今日は2021年本屋大賞に輝いた感動作『52ヘルツのクジラたち』のあらすじをご紹介したいと思います。
実は私、この物語を読んだとき、思わずポロポロと涙が止まらなくなってしまったんですね。
それくらい心に響く、優しさに溢れた物語なんですよ。
物語の題名にもなっている「52ヘルツのクジラ」って、実は世界でたった一頭しかいない、とっても珍しいクジラなんです。
普通のクジラたちとは違う周波数で鳴くため、誰とも声が通じ合えない…そんな孤独な存在。
この物語は、そんなクジラのように心に深い孤独を抱えた人たちの、温かな物語です。
『52ヘルツのクジラたち』のあらすじを詳しく400文字で
26歳の三島貴瑚は、過去の傷を抱えながら東京を離れ、大分の海辺の町へと移り住んだ。新たな生活を始めようとした矢先、彼女は少年と出会う。
13歳の少年は母親から「ムシ」と呼ばれ、虐待を受けてきた。深い心の傷のせいで声を失い、怯えるような瞳で世界を見つめていた。
貴瑚は彼の姿に、自分の過去を重ねてしまう。かつて彼女も実母のネグレクトに苦しみ、義父の介護を一人で背負わされていた。
21歳で限界を迎えた彼女を救ったのは、岡田安吾(アンさん)と同級生の美晴。二人の優しさが、貴瑚の凍った心を溶かしていった。
「今度は私が誰かを救う番」そう決意した貴瑚は、少年に「52」というニックネームをつけ、共に暮らし始める。最初は警戒し心を閉ざしていた52も、貴瑚の変わらぬ優しさに少しずつ心を開いていった。
穏やかな波のような日もあれば、嵐のように感情が揺れる日もある。それでも二人は新しい人生への一歩を踏み出そうとしていた。
『52ヘルツのクジラたち』のあらすじを簡単に200文字で
26歳の三島貴瑚は過去の傷を抱え、大分の海辺の町へ移り住む。そこで母親から虐待を受け、声を失った13歳の少年と出会う。
彼の怯えた瞳にかつての自分を重ねた貴瑚は「52」というニックネームをつけ、一緒に暮らし始める。
最初は心を閉ざしていた52も貴瑚の温かさに触れ、少しずつ変わっていった。
かつて自分が救われたように、今度は自分が誰かを救う番。嵐のような日々を乗り越え、二人は新たな人生を歩もうとしていた。
『52ヘルツのクジラたち』の心に残る魅力的な登場人物たち
名前 | 人物紹介 |
---|---|
三島貴瑚(みしま きこ) | 26歳の女性主人公。実母からネグレクトを受け、義父の介護も一人で抱え込んだ過去を持つ。他人の痛みに敏感で、共感力が高い。傷ついた経験があるからこそ、優しさを大切にできる素敵な女性。 |
少年(52) | 13歳。母親から「ムシ」と呼ばれる虐待を受け、心の傷から声を失う。最初は警戒心が強かったものの、貴瑚との生活を通じて少しずつ変化していく。貴瑚から「52」という愛称で呼ばれる。 |
岡田安吾(アンさん) | 貴瑚を救った恩人。優しく温かい心の持ち主で、貴瑚の人生を大きく変えた人物。彼の存在は物語全体を通じて重要な意味を持つ。 |
牧岡美晴 | 貴瑚の高校時代からの親友。同じく複雑な家庭環境を持つことから、貴瑚の気持ちをよく理解している。アンさんとともに貴瑚を支えた重要人物。 |
村中真帆 | 職人として貴瑚の家の修繕を担当。明るく前向きな性格で、貴瑚と52の新生活に色を添える存在。技術も人柄も素晴らしい、頼れる女性。 |
この作品にどんなメッセージがこめられているか、くわしくは以下の記事をご覧ください。

『52ヘルツのクジラたち』を読むのにかかる時間は?
項目 | データ | 補足説明 |
---|---|---|
ページ数 | 260ページ | 中編小説くらいのボリューム |
推定文字数 | 約156,000文字 | 1ページあたり約600字で計算 |
予想読了時間 | 約4時間20分 | じっくり味わいながら読むのがおすすめ |
『52ヘルツのクジラたち』はこんな人におすすめ
『52ヘルツのクジラたち』は、以下のような方に特におすすめです。
- 人との関係に悩みや不安を抱えている方:この物語では、傷ついた心を持つ人たちが、少しずつ他者との関係を築いていく過程が丁寧に描かれています。誰かと繋がることの温かさや、時には怖さも含めて、心に響くものがきっと見つかるはずです。
- 心に傷を抱えている方:主人公たちは決して一直線に回復するわけではありません。時には立ち止まり、時には後戻りすることもある。でも、それでも前に進もうとする姿に、きっと勇気をもらえるはずです。
- 家族関係に複雑な思いを持つ方:血のつながりだけが家族じゃない。この物語は、新しい形の絆や、自分らしい生き方を見つけていく過程も描いています。きっと新しい視点や気づきが得られるはずです。
『52ヘルツのクジラたち』と似ている小説
読書好きの私がイチオシする、『52ヘルツのクジラたち』と響き合う素敵な作品をご紹介します。
どの作品も心に深く染み入る、優しい物語ばかりですよ。
『流浪の月』
凪良ゆうさんによる心揺さぶる傑作です。
傷ついた心を持つ人々が、お互いを支え合いながら、少しずつ絆を紡いでいく様子が丁寧に描かれています。
特に印象的なのは、登場人物たちの繊細な心の機微。
「52ヘルツ」と同じように、一筋縄ではいかない人生の中で、それでも前を向こうとする人々の姿に、きっと胸が熱くなるはずです。
『蜜蜂と遠雷』
恩田陸さんが紡ぐ、音楽と青春の物語。
ピアノコンクールを舞台に、それぞれの孤独を抱えた若者たちが、音楽を通じて自分の居場所を見つけていきます。
この作品の素晴らしいところは、音楽という目に見えないものを通じて、心と心が通じ合っていく様子。
「52ヘルツ」の少年が声を失いながらも心を開いていく過程と、不思議と重なるんです。
『むらさきのスカートの女』
今村夏子さんが描く、現代社会を生きる女性の繊細な物語。
心に傷を持つ女性教師の視点から描かれる日常が、胸を締め付けるように美しい。
特に印象的なのは、主人公の観察眼。
周りの人々の些細な仕草や表情から、心の機微を読み取っていく様子は、「52ヘルツ」の貴瑚の共感力と通じるものがあります。
『コンビニ人間』
村田沙耶香さんによる、現代社会の「生きづらさ」を描いた傑作。
コンビニエンスストアを舞台に、社会の中で居場所を探す主人公の姿が印象的です。
一見すると「52ヘルツ」とは異なる世界観に見えますが、社会の中で「普通」とされるものに違和感を覚える主人公の心情は、深いところでつながっているんです。
『ライオンのおやつ』
小川糸さんが紡ぐ、心温まる物語。傷ついた心が、美味しいお菓子と優しい人々との出会いを通じて、少しずつ癒されていく過程を描いています。
特に素敵なのは、登場人物たちの優しさ。
決して押しつけがましくない、でも確かな温かさが、「52ヘルツ」のアンさんを思い出させてくれます。
振り返り
『52ヘルツのクジラたち』は、私たちの心に静かに、でも確実に寄り添ってくれる物語です。
まるで海の中を泳ぐクジラのように、時にはゆっくりと、時には力強く…。
でも、必ず前に進んでいく。そんな優しい勇気をくれる作品なんです。
もしあなたが今、心に重いものを抱えているなら。
もし誰かとの関係に悩んでいるなら。
そして、新しい一歩を踏み出す勇気が欲しいなら。
ぜひ、この物語を手に取ってみてください。
きっと、あなたの心に寄り添う何かが見つかるはずです。
波のようにゆったりと、でも確実に心に染み入る…そんな素敵な読書体験があなたを待っています。
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