『あと少し、もう少し』の読書感想文を書く予定の皆さん、こんにちは。
今回は瀬尾まいこさんの感動的な青春小説『あと少し、もう少し』の読書感想文について、書き方のコツから具体的な例文まで詳しく解説していきますよ。
『あと少し、もう少し』は中学生の駅伝チームを描いた作品で、寄せ集めの6人のメンバーが県大会出場を目指して襷をつなぐ物語。
元いじめられっ子、不良、頼みを断れない生徒会役員、プライドの高い吹奏楽部員、後輩、そして部長。
それぞれに悩みを抱えた彼らが、駅伝を通じて成長していく姿が丁寧に描かれています。
年間100冊以上の本を読む私が中学生や高校生の皆さんが読書感想文を書く際に、どのような点に注目すべきか、どう書き方を工夫すれば良いかを、具体的な例文とあわせてお伝えしていきます。
『あと少し、もう少し』の読書感想文で触れたい3つの要点
『あと少し、もう少し』の読書感想文を書く際には、以下の3つの要点を必ず押さえておきましょう。
- 駅伝を通じて描かれるチームワークと成長
- 登場人物それぞれの悩みと乗り越える過程
- 「あと少し、もう少し」に込められた諦めない気持ち
これらの要点について読書中に「自分はどう感じたか」をメモしておくことが大切です。
感想文を書く時に「ここが印象的だった」「この場面で涙が出そうになった」といった具体的な感情を思い出せるからですね。
メモの取り方としては、読みながら付箋を貼ったり、スマートフォンのメモ機能に短い言葉で記録したりする方法がおすすめです。
「どう感じたか」が感想文で最も重要なのは、それがあなただけの独自の視点になるからです。
同じ場面を読んでも、人によって感じることは違います。
その違いこそが、読書感想文の個性となり、読み手の心に響く文章になるんですね。
駅伝を通して描かれるチームワークと成長
この作品の最大の魅力は、バラバラだった6人のメンバーが襷をつなぐことで一つのチームになっていく過程です。
最初はそれぞれが異なる動機で駅伝に参加しています。
部長の桝井日向は県大会出場への責任感、設楽は日向への恩義、大田は過去のリベンジ、ジローは断り切れない性格、渡部は複雑な思い、俊介は日向への憧れ。
しかし、練習を重ねるうちに、お互いを理解し支え合う関係が生まれていきます。
特に印象的なのは、各自が走る区間で前の走者の思いを受け取り、次の走者に託していく場面です。
襷という物理的なつながりが、心のつながりへと発展していく様子が丁寧に描かれています。
あなたも学校生活や部活動で、最初は苦手だった人と仲良くなった経験はありませんか。
そんな体験と重ね合わせながら読むと、より深く作品を理解できるでしょう。
チームワークの大切さについて、具体的なエピソードを挙げながら感想を書けば、説得力のある文章になります。
登場人物が抱える悩みと成長
この物語の登場人物たちは、それぞれ深い悩みを抱えています。
設楽は小学校時代のいじめの記憶、大田は失敗を恐れて逃げ出してしまう性格、ジローは断れない自分への不安、渡部は複雑な家庭環境、俊介は日向への複雑な感情、そして日向は体調不良と責任の重圧。
これらの悩みは、多くの中学生・高校生が実際に経験するものばかりです。
作者の瀬尾まいこさんは、表面的な青春の輝きだけでなく、思春期特有の心の揺れや不安を丁寧に描写しています。
重要なのは、彼らが悩みを抱えたまま走るのではなく、駅伝を通じて少しずつ自分と向き合い、成長していく点です。
完全に問題が解決するわけではありませんが、仲間の存在や目標に向かう過程で、新しい自分を発見していきます。
あなたも今抱えている悩みがあれば、登場人物の成長過程と比較してみてください。
「自分だったらどうするか」「この登場人物の気持ちがよく分かる」といった視点で感想を書くと、リアリティのある文章になります。
読書感想文では、登場人物への共感や自分の体験との比較が重要な要素になりますよ。
タイトルに込められたメッセージ
「あと少し、もう少し」というタイトルには、諦めずに前進し続ける強い意志が込められています。
駅伝は個人競技でありながらチーム競技でもあり、一人ひとりが限界まで走らなければ良い結果は生まれません。
苦しい時、もう走れないと思った時に「あと少し」と自分を励まし、仲間のために「もう少し」頑張る。
この言葉が作品全体を通じて、登場人物たちを支える合言葉となっています。
現実の私たちの生活でも、勉強や部活動、人間関係など様々な場面で「もうダメだ」と思うことがありますよね。
そんな時にこの作品のメッセージを思い出すと、きっと勇気をもらえるはずです。
タイトルの意味について考察し、自分の経験と結びつけて感想を書けば、深みのある読書感想文になります。
また、作品を読み終えた後で改めてタイトルを見直すと、最初に感じた印象とは違った意味が見えてくるかもしれません。
そうした発見も感想文に書ける貴重な材料になるでしょう。
『あと少し、もう少し』の読書感想文の例文（1200字の中学生向け）
【題名】仲間と走る意味
『あと少し、もう少し』を読んで、私は友達や仲間の大切さについて深く考えさせられた。
この物語は中学生の駅伝チームが県大会を目指す話だが、単なるスポーツ小説ではない。
それぞれが悩みを抱えた6人の中学生が、駅伝を通じて成長していく姿が描かれている。
最初に印象に残ったのは、メンバーがバラバラだったことだ。
部長の桝井は責任感が強いが体調に不安を抱え、設楽は過去のいじめの記憶に苦しんでいる。
大田は不良のふりをしているが本当は繊細で、ジローは頼まれると断れない性格に悩んでいる。
渡部は家庭の事情を隠していて、俊介は先輩への複雑な気持ちを抱えている。
こんなに違う6人が、どうやって一つのチームになれるのか疑問だった。
しかし、練習を重ねるうちに彼らの関係が変わっていく様子が面白かった。
特に心に残ったのは、襷をつなぐ場面だ。
前の走者が全力で走ってきた思いを受け取り、次の走者にその思いを託す。
襷は単なる布ではなく、メンバー全員の気持ちがこもった「心をつなぐもの」になっていく。
私も学校の文化祭でクラス全員で協力した時のことを思い出した。
最初はみんなバラバラで、意見も合わなかったが、一つの目標に向かって頑張るうちに、いつの間にかチームになっていた。
『あと少し、もう少し』の登場人物たちも同じだった。
また、それぞれの悩みが現実的で、自分にも当てはまる部分があった。
特にジローの「頼まれると断れない」という性格には共感してしまう。
私も友達に頼まれると嫌とは言えず、時々困ることがある。
でもジローは駅伝を通じて、嫌なことでも最後まで頑張ることの意味を見つけていく。
それを見て、私も何でも引き受けるのではなく、引き受けた以上は責任を持って取り組むことが大切だと思った。
「あと少し、もう少し」というタイトルの意味も深い。
駅伝は長距離を走るスポーツで、途中で疲れて諦めたくなることもあるだろう。
でも「あと少し頑張れば仲間に襷を渡せる」「もう少し走れば目標に近づける」という気持ちが、彼らを支えていた。
私も勉強や部活動で辛い時があるが、この言葉を思い出して頑張りたいと思う。
読み終えて一番感動したのは、メンバーがお互いを思いやる気持ちだった。
自分のことだけでなく、仲間のために走る姿が美しかった。
普段は素直になれない彼らが、駅伝を通じて本当の気持ちを表現していく過程に何度も胸が熱くなった。
この本を読んで、一人で頑張るよりも仲間と一緒に目標に向かう方が、より大きな力が出せることを学んだ。
また、どんなに違う性格の人でも、同じ目標を持てば理解し合えることも分かった気がする。
これから学校生活で困ったことがあっても、「あと少し、もう少し」という気持ちで乗り越えていきたい。
そして仲間を大切にし、お互いに支え合える関係を築いていきたいと思う。
『あと少し、もう少し』の読書感想文の例文（2000字の高校生向け）
【題名】青春の光と影を描いた傑作
『あと少し、もう少し』を読み終えて、私は青春というものの複雑さと美しさを改めて感じた。
瀬尾まいこさんが描く中学生たちの物語は、表面的な青春の輝きだけでなく、思春期特有の心の闇や不安も丁寧に描写している。
主人公たちが駅伝を通じて成長していく過程は、まさに私たち高校生が日々経験している葛藤や発見と重なる部分が多く、深い共感を覚えた。
この作品で最も印象的だったのは、登場人物たちが抱える悩みのリアリティである。
設楽の過去のいじめ体験、大田の失敗への恐怖、ジローの断れない性格、渡部の複雑な家庭環境、俊介の先輩への憧憬、そして桝井の責任感とプレッシャー。
これらの悩みは決して特別なものではなく、多くの中高生が実際に経験するものだ。
作者は彼らの内面を一人称で描くことで、読者が感情移入しやすい構造を作り上げている。
特に印象深かったのは、大田のキャラクターだった。
彼は表面的には不良として振る舞っているが、実際は失敗を恐れて逃げ出してしまう繊細な心の持ち主だ。
「やってもできない」という思い込みから、「できない」と証明される前に諦めてしまう彼の心理は、現代の多くの若者が抱える問題でもある。
私自身も新しいことに挑戦する時、失敗を恐れて最初から諦めてしまうことがある。
大田が駅伝を通じて、失敗を恐れずに最後まで走り抜くことの意味を見つけていく過程に、強い感動を覚えた。
また、この作品では「チームワーク」というテーマが多層的に描かれている。
駅伝は個人競技でありながらチーム競技でもあるという特殊性が、物語に深みを与えている。
一人ひとりが自分の区間を全力で走らなければならないが、同時に前の走者から受け取った襷を次の走者に確実につなぐ責任もある。
この構造は、私たちの社会生活にも通じるものがある。
学校でも職場でも、個人の能力を発揮しながら、同時に周りとの協調性を保つことが求められる。
登場人物たちが練習を重ねるうちに、お互いの個性を理解し、それぞれの強みを活かしながらチームとして機能していく様子は、理想的な人間関係のあり方を示しているようだった。
「あと少し、もう少し」というタイトルに込められたメッセージも深く心に響いた。
このフレーズは単なる精神論ではなく、具体的な行動への意志を表している。
限界を感じた時に「あと少し」と自分を励まし、仲間のために「もう少し」頑張る。
この積み重ねが大きな成果につながることを、作品は説得力を持って描いている。
私たちの日常でも、勉強や部活動、人間関係など様々な場面で、この言葉の意味を実感することがある。
特に受験勉強では、もう無理だと思った時に「あと少し」と自分に言い聞かせることで、新しい地平が開けることを経験している。
作品の構成も巧妙だった。
各章が駅伝の区間ごとに分かれ、それぞれの走者の視点で物語が進んでいく手法は、読者に多角的な視点を提供している。
同じ出来事でも、見る人によって受け取り方が違うことが自然に描かれており、人間関係の複雑さを理解する上で示唆に富んでいる。
特に俊介の桝井への感情の描写は、思春期特有の複雑な心境を見事に表現していた。
憧れと尊敬、そして少し複雑な感情が入り混じった彼の心境は、多くの読者が共感できるものだろう。
この作品を読んで、私は青春の意味について考え直した。
青春とは単に楽しい時期ではなく、様々な悩みや葛藤を抱えながらも、それらと向き合い成長していく時期なのだと思う。
登場人物たちも完全に問題を解決するわけではないが、駅伝を通じて新しい自分を発見し、仲間との絆を深めていく。
この過程こそが青春の本質であり、私たち高校生が大切にすべきものなのかもしれない。
また、この作品は現代社会の問題も浮き彫りにしている。
いじめ、家庭環境の問題、コミュニケーション不足など、私たちの身の回りにある課題が自然に織り込まれている。
しかし、作者はこれらの問題を説教的に扱うのではなく、登場人物たちの成長の糧として描いている。
この点にも瀬尾まいこさんの作家としての技量を感じた。
読み終えて、私は「あと少し、もう少し」という言葉を大切にしたいと思った。
困難に直面した時、この言葉を思い出して前進し続けたい。
そして仲間との絆を大切にし、お互いを理解し支え合える関係を築いていきたい。
さらに、この作品は現代の教育現場が抱える課題にも一石を投じている。
顧問が変わることで生じる混乱、部活動における指導者の重要性、生徒たちの自主性と責任感の育成など、多くの示唆に富んだ要素が含まれている。
新任の上原先生が陸上の専門知識がないながらも、生徒たちの心に寄り添い成長を支える姿は、真の教育者のあり方を示している。
私たち高校生も、先生や周りの大人たちが完璧ではないことを理解し、お互いに支え合いながら成長していくことの大切さを学んだ。
この作品は、青春の真の意味と、人とのつながりの大切さを教えてくれる、まさに現代の若者必読の書だと感じている。
振り返り
『あと少し、もう少し』の読書感想文について、書き方のポイントから具体的な例文まで詳しく解説してきました。
この作品は青春小説として非常に完成度が高く、読書感想文の題材としても優れた要素をたくさん持っています。
チームワーク、個人の成長、諦めない気持ちという3つの要点を軸に、あなた自身の体験や考えを織り交ぜながら書けば、きっと印象的な感想文が完成するでしょう。
大切なのは、読みながら感じたことを素直に表現することです。
登場人物への共感、印象的だった場面、学んだことなど、あなただけの視点を大切にしてください。
今回紹介した例文を参考にしながら、ぜひあなたらしい読書感想文を書いてみてくださいね。
※『あと少し、もう少し』のあらすじはこちらでご紹介しています。
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