住野よる『かくしごと』あらすじを簡単に!ネタバレなしで

『かくしごと』のあらすじ あらすじ

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住野よる『かくしごと』のあらすじを簡単にご紹介しますね。

『か「」く「」し「」ご「」と「』は住野よるさんによる連作短編集で、2016年に新潮社から出版された作品。

カギカッコが多い特殊なタイトルが付いた青春小説は、他人の感情が見える能力を持つ高校生たちの物語です。

本屋大賞にノミネートされたり、映画化されたため、その原作小説として話題になりました。

年間100冊以上の本を読む私が、読書感想文を書く予定の皆さんのために、ネタバレなしで詳しくあらすじと感想をまとめていきますよ。

それでは、さっそく進めていきましょう。

当記事では小説のあらすじを「ネタバレなし」でお届けします(映画版のあらすじは扱っていません)。

住野よる『かくしごと』のあらすじを短く簡単に(ネタバレなし)

特別な能力を持つ高校生5人の友情と成長を描いた連作短編集。主人公の大塚京は、人の頭上に感情や思考を表す記号が見えるという特殊能力を持っており、そのために他人の心の機微に敏感で孤独を感じている。隣の席の宮里(エル)をはじめ、友人たちもそれぞれ異なる特殊な能力を持っていて、彼らの「かくしごと」が複雑な人間関係と心の葛藤を生み出していく。

住野よる『かくしごと』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)

物語の主人公は大塚京をはじめとする5人の高校生たちで、それぞれが周囲の人の感情や思考が視覚的な記号や動きとして見えるという「かくしごと」を持っている。大塚京は、人の頭上に「?」「!」「、」「。」などの記号として感情の断片が見える能力があり、これは彼に他人の心理の一端を知る手がかりを与える一方、孤独感や戸惑いも生んでいた。三木(ミッキー)は人の感情の揺れ幅がシーソーのようなバーで見える能力を持つ正義感の強い女子生徒。パラは人の心臓の鼓動を数として見る能力があり、ヅカは他人の喜怒哀楽がわかる能力を持つ。エルは人の恋心が矢印の形で見える能力を持つ内気な少女である。物語は章ごとに主人公が変わり、それぞれの「かくしごと」と秘めた想いが繊細に描かれ、5人が互いに支え合いながら友情や恋愛、進路の悩みなど現実的な青春の問題に向き合い成長していく姿を描いている。

住野よる『かくしごと』各章のあらすじ(ネタバレなし)

『かくしごと』は全部で5章からなる連作短編集です。

各章の簡単なあらすじを結末を明かさない「ネタバレなし」でご紹介します。

第1章「か、く。し!ご?と」(京)

地味で自信のない京は、人の気持ちがわかる能力を持つ。隣の席の宮里とは意気投合し、仲良しに。ある日、京の何気ない一言が、宮里のコンプレックスを刺激し、傷つけてしまう。人の心を読めるが故の京の行動が誤解を生み、宮里は登校拒否に。こじれた二人の関係の行方は?

 第2章「か/く\し=ご*と」(ミッキー)

明るく活発なミッキーは、人の感情の動きをプラスかマイナスのバーで見ることができる特殊能力の持ち主。文化祭でクラスはパラの提案によりヒーローショーを行うことに決定。本番でミッキーはヒーロー役を演じるが、ラストでセリフを忘れてしまう。その危機を、人の心拍数を読める能力を持つパラが即座に察知し、即興の演技で救おうとするが……。

第3章「か1く2し3ご4と」(パラ)

修学旅行の沖縄で、心拍数を読める能力を持つパラは、心拍が平坦なヅカを冷たい人間と誤解し、ミッキーとの接近を阻止しようと奔走する。その結果、体力を使い果たして倒れてしまう。ヅカから直接質問され、パラは自分の行動が「なりたい自分」を演じているだけだと正直に告白。これに対するヅカの率直な返答が、パラに新たな気づきをもたらす。

第4章「か?く?し?ご?と」(ヅカ)

ヅカは人の感情が頭上に現れる能力を持つ。ある日、エルが焼いたクッキーを褒めるヅカだが、笑顔の彼女の頭には大きな悲しみのクローバーが浮かんでいた。その日以来、エルは京を避けるようになる。 後日、花見の席でエルが中座。追いかけたヅカは、エルが「京とミッキーが付き合えば、友人としての自分が忘れられるのでは」という不安から、ミッキーに「いじわる」をした苦しみを打ち明ける。ヅカは、すべてを自分に関連付けるエルの性格に惹かれていることに気づく。

第5章「か→く↓し←ご↑と」(エル)

「人の恋心が矢印」で見えるエル。ミッキーと京は互いに惹かれ合う両想いだったが、図書館で告白しようとした際、気持ちの行き違いからミッキーは振られたと誤解し、その場を立ち去ろうとする。しかし、ミッキーの矢印がまだ京に向いているのを見たエルは、京に即座に後を追うよう促し、二人は晴れてカップルとなる。この出来事を機にエルは、自分の能力がこの時のためにあったと感じると共に、一人ひとりにそれぞれ異なる役割があるのではないかと感じ始める。

『かくしごと』のあらすじを理解するための用語解説

『かくしごと』のあらすじ内に登場する重要な概念を以下の表で整理しました。

物語の理解を深めるための参考にしてくださいね。

用語 説明
かくしごと(隠し事) 作品タイトルにもなっている「かくしごと」は
「隠し事」を意味する。
登場人物たちが抱える言葉にできない
本音や秘密、心の内面の葛藤を指す。
物語のテーマである
「人が誰しも持つ隠された真実や悩み」を表現している。
感情の記号化 登場する高校生たちは他人の感情や思考が
頭上に記号として見える特殊な能力を持つ。
例えば「!」「?」などの記号で
感情の動きや心の状態を視覚的に捉えられる。
人間関係の複雑さや内面の葛藤がわかりやすく描かれている。
連作短編集 物語は各章ごとに
一人の登場人物の視点と能力が明かされる構成。
読者は徐々に5人の関係性や
心の動きを多角的に理解していく仕組み。
それぞれの章が独立しつつも
全体として一つの物語を形成している。

これらの用語を理解することで、物語の構造やテーマをより深く把握できますよ。

『かくしごと』を読んだ私の感想

住野よるさんの『かくしごと』、読み終わって正直なところ、なんかこう、胸の奥でいろんな気持ちが入り混じってる感じです。住野さんの文章って、いつも繊細でキレイだなって思うんですけど、今回もそれは健在でしたね。

まず、一番「おおっ!」ってなったのは、5人の特殊能力の設定です。他人の感情が記号とか数字で見えちゃうって発想が、もう天才的!読んでる間は、私もその世界に入り込んじゃったみたいで、すごくワクワクしました。

特に京の「!」とか「?」の記号で感情を読み取ったり、ミッキーが心のバーで気持ちの揺れを見たりする能力とか、一つ一つが個性的で面白いんですよね。こういう能力があるおかげで、ただの高校生の恋愛とか友情の話が、ファンタジー要素も加わって、なんか独特の魅力が爆発してる感じでした。

キャラクターもね、みんなちゃんと個性が描かれてて、すごく丁寧だなって思いました。京の内気で繊細なところとか、ミッキーの裏表ない明るさとか、パラの行動の裏に隠された計算とか、ヅカの優しさの中にある迷い、エルの引っ込み思案だけど頑固なとことか。

みんな本当にいる高校生みたいで、等身大の悩みを抱えてるのがリアルなんですよね。

特に感動したのは、彼らが持ってる「かくしごと」が、全然大げさじゃなかったことです。誰でも抱えてるような、ちょっとした秘密とか、心の中の痛みだったりするんですよ。人に言えない気持ちとか、自分でもどうしたらいいかわからない複雑な感情って、誰だってありますもんね。すごく共感できました。

あと、色々な視点から描かれてる構成もすごく良かったです。最初は京の視点だけだったのに、章が進むごとに他の子の心の声が聞こえてくる。同じ出来事なのに、見る人が変わると全然違う風に見えるってのが、すごくリアルで。これって、実際の人間関係でも「わかるー!」ってなりますよね。

相手が何を考えてるかなんて、本当のところは分からないものですから。

ただね、読んでるうちに、もうちょっとこうだったらなぁって思う部分も正直ありました。特殊能力の設定がすごく面白いだけに、それがもっと物語の肝に絡んでくるんじゃないかって期待してたんです。

でも実際は、能力があってもなくても成り立つような青春ストーリーだったかな、っていうのが正直な感想です。もうちょっと能力を生かした展開があったら、もっとハッとさせられたんじゃないかなって。

それと、5人の関係性の変化も、なんだか「やっぱりこうなるよね」って感じで、ちょっと予定調和的に感じちゃったかな。最初はギクシャクしてた関係が、だんだん理解し合って絆を深めていくって流れは、もちろん美しいんですけど、もう少し予想外の展開があっても面白かったかなって思いました。

とはいえ、青春小説としては、やっぱり完成度が高いです。高校生特有のあの繊細な感情の動きとか、友達との微妙な距離感、恋愛に対する不器用さとか、あの年代の気持ちが本当に丁寧に描かれてるんです。読んでて、自分の高校時代のこと、めちゃくちゃ思い出しましたもん。

あの頃の純粋で、でも複雑な気持ちを、住野さんは本当に上手に言葉にしてくれてるなって。

文章の美しさも、相変わらずため息ものです。感情を表す言葉の選び方とか、心の動きを描く筆致とか、毎回うっとりしちゃいます。特に恋愛の描写は、甘酸っぱくて切なくて、もう読んでいるこっちの胸がきゅんきゅんしましたね。

最終的には、じんわりと温かい気持ちにさせてくれる作品でした。完璧じゃないかもしれないけど、読む人の心に優しく寄り添ってくれる、そんな小説だと思います。

※『かくしごと』の読書感想文の例や書き方はこちらで高校生向けに解説しています。

『かくしごと』読書感想文の例と書き方【高校生】コピペ不可
『かくしごと』の読書感想文の書き方を詳しく解説。特殊能力や多視点構成など感想文で触れるべき要点から、中学生・高校生向けの例文まで網羅。住野よるの小説で書き出しや題名に悩む学生必見の本格的サポート記事です。

『かくしごと』の作品情報

項目 詳細
作者 住野よる
出版年 2016年
出版社 新潮社
受賞歴 本屋大賞ノミネート作品
ジャンル 青春小説・ファンタジー
主な舞台 高校
時代背景 現代
主なテーマ 友情・恋愛・成長・秘密
物語の特徴 連作短編集・多視点構成・特殊能力設定
対象年齢 中学生以上

『かくしごと』の主要な登場人物とその簡単な説明

『かくしごと』を彩る魅力的なキャラクターたちをご紹介しますね。

それぞれに個性的な能力と背景があって、読んでいて愛着がわきますよ。

人物名 紹介
大塚京(おおつか きょう) 物語の主人公の一人。
人の頭上に「!」「?」などの記号が見える能力を持つ。
地味で内向的な性格だが、優しく思いやりがある。
ミッキーに恋心を抱いている。
三木直子(みき なおこ)/ ミッキー 裏表のない明るい性格の女子生徒。
人の心のバーが見え、感情の揺れがわかる能力を持つ。
ヒーローになりたいと思っている正義感の強い少女。
笑い方がミッキーマウスに似ているためこの愛称で呼ばれる。
黒田 / パラ 予測不能な行動をとる男子生徒。
人の心拍数が見える能力を持つ。
パッパラパーな行動の裏には計算があり
実は繊細な心の持ち主。
自分の心が冷たいと悩んでいる。
高崎博文(たかさき ひろふみ)/ ヅカ 女性的な美しい顔立ちの男子生徒。
人の頭上にトランプのマークで感情が見える能力を持つ。
優しく皆に好かれているが自分の心に向き合えずに悩む。
宝塚に入れそうな美貌からこの愛称で呼ばれる。
宮里 / エル 内気で控えめな女子生徒。
人の恋心が矢印の形で見える能力を持つ。
裁縫が得意で、目が大きくてかわいらしい。
すべてを自分のことに結び付けて考える
頑固で強い心を持つ。

これらのキャラクターが織り成す人間関係が、物語の大きな魅力の一つです。

『かくしごと』の読了時間の目安

『かくしごと』の読書計画を立てる際の参考にしてくださいね。

この小説は比較的読みやすい文体で書かれているので、スムーズに読み進められますよ。

項目 詳細
総ページ数 336ページ(新潮文庫
推定文字数 約201,600文字
平均的な読了時間 約6時間44分
1日1時間読書の場合 約7日間
1日30分読書の場合 約13日間

住野よるさんの文章は読みやすく、テンポも良いので、予想より早く読み終えられるかもしれません。

連作短編集なので、区切りの良いところで休憩しながら読むこともできますね。

『かくしごと』はどんな人向けの小説か?

『かくしごと』が特に刺さりそうな読者のタイプをまとめてみました。

あなたに当てはまるものがあるか、チェックしてみてくださいね。

  • 青春小説が好きな人 – 高校生の等身大の悩みや成長が丁寧に描かれているので、青春ものが好きな人にはたまらない作品です
  • ファンタジー要素のある現代小説を求める人 – 特殊能力という設定がありながら、リアルな現代を舞台にした絶妙なバランスが魅力的
  • 多視点で描かれる人間関係に興味がある人 – 同じ出来事を違う角度から見ることで、人間関係の複雑さを理解できる構成になっています

逆に、ドラマチックな展開や激しい感情のぶつかり合いを期待する人には、少し穏やかすぎるかもしれません。

でも、それがこの作品の良さでもあるんですよね。

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『かくしごと』を気に入った方におすすめしたい、似たテーマを持つ作品をご紹介しますね。

どれも青春の繊細さや人間関係の複雑さを美しく描いた名作ばかりです。

辻村深月『ツナグ』

死者と生者を繋ぐ使者「ツナグ」の物語です。

一度だけ死者に会わせてくれるという設定で、生きている人々が抱える「秘密」や「後悔」、そして「伝えられなかった本音」が深く描かれています。

『かくしごと』と同じように、他者との交流を通して自分の内面と向き合い、前に進むきっかけを得る構成になっており、最終的に温かい繋がりを感じさせる点も共通しています。

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朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』

高校を舞台にした青春小説で、生徒たちが心の中に隠した「本音」や「建前」、そして「人間関係の複雑さ」を多角的な視点から描いています。

表面的には普通に見える高校生たちが、それぞれ抱える劣等感や将来への不安といった「誰にも言えない心の葛藤」が、『かくしごと』の秘密と通じる部分があります。

多視点構成も共通しており、同じ出来事でも見る人によって違って見えることをリアルに表現しています。

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川口俊和『コーヒーが冷めないうちに』

ある喫茶店で過去に戻れるという不思議な設定の物語です。

しかし過去は変えられないというルールがあり、人々が過去に戻るのは「伝えられなかった言葉を伝えるため」や「後悔していることに区切りをつけるため」など、自分の中に隠し持っていた感情と向き合うためです。

『かくしごと』と同じように、秘密を共有し他者と深く繋がることで心が解放されていく過程が描かれ、温かい読後感を残してくれます。

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振り返り

住野よる『かくしごと』のあらすじと感想をお伝えしてきました。

特殊能力を持つ高校生5人の青春を描いた本作は、ファンタジー要素がありながらもリアルな感情描写が魅力的な作品でしたね。

中高生はもちろん、青春時代が懐かしい40代以上の中年でも十分楽しめる小説だと思いますよ。

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