『しっぱいにかんぱい！』のあらすじを簡単に、また詳しく紹介していきますね。
『しっぱいにかんぱい！』は宮川ひろさんによる心温まる児童文学作品です。
運動会のリレーで失敗してしまった小学生の加奈が、家族の温かい支えによって前向きな気持ちを取り戻していく物語。
2009年に青少年読書感想文全国コンクールの課題図書にも選ばれた名作なんですよ。
失敗を恐れがちな子どもたちへの優しいメッセージが込められていますので、読書家の私が作品の魅力を余すことなくお届けします。
宮川ひろ『しっぱいにかんぱい！』のあらすじを短く簡単に
宮川ひろ『しっぱいにかんぱい！』のあらすじを詳しく
小学6年生の加奈は運動会のリレーでアンカーを務めていたが、バトンパスでつまずいて失敗し、一位から失格という結果に終わってしまった。
この大失敗にショックを受けた加奈は、朝ごはんも喉を通らないほど落ち込んでしまう。そんな中、弟の達也と一緒におじいちゃんの家を訪れることになった。
おじいちゃんの家には親戚のいとこの洋やまなみ、横浜からおじさんおばさんも集まっており、みんなで寿司作りを楽しんでいた。
食事の席で洋が足をバタバタさせていると、まなみから「失敗したばかりなのに」と注意される。
そこでおじいちゃんが「みんなで失敗談を話そう」と提案し、家族それぞれの失敗エピソードが披露されていく。
洋は学校の昇降口でガラスを割った話、まなみは自転車の鍵をなくした体験、達也は飼っていたハムスターを逃がしてしまった騒動を語る。
横浜のおばさんは孫のバースデーケーキをトラックの上に置き忘れた失敗談を面白おかしく話し、最後におじいちゃん自身も教師時代の心に残る失敗を打ち明ける。
みんなの失敗談を聞くうちに、加奈は自分だけが失敗したわけではないことを知り、「失敗にかんぱい！」の合言葉とともに前向きな気持ちを取り戻していく。
『しっぱいにかんぱい！』のあらすじを理解するための用語解説
この物語をより深く理解するために、重要な用語をまとめてみました。
これらの言葉の意味を知っておくと、『しっぱいにかんぱい！』の世界観がより鮮明に見えてきますよ。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 失敗（しっぱい） | 物語の中心テーマ。 運動会のリレーでのバトンパス失敗に代表される 誰もが経験する「うまくいかなかったこと」を指す。 成長や挑戦のために大切な経験として捉え直される。 |
| 乾杯（かんぱい） | 失敗談を話し終えるたびに みんなで「失敗にかんぱい！」と 声をかける儀式的な行為。 失敗を恥ずかしいことではなく共有し、笑い飛ばし、 前向きに受け入れるメッセージを象徴している。 |
| 家族の支え | 家族や親戚が失敗を共有し、励まし合い、 受け入れることで個人の傷ついた心を癒す重要な役割。 物語中で強調される温かいつながりを表す。 |
| 成長のプロセス | 失敗から学び、立ち直り、次に活かす過程。 失敗を単なるマイナスと捉えず 自分を大きくしていくポジティブな経験として描かれる。 |
これらの用語が『しっぱいにかんぱい！』の核となるテーマを支えているんですね。
『しっぱいにかんぱい！』の感想
私が『しっぱいにかんぱい！』を読んで思ったのは、「こんな家族がいたらいいなあ」という羨ましさでした。
加奈が運動会で失敗して落ち込んでいるシーンは、もう見ているこっちまで胸が苦しくなるんですよ。
小学生の時って、失敗すると世界が終わったみたいに感じるじゃないですか。
私も子どもの頃、テストで悪い点を取ったり、発表でつまずいたりして、同じように落ち込んだ記憶がよみがえってきました。
でも、おじいちゃんの家に集まった親戚みんなが失敗談を語り始めるところが本当に素晴らしいんです！
特に横浜のおばさんのケーキ事件は、読みながら思わず笑ってしまいました。
孫のバースデーケーキをトラックの上に置き忘れて、トラックが走り去ってしまうなんて、想像するだけでも慌てふためく様子が目に浮かびますよね。
でも最後にケーキがちゃんと届けられていたというオチもほっこりして、失敗にもハッピーエンドがあるんだと教えてくれる。
そして何より感動したのが、おじいちゃんの教師時代の失敗談です。
生徒の太一を廊下に立たせていたことを忘れて帰ってしまい、代わりに立っていた修に謝りながら送っていったエピソード。
大人だって失敗するし、その失敗から学んで成長していくんだということが、子どもにも大人にもストレートに伝わってくる。
「失敗を大事にして大きくなってくれ」というおじいちゃんの言葉は、まさにこの物語のメッセージそのものですよね。
失敗を隠したり恥じたりするのではなく、みんなで共有して笑い話にしていく。
そんな家族の温かさが、読んでいる私の心もほんわりと温めてくれました。
文章も絵も子どもにとって分かりやすく、でも大人が読んでも十分に感動できる内容になっているのも素晴らしいポイント。
「失敗にかんぱい！」という合言葉も、読み終わった後に何度も心の中で繰り返してしまいます。
私自身、この本を読んでから、自分の失敗に対する見方が少し変わったような気がするんです。
失敗したときに「ああ、これも成長の一部なんだ」と思えるようになったというか。
それだけこの『しっぱいにかんぱい！』という作品が持つメッセージが強力で、読者の心に深く響くものがあるということですね。
子どもだけでなく、完璧主義で失敗を恐れがちな大人にも読んでほしい一冊です。
※『しっぱいにかんぱい！』の読書感想文の書き方と例文はこちらにまとめています。
『しっぱいにかんぱい！』の作品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作者 | 宮川ひろ（文） 小泉るみ子（絵） |
| 出版年 | 2008年9月15日 |
| 出版社 | 童心社 |
| 受賞歴 | 2009年青少年読書感想文全国コンクール 小学校低学年の部課題図書 |
| ジャンル | 児童書、絵本、家族・友情物語 |
| 主な舞台 | 現代の家庭、親戚の集まり |
| 時代背景 | 現代 |
| 主なテーマ | 失敗への前向きな取り組み、家族の絆、成長 |
| 物語の特徴 | 失敗を恐れず受け入れる心温まるストーリー |
| 対象年齢 | 小学1・2年生から |
| 青空文庫の収録 | 収録されていない |
『しっぱいにかんぱい！』の主要な登場人物とその簡単な説明
この物語に登場する重要な人物たちを紹介しますね。
それぞれのキャラクターが『しっぱいにかんぱい！』の世界を彩っています。
| 人物名 | 紹介 |
|---|---|
| 加奈（かな） | 本作の主人公で小学6年生。 リレーのアンカーに選ばれるほど足が速いが 運動会のリレーでバトンパスに失敗し失格になる。 この失敗から落ち込み、元気をなくしてしまう。 |
| 達也（たつや） | 加奈の弟。 おじいちゃんの家に集まる際に 加奈とともに参加する。 ハムスターの失踪という失敗も経験している。 |
| おじいちゃん | 加奈と達也の祖父。 失敗を明るく受け入れ前向きにする姿勢を持ち 家族の失敗談を引き出し、励ます役割を担う。 |
| 洋（ひろし） | 加奈のいとこ。 学校で昇降口のガラスを割る失敗をするが 周囲の助けで立ち直る。 |
| まなみ | 加奈のいとこ。 自転車の鍵をなくす失敗を経験し その話を作文に書く。 |
| おばさん | 家族会に集まる親戚。 ケーキをトラックの上に置き忘れる失敗をするが 思わぬ幸運で助けられる。 |
『しっぱいにかんぱい！』の読了時間の目安
この作品の読了時間についてまとめてみました。
お忙しい皆さんの読書計画の参考にしてくださいね。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 総ページ数 | 96ページ |
| 文字数 | 不明 |
| 読了時間 | 約115分（1時間55分） |
| 読了日数の目安 | 1〜2日で読み終えられる |
『しっぱいにかんぱい！』は児童書ということもあり、とても読みやすい作品です。
絵も多く挿入されているので、実際の読書時間はもっと短くなるかもしれませんね。
小学生でも無理なく読み切れる分量になっています。
『しっぱいにかんぱい！』はどんな人向けの小説か？
この作品がどんな読者に向いているか、私なりに分析してみました。
特に以下のような方にはぜひ読んでいただきたいですね。
- 失敗を恐れがちで、チャレンジすることに不安を感じている小学生
- 子どもが失敗したときにどう励ましたらいいか分からない保護者や教育者
- 家族の絆や温かさを描いた心温まる物語を求めている読者
逆に、複雑なストーリー展開や深い心理描写を求める読者には少し物足りないかもしれません。
でも、シンプルだからこそ伝わる温かいメッセージがあるのが『しっぱいにかんぱい！』の魅力なんです。
特に読書感想文を書く予定の学生さんには、感想を書きやすいテーマとキャラクターがそろっているのでおすすめですよ。
あの本が好きなら『しっぱいにかんぱい！』も好きかも？似ている小説3選
『しっぱいにかんぱい！』を気に入った方には、同じような温かさやメッセージ性を持つ作品もおすすめです。
失敗や挑戦をテーマにした心温まる児童文学を3つ紹介しますね。
宮川ひろ『うそつきにかんぱい！』
同じ作者による「かんぱい！シリーズ」の別作品です。
今度は「嘘」をテーマに、子どもたちが直面する身近な悩みを温かく描いています。
『しっぱいにかんぱい！』と同様に、家族の支えや理解を通して子どもが成長していく物語になっています。
シリーズを通して一貫した優しさとユーモアが魅力ですね。
寺村輝夫『あしたプールだ がんばるぞ』
カバくんが主人公のこの作品は、いろいろなことに挑戦するけれどうまくいかない様子をユーモラスに描いています。
でも最終的には「ゆっくりいこうよ」というメッセージで子どもの気持ちに寄り添ってくれる。
『しっぱいにかんぱい！』と同じく、失敗を恐れずにチャレンジすることの大切さを教えてくれる作品です。
アンドレア・ベイティー『しっぱい なんか こわくない！』
宇宙飛行士を目指す女の子ロージーが主人公の絵本です。
自作のメカで失敗を経験しながらも、大おばさんの励ましで「今の失敗は大成功」と前向きになっていく。
挑戦と失敗のポジティブな捉え方という点で、『しっぱいにかんぱい！』のメッセージと非常に近い内容になっています。
振り返り
『しっぱいにかんぱい！』のあらすじから感想まで、詳しく紹介してきました。
この作品は失敗を恐れがちな子どもたちに、「失敗しても大丈夫」という温かいメッセージを届けてくれる素晴らしい児童文学です。
おじいちゃんを中心とした家族の絆や、失敗談を笑い話に変えていく優しさが印象的でしたね。
読書感想文を書く皆さんにとって、感想を書きやすく、深く考察できる要素がたくさん詰まった作品だと思います。
ぜひ実際に手に取って、加奈と一緒に「失敗にかんぱい！」してみてくださいね。
コメント