太宰治の代表作『走れメロス』の読書感想文を書く予定の皆さん、こんにちは。
今回は『走れメロス』の読書感想文の書き方について、小学生・中学生・高校生それぞれに向けた800字・1200字・2000字の例文も含めて、詳しく解説していきますよ。
『走れメロス』は、友情と信頼をテーマにした太宰治の短編小説で、中学校の教科書にも掲載されている名作です。
主人公メロスが親友セリヌンティウスを人質に残し、妹の結婚式のために村に帰り、約束の時間までに戻ってくるという感動的な物語ですね。
年間100冊以上の本を読む私が、この作品の魅力を最大限に活かした読書感想文の書き方をお教えします。
題名の付け方から構成まで、皆さんの感想文作成に役立つ内容をお届けしますので、最後まで読んでいってくださいね。
『走れメロス』の読書感想文で触れたい3つの要点
『走れメロス』の読書感想文を書く際に必ず触れておきたい重要な要点を3つご紹介します。
これらのポイントについて、読みながら「自分はどう感じたか」をメモに残しておくことが大切ですよ。
メモを取る時は、単純に「感動した」だけでなく、「なぜそう感じたのか」「自分の体験と重ね合わせるとどうか」といった具体的な理由も書き留めておきましょう。
感想文では「自分なりの考え」を述べることが最も重要だからです。
- 友情の尊さと信頼の力
- 困難に立ち向かうメロスの精神力と希望
- 物語が描く人間の矛盾と成長
この3つの要点を軸にして感想文を組み立てると、『走れメロス』の核心的なテーマを効果的に伝えることができます。
それでは、それぞれの要点について詳しく見ていきましょう。
友情の尊さと信頼の力
『走れメロス』で最も印象的なのは、メロスとセリヌンティウスの友情でしょう。
メロスは妹の結婚式を挙げるために村に帰りたいと王に願い出ますが、王は人間不信に陥っているため信じてくれません。
そこでメロスは親友のセリヌンティウスを人質として差し出し、約束の時間までに必ず戻ると誓います。
この場面では、メロスの友人への深い信頼と、セリヌンティウスがその信頼に応えて人質となることを受け入れる友情の深さが描かれていますね。
読者として「自分にはこんな友達がいるだろうか」「自分はこんな風に友達を信じられるだろうか」と考えてみると、感想文に深みが出るでしょう。
また、物語の最後でメロスが一度だけ裏切ろうとしたことを告白し、セリヌンティウスも一度だけメロスを疑ったことを打ち明ける場面も重要です。
完璧な信頼関係ではなく、お互いに迷いを持ちながらも最終的に信じ合うことができた、という人間らしい友情が描かれている点に注目してください。
困難に立ち向かうメロスの精神力と希望
シラクスへ戻る道のりで、メロスは様々な困難に遭遇します。
豪雨で橋が壊れて濁流を泳いで渡り、山賊に襲われて戦い、疲労と灼熱の太陽で動けなくなりそうになります。
特に印象的なのは、疲れ果てて「もうどうでもよい」という気持ちになりかけた場面でしょう。
しかし、清水を発見して飲むことで体力と気力を回復し、再び走り出すメロスの姿には強い意志力を感じますね。
ここで注目したいのは、メロスが困難を乗り越える原動力です。
それは単なる約束の履行ではなく、友人への愛情と自分自身の誠実さを守りたいという強い気持ちでした。
皆さんも部活動や勉強で挫折しそうになった時、何が自分を支えてくれたかを思い出して、メロスの体験と比較してみると良い感想が書けるでしょう。
物語が描く人間の矛盾と成長
『走れメロス』には人間の複雑さがよく描かれています。
暴君ディオニス王は人間不信に陥って罪なき人々を処刑していましたが、メロスとセリヌンティウスの友情を目の当たりにして心を変えます。
おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。
■引用:太宰治 走れメロス
という王の言葉からは、人間は変わることができるという希望が感じられますね。
また、メロスも完璧な主人公ではありません。
途中で裏切ろうとしてしまう弱さを持っていますし、最後の場面では裸体を見られて赤面するという人間らしい一面も見せています。
この「完璧ではない人間同士が信じ合う」という構図が、物語をより現実的で感動的なものにしているのでしょう。
感想文では、登場人物の成長や変化について、自分なりの解釈を述べると深い内容になりますよ。
『走れメロス』の読書感想文の例文(800字の小学生向け)
【題名】友だちを信じる気持ち
『走れメロス』を読んで、友だちを信じることの大切さがよく分かった。
メロスは妹の結婚式のために村に帰りたくて、王様にお願いした。
でも王様は「どうせ逃げるつもりだろう」と言って信じてくれない。
そこでメロスは親友のセリヌンティウスを人質にして、「必ず戻ってくる」と約束した。
私だったら、友だちを人質にするなんて怖くてできないと思う。
もし約束を破ったら友だちが殺されてしまうからだ。
でもメロスは友だちを信じていたし、友だちもメロスを信じていた。
この場面を読んで、本当の友情ってこういうものなんだなと思った。
メロスが村から戻る時、いろいろな困ったことが起きた。
橋が壊れていて川を泳いで渡ったり、山賊に襲われたりした。
とても疲れて「もうやめたい」と思いそうになったけれど、友だちのことを思い出してまた走り始めた。
私も運動会の練習で疲れた時、友だちが「がんばろう」と言ってくれて最後まで練習できたことがある。
友だちがいるから頑張れるということが、メロスと同じだと思った。
一番印象に残ったのは、メロスが間に合ってセリヌンティウスを助けた後の場面だ。
メロスは「一度だけ君を裏切ろうと思った」と正直に言った。
セリヌンティウスも「一度だけ君を疑った」と言った。
二人とも完璧じゃなかったけれど、それでも最後は信じ合うことができた。
この場面を読んで、友だちと少しケンカしても、お互いに謝れば仲直りできるんだなと思った。
王様も最初は意地悪だったけれど、メロスとセリヌンティウスの友情を見て心を変えた。
「わしも仲間に加えてほしい」と言った王様の気持ちがよく分かる。
みんなで信じ合えたら、きっと楽しい世界になるだろう。
最後にメロスが裸で恥ずかしがっている場面も面白かった。
英雄みたいに勇敢だったメロスが、普通の人みたいに恥ずかしがるのが人間らしくて良いと思った。
『走れメロス』を読んで、友だちを信じることの素晴らしさを学んだ。
これからも友だちを大切にして、困った時はお互いに助け合いたいと思う。
『走れメロス』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】信じ合う心の美しさ
『走れメロス』を読んで、人を信じることの難しさと美しさについて深く考えさせられた。
主人公メロスが親友のために命がけで走る姿は、現代を生きる私たちにも大切なことを教えてくれる。
物語の中で最も印象的だったのは、メロスとセリヌンティウスの揺るぎない友情だった。
メロスは妹の結婚式のために村に帰りたいと願い出るが、人間不信に陥った王は彼を信じようとしない。
そこでメロスは親友のセリヌンティウスを人質として差し出し、必ず戻ってくると約束する。
この場面を読んで、私は自分にこれほど深い友情を持てる相手がいるだろうかと考えてしまった。
メロスもセリヌンティウスも、お互いを信頼しているからこそできる決断だったのだろう。
現代社会では、人を疑うことの方が多いような気がする。
SNSでは嘘の情報が流れることもあるし、友だち同士でも本音を隠していることがある。
そんな中で、『走れメロス』が描く純粋な信頼関係は、とても貴重で美しいものに感じられた。
メロスが村から戻る道のりも非常に印象深かった。
壊れた橋を渡るために濁流を泳ぎ、山賊と戦い、疲労で倒れそうになりながらも走り続ける姿には強い意志力を感じた。
特に心に残ったのは、極度の疲労で「もうどうでもよい」という気持ちになりかけた場面である。
しかし、清水を発見して飲むことで気力を回復し、再び走り出すメロスの姿は希望そのものだった。
私もテスト勉強や部活動で挫折しそうになることがあるが、メロスのように最後まで諦めない強さを持ちたいと思った。
また、物語の終盤でメロスが一度だけ裏切ろうとしたことを告白する場面も重要だった。
セリヌンティウスも一度だけメロスを疑ったことを打ち明け、二人は殴り合った後に抱き合って涙を流す。
この場面を読んで、完璧な信頼関係など存在しないのだと理解した。
お互いに迷いや弱さを持ちながらも、最終的に信じ合うことができる関係こそが真の友情なのだろう。
私も友だちとケンカしたり、疑いを持ったりすることがあるが、それは決して悪いことではないのかもしれない。
大切なのは、そうした感情を乗り越えて信じ合えるかどうかなのだ。
王の変化も印象的だった。
最初は人間不信で冷酷だった王が、メロスとセリヌンティウスの友情を目の当たりにして心を変える。
「お前らはわしの心に勝った。信実とは妄想ではなかった」という言葉からは、人間は変わることができるという希望が感じられた。
現代でも、いじめや差別など人間同士の不信から生まれる問題は多い。
しかし、『走れメロス』が示すように、真の友情や信頼の力は人の心を変えることができるのではないだろうか。
最後にメロスが裸体を恥ずかしがる場面も印象的だった。
英雄的な行動を取った後でも、普通の人間らしい感情を持つメロスの姿が親しみやすく感じられた。
完璧な英雄ではなく、弱さも持った人間だからこそ、読者である私たちも共感できるのだろう。
現代社会では疑うことの方が簡単かもしれないが、この物語のような純粋な信頼関係を築けるよう努力したいと思う。
友だちを大切にし、困難な時こそお互いを支え合える関係を作っていきたい。
『走れメロス』の読書感想文の例文(2000字の高校生向け)
【題名】信頼という名の奇跡
『走れメロス』を読んで、人間の本質的な美しさと信頼することの崇高さについて深く考えさせられた。
この作品は単なる友情物語を超えて、現代社会が失いつつある「人を信じる力」の重要性を問いかけている。
物語の冒頭で描かれるシラクスの暗い雰囲気は、現代社会の縮図のようだ。
人間不信に陥ったディオニス王が罪なき人々を処刑している状況は、疑心暗鬼が支配する現代の人間関係と重なる部分がある。
SNSでの誹謗中傷や、他人を簡単に信じることができない風潮など、私たちの周りにも「信頼の欠如」は確実に存在している。
そんな中で、メロスが見せる純粋な怒りと正義感は、失われた人間性の回復への希望を感じさせる。
メロスとセリヌンティウスの友情は、この物語の核心部分である。
メロスが妹の結婚式のために村に帰りたいと願い出た時、王は当然のように疑いの目を向ける。
しかし、メロスは親友のセリヌンティウスを人質として差し出すことで、自分の誠実さを証明しようとする。
この場面で注目すべきは、セリヌンティウスが何の躊躇もなくメロスの身代わりとなることを受け入れる点である。
現代の私たちの友人関係を振り返ってみると、これほどまでに無条件の信頼を寄せることができる相手がいるだろうか。
利害関係や打算が絡みがちな現代社会において、『走れメロス』が描く純粋な友情は理想的すぎるようにも思える。
しかし、だからこそこの物語が持つ価値は大きいのではないだろうか。
メロスが村から戻る道のりは、人生における試練の象徴として読み取ることができる。
豪雨による橋の崩壊、山賊との遭遇、極度の疲労など、次々と襲いかかる困難は現実世界で私たちが直面する様々な障害と重なる。
特に印象深いのは、メロスが疲労の極限で「もうどうでもよい」という気持ちになりかけた場面である。
この心理描写は非常にリアルで、誰もが経験したことのある絶望感を巧みに表現している。
私自身も受験勉強で挫折しそうになった時、同じような感情に支配されたことがある。
しかし、メロスは清水を発見して飲むことで気力を回復し、再び走り出す。
この場面は、人間には絶望の淵から立ち上がる力が備わっていることを示している。
現代の若者である私たちも、困難に直面した時にメロスのような不屈の精神を持つことができるだろうか。
物語の終盤で明かされるメロスとセリヌンティウスの内面的な葛藤も重要な要素である。
メロスは一度だけ裏切ろうとしたことを告白し、セリヌンティウスも一度だけメロスを疑ったことを打ち明ける。
この相互告白の場面は、完璧な信頼関係など存在しないという現実を示している。
しかし、同時にお互いの弱さを受け入れた上で信じ合うことの美しさも描いている。
現代社会では、相手の欠点や過ちを許すことが難しく、些細な失言がSNSで拡散され、一生の汚点として残ってしまうこともある。
そんな不寛容な時代だからこそ、『走れメロス』が示す「完璧でないからこそ美しい友情」の価値を再認識する必要があるのではないだろうか。
ディオニス王の変化も見逃せない重要な要素である。
人間不信に陥り、冷酷な処刑を繰り返していた王が、メロスとセリヌンティウスの友情を目の当たりにして心を変える。
「お前らはわしの心に勝った。信実とは妄想ではなかった」という台詞は、人間の善性への信頼が決して無意味ではないことを証明している。
現代社会でも、偏見や先入観によって他人を判断することが多い。
しかし、真の人間性に触れることで、どんなに頑なな心も変わる可能性があるということを、この物語は教えてくれる。
最後の場面でメロスが裸体を恥ずかしがるエピソードは重要だ。
英雄的な行動を成し遂げた直後に見せる人間らしい羞恥心は、メロスが特別な存在ではなく、私たちと同じ普通の人間であることを示している。
この描写により、読者はメロスをより身近に感じることができ、物語のメッセージがより深く心に響くのである。
『走れメロス』が現代の私たちに与える教訓は多岐にわたる。
まず、人を信じることの尊さ。
疑うことの方が簡単で安全かもしれないが、信頼することでしか得られない人間関係の深さがある。
次に、困難に立ち向かう勇気の重要性である。
メロスのように最後まで諦めない強さを持つことで、不可能に思えることも実現できるかもしれない。
そして、完璧でない人間同士が支え合うことの美しさも忘れてはならない。
お互いの弱さを受け入れながらも信じ合える関係こそが、真の友情なのだろう。
現代社会では、効率性や合理性が重視され、人間関係も損得勘定で判断されがちである。
しかし、『走れメロス』が描く純粋な信頼関係は、そうした風潮への警鐘として読むことができる。
私たちは便利な世の中に生きているが、同時に人間本来の温かさを失いつつあるのかもしれない。
この物語を読んで、改めて友人や家族との関係を見つめ直し、信頼に基づいた深い絆を築いていきたいと感じた。
メロスのような純粋さを持ち続けることは困難かもしれないが、少なくとも人を信じることの価値を忘れずにいたいと思う。
振り返り
今回は『走れメロス』の読書感想文について、3つの重要ポイントから小学生・中学生・高校生向けの例文まで詳しく解説してきました。
友情と信頼をテーマにしたこの名作は、時代を超えて私たちに大切なメッセージを伝え続けています。
読書感想文を書く際は、単に物語の内容をまとめるのではなく、自分なりの感想や体験と結び付けて書くことが大切です。
皆さんも今回紹介したポイントを参考にして、きっと素晴らしい感想文を書くことができるでしょう。
メロスとセリヌンティウスの友情のように、皆さんの感想文も読み手の心に深く響く作品になることを願っています。
※『走れメロス』の読書感想文の作成に役立つ記事の一覧がこちら。




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