『少年と犬』のあらすじを簡単に【ネタバレなし】※小説版

『少年と犬』のあらすじ あらすじ

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直木三十五賞を受賞した『少年と犬』のあらすじや私の感想をご紹介していきますね。

『少年と犬』は馳星周さんによる感動の連作短編小説。

東日本大震災で飼い主を失った一匹の犬が、西へと旅をしながら様々な人と出会い、心の傷を癒していく物語になっています。

読書感想文を書く予定の皆さんの力になれるよう、簡単に短くまとめたあらすじから詳しく解説したものまで、丁寧にご紹介していきますよ。

年間100冊以上の本を読む私の視点から『少年と犬』の魅力をお伝えし、ネタバレなしで作品の核心に迫っていきます。

それでは、さっそく進めていきましょう。

馳星周『少年と犬』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)

東日本大震災で飼い主を失ったシェパード「多聞」が主人公の物語。多聞は岩手県釜石市から西へ向かい、約5年間にわたって様々な土地を旅する。仙台では窃盗団の青年と、新潟では外国人の泥棒と、富山では夫婦と、滋賀では娼婦と、島根では猟師と出会い、最後に熊本の少年と家族のもとにたどり着く。それぞれの土地で多聞は人々の心の傷を癒し、希望をもたらす存在となる。震災から熊本地震まで、犬と人間の絆を通して描かれる感動の連作短編集。

馳星周『少年と犬』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)

物語は2011年の東日本大震災後の仙台から始まる。震災で生活が一変し、職を失った青年・和正は認知症の母と介護をする姉のために危険な仕事に手を染めていた。ある日、和正は痩せ細った一匹の野良犬を拾う。その犬は「多聞」という名前で、賢く忠実な性格だった。多聞は常に南の方角を気にしており、どこかへ向かおうとしている様子を見せる。和正のもとを離れた多聞は、新潟の外国人泥棒ミゲル、富山のトレイルランナー夫婦、滋賀の娼婦美羽、島根の猟師弥一と次々に出会っていく。それぞれが心に深い傷を抱えており、多聞との交流を通して少しずつ癒されていく。最終的に多聞は熊本県にたどり着き、震災の影響で海を恐れるようになった少年・光と父の徹に出会う。多聞は光の心を開かせ、家族の一員として迎えられる。全6編からなる連作短編集として、犬と人間の絆と再生の物語が描かれている。

『少年と犬』のあらすじを理解するための用語解説

『少年と犬』を読む上で知っておきたい重要な用語をまとめました。

物語の背景や設定を理解するのに役立ちますよ。

用語 説明
多聞(たもん) 物語の中心となるシェパード。
東日本大震災で飼い主を失い、
西への旅を続ける賢く忠実な犬。
様々な人と出会い、
心の傷を癒す存在として描かれる。
東日本大震災 2011年に発生した東北地方太平洋沖地震と
それに伴う大津波。
物語の背景として
人々の生活や心情に大きな影響を与えている。
連作短編集 本作は6つの独立した短編で構成されるが、
同じ犬「多聞」が登場し、
全体のつながりを持つ形式。
それぞれの話が独立しながらも
全体で一つの大きな物語を形成している。
西(南)の方角 多聞が常に気にしている方向。
この方角に何か大切な意味があり、
多聞の旅の目的や飼い主とのつながりに関わっている。
守り神 多聞が出会う人々にとって、
癒しや希望をもたらす存在。
多聞は飼い主や周囲の人の心を守り支える役割を果たす。

これらの用語を押さえておくと、『少年と犬』の世界観がより深く理解できるでしょう。

『少年と犬』の感想

正直な話、『少年と犬』を手に取った時はね、「また犬の感動モノかぁ」なんて、ちょっと身構えちゃったんですよ。

でもね、読み始めたらこれがもう、ぜんぜん想像と違ったんですよ。

馳星周さんの文章力、本当にハンパないですよ。多聞っていう犬の描き方がめちゃくちゃリアルで、まるでそこにいるみたいに感じられるんです。

特に心に残ったのは、多聞がいつも西の方を気にしてる描写ですね。ただの迷い犬じゃなくて、ちゃんと犬なりに目的を持って旅してるんだなってのが、すごく伝わってきました。

各章で出会う人たちも、これがまたいい味出してるんですよ。泥棒の和正さん、外国人のミゲル、富山のご夫婦、滋賀の娼婦さん、島根の猟師さん…みんなそれぞれ、ホントにありそうな悩みとか苦労を抱えてて、すごく人間らしいんです。

特に和正さんの、認知症のお母さんとの生活の描写なんて、読んでてウルっときちゃいましたね。でも、そこに多聞がひょっこり現れることで、少しずつ状況がいい方向に変わっていくのが、もうたまらなく感動するんですよ。

で、私が一番「うわーっ!」ってなったのは、島根の猟師さん、弥一さんのエピソードです。末期の膵臓がんを患ってるおじいさんが、多聞を「ノリツネ」って名付けて一緒に暮らす話なんですけど、これ、もう号泣必至ですよ。

弥一さんがね、多聞のことを「疎遠になっちゃった娘の代わりに、自分を看取るために来てくれたんだ」って思う場面があって、そこでもう、涙腺崩壊でした。人間と動物の絆って、こんなに深いんだなって、改めて考えさせられましたね。

連作短編になってる構成も、すごく良かったですね。同じ多聞がいろんな人と出会うことで、それぞれの人生とか気持ちが、じっくりと描かれてるんです。

一つ一つの話はバラバラなんだけど、多聞の旅っていう大きな流れで全部つながってるから、読み終わった時の満足感が半端なかったです。

ただ、正直なところ、ちょっと「できすぎてるかな?」って思う部分も、なくはないです。多聞がね、あまりにも完璧な犬として描かれてるから、ちょっと現実離れしてるようにも感じちゃって。

でも、そんなこと抜きにしても、『少年と犬』は本当に素晴らしい作品ですよ。震災っていう重いテーマを扱ってるのに、ちゃんと希望とか癒しを感じさせてくれる物語になってて、そこがすごく印象的でした。

読み終わった後、じんわり心が温かくなる、そんな小説です。動物好きな人はもちろん、人間模様が好きな人にも、ぜひ読んでみてほしい一冊ですね。

※『少年と犬』の読書感想文の例文と書き方はこちらでどうぞ。

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『少年と犬』の読書感想文の書き方を徹底解説。中学生・高校生向けの例文や題名・書き出しのコツ、コピペせずに書く方法を紹介しています。

『少年と犬』の作品情報

『少年と犬』の基本的な作品情報をまとめました。

項目 内容
作者 馳星周
出版年 2020年
出版社 文藝春秋
受賞歴 第163回直木三十五賞受賞
ジャンル 連作短編小説、感動小説、ヒューマンドラマ
主な舞台 岩手県釜石市から熊本県まで(東日本各地)
時代背景 2011年(東日本大震災)から2016年(熊本地震)
主なテーマ 人と動物の絆、震災からの復興、心の癒し、希望と再生
物語の特徴 一匹の犬が複数の人間と出会う連作短編集形式
対象年齢 中学生以上(全年齢対象)

直木賞受賞作品ということもあり、文学的な評価も高い作品です。

『少年と犬』の主要な登場人物とその簡単な説明

『少年と犬』に登場する主要キャラクターをご紹介します。

それぞれが印象的な役割を担っていますよ。

登場人物 説明
多聞(たもん) 物語の主人公となるシェパード。
東日本大震災で飼い主を失い、西への旅を続ける。
賢く忠実で、出会う人々の心を癒す存在。
出口春子 釜石市在住の女性で多聞の元の飼い主。
東日本大震災で死亡してしまう。
多聞の旅の原点となる人物。
中垣和正 「男と犬」の主人公。
認知症の母のため、
金目当てで盗賊団の運転手を務める青年。
多聞と最初に出会う人物。
ミゲル 「泥棒と犬」の主人公。
盗賊団に所属する外国人で、
多聞とともに新潟県へ逃走する。
多聞との交流で心境に変化が生まれる。
中山大貴 「夫婦と犬」の登場人物。
富山県でトレイルランニングをしていて多聞と出会う。
多聞を「トンバ」と呼んで可愛がる。
中山紗英 大貴の妻で「夫婦と犬」の登場人物。
有機野菜と手作り工芸品をネット販売している。
多聞を「クリント」と呼ぶ。
美羽 「娼婦と犬」の主人公。
滋賀県在住で、
ギャンブラーの晴哉のために風俗店で働いている。
多聞を「レオ」と名付ける。
片野弥一 「老人と犬」の主人公。
島根県在住の元猟師で、
末期の膵臓がんを患っている。
多聞を「ノリツネ」と名付けて最後の時を過ごす。
内村徹 「少年と犬」の登場人物。
元漁師だが震災後に熊本で農業を始めた。
多聞を家族として迎え入れる。
内村光 徹の息子で「少年と犬」のもう一人の主人公。
東日本大震災の経験から心を閉ざしていたが、
多聞との交流で変化する。

それぞれのキャラクターが多聞との出会いで人生を変えていく様子が印象的です。

『少年と犬』の読了時間の目安

『少年と犬』を読み終える時間の目安をまとめました。

読書計画の参考にしてくださいね。

項目 詳細
ページ数 384ページ(文春文庫)
推定文字数 約230,400文字
読了時間(目安) 約7.5時間
1日1時間読書の場合 約8日で完読
1日30分読書の場合 約15日で完読

『少年と犬』は読みやすい文章で書かれているので、普段あまり小説を読まない方でも無理なく読み進められるでしょう。

連作短編集なので、一話ずつ区切りながら読むのもおすすめです。

『少年と犬』はどんな人向けの小説か?

『少年と犬』は以下のような方に特におすすめしたい小説です。

  • 犬や動物が好きで、ペットとの絆を大切にしている人
  • 感動的で心温まる物語を読みたい人
  • 震災や社会問題をテーマにした人間ドラマに関心がある人

逆に、極端にリアルな描写や重いテーマが苦手な方には少し重く感じられるかもしれません。

でも、最終的には希望に満ちた結末を迎えるので、多くの読者に愛される作品になっています。

年齢を問わず楽しめる内容で、読書感想文の題材としても優秀な作品ですよ。

あの本が好きなら『少年と犬』も好きかも?似ている小説3選

『少年と犬』が気に入った方におすすめしたい、似たテイストの小説をご紹介します。

どれも人と動物の絆や心の癒しをテーマにした感動作品ですよ。

『白い犬とワルツを』(テリー・ケイ)

老いた主人公が白い犬との出会いを通して人生の喪失や再生に向き合う感動作です。

犬との絆の描写や、死別や孤独、癒やしと希望のテーマが『少年と犬』と共通しています。

人生の終盤における犬との出会いが心に深く響く作品ですね。

『ティンブクトゥ』(ポール・オースター)

ホームレス詩人とその愛犬ミスター・ボーンズの絆を描く、犬の視点から語られるヒューマンドラマです。

主人を失い、犬が自ら新たな人生を探すロードノベルでもあり、『少年と犬』の旅と再生の要素に近い作品になっています。

犬の心情を丁寧に描いた名作として知られています。

『犬がいた季節』(伊吹有喜)

一匹の犬が時代や人をつなぐ役目を果たし、さまざまな人間ドラマが描かれる連作短編集です。

犬と人との巡り合いや心の変化、絆の物語という点で『少年と犬』と非常に近い雰囲気を持っています。

日本の風景を背景にした心温まる物語として評価が高い作品です。

振り返り

今回は直木三十五賞を受賞した『少年と犬』について、あらすじから感想まで詳しくお伝えしました。

東日本大震災で飼い主を失った犬・多聞が西への旅を続けながら、様々な人と出会い心を癒していく感動的な物語でしたね。

馳星周さんの巧みな筆力で描かれる人と動物の絆は、読む人の心に深く響く内容になっています。

読書感想文を書く際にも扱いやすいテーマが豊富で、多くの学習ポイントがある作品です。

ぜひ一度手に取って、多聞の旅を追体験してみてくださいね。

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