『スラムに水は流れない』のあらすじ紹介【課題図書】

『スラムに水は流れない』のあらすじ あらすじ

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2025年度読書感想文コンクール中学生の部の課題図書である『スラムに水は流れない』のあらすじと感想をご紹介していきますね。

『スラムに水は流れない』はヴァルシャ・バジャージさんによる、インドのムンバイのスラムを舞台にした感動的な物語。

水不足という深刻な社会問題を背景に、12歳の少女ミンニが家族の絆と希望を胸に困難を乗り越えていく姿が描かれています。

年間100冊以上の本を読む私が読書感想文を書く予定の皆さんに簡単なあらすじから詳しいあらすじまで、丁寧に解説していきますよ。

ヴァルシャ・バジャージ『スラムに水は流れない』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)

インドのムンバイのスラムに暮らす12歳の少女ミンニは、兄のサンジャイや両親とともに水不足の厳しい環境で毎日を過ごしていた。スラムには市全体の人口の40%が住んでいるにもかかわらず、水の供給量はわずか5%という不平等な現実があった。水くみは日課であり、限られた水を求めて共同の蛇口に並ぶことが当たり前の生活だった。そんなある日、サンジャイが水マフィアの現場を目撃してしまう。身の危険を感じたサンジャイは田舎の親戚のもとに避難することになり、さらに母親も病気で家を離れることになってしまう。

ヴァルシャ・バジャージ『スラムに水は流れない』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)

インドの大都市ムンバイの1,200万人の人口のうち約40%がスラムに住んでいるが、水道インフラは極めて不十分で、スラム地区への水の供給量は全体のわずか5%だった。12歳の少女ミンニは両親と15歳の兄サンジャイとともに、この厳しい環境で生活していた。家に水道はなく、毎朝早くから共同栓に並んで水を手に入れなければならない。運べる水の量は限られており、飲み水は煮沸消毒が必要だった。詩が好きで慈善団体運営の私立学校に通うミンニは、水くみや家事で勉強時間が削られながらも、学ぶことへの強い意志を持っていた。ある夜、ミンニとサンジャイ、友人のファイザは水マフィアが水を盗む現場を目撃してしまう。サンジャイが顔を見られてしまったため、身の危険を感じて田舎の親戚宅へ避難することになった。さらに母親も汚染された水が原因で重い病気にかかり、家を離れることになってしまう。

『スラムに水は流れない』のあらすじを理解するための用語解説

『スラムに水は流れない』を理解するために、重要な用語を解説していきますね。

用語 説明
スラム 大都市に存在する極度に貧しい人々の居住地域。
公的なインフラがほとんど整備されておらず
劣悪な住環境が続いている。
水マフィア 水の利権を不正に独占・操作し、
水をスラムなどに高値で転売する組織。
住民にとって安全で清潔な水が届けられない大きな要因。
共同の蛇口 一定の時間、共同で使える水道栓。
バケツやタンクを持った住民が長時間並び、
少量ずつ順番に水をもらう。
慈善団体運営の私立学校 貧困家庭の子どもであっても学ぶ機会を得られるよう、
寄付などで成り立つ教育機関。
主人公ミンニもこうした学校に通っている。

これらの用語を知っておくと、物語の背景や登場人物の行動がより深く理解できるでしょう。

『スラムに水は流れない』の感想

この本を読んだとき、本当に心が震えました。

12歳の少女ミンニの強さには、ただただ驚くばかり。私たち日本人って、蛇口をひねれば水が出てくるのが当たり前すぎて、普段はぜんぜん気にしてないですよね。

でもミンニにとって水は、毎日必死に手に入れなきゃいけない宝物なんです。毎朝早くから共同の蛇口に並んで、重いバケツを持って帰る日々。そんな描写を読んでると、私たちってホントに恵まれてるんだなって実感しちゃいます。

特に心に残ったのは、ミンニが大変なことがあっても希望を捨てない姿勢。兄のサンジャイが水マフィアの現場を見ちゃって危なくなって家を離れたり、お母さんが病気になったりして、ミンニの肩にのしかかる責任は想像を超えるものだったと思います。

学校に行きながら家事もこなして、水くみもして、お母さんの仕事まで引き継ぐなんて…。普通なら「もうムリ!」って思っちゃいそうなのに、ミンニは詩が大好きで、勉強への情熱もずっと持ち続けるんです。すごいよね。

この物語の良いところは、ただ貧困の話をするんじゃなくて、人間ってこんなに強くて希望に満ちてるんだってことを教えてくれるところ。ミンニには同じ境遇の友達ファイザがいて、お互い支え合ってるし、家族愛も深くて、離れていても思いやる気持ちがヒシヒシと伝わってきます。

読んでて泣きそうになったのは、ミンニが自分の状況を嘆くんじゃなくて「私も社会を変える一歩になりたい」って前向きに考えるところ。12歳の子がこんな考え方するなんて、ホントにすごいなって思いました。

あと、この本は水問題っていう実際にある社会問題を取り上げてるのも良いところ。インドのムンバイでは本当に人口の40%がスラムに住んでるのに、水の供給はたった5%しかないんだとか。水マフィアが本来みんなのものであるはずの水を独占して儲けてるっていう現実も。こうした問題は遠い国の話じゃなくて、今も起きてることなんですよね。

作者のヴァルシャ・バジャージさんは、こういう重たい社会問題を12歳の女の子の目線で語ることで、私たち読者が自然と考えるきっかけをくれてます。堅苦しくなくて、ミンニっていう魅力的な主人公のお話として引き込まれるんです。

読み終わった後、自分の生活を見直すきっかけになりました。毎日何気なく使ってる水がこんなに貴重なものだったんだとか、当たり前だと思ってた日常がどれだけ幸せなことか、改めて感じました。同時に、世界にはミンニみたいな子がたくさんいて、私たちが知らないところで頑張ってるんだなって思いました。

この本は、読書感想文を書く中学生にピッタリだと思います。社会問題について考えるきっかけになるし、ミンニの成長や家族の絆についても深く考えられる。何より、読んだ後に「自分の生活ってどうなんだろう?」って振り返るきっかけになると思います。

※『スラムに水は流れない』の読書感想文の書き方はこちらで解説しています。

『スラムに水は流れない』読書感想文の書き方!中学生の例文
『スラムに水は流れない』の読書感想文の書き方を解説。中学生向けの例文や課題図書としてのポイントを詳しく紹介し、感動的な感想文作成をサポートします。

『スラムに水は流れない』の作品情報

項目 内容
作者 ヴァルシャ・バジャージ
訳者 村上利佳
出版年 2024年4月
出版社 あすなろ書房
受賞歴 2025年度第71回青少年読書感想文全国コンクール
中学校の部選定図書
ジャンル 児童文学・社会問題小説
主な舞台 インド・ムンバイのスラム
時代背景 現代
主なテーマ 水問題・貧困・家族の絆・希望
物語の特徴 12歳の少女の視点から描かれる社会問題と成長の物語
対象年齢 小学校高学年~

『スラムに水は流れない』の主要な登場人物とその簡単な説明

『スラムに水は流れない』の重要な登場人物を紹介していきますね。

登場人物 紹介
ミンニ 12歳の主人公。
詩が好きで慈善団体運営の私立学校へ通う。
どんな環境でも学びたいという強い意志を持つ。
サンジャイ ミンニの兄で15歳。
明るく家族思いの性格。
水マフィアの現場を目撃し、身を隠すことになる。
ミンニの母親 裕福な家で家政婦として働く。
汚染された水が原因で重い病気にかかる。
ミンニの父親 家族を支える働き者。
厳しい環境の中でも家族の絆を大切にする。
ファイザ ミンニの友人。
同じスラムでたくましく生きる子どもの一人。
水マフィアの現場を一緒に目撃する。

これらの登場人物たちが織りなす人間関係が、物語に深みを与えています。

『スラムに水は流れない』の読了時間の目安

『スラムに水は流れない』の読了時間について詳しく説明していきますね。

項目 内容
総ページ数 240ページ
推定文字数 約144,000文字
読了時間(目安) 約4時間48分
1日の読書時間が30分の場合 約10日
1日の読書時間が1時間の場合 約5日

中学生にとって読みやすい文体で書かれているため、読書が苦手な人でも無理なく読み進めることができるでしょう。

物語に引き込まれる要素が多いので、実際にはもっと早く読み終わるかもしれません。

『スラムに水は流れない』はどんな人向けの小説か?

『スラムに水は流れない』がどのような読者に向いているか、考察してみました。

  • 社会問題や世界の格差について考えたい人
  • 困難に立ち向かう主人公の成長物語を読みたい人
  • 家族の絆や友情の大切さを感じたい人

特に中学生にとっては、自分と同年代の主人公ミンニの物語として共感しやすく、読書感想文を書く上でも多くの気づきを得られるでしょう。

逆に、重い社会問題を扱った内容が苦手な人や、ハッピーエンドを求める人には少し重く感じられるかもしれません。

ただし、希望に満ちた結末になっているので、読後感は決して悪くないですよ。

あの本が好きなら『スラムに水は流れない』も好きかも?似ている小説3選

『スラムに水は流れない』を気に入った読者におすすめしたい、似た雰囲気の小説を3つご紹介しますね。

『スラムドッグ$ミリオネア』ヴィカス・スワラップ

インドのムンバイのスラム出身の少年が、クイズ番組で巨額の賞金を獲得する物語です。

番組の不正を疑われた少年は、彼がこれまでの人生で経験してきた出来事と知識が、クイズの答えに繋がっていたことを語り始めます。

同じくインドのスラムを舞台にしており、貧困や社会格差といった厳しい現実が描かれています。

主人公が困難な状況を乗り越え、自身の知恵や経験を活かして人生を切り開いていく姿は、ミンニの物語と共通する部分が多いです。

『世界がもし100人の村だったら』池田香代子

世界の人口を「100人の村」として例え、誰がどれだけの水や食料、教育を受けられるかをわかりやすく描いた名作です。

貧困や水へのアクセス格差など、『スラムに水は流れない』のテーマと非常に近く、世界の不平等を考えさせる内容になっています。

数字とデータで示される現実の厳しさは、ミンニの物語をより深く理解するための参考になるでしょう。

『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子

第二次世界大戦下の日本を舞台に、困難な時代をたくましく生き抜く少女トットちゃんの日常と成長を描いています。

時代や場所は異なりますが、環境の困難を乗り越え、学びや希望を大切にする姿は、ミンニの物語と共通しています。

子どもの視点から描かれた成長物語として、多くの共感を呼ぶ作品です。

『窓際のトットちゃん』の本・小説のあらすじを簡単に!
黒柳徹子の自伝的名作『窓際のトットちゃん』のあらすじを徹底解説。読了時間の目安から私が読んだ感想まで、学生必見の情報が満載。個性を認める教育の大切さや戦争の影響など、現代にも通じるメッセージを深く理解できます。

振り返り

『スラムに水は流れない』は、インドのスラムを舞台にした深い感動を与えてくれる作品でした。

12歳の少女ミンニが水不足という厳しい現実と向き合いながら、家族の絆と希望を胸に成長していく姿は、読む人の心を強く打つでしょう。

2025年度読書感想文コンクール中学生の部の課題図書として選定されているだけあって、社会問題について考える機会を与えてくれる素晴らしい作品です。

読書感想文を書く予定の皆さんにとって、多くの気づきと学びを得られる一冊になることは間違いありません。

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