『ライオンのおやつ』のあらすじを知りたい皆さん、こんにちは。
今回ご紹介するのは、小川糸さんによる感動的な長編小説『ライオンのおやつ』です。
2019年に刊行され、第17回本屋大賞で第2位を受賞したこの作品は、瀬戸内の美しい島にあるホスピス施設を舞台に、人生の最期を迎える人々の温かな日々と、食べ物に込められた思い出を描いた物語となっています。
私は年間100冊以上の本を読む読書家として、数多くの小説に触れてきましたが、この作品は特に心に残る一冊でした。
読書感想文を書く予定の学生の皆さんにとって、この記事がきっと役立つはずです。
簡単なあらすじから登場人物の紹介、そして私自身の率直な感想まで、丁寧に解説していきますね。
小川糸『ライオンのおやつ』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)
医師から余命宣告を受けた海野雫は、人生最後の時間を過ごす場所として、瀬戸内の小さな島にあるホスピス施設「ライオンの家」を選んだ。
この施設では毎週日曜日の午後に「おやつの時間」があり、入居者は生きているうちにもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる。
雫は優しいスタッフや仲間たちに囲まれながら、自分自身の人生を振り返り、大切な思い出と向き合っていく。
やがて彼女も思い出深いおやつをリクエストすることになり、そこから意外な再会や新たな出会いが生まれていく。
小川糸『ライオンのおやつ』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)
主人公の海野雫は若くして医師から余命宣告を受け、一人暮らしをしていた生活に終止符を打つことになった。
人生最後の日々を過ごす場所として選んだのは、瀬戸内海の美しい小さな島にあるホスピス施設「ライオンの家」である。
雫は幼い頃に両親を事故で亡くし、母の双子の弟である叔父に育てられたが、その後は一人で生きてきた。
ライオンの家では、代表のマドンナをはじめとする温かなスタッフたちが入居者を支えている。
特に印象的なのは、毎週日曜日の午後3時から行われる「おやつの時間」だ。
入居者は生きているうちにもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストし、それにまつわるエピソードを紙に書いて専用ボックスに投函する。
採用はくじ引きで決まり、当選者は当日まで知らされない。
しかし病気の進行により、多くの入居者が希望したおやつを口にすることなく旅立っていく現実もあった。
雫も当初はおやつを選べずにいたが、やがて幼い頃の大切な思い出に結びついた特別なおやつをリクエストすることになる。
『ライオンのおやつ』のあらすじを理解するための用語解説
『ライオンのおやつ』をより深く理解するために、作中に登場する重要な用語を整理しておきますね。
用語 | 説明 |
---|---|
ライオンの家 | 瀬戸内海の小さな島にあるホスピス施設。 終末期の人々が穏やかに過ごす場所として描かれています。 |
おやつの時間 | 毎週日曜日の午後に行われるイベント。 入居者が「最後にもう一度食べたい」おやつをリクエストし 皆で味わいます。 |
思い出のおやつ | 入居者が人生の中でもう一度味わいたいと思うおやつ。 個々の思い出や感情が深く込められています。 |
リクエストボックス | おやつの希望を書いた紙を入れる箱。 くじ引きで誰のリクエストが選ばれるか決まります。 |
これらの設定が物語の温かな雰囲気を作り出す重要な要素となっています。
『ライオンのおやつ』の感想
正直な話、この小説を読む前は「死がテーマって、なんか重そうだなあ」って、ちょっと身構えてたんですよね。でも、実際に読み始めたら、その予想は良い意味で完全に裏切られちゃいました。
確かに登場人物たちは人生の最期を迎えようとしているんだけど、物語全体に流れてるのは、絶望なんかじゃなくて、むしろじんわりと温かい希望の光だったんです。
特に心に残ったのは、「おやつの時間」っていう設定の素晴らしさですね。食べ物って、ただお腹を満たすだけじゃないんだなって、改めて思いました。
一口食べただけで、その時の気持ちとか、一緒にいた人たち、あの時の風景まで、ふわーっと蘇ってくるんですよね。主人公の雫が最後に選ぶおやつも、ただの甘いお菓子じゃなくて、彼女の人生そのものがぎゅっと詰まった、特別な思い出の品でした。
そこから生まれる「展開(※ネタバレになるから詳しくは書けないけど)」には、もう正直、涙が止まりませんでしたよ。
小川糸さんの文章は、本当に優しくて、読んでいるだけで心がスーッと洗われるような感覚になります。こんなに重いテーマを扱っているのに、決して読者をどん底に突き落とさない筆致は、もう見事としか言いようがないですね。
ライオンの家で暮らす人々も、みんなそれぞれ個性的で、とっても魅力的でした。マスターや先生、もも太郎さんとか、みんなが最期の時間を精一杯生きている姿が、すごく印象に残っています。
そして、忘れちゃいけないのが、白い犬の六花の存在!動物って不思議な力を持ってて、人の心を癒してくれるものだけど、六花もまさにそんな存在でしたね。飼い主さんを亡くした後も、みんなに愛され続ける姿に、なんだか心がポカポカ温かくなりました。
一方で、ちょっぴり気になった点も正直あります。現実のホスピスって、もっと厳しい面もあるだろうし、すべてがこんなに美しく描かれるのは、ちょっと理想化しすぎかなって。
でも、それを差し引いたとしても、この物語が持つメッセージの力は、やっぱり圧倒的でした。「今を大切に生きる」ってことの意味を、これほど静かに、でも確実に伝えてくれる小説は、なかなかないんじゃないかな。
読み終わった後、私は自分の日々の生活を、なんだか見直すようになりました。当たり前だと思っていた家族との時間、友人とのたわいない会話、そして毎日の食事。全部がかけがえのない宝物なんだってことを、この本がそっと教えてくれたんです。
本屋大賞で第2位を受賞したのも、もう納得!心に深く残る、本当に素敵な傑作だと思います。
※『ライオンのおやつ』の読書感想文の例文と書き方はこちらの記事で解説しています。

『ライオンのおやつ』の作品情報
項目 | 詳細 |
---|---|
作者 | 小川糸 |
出版年 | 2019年 |
出版社 | ポプラ社 |
受賞歴 | 第17回本屋大賞 第2位(2020年度) |
ジャンル | 現代小説・感動小説 |
主な舞台 | 瀬戸内海の小さな島のホスピス施設 |
時代背景 | 現代 |
主なテーマ | 生と死、家族の絆、思い出、人とのつながり |
物語の特徴 | 温かな文体で死をテーマにした感動作 |
対象年齢 | 全年齢対象(特に中高年から若い世代まで) |
『ライオンのおやつ』の主要な登場人物とその簡単な説明
『ライオンのおやつ』を彩る魅力的な登場人物たちをご紹介しますね。
登場人物 | 紹介 |
---|---|
海野雫 | 主人公の女性。 医師から余命宣告を受け、 ライオンの家で最後の時間を過ごすことを決める。 |
マドンナ | ライオンの家の代表者。 看護師とカウンセラーの資格を持つ温かな人物。 |
狩野シマ | かの姉妹の姉。 ライオンの家で食事を担当し、主にご飯作りを手がける。 |
狩野舞 | かの姉妹の妹。 ライオンの家でおやつ作りを担当する。 |
田陽地(タヒチ) | ライオンの家の近くで農作業をする青年。 母親をがんで亡くした経験を持つ。 |
六花 | かつての入居者が連れてきた白い犬。 飼い主の死後もみんなに愛され続ける癒しの存在。 |
粟鳥洲友彦 | ライオンの家の入居者。 雫の隣の部屋に住んでいる。 |
マスター | ライオンの家の入居者。 元カフェオーナーという経歴を持つ。 |
先生 | ライオンの家の入居者。 著名な作詞家として活動していた。 |
雫の父 | 雫が中学卒業まで同居していた育ての父。 物語の重要な鍵を握る人物。 |
それぞれのキャラクターが物語に深みを与え、読者の心に残る印象を作り出しています。
『ライオンのおやつ』の読了時間の目安
『ライオンのおやつ』の読書計画を立てる際の参考にしてくださいね。
項目 | 詳細 |
---|---|
推定文字数 | 約167,400文字 (279ページ/ポプラ文庫) |
読了時間目安 | 約5時間30分 |
1日1時間読書の場合 | 約6日で完読 |
1日30分読書の場合 | 約11日で完読 |
読みやすさ | 文章が優しく読みやすいため、普段あまり本を読まない人にもおすすめ |
小川糸さんの文章は非常に読みやすいので、普段の読書速度より早く読み進められるかもしれません。
じっくりと味わいながら読むことをおすすめします。
『ライオンのおやつ』はどんな人向けの小説か?
『ライオンのおやつ』が特に響くのは、以下のような方々だと思います。
- 人生の意味や生きることの価値について考えたい人
- 家族との絆や大切な人とのつながりを見つめ直したい人
- 優しい文章で心を癒されたい、疲れた心を癒やしたい人
逆に、リアルな医療現場の描写や、もっとシビアな死生観を求める人には物足りなく感じるかもしれません。
でも、日常の忙しさに追われて大切なことを見失いがちな現代人にとって、この小説は貴重な気づきを与えてくれるはずです。
特に読書感想文を書く学生の皆さんにとっては、「生きること」について深く考える良い機会になるでしょう。
あの本が好きなら『ライオンのおやつ』も好きかも?似ている小説3選
『ライオンのおやつ』に似た温かな感動を味わえる作品をご紹介します。
どの作品も「命の尊さ」や「人とのつながり」をテーマにした心温まる物語です。
重松清『その日のまえに』
大切な人の死と向き合う家族の姿を描いた連作短編集です。
余命の限られた妻を静かに見送る家族の日々を、絶望だけでは終わらせない温かな眼差しで綴っています。
『ライオンのおやつ』と同様に、日常の何気ない瞬間の尊さと、家族の絆の大切さを感じさせてくれる作品です。
吉本ばなな『キッチン』
早くに両親を失った主人公・みかげが、見知らぬ家庭に居候しながら、喪失と癒し、再生に向かう心を描いた長編小説です。
台所や食べ物に象徴される日常の温もりによって、少しずつ癒されていくプロセスは、『ライオンのおやつ』の「おやつの時間」と共通する優しさがあります。

南杏子『いのちの停車場』
ホスピスや在宅医療の現場を舞台に、「命の終わり」と向き合う医療関係者と患者・家族の姿を描いた感動作です。
派手なドラマではなく、日々の小さな出来事や最期の時間に寄り添う静かな優しさが、『ライオンのおやつ』の世界観と重なります。
振り返り
『ライオンのおやつ』は、死というテーマを扱いながらも、読者に温かな希望を与えてくれる素晴らしい作品でした。
小川糸さんの優しい文章に包まれながら、雫と仲間たちの日々に寄り添うことで、私たちは「今を大切に生きる」ことの意味を改めて実感できます。
読書感想文を書く皆さんにとって、この小説は人生について深く考える良いきっかけになるはずです。
ぜひ一度手に取って、その温かな世界観を味わってみてくださいね。
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