第71回青少年読書感想文全国コンクールの中学生の部課題図書『わたしは食べるのが下手』の読書感想文の書き方をご紹介していきましょう。
『わたしは食べるのが下手』は天川栄人さんによる、会食恐怖症と摂食障害を抱える二人の中学一年生が給食改革に挑む感動作です。
現代の食をめぐる問題を中学生の視点から描いた作品で、多様性の大切さを教えてくれる物語なんですね。
読書が趣味で年間100冊以上の本を読む私が読書感想文を書く予定の皆さんの力になれるよう、重要なポイントから具体的な例文まで、丁寧に解説していきます。
それではさっそく進めていきましょう。
『わたしは食べるのが下手』の読書感想文を書くうえで外せない3つの重要ポイント
『わたしは食べるのが下手』で読書感想文を書く場合、以下の3つのポイントは絶対に押さえておきたいところです。
- 食と心の問題にどう向き合うか
- 多様性の受容と他者とのつながり
- 自分自身への気づきや変化
これらのポイントを意識して感想文を書くことで、より深みのある内容に仕上がりますよ。
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
食と心の問題にどう向き合うか
主人公の葵は会食恐怖症を抱えており、人と一緒に食事をすることに強い不安を感じています。
一方、咲子は過食嘔吐を繰り返す摂食障害に悩んでいるんですね。
この二人がそれぞれの問題にどう向き合っていくかが、物語の大きな軸になっています。
読書感想文では、登場人物たちの葛藤や心の成長に注目することが重要です。
何が苦しみの原因となり、どのように自分や周囲と向き合うことで気持ちを変えていったのか。
作品を通して感じたことを自分の言葉で整理してみてください。
食べることは生きることそのものですが、それが苦痛になってしまう現実があることを、この作品は教えてくれます。
葵や咲子の姿を通して、食と心の複雑な関係について考えてみましょう。
多様性の受容と他者とのつながり
『わたしは食べるのが下手』の大きなテーマの一つが「みんな違っていい」という多様性の受容です。
物語に登場するラマワティは、イスラム教徒として宗教上の理由で食べられない食材があり、給食の際には弁当を持参しています。
また、久野浩平(コッペ)は給食が大好きで、葵や咲子とは全く違う食への向き合い方を見せてくれます。
登場人物それぞれが異なる背景や事情を抱えながらも、互いを理解し支え合っていく姿は感動的ですね。
「無理に食べなくていい」というメッセージは、食事に限らず人生全般に通じる大切な考え方です。
読書感想文では、登場人物がどのように互いの違いを理解し、つながりを深めていくかに注目してください。
自分が感じた共感や発見を書き留めることで、より説得力のある感想文が書けますよ。
自分自身への気づきや変化
読書感想文で最も大切なのは、作品を読んで自分がどう変わったかを振り返ることです。
『わたしは食べるのが下手』を読んで、自分自身の「食」や「心の悩み」「人との関わり」に対してどんな気づきがあったでしょうか。
登場人物の姿やエピソードを通して「自分ならどう感じるか」「今後どう向き合っていくか」といった個人的な視点を盛り込むことが重要です。
例えば、給食の時間に感じる緊張や、周りの目を気にしてしまう経験はありませんか。
また、他人と違うことで悩んだり、理解されないことで孤独を感じたりした経験があるかもしれません。
そうした自分の体験と作品のメッセージを重ね合わせることで、深みのある感想文になります。
この作品がきっかけで、今後の人間関係や自分との向き合い方がどう変わるかも考えてみてくださいね。
より良い読書感想文を書くために『わたしは食べるのが下手』の読後にメモしたい3項目
『わたしは食べるのが下手』を読み終えた後、以下の3つの項目についてメモを取っておくと、感想文がスムーズに書けるようになります。
- 心に残ったエピソードやセリフ
- 登場人物への共感や考えたこと
- 作品を通して考えたこと・気づいたこと
読んでいる最中や読み終えた直後に感じたことを記録しておくことで、後から振り返った時に鮮明な感想を思い出すことができますよ。
それぞれの項目について詳しく説明していきますね。
心に残ったエピソードやセリフ
物語の中で特に印象的だった場面や、登場人物の言葉をメモしておきましょう。
例えば、葵が初めて保健室で咲子と出会った場面や、給食改革プロジェクトを始めるきっかけとなった橘川先生との会話など。
また、咲子の強気な発言の裏に隠された繊細な心情や、ラマワティの優しさを感じさせるエピソードも重要です。
どの場面がなぜ心に残ったのか、その理由も一緒に記録しておくと良いですね。
自分に響いた部分や、共感した点、時には違和感を持った部分もメモしておきましょう。
これらの記録は、感想文を書く時の具体的な材料になります。
読み手に伝わりやすい感想文にするためには、抽象的な感想だけでなく、具体的なエピソードを交えることが大切なんですよ。
登場人物への共感や考えたこと
主人公の葵や咲子、そして周りの人物たちが抱える悩みに対して、どう感じたかを書き留めておきましょう。
葵の会食恐怖症への共感や、咲子の摂食障害に対する理解、また橘川先生の厳しくも温かい指導への感想など。
自分との共通点を見つけたり、もし自分だったらどう感じるか、どんな選択をするかについても考えてみてください。
例えば、給食を無理に食べさせようとする学校の姿勢に対してどう思うか。
また、食べることができない人と、食べると吐いてしまう人、それぞれの苦しみをどう受け止めるか。
登場人物の成長過程を見守る中で感じた感情も、大切な感想の材料になります。
これらの個人的な視点が、あなただけのオリジナリティ溢れる感想文を作り上げてくれますよ。
作品を通して考えたこと・気づいたこと
『わたしは食べるのが下手』を読んで、食べることの意味や人間関係について新たに気づいたことをメモしておきましょう。
会食恐怖症や摂食障害といった問題について、この作品を読む前と後で理解が変わった部分はありませんか。
また、多様性を認め合うことの大切さや、他者とのつながり方についても考えてみてください。
この作品がきっかけで「自分の生き方」「社会のあり方」「他者との関わり」にどんな変化を感じたかも重要な要素です。
例えば、普段当たり前だと思っていた「みんなで同じものを食べる」ことが、実は全ての人にとって当たり前ではないという気づき。
また、人それぞれに異なる事情や背景があることへの理解も、この作品から学べる大切な教訓ですね。
これらの気づきや学びを感想文に盛り込むことで、読み手にとっても価値のある内容に仕上がります。
『わたしは食べるのが下手』の読書感想文の例文(800字の小学生向け)
【題名】食べることの意味を考えた
私は『わたしは食べるのが下手』を読んで、食べることの本当の意味について深く考えさせられた。
主人公の葵は、みんなと一緒に食事をすることがとても苦手で、給食の時間がこわいと感じている。
私も時々、みんなが見ている前で食べるのがはずかしいと思うことがあるので、葵の気持ちがよく分かった。
咲子という女の子は、たくさん食べた後に吐いてしまう病気を持っている。
最初は葵と咲子の違いが分からなかったが、読み進めていくうちに、どちらも食べることで苦しんでいることが分かった。
二人が出会って、お互いの気持ちを少しずつ理解していく場面が印象的だった。
特に心に残ったのは、葵と咲子が給食改革プロジェクトを始める場面である。
橘川先生から「本気で変えたいなら正しいプロセスを経て」と言われた時、二人は本当に頑張ろうと決意したのだと思う。
料理を作る体験を通して、二人が「食べてもらいたい」という気持ちを知るところも感動した。
作る人の「生きて欲しい」「元気になって欲しい」という願いが込められていることを理解した二人の成長が素晴らしかった。
ラマワティのように、宗教の理由で食べられないものがある人もいることも初めて知った。
みんな違う事情を持っているのに、学校では同じものを同じように食べることが求められている。
でも本当は「みんな違っていい」「無理に食べなくていい」ということが大切なのだと分かった。
私はこの本を読んで、食べることは単に栄養を取るだけでなく、人とのつながりや心の問題とも深く関係していることに気づいた。
普段何気なく食べている給食も、作ってくれる人の気持ちを考えながら食べるようになりたい。
そして、食べることで悩んでいる人がいたら、その人の気持ちを理解して、優しく接したいと思う。
みんなが安心して食事ができる環境を作ることの大切さを、この本から学ぶことができた。
『わたしは食べるのが下手』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】それぞれの「食べる」があっていい
私は『わたしは食べるのが下手』を読んで、食べることに対する固定観念が崩れたように思う。
これまで給食は「みんなで同じものを食べる当たり前の時間」だと思っていたが、この作品を通して全く違う視点を得ることができた。
主人公の葵は会食恐怖症を抱えており、人前で食事をすることに強い不安を感じている。
給食の時間にクラスメイトの視線が気になって食べられなくなってしまう葵の気持ちに、私は深く共感した。
私自身も、みんなが見ている前で何かをするのが苦手で、特に食べ方を注意されたりすると恥ずかしくて仕方なくなる経験があるからだ。
一方で咲子は過食嘔吐を繰り返す摂食障害を抱えている。
葵と咲子は正反対に見えるが、どちらも「食べること」で苦しんでいるという共通点がある。
最初に二人が出会った保健室での会話は、お互いの痛みを理解する出発点となった重要な場面だった。
特に印象的だったのは、給食改革プロジェクトを進める中で、二人が料理を作る体験をする部分である。
作る側の視点を得たことで、「食べてもらいたい」という思いには「生きて欲しい」「元気になって欲しい」という願いが込められていることを理解する場面は感動的だった。
また、自分が作ったものを誰かに食べてもらう喜びを知り、「誰かの役に立っている」「必要とされている」という実感を得ていく過程も心に残った。
栄養教諭の橘川先生の存在も重要だった。
給食制度に反対する葵たちに対して栄養学の見地から厳しく指摘しながらも、彼女たちの活動を支援してくれる姿勢は、大人としての責任感を感じさせた。
ラマワティのように宗教上の理由で食べられない食材がある人や、久野浩平のように給食が大好きな人など、様々な背景を持つ登場人物が描かれていることも印象深かった。
この多様性こそが、この作品の核心的なメッセージだと思う。
「みんな違っていい」「無理に食べなくていい」という言葉は、食事に限らず人生全般に通じる大切な価値観を示している。
私はこの本を読んで、自分自身の食べることに対する考え方も見つめ直すことになった。
これまで何となく「みんなと同じように食べなければいけない」と思っていたが、それぞれに事情があることを理解した。
また、普段何気なく食べている給食にも、作ってくれる人の思いや栄養のことを考えた工夫があることに改めて気づかされた。
食べることは生きることそのものでありながら、それが苦痛になってしまう現実があることも知った。
会食恐怖症や摂食障害について、この作品を読む前は名前すら知らなかったが、実際にそうした悩みを抱えている人がいることを理解できた。
もし身近にそのような人がいたら、理解しようと努めて、優しく接したいと思う。
この作品は、食べることを通して人間関係や多様性について深く考えさせてくれる貴重な一冊だった。
葵と咲子の成長を見守りながら、私自身も大切なことを学ぶことができた。
『わたしは食べるのが下手』の読書感想文の例文(2000字の高校生向け)
【題名】食べることから学ぶ多様性と共生
私は『わたしは食べるのが下手』を読んで、食べるという日常的な行為の奥深さと、現代社会が抱える様々な問題について深く考えさせられた。
この作品は単なる成長小説ではなく、「会食恐怖症」や「摂食障害」といった現代的な問題を通して、多様性の受容と他者理解の重要性を訴えかける社会派の作品でもあると思う。
主人公の葵は会食恐怖症を抱えており、人前での食事に強い不安を感じている。
給食の時間が苦痛で仕方ない彼女の心境は、現代の学校教育が抱える画一性の問題を象徴しているだろう。
一方で咲子は過食嘔吐を繰り返す摂食障害に悩んでおり、外見への強いこだわりと母親の影響から逃れられずにいる。
この二人の対照的な悩みを通して、食べることが持つ複雑な意味が浮かび上がってくる。
最も印象的だったのは、葵と咲子が給食改革プロジェクトを通して成長していく過程である。
栄養教諭の橘川先生から「本気で変えたいなら正しいプロセスを経て」と指導された二人は、単なる反発から建設的な改革へと向かう。
この過程で彼女たちは「食べさせてもらうばかり」の立場から「作る側」の視点を獲得し、食べることの本質的な意味を理解していく。
作る人の「生きて欲しい」・「元気になって欲しい」という願いを知り、食べることが単なる栄養摂取ではなく、人と人とのつながりであることに気づく場面は深く感動した。
また、作品に登場する多様なキャラクターも重要な役割を果たしている。
イスラム教徒のラマワティは宗教上の理由で食べられない食材があり、給食時には弁当を持参している。
給食が大好きな久野浩平は葵や咲子とは全く異なる食への向き合い方を見せる。
このように様々な背景を持つ登場人物が描かれることで、「食べる」ことに対する多様なアプローチが存在することが示されている。
私がこの作品を読んで最も考えさせられたのは、現代社会における「普通」や「当たり前」の押し付けについてである。
学校給食制度は確かに栄養バランスや食育の観点から重要な役割を果たしているだろう。
しかし、その一方で「みんな同じものを同じように食べる」ことを前提とした制度が、葵のような会食恐怖症の生徒には大きな負担となっている現実もあるのかもしれない。
「みんな違っていい」・「無理に食べなくていい」という本書のメッセージは、食事に限らず現代社会全体に必要な価値観だと感じた。
個人の多様性を認め、それぞれの事情や背景を理解しようとする姿勢こそが、真の共生社会を実現するために必要なのではないだろうか。
私自身を振り返ってみても、これまで無意識のうちに「普通はこうするもの」という固定観念に縛られていた部分があったと反省している。
例えば、給食を残す人を見て「もったいない」と思うだけで、その人がなぜ食べられないのかという背景まで考えようとしていなかった。
この作品を読んで、表面的な行動だけでなく、その裏にある事情や心境に想像力を働かせることの大切さを学んだ。
また、会食恐怖症や摂食障害といった問題について、この作品を通して初めて深く知ることができた。
これらは決して珍しい問題ではなく、現代社会において多くの人が抱えている可能性のある悩みである。
SNSの普及により「理想の体型」や「正しい食べ方」への圧力が高まる中で、食べることに対する悩みはより複雑化しているだろう。
こうした問題に対して、個人の責任だけでなく社会全体としてどう向き合っていくかが重要な課題だと感じるに至った。
作品の中で橘川先生が示したように、問題を指摘するだけでなく建設的な解決策を模索する姿勢が必要である。
葵と咲子が給食改革を通して成長したように、現実の社会でも様々な立場の人が協力して問題解決に取り組むことが重要だと思う。
私はこの作品を読んで、食べることの意味について根本的に考え直すきっかけを得ることができた。
食べることは生きることそのものであり、同時に他者との関係性を築く重要な手段でもある。
しかし、それが全ての人にとって同じ意味を持つわけではないことも理解した。
今後は、食事の場面に限らず、様々な場面で他者の立場や事情を理解しようと努めていきたい。
そして、多様性を認め合い、誰もが安心して過ごせる環境を作ることに少しでも貢献できればと思う。
『わたしは食べるのが下手』は、現代社会の課題を身近な問題を通して描いた優れた作品であり、多くの人に読んでもらいたい一冊である。
振り返り
『わたしは食べるのが下手』の読書感想文の書き方について、重要ポイントから具体例まで詳しく解説してきました。
この作品は会食恐怖症や摂食障害という難しいテーマを扱いながらも、多様性の大切さと他者理解の重要性を温かく伝えてくれる素晴らしい小説です。
感想文を書く際は、登場人物の心の成長に注目し、自分自身の体験や気づきを織り交ぜることで、読み手の心に響く内容になりますよ。
「食べる」という日常的な行為の奥深さを通して、現代社会が抱える様々な問題について考えるきっかけにもなるでしょう。
皆さんも『わたしは食べるのが下手』を読んで、自分だけの感想文を書いてみてくださいね。
きっと素晴らしい作品に仕上がりますよ。
※『わたしは食べるのが下手』のあらすじはこちらの記事に掲載しています。

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