『流浪の月』のあらすじを短く・簡単にご紹介しながら、この本を読んだ私の感想もお伝えしていきますね。
『流浪の月』は凪良ゆうさんによる小説で、2020年に第17回本屋大賞を受賞した話題の原作です。
誘拐事件の被害者とされた少女と加害者とされた青年の15年後の再会を描いた、社会の偏見と真実のギャップをテーマにした深い作品ですね。
私は読書が趣味で年間100冊以上の本を読みますが、この小説はここ数年で特に印象深い一冊でした。
読書感想文を書く予定の皆さんにとって、きっと参考になる内容をお届けできると思いますよ。
それでは、さっそく進めていきましょう。
『流浪の月』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)
『流浪の月』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)
『流浪の月』の感想
正直に申し上げると、『流浪の月』を読み終えた時、私は言葉を失いました。
これほどまでに心の奥深くに響く小説に出会ったのは、本当に久しぶりのことでしたね。
まず驚かされたのは、凪良ゆうさんの筆力の素晴らしさです。
更紗と文という二人の登場人物の心情が、まるで自分の心の中を覗かれているかのように鮮明に伝わってくるんですよ。
特に更紗が抱える複雑な感情や、文の静かな優しさが描かれる場面では、何度も胸が締め付けられる思いがしました。
この物語で最も感動したのは、世間の「常識」や「正義」というものがいかに脆く、そして時として残酷なものかを描いた点ですね。
更紗と文の関係を「誘拐事件」として片付けてしまう社会の姿勢に、私は深い憤りを覚えました。
二人の間にあったのは、確かに理解しがたい形かもしれませんが、純粋な心の繋がりだったんです。
それを世間は「異常」だと決めつけ、二人を苦しめ続ける。
このような社会の冷酷さを描いた凪良さんの社会への眼差しは、本当に鋭いものがありました。
また、登場人物たちが抱える孤独感の描写も秀逸でしたね。
更紗の孤独、文の孤独、そして彼らを取り巻く人々の孤独。
みんなそれぞれに居場所を求めているのに、なかなか見つけることができない。
この現代社会の病理を、これほど美しく、そして痛々しく描いた作品は珍しいのではないでしょうか。
私が特に印象深かったのは、更紗と文が15年ぶりに再会するシーンです。
二人の会話の中に込められた想いの深さ、そして互いを理解し合える唯一の存在としての安堵感。
ここを読んだ時は、本当に涙が止まりませんでした。
ただし、理解しにくい部分もありました。
特に更紗の恋人である中瀬亮の描写については、もう少し掘り下げて欲しかったなと感じています。
彼の暴力的な性格がなぜ生まれたのか、その背景をもっと知りたかったですね。
また、文の恋人である谷さんについても、もう少し詳しく描かれていれば、物語により深みが増したのではないかと思います。
しかし、そのような細かな点を差し引いても、『流浪の月』は間違いなく傑作です。
社会の偏見や固定観念について深く考えさせられる一方で、人間の心の美しさや繋がりの大切さも教えてくれる。
読み終えた後、自分自身の価値観や生き方について、改めて見つめ直すきっかけをもらいました。
この小説は、きっと多くの人の心に残り続ける作品だと確信しています。
※『流浪の月』を読んで私が感じた「作者が伝えたいこと」はこちらにまとめました。

『流浪の月』の作品情報
項目 | 内容 |
---|---|
作者 | 凪良ゆう |
出版年 | 2019年 |
出版社 | 東京創元社 |
受賞歴 | 第17回本屋大賞(2020年) |
ジャンル | 現代文学・社会派小説 |
主な舞台 | 現代日本 |
時代背景 | 2000年代〜2010年代 |
主なテーマ | 社会の偏見、真実と事実の違い、居場所の探求 |
物語の特徴 | 繊細な心理描写、社会問題への鋭い視点 |
対象年齢 | 高校生以上 |
『流浪の月』の主要な登場人物とその簡単な説明
『流浪の月』に登場する重要な人物たちを、物語での重要度順にご紹介していきますね。
人物名 | 説明 |
---|---|
家内更紗(かない さらさ) | 主人公。 誘拐事件の被害者として扱われることに疑問を感じながら生きている女性 |
佐伯文(さえき ふみ) | 更紗を誘拐した犯人とされる男性。 現在はカフェのオーナーとして静かに暮らしている |
中瀬亮(なかせ りょう) | 更紗の恋人。 束縛が激しく、暴力を振るう癖がある問題のある男性 |
谷さん | 文の恋人。 物言いがきつく、更紗に対して警告を発する女性 |
主要な登場人物は比較的少なく、それぞれの心理描写に重点を置いた作品構成になっていますよ。
『流浪の月』の読了時間の目安
『流浪の月』のページ数や読了時間について詳しくまとめてみました。
項目 | 詳細 |
---|---|
ページ数 | 352ページ(単行本) |
推定文字数 | 約211,200文字 |
読了時間 | 約7時間 |
1日1時間読書 | 約7日で完読 |
1日2時間読書 | 約3〜4日で完読 |
『流浪の月』は比較的読みやすい文体で書かれているため、集中して読めば一気に読み進めることができる作品ですね。
重いテーマを扱っていますが、文章そのものは理解しやすく、中高生の皆さんにも無理なく読んでいただけると思いますよ。
『流浪の月』はどんな人向けの小説か?
『流浪の月』がどのような方に特におすすめできるか、私なりに考えてみました。
- 社会の「普通」や常識に疑問を感じたことがある人
- 人間関係の複雑さや心の機微に興味がある人
- 繊細で美しい文章表現を好む人
- 現代社会の問題について深く考えたい人
- 恋愛や友情以外の人間関係の形に関心がある人
- 心に傷を抱えながらも生きる人々の物語に共感できる人
- 読書感想文で深いテーマについて書きたい学生
この小説は、表面的な善悪では判断できない複雑な人間関係を描いているため、物事を多角的に考えることができる方により深く響く作品だと思いますね。
※『流浪の月』の魅力や面白い点はこちらでご紹介しています。

あの本が好きなら『流浪の月』も好きかも?似ている小説3選
『流浪の月』がお気に入りの方には、同じような深いテーマや感動を味わえる作品をおすすめしたいと思います。
瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』
瀬尾まいこさんによる2019年本屋大賞受賞作品です。
血の繋がりを超えた家族の絆を描いた心温まる物語で、『流浪の月』と同様に多様な家族の形を肯定的に描いています。
社会の固定観念にとらわれない人間関係の美しさという点で、『流浪の月』と共通するテーマを持っていますね。
繊細な心理描写と読後の温かい気持ちも似た読書体験を提供してくれますよ。

川上未映子『夏物語』
芥川賞作家の川上未映子さんによる代表作のひとつです。
女性の生き方や身体、家族観について深く掘り下げた作品で、社会の規範に疑問を投げかける姿勢が『流浪の月』と通じています。
現代社会が抱える問題に対する鋭い視点と、登場人物の内面的な葛藤の描き方が非常に似ていますね。
生々しい感情の描写と社会への問題提起という点で、共感できる読者が多いと思います。
森絵都『カラフル』
直木賞受賞作家の森絵都さんによる青春文学です。
他者理解と自己受容をテーマにした物語で、『流浪の月』の更紗と文がお互いを理解し合うプロセスと似た構造を持っています。
人間の多様性と心の在り方を温かい眼差しで描いており、読後に深く考えさせられるメッセージ性も共通していますね。
生きることの意味について問いかける普遍的なテーマが、『流浪の月』と重なる部分が多い作品です。

振り返り
『流浪の月』は、社会の偏見と真実のギャップを通して、現代を生きる私たちに深い問いを投げかける傑作でした。
凪良ゆうさんの繊細な筆致で描かれる更紗と文の関係は、単純な善悪では語れない人間の複雑さと美しさを教えてくれます。
読書感想文を書く皆さんにとって、この作品は社会問題や人間関係について深く考察するための絶好の素材になるでしょう。
ぜひ一度手に取って、この感動的な物語を体験してみてくださいね。
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