『エルマーと16ぴきのりゅう』あらすじと内容&私の感想

『エルマーと16ぴきのりゅう』のあらすじ あらすじ

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『エルマーと16ぴきのりゅう』のあらすじについて、ネタバレなしで詳しく解説していきますね。

『エルマーと16ぴきのりゅう』は1965年に発表されたルース・スタイルス・ガネットによるエルマーシリーズの完結編。

年間100冊以上の本を読む私が、ざっくりとした内容、簡単なあらすじから詳しいあらすじまで丁寧に紹介し、さらに登場人物や作品情報も網羅します。

ルース・スタイルス・ガネット『エルマーと16ぴきのりゅう』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)

エルマーと別れた竜のボリスは、家族の住むそらいろ高原に向かった。しかし高原に着くと、人間たちが15匹の竜の家族を洞穴に閉じ込めて捕らえようとしていることを知る。ボリスは急いでエルマーのもとに助けを求めに戻り、二人は竜の家族を救うための作戦を練る。エルマーとボリスは知恵と勇気を使って人間たちを混乱させ、竜たちを自由にするため奮闘する冒険物語。

ルース・スタイルス・ガネット『エルマーと16ぴきのりゅう』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)

エルマーと別れた竜のボリスは、夜中に移動しながら家族の待つそらいろ高原を目指していた。

途中で百姓のワゴンに見つかってしまうが、牛たちの助けを借りて何とか逃げ延びる。

とんがり山脈を越えてごびごび砂漠に入ると、いつもの砂嵐が止んでおり、そらいろ高原が丸見えになっていた。

岩山の上で人間たちの会話を盗み聞きしたボリスは、15匹の竜の家族が洞穴に閉じ込められ、入口で網を張って待ち伏せされていることを知る。

小さな穴から家族に会いに行ったボリスは、フランクとアルバートという男たちの名前を聞き、エルマーに助けを求めるため再び旅立つ。

エルマーはボリスと作戦を練り、道具を揃えて洞穴へ向かう。

二人は人間たちの仲間が竜に捕まったと勘違いさせる巧妙な作戦を実行し、笛やラッパの大音響で混乱を引き起こす。

果たして竜の家族は無事に自由になることができるのか、エルマーとボリスの友情が試される冒険が始まる。

『エルマーと16ぴきのりゅう』の内容(どんな話?)

『エルマーと16ぴきのりゅう』の内容をざっくりと箇条書きで説明するとこうなります。

  • 『エルマーのぼうけん』シリーズの3部作の完結編
  • 前作『エルマーとりゅう』の後のお話
  • りゅうは自分の家「そらいろこうげん」へ帰る途中
  • 砂嵐が消え、人間たちが竜の家族を捕まえて洞穴に閉じ込める
  • りゅうはエルマーに助けを求める
  • エルマーは道具を持って竜の家族を助けに行く
  • 知恵と勇気で悪い人間たちを出し抜く
  • 友情や思いやりがテーマの冒険物語

『エルマーと16ぴきのりゅう』のあらすじを理解するための用語解説

物語をより深く理解するために、重要な用語を解説していきますね。

用語 説明
そらいろこうげん 竜たちの家族が住んでいる広大で美しい高原。
人間から隠れるために自然が豊かでありながらも
人間に見つかってしまう危険もある場所。
ごびごび砂漠 そらいろ高原の手前にある砂漠で
通常は砂嵐が吹き荒れている。
砂嵐があることで人間たちはそらいろ高原に入れずにいたが
物語では砂嵐が止んでいる。
とんがり山脈 ボリスがそらいろ高原に向かう途中で越える山脈。
険しい地形で竜にとっても大変な道のりとなる。
騎士伝説の竜退治 昔話で勇敢とされる騎士が竜退治をした話。
これは騎士の勇敢さを称えるための作り話であり
実際の竜は悪くないというテーマを持つ。

これらの用語を覚えておくと、『エルマーと16ぴきのりゅう』の世界観がより分かりやすくなりますよ。

『エルマーと16ぴきのりゅう』の感想

『エルマーと16ぴきのりゅう』を読み終えて、まず感じたのは「これぞ冒険小説の醍醐味だ!」ということでした。

エルマーシリーズの完結編ということで期待して読み始めましたが、想像以上にハラハラドキドキの連続で最後まで一気に読んでしまいました。

特にボリスが家族の危機を知った時の緊迫感がすごかった!

人間たちに捕らえられた竜の家族を救うために、小さな竜のボリスが必死にエルマーのもとへ助けを求めに行く場面では、思わず「頑張れ!」と応援したくなりましたね。

エルマーとボリスが練った作戦も本当に巧妙で、子どもの発想とは思えないほど頭脳的でした。

フランクとアルバートという悪役の名前を利用して、まるで仲間が竜に捕まったかのように装う作戦は「なるほど!」と膝を打つほど見事でした。

笛やラッパを使った大音響作戦も迫力満点で、読んでいるこちらまで興奮してしまいます。

ただし、正直に言うと前作『エルマーのぼうけん』に比べて、若干ドキドキ感が薄れた部分もありました。

エルマーの感情表現がやや淡々としていて、もう少し内面の葛藤や興奮が描かれていたら、さらに感情移入できたかもしれません。

それでも16匹の竜たちそれぞれに個性的な名前や体色が設定されている細かさには感動しました。

インゲボルグ、ユースタシア、エミール、ホレイショなど、覚えるのは大変ですが、作者の愛情を感じる部分ですね。

竜と人間の関係についても考えさせられました。

悪い騎士伝説とは違って、竜たちは優しくて温厚な存在として描かれており、「偏見や先入観の怖さ」というテーマが込められているのが分かります。

エルマーが最後に竜について誰にも話さないと約束する場面では、友情の深さと責任感に胸が熱くなりました。

読後感も非常に爽やかで、子どもから大人まで楽しめる作品だと思います。

特に読み聞かせをする親御さんにとっては、子どもと一緒にワクワクできる貴重な一冊になるでしょうね。

※『エルマーと16ぴきのりゅう』の読書感想文の書き方と例文はこちらにまとめています。

『エルマーと16ぴきのりゅう』読書感想文の書き方と例文
『エルマーと16ぴきのりゅう』の読書感想文の書き方と例文を小学生向けに解説。重要な3つのポイント、テンプレート、800字・1200字の例文、題名の付け方まで分かりやすく紹介します。

『エルマーと16ぴきのりゅう』の作品情報

項目 内容
作者 ルース・スタイルス・ガネット(作)
ルース・クリスマン・ガネット(絵)
渡辺茂男(訳)
出版年 1965年(初版は1965年9月30日)
出版社 福音館書店
受賞歴 全国学校図書館協議会選定
日本図書館協会選定
ジャンル 幼年童話
主な舞台 そらいろこうげん(空色高原)など架空の場所
時代背景 現代的な設定(汽車や新聞が登場)
主なテーマ 友情・冒険・思いやり・偏見への警鐘
物語の特徴 エルマーシリーズの完結編
ハラハラドキドキの冒険が描かれている
対象年齢 読み聞かせなら5歳6歳から
自分で読むなら小学低学年から
青空文庫の収録 収録されていない

『エルマーと16ぴきのりゅう』の主要な登場人物とその簡単な説明

物語を理解するために重要な登場人物をまとめました。

人物名 紹介
エルマー・エレベーター 物語の主人公で勇気あふれる賢い9歳の少年。
冒険心旺盛で機転が利き
りゅうの家族を助けるために知恵を駆使する。
りゅう(ボリス) そらいろこうげんに住む子どもの竜。
まだ飛ぶのが上手くなく、優しくて温厚な性格。
エルマーに助けを求める。
ボリスの両親 そらいろこうげんに住むりゅう達の親。
父親が空色一色の体色で、母親が黄色一色の体色。
子供たちより大きな体をしている。
ボリスの兄弟姉妹 女のりゅうが6ぴき、男のりゅうが7ひきいる。
それぞれ個性的な名前と体色を持つ。
インゲボルグ、エミールなどの名前がつけられている。
ワゴンさん かれき町とわかめ町の間に住むせっかちなお百姓さん。
ボリスを偶然目撃し「あおにゅうどう」と呼んで
正体をつきとめようとした。
フランク 砂漠の砂嵐の止んだ隙を突いて、
そらいろ高原に侵入した男の一人。
世にも珍しいりゅう達を捕らえて売ることで
大儲けしようと目論む。
アルバート フランクと同じく
りゅう達を捕らえようとする男。
ボリスとエルマーはこの名前を利用して
作戦を成功させる。

これらの登場人物の関係性を理解すると、『エルマーと16ぴきのりゅう』がより楽しめますよ。

『エルマーと16ぴきのりゅう』の読了時間の目安

読書計画の参考になるよう、読了時間をまとめました。

項目 内容
ページ数 128ページ
推定文字数 約76,800文字
読了時間の目安 約2時間30分
1日の読書時間別の読了日数 30分/日なら5日
1時間/日なら3日
2時間/日なら2日

『エルマーと16ぴきのりゅう』は児童書なので読みやすく、挿絵も豊富で理解しやすい作品です。

小学生でも集中して読めば1日から2日で読み終えることができるでしょうね。

『エルマーと16ぴきのりゅう』はどんな人向けの小説か?

『エルマーと16ぴきのりゅう』がどんな読者に向いているか分析してみました。

特におすすめしたいのは以下のような人です。

  • 冒険と友情をテーマにした物語が好きな子どもや大人
  • 新しい友達を作ることに不安を感じている子ども
  • 親子で一緒に楽しめる読み物を探している家庭

エルマーの勇気と知恵、そしてボリスとの友情に感動できる人なら、年齢に関係なく楽しめる作品だと思います。

一方で、激しいアクションや複雑な人間関係を求める大人の読者には、やや物足りないかもしれません。

でもそれがこの作品の良さでもあるんですよね。

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『エルマーと16ぴきのりゅう』が気に入った方に、似たテーマや雰囲気の作品を紹介していきますね。

冒険心や友情、そして子どもの成長を描いた名作を厳選しました。

マーク・トウェイン『トム・ソーヤの冒険』

ミシシッピー川沿いを舞台に、少年トム・ソーヤーと仲間たちの冒険や成長がユーモラスかつスリリングに描かれています。

エルマーと同じく、子どもの目線での世界観と冒険心が共通しており、友達との絆を大切にする点でも似ています。

トムの機転の利いた行動は、エルマーの知恵を使った問題解決と通じるものがありますね。

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ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』

15人の少年たちが無人島に漂流し、生き抜くために協力し合いながら大人顔負けの共同生活を送る海洋冒険小説です。

仲間と協力して困難を乗り越える点や、知恵と勇気で危機を脱出する展開が『エルマーと16ぴきのりゅう』と共通しています。

少年たちの友情と成長を描く点でも似たテーマを持っているといえるでしょう。

岡田淳『二分間の冒険』

現代の子どもたちが異世界に迷い込み、仲間と協力して冒険を繰り広げる日本の児童文学作品です。

友情や協調性の大切さが描かれており、『エルマーと16ぴきのりゅう』とも共通のテーマを持ちます。

ファンタジー要素と現実世界の組み合わせも、エルマーシリーズの魅力と重なる部分がありますね。

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振り返り

『エルマーと16ぴきのりゅう』のあらすじから登場人物、そして作品の魅力まで詳しく解説してきました。

エルマーシリーズの完結編として、友情と冒険のテーマがしっかりと描かれた名作だということが分かりましたね。

『エルマーの冒険』シリーズの3作目なので、前2作を読んでからのほうがより楽しめるかと思います。

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