『世界でいちばん透きとおった物語』あらすじを簡単に※ネタバレなし

『世界でいちばん透きとおった物語』のあらすじ あらすじ

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『世界でいちばん透きとおった物語』のあらすじを簡単にご紹介していきますね。

杉井光さんによる感動のミステリー小説『世界でいちばん透きとおった物語』は、2023年に新潮社から刊行された話題の作品です。

この記事では、年間100冊以上の本を読む私が短くて簡単なあらすじから詳しいあらすじまで、段階的に丁寧に説明します。

さらに登場人物の紹介や読了時間の目安、どんな人におすすめかまで、読書感想文を書くのに必要な情報を網羅していますよ。

ただし、ネタバレなしで進めていきますので、安心して読み進めてくださいね。

それでは、さっそく『世界でいちばん透きとおった物語』の世界に足を踏み入れてみましょう。

杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)

ベストセラー作家の宮内彰吾が61歳で癌により死去した。宮内の隠し子である藤阪燈真のもとに、嫡出の息子・松方朋晃から連絡が入る。父が生前に執筆していた遺作『世界でいちばん透きとおった物語』の原稿を探してほしいという依頼だった。燈真は文芸編集者の深町霧子の協力を得て、宮内の愛人たちや編集者を訪ね歩き、遺稿の手がかりを追う。やがて宮内が狛江の一軒家で最期を過ごし執筆していたことが判明するが、燈真たちが到着した時には既に原稿は何者かによって焼却されていた。

杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)

大御所ミステリー作家の宮内彰吾が癌で61歳の若さで亡くなった。女性関係が派手だった宮内には妻子がいたが、多くの愛人も抱えており、その一人である藤阪恵美との間には燈真という隠し子がいた。宮内の死後、燈真のもとに嫡出の息子・松方朋晃から連絡が入る。宮内が生前に『世界でいちばん透きとおった物語』というタイトルの小説を執筆していた形跡があるが、原稿が見当たらない。遺作として出版するために原稿を見つけてほしいという依頼だった。燈真は知り合いの文芸編集者・深町霧子の助けを借り、父の遺稿探しを始める。宮内の愛人たちや編集者、評論家などを訪ね歩いて情報を収集した燈真は、宮内が狛江の一軒家で最晩年を過ごし執筆していたことを突き止める。松方朋晃と共にその家に向かうが、二人の到着直前に何者かが侵入し、貴重な原稿を焼却してしまっていた。その後、霧子が燈真の集めた情報を基に推理を展開し、失われた遺作の内容に迫っていく。

『世界でいちばん透きとおった物語』のあらすじを理解するための用語解説

『世界でいちばん透きとおった物語』をより深く理解するために、重要な用語を整理しておきましょう。

用語 説明
遺稿 故人が生前に書き残した未発表の作品や原稿。
本作では宮内彰吾の最後の作品を指す。
校正者 出版物の誤字脱字や表現をチェックする職業。
主人公の母親の仕事でもある。
編集者 書籍制作で作家と出版社の橋渡しをする役割。
物語の謎解きに重要な人物として登場する。
嫡出 婚姻関係にある男女(夫婦)から生まれた子。
婚姻関係にない男女から生まれた子は非嫡出子と呼ぶ。
ミステリー小説 事件や謎を解き明かすことを主題にした小説ジャンル。
本作は遺稿探しをミステリーとして展開している。

これらの用語を押さえておくと、物語の背景や人物関係がより理解しやすくなりますよ。

『世界でいちばん透きとおった物語』を読んだ私の感想

『世界でいちばん透きとおった物語』を読み終えたとき、もうね、ひさびさに「やれたな」感でいっぱいになったんですよ。

この本、最大の魅力はやっぱり「紙の本だからこそできる仕掛け」にあるんです。

読んでいくうちに、「あれ?これってこういうこと?」って物語の構造そのものに隠された、とんでもない仕掛けに気づく瞬間があるんですけど、それがもう鳥肌もの!「うわー、そういうことか!」って、何度も頭を抱えちゃいましたね。

杉井光さん、ほんとすごい発想力だなぁって、心から感心しました。

でも、この小説、そんなミステリ的な仕掛けだけじゃないんですよ。

主人公の燈真くんが、お父さんの遺稿を探しながら、同時に自分のことを見つめ直していくんですが、その過程がすごく丁寧に描かれてるんです。燈真くんは、お父さんに会ったことがない隠し子っていう複雑な生い立ちで。

でも、遺稿をたどっていくうちに、お父さんがどんな人だったか、作家としてどんな思いを持っていたのかを知っていく展開は、胸がじんわり熱くなって。

それ以外で印象的だったのが、編集者の深町霧子さん。この人がもうめちゃくちゃいいキャラで。燈真くんが集めた情報をもとに真相を推理するんですけど、その洞察力がハンパない。物語をうまく導いてくれて、古典ミステリーの面白さをたっぷり味わわせてくれるんです。

あと、作家の宮内彰吾という人物もすごく魅力的でしたね。女性関係は派手だったみたいで、かなり複雑な人間関係を築いていたんですが、作家としての真摯な姿勢とか、最期まで小説を書き続けようとした情熱がすごく伝わってくるんです。ただの悪者として描かれていないのが、また良かったなぁと。

全体を通して「透きとおる」っていうタイトルの意味をすごく考えさせられました。単に透明ってことじゃなくて、人の心や想い、文学の本質そのものに関わるような、そんな透明感を表現しているのかなって。

読み終わったあと、「もう一回最初から読みたい!」って思える本って、なかなかないじゃないですか。でも、この本はまさにそれ。一度目では見過ごしてた伏線とか仕掛けが、二度目で「ああ、そういうことだったのか!」って全部繋がるのが本当にすごいです。

ただ、ミステリーといっても殺人事件とか、そういう派手な展開はないんです。静かで繊細な謎解きが中心なので、「ド派手なサスペンスを期待してたのに!」って人は、ちょっと物足りなく感じるかも。

でも、そこがこの作品のいいところでもあるんですよね。日常に隠された謎と、家族の絆や文学への愛が、じんわりと心に響く、温かい物語に仕上がっています。

読み終わったあとの余韻も最高で、しばらくはこの世界に浸っていたいなって思っちゃいました。特に若い人とか、普段あんまり小説読まない人にこそ、ぜひ手に取ってみてほしい一冊です。

※『世界でいちばん透きとおった物語』の読書感想文の書き方と中高生向けの例文はこちらで解説しています。

『世界でいちばん透きとおった物語』読書感想文の書き方と例文
『世界でいちばん透きとおった物語』の読書感想文はどう書けばいい?中学生・高校生向けの具体的な例文と書き方のコツで、コピペに頼らない質の高い感想文作成をお手伝いします。

『世界でいちばん透きとおった物語』の作品情報

項目 詳細
作者 杉井光
出版年 2023年
出版社 新潮社
受賞歴 話題作として注目
ジャンル 推理小説・家族小説
主な舞台 現代の日本(東京・狛江など)
時代背景 現代
主なテーマ 家族の絆・父子関係・文学への愛
物語の特徴 紙の本ならではの仕掛けを使った構成
対象年齢 高校生以上

『世界でいちばん透きとおった物語』の主要な登場人物とその簡単な説明

『世界でいちばん透きとおった物語』を理解するために重要な登場人物を整理しておきましょう。

人物名 紹介
藤阪燈真 主人公。
宮内彰吾の隠し子で書店でアルバイトをしている。
父の遺稿探しを通じて自分自身を見つめ直す。
宮内彰吾 燈真の父親で大御所の推理作家。
女性関係が複雑で61歳で癌により死去。
『世界でいちばん透きとおった物語』の作者。
深町霧子 文芸編集者で物語の探偵役。
燈真の情報を基に推理を展開する安楽椅子探偵。
ミステリーに深い愛着を持つ才女。
松方朋晃 宮内彰吾の嫡出の息子。
文芸には興味がないが遺稿の発見を燈真に依頼する。
藤阪恵美 燈真の母親で元出版社事務員。
宮内との不倫関係で燈真を出産後、校正者として働く。
燈真が18歳の時に交通事故で死去。
郁嶋琴美 宮内の愛人の一人で女優。
『世界でいちばん透きとおった物語』を唯一読んでいる人物。
宮内のために狛江に家を借りていた。
東堂 出版社K社の古株編集者。
宮内のデビュー時からの担当で遺稿に関する重要な情報を持つ。
粕壁 ミステリー評論家で推理小説協会の理事。
宮内の執筆に関する重要な手がかりを提供する。
七尾坂瑞希 宮内の愛人の一人で作家。
推理小説協会での宮内の動向について情報を持つ。
藍子 宮内の愛人の一人。
歌舞伎町のキャバクラで働いている(藍子は源氏名)。

各キャラクターが物語の謎解きに重要な役割を果たしているのがよく分かりますね。

『世界でいちばん透きとおった物語』の読了時間の目安

『世界でいちばん透きとおった物語』の読書計画を立てる参考にしてください。

項目 詳細
ページ数 240ページ(新潮文庫
推定文字数 約144,000文字
読了時間の目安 約4時間48分
1日1時間読書の場合 約5日で読了
読みやすさ 比較的読みやすい文体

文庫本サイズで240ページなので、集中して読めば1日で読み切ることも可能です。

ただし、仕掛けを楽しむためにはじっくりと読み進めることをおすすめしますよ。

『世界でいちばん透きとおった物語』はどんな人向けの小説か?

『世界でいちばん透きとおった物語』は以下のような人に特におすすめです。

  • ミステリー要素と家族ドラマの両方を楽しみたい人
  • 本格的な謎解きよりも心温まるストーリーを求める読者
  • 紙の本ならではの読書体験を重視する人

逆に、激しいアクションや複雑なトリックを期待するミステリーファンには少し物足りないかもしれません。

しかし、文学的な深みと巧妙な構成を求める読者には間違いなく満足していただける作品です。

特に読書感想文を書く学生さんには、テーマの豊かさと読みやすさの両面でおすすめできる小説ですね。

あの本が好きなら『世界でいちばん透きとおった物語』も好きかも?似ている小説3選

『世界でいちばん透きとおった物語』の魅力である「読み進めていく中で物語の構造そのものに仕掛けられた驚き」や「読後にもう一度読み返したくなるような衝撃的な結末」という点に焦点を当て、似ている作品をご紹介しますね。

乾くるみ『イニシエーション・ラブ』

1980年代の静岡と東京を舞台にした純朴な恋愛小説として進んでいきますが、最後の数ページで明かされる驚愕の真相は、すべての読者の記憶を塗り替えると言われるほど有名です。

読む人の先入観を巧みに利用した叙述トリックは、『世界でいちばん透きとおった物語』の仕掛けと共通する魅力があります。

どちらも一度読み終えた後に、必ずもう一度最初から読み返したくなる構造になっているのが似ている点ですね。

歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』

無職の主人公が詐欺まがいの事件に巻き込まれていく軽妙なタッチで始まる物語です。

様々な出来事が連鎖していく中で、読者は何が真実で何が嘘なのか見失っていきます。

複数の物語が複雑に絡み合った結末は、トリックアートを見せられているかのような衝撃を与え、『世界でいちばん透きとおった物語』と同様に物語の全体像を再構築したくなる作品です。

樋口有介『彼女は存在しない』

主人公がある日突然、妻の記憶が自分の中から消えていることに気づく物語です。

妻の証拠は存在するのに、なぜか思い出だけが一切ないという謎を追いかけます。

ミステリーの謎解きと同時に「記憶」というテーマが読者に深い思考を促し、結末で明かされる衝撃の真実は忘れられない読書体験となります。

『世界でいちばん透きとおった物語』と同じく、読者の認識を揺さぶる仕掛けが魅力的な作品ですね。

振り返り

『世界でいちばん透きとおった物語』は、遺稿探しというミステリー要素と家族の絆を描いた感動ドラマが見事に融合した傑作です。

杉井光さんが仕掛けた「紙の本でしか味わえない驚き」は、読書の新しい体験を提供してくれます。

主人公の燈真が父親の遺作を探しながら自分自身を見つめ直していく物語は、多くの読者の心に深く響くでしょう。

読書感想文を書く予定の皆さんにとって、テーマの豊かさと読みやすさの両面で非常に魅力的な作品だと思います。

ぜひ実際に手に取って、この透きとおった世界を体験してみてくださいね。

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