや雰囲気を持つ作品を3つご紹介します。
戦争体験、青春の心情、希望と絶望といった要素で選んでみました。
ヴィクトール・フランクル『夜と霧』
精神医学者である著者が、アウシュヴィッツ強制収容所での体験を心理学的視点から記したノンフィクション作品です。
極限状況における人間の心理と、それでも失われない希望について深く考察されています。
『アンネの日記』と同じくホロコーストを扱い、人間の尊厳と希望をテーマとする点で共通しています。
タチアナ・ド・ロネ『サラの鍵』
現代の女性記者が第二次世界大戦中のパリで起きたユダヤ人迫害事件を調査する過程で、一人の少女の悲劇的な運命を追う物語です。
戦争に翻弄される子どもの視点と、歴史の真実を現代に伝える意義という点で『アンネの日記』と重なります。
家族愛と戦争の残酷さを描いた感動的な作品ですね。
キャシー・ケイサー『エーディト、ここなら安全よ』
実在のユダヤ人少女をモデルに、ナチスの迫害から逃れて生き延びた少女の実話を描いた作品です。
周囲の人々の協力を得ながら命をつないでいく過程で、人間の善意と希望が描かれています。
『アンネの日記』と同じく、戦時下を生きる少女の体験と成長を扱った感動的な物語です。
振り返り
『アンネの日記』のあらすじを簡単にも詳しくも紹介し、読書感想文を書く際に役立つ情報をまとめてきました。
この作品は13歳の少女が残した率直な記録でありながら、戦争の悲惨さと人間の尊厳について深く考えさせてくれる名作です。
思春期特有の悩みや家族との葛藤といった普遍的なテーマと、ホロコーストという歴史的背景が見事に組み合わされた作品として、多くの人に読み継がれる価値がありますね。
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