『僕は上手にしゃべれない』のあらすじについて解説していきますね。
この作品は椎野直弥さんによる青春小説で、吃音に悩む中学生の成長を描いた感動作です。
作者の椎野直弥さん自身も吃音の体験をお持ちで、その実体験が物語にリアリティを与えています。
この記事では、年間100冊以上の本を読む私が、あらすじを簡単に短く紹介した後、詳しい内容まで丁寧にお伝えしていきますよ。
読書感想文を書く際のヒントや、作品理解に役立つ情報も盛り込んでいるので、きっと皆さんのお役に立てるでしょう。
それでは、さっそく進めていきましょう。
椎野直弥『僕は上手にしゃべれない』のあらすじと内容を簡単に
椎野直弥『僕は上手にしゃべれない』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)
中学1年生の柏崎悠太は、幼少期から吃音という言語障害に苦しんでいた。
新学期の入学式当日、クラスでの自己紹介の順番が回ってくると、悠太は極度の緊張から言葉を発することができず、そのまま教室から逃げ出してしまう。
この出来事は悠太にとって大きなショックとなり、人前で話すことへの恐怖心をさらに深刻なものにした。
授業中の発表やクラスメートとの何気ない会話でも吃音が現れ、悠太は強い恥ずかしさと絶望感に苛まれる日々を送っていた。
そんなある日、悠太は校内放送で「誰でも上手に話せるようになります」という放送部の勧誘メッセージを耳にする。
わらにもすがる思いで放送部の扉を叩いた悠太を、先輩たちは温かく迎え入れてくれた。
放送部では3年生の立花先輩や同級生の古部加耶さんが悠太の支えとなり、アニメの台本を使った発声練習や放送技術を教えてくれる。
家庭でも母親と姉が悠太の吃音を理解し、励ましながら見守り続けていた。
部活動を通じて悠太は、自分だけでなく周囲の人々もそれぞれの悩みや困難を抱えていることに気づいていく。
やがて悠太は大きな決断を迫られる場面に直面し、自分の成長と勇気が試されることになる。
『僕は上手にしゃべれない』のあらすじを理解するための用語解説
物語を深く理解するために、作中に登場する重要な用語を解説していきます。
これらの用語を知っておくと、『僕は上手にしゃべれない』の世界観がより鮮明に見えてくるでしょう。
用語 | 説明 |
---|---|
吃音 | 言葉をスムーズに話せず、 詰まったり繰り返したりする話し方の障害。 本人の意志とは無関係に発生し、 社会生活やコミュニケーションに困難をもたらす。 精神的なストレスや緊張で悪化することが多い。 |
放送部 | 学校の部活動の一つで、校内放送を担当する部。 放送機器を使って生徒のスピーチやアナウンスを行う。 滑舌や発声の練習に最適な環境を提供している。 |
発声練習 | 言葉を上手に話すためのトレーニング全般を指す。 舌の動きを鍛えたり、 台本を用いて実際に話す練習などが含まれる。 吃音改善のための重要な取り組みとして描かれている。 |
弁論大会 | 学校や地域で行われるスピーチ大会。 自分の考えや経験を多くの人の前で話す競技。 吃音克服の大きなチャレンジとして挑む場として描かれる。 |
これらの用語を押さえておけば、物語の背景や主人公の心理状態がより理解しやすくなりますね。
『僕は上手にしゃべれない』の感想
『僕は上手にしゃべれない』を読み終えて、まず私の心に強く響いたのは、主人公悠太の抱える苦悩のリアルさでした。
作者の椎野直弥さん自身が吃音の体験をお持ちということもあり、悠太の心理描写には嘘や誇張が一切ない気がして。
入学式で自己紹介ができずに教室から逃げ出すシーンなんて、読んでいる私まで胸が苦しくなりましたよ。
特に印象的だったのは、悠太が放送部に入った時の描写です。
「誰でも上手に話せるようになります」という言葉に惹かれて扉を叩く場面は、まさに希望の光が差し込む瞬間でしたね。
ここが『僕は上手にしゃべれない』の大きな転換点になっているんです。
放送部の先輩たちや同級生の古部さんの存在も素晴らしかった。
彼らは悠太の吃音を特別視することなく、自然に受け入れて支えてくれる。
この温かい人間関係の描写が、物語に深みと説得力を与えていると感じました。
特に古部さんとのアニメ台本を使った発声練習のシーンは、読んでいて微笑ましく、同時に悠太の成長への願いが伝わってきます。
ただし、正直に言うと、物語の展開が少し予想しやすい部分もありました。
悠太の成長過程は確かに感動的なのですが、もう少し意外性があってもよかったかなと思います。
また、吃音の治療に関する描写がやや単純化されすぎている印象も受けました。
実際の吃音治療はもっと複雑で長期間を要するものですからね。
でも、それを差し引いても『僕は上手にしゃべれない』は読む価値のある作品です。
家族の支えの描写も心に残りました。
悠太の母親と姉が示す無条件の愛情と理解は、読んでいて胸が熱くなります。
彼らは悠太の吃音を治そうとするのではなく、悠太そのものを受け入れているんです。
これは多くの読者にとって大切なメッセージになるでしょう。
物語の後半に向けて、悠太が人前で話すことに挑戦する姿は本当に勇気をもらえます。
完璧を求めるのではなく、少しずつでも前に進もうとする姿勢は、吃音を抱える人だけでなく、何かしらの困難に直面している全ての人に響くものがあります。
『僕は上手にしゃべれない』は、障害を題材にしながらも重すぎず、希望を感じられる青春小説として完成度が高い作品だと思います。
特に中高生の読者にとっては、自己受容と成長のヒントが詰まった一冊になるでしょう。
私としては、この作品を通じて吃音という障害についても理解を深めることができ、読んでよかったと心から思える小説でした。
※『僕は上手にしゃべれない』の読書感想文の書き方と例はこちらにまとめています。

『僕は上手にしゃべれない』の作品情報
『僕は上手にしゃべれない』の基本的な作品情報をまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
作者 | 椎野直弥 |
出版年 | 2017年2月 |
出版社 | ポプラ社 |
受賞歴 | 特定の受賞歴の情報は公開されていません |
ジャンル | 読み物(ティーンズ向け)・成長物語・悩み・吃音をテーマ |
主な舞台 | 日本の中学校 |
時代背景 | 現代 |
主なテーマ | 吃音・自己受容・成長・人間関係 |
物語の特徴 | 作者自身の吃音体験を基にしたリアルな描写 |
対象年齢 | 12歳以上(主に中学生・高校生向け) |
青空文庫収録 | 収録なし |
『僕は上手にしゃべれない』の主要な登場人物とその簡単な説明
『僕は上手にしゃべれない』に登場する重要な人物たちをご紹介します。
それぞれの人物が物語にどんな役割を果たしているか理解しておくと、作品の魅力がより深く味わえますよ。
人物名 | 紹介 |
---|---|
柏崎悠太 | 本作の主人公で中学1年生。 幼少期から吃音に悩み、 人前で話すことに強い恐怖心を持つ。 内気で自分に自信がないが、 放送部に入り少しずつ成長していく。 |
古部加耶 | 悠太のクラスメイトで放送部の同級生。 無表情でクールな印象だが、 悠太の吃音を理解し支える心強い存在。 アニメ台本を使った発声練習で悠太を助ける。 |
立花先輩 | 放送部の3年生の先輩。 受験勉強が忙しい中で、 入部希望の悠太と古部を支援し部を盛り上げる。 後輩をフォローする優しい先輩。 |
椎名先生 | 悠太のクラス担任で放送部の顧問。 吃音のことを理解し、 悠太の成長を見守りサポートしている。 |
悠太の母親 | 悠太の吃音を誰よりも理解し、 励ましながら見守る家族。 家庭内での精神的支柱となっている。 |
悠太の姉 | 悠太の吃音を理解し、弟を支える優しい姉。 家族の絆を象徴する重要な存在。 |
『僕は上手にしゃべれない』の読了時間の目安
『僕は上手にしゃべれない』を読むのにどのくらい時間がかかるか、目安をお示しします。
読書計画を立てる際の参考にしてくださいね。
項目 | 内容 |
---|---|
総ページ数 | 330ページ |
推定文字数 | 約198,000文字 |
読了時間 | 約6時間36分 |
1日の読書時間別 | 1時間/日:約7日 2時間/日:約3-4日 3時間/日:約2-3日 |
『僕は上手にしゃべれない』は比較的読みやすい文体で書かれているため、中学生でもスムーズに読み進められるでしょう。
1週間程度の余裕を持って読書計画を立てることをおすすめします。
『僕は上手にしゃべれない』はどんな人向けの小説か
『僕は上手にしゃべれない』がどのような読者に向いているか、私の考えをお伝えします。
この作品は特に以下のような人におすすめですよ。
- 吃音やコミュニケーションに悩みを抱えている人やその家族・友人
- 思春期特有の自信のなさや人間関係の悩みを持つ中高生
- 障害理解を深めたい教育関係者や一般の読者
主人公と同じような苦しみを抱える人にとっては、共感と励ましを得られる作品になるでしょう。
また、思春期の複雑な心境や成長の物語として、幅広い年代の読者に響くものがあります。
逆に、ハラハラドキドキするようなスリリングな展開を求める人や、複雑で重厚な文学作品を好む人には物足りないかもしれません。
『僕は上手にしゃべれない』は優しく寄り添うような作品なので、心の支えを求めている人にこそ読んでほしい一冊です。
あの本が好きなら『僕は上手にしゃべれない』も好きかも?似ている小説3選
『僕は上手にしゃべれない』を気に入った方におすすめの、似たテイストの小説をご紹介します。
コミュニケーションの困難や内向的な主人公の成長を描いた作品を中心に選びました。
辻村深月『かがみの孤城』
学校に居場所をなくした中学生のこころが、鏡を通じて不思議な城に導かれ、同じような悩みを抱えた仲間たちと出会う物語です。
主人公が現実社会に馴染めず居場所を探している点や、同じ悩みを持つ仲間との出会いを通じて成長していく構造が『僕は上手にしゃべれない』と非常によく似ています。
どちらも学校という場所での困難を描きながら、希望を見出していく青春小説として完成度が高い作品ですね。

森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』
京都を舞台に、後輩の「黒髪の乙女」に想いを寄せる「先輩」が、自分の気持ちをうまく伝えられずに奮闘するコミカルな恋愛小説です。
主人公が自分の思いを言葉にできない不器用さという点で『僕は上手にしゃべれない』と共通しています。
こちらは大学生が主人公でユーモラスな要素が強いですが、コミュニケーションの壁を乗り越えようとする姿勢は同じです。
住野よる『君の膵臓をたべたい』
他者に興味を持たず一人でいることを好む「僕」と、余命わずかな同級生・桜良との交流を描いた感動作です。
主人公の内向的な性格や他者との関わりを求めながらもうまく表現できない心理は、『僕は上手にしゃべれない』の悠太と重なる部分があります。
人と人が心を通わせることの難しさと尊さを描いている点で、両作品は共通したメッセージを持っています。

振り返り
椎野直弥さんの『僕は上手にしゃべれない』は、吃音に悩む中学生の成長を描いた感動的な青春小説でした。
作者自身の体験を基にしたリアルな描写と、温かい人間関係の中で主人公が少しずつ成長していく姿は、多くの読者の心に響くことでしょう。
この作品を通じて、困難に立ち向かう勇気や人とのつながりの大切さを感じ取っていただければと思います。
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