『それで、いい!』のあらすじを簡単に短く詳しく、そしてネタバレなしでご紹介していきますね。
『それで、いい!』は礒みゆき作・はたこうしろうの絵による、2022年にポプラ社から出版された心温まる絵本です。
絵を描くことをテーマに、子どもの創作活動の自由さや自己肯定感の大切さを描いた作品で、小学校低学年の読書感想文の課題図書としても選ばれています。
年間100冊以上の本を読む私としては、『それで、いい!』は特に自己表現に悩む子どもたちや親御さんに強くおすすめしたい一冊です。
この記事では、読書感想文を書く予定の皆さんの力になれるよう、短くて簡単なあらすじから詳しいあらすじまで、丁寧に解説していきますよ。
絵本『それで、いい!』のあらすじを短く簡単に
絵本『それで、いい!』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)
主人公のきつねは絵を描くことが大好きで、ノートの隅やチラシの裏、地面など、どこでも思いついたときに自由に描いていた。
上手下手なんて考えもせず、夢中になって好きなものを描く日々を送っている。
ところが、森の仲間のやまねこたちはきつねの絵に文句ばかり言い、「本物とずいぶん違う」「ちゃんと色を塗らなきゃダメだ」と批判する。
そんな言葉にムッとしたきつねは、「みんなが驚くすごい絵を描いてやる」と決意し、展覧会への出品に向けて「すごいもの」を探し始める。
岩山の頂上で大きなわしを見つけたきつねは「これだ!」と思い絵を描き始めるが、仲間たちの言葉を思い出しては何度も書き直してしまう。
描けば描くほど楽しさが薄れ、自分の絵に自信が持てなくなり、ついには描いた絵を塗りつぶしてしまう。
そんな時、鉄棒の前回りができなくて落ち込んでいたうさぎと出会い、うさぎがきつねの絵に元気をもらっていたことを知る。
『それで、いい!』のあらすじを理解するための用語解説
『それで、いい!』のストーリーをより深く理解するために、重要な用語を解説しますね。
用語 | 説明 |
---|---|
自己肯定感 | 自分自身の価値や能力を認め、 肯定的に受け入れる気持ち。 きつねが自分の絵に自信を持てなくなったとき これを取り戻すことがテーマの一つとなっています。 |
創作活動の自由さ | 誰かに評価されるためではなく 自分の思うままに表現することの大切さや楽しさ。 きつねが「好きなものを描けばいい」と 気づくことに繋がります。 |
他者評価のプレッシャー | 周囲の友達や仲間の批判や期待が、 創作意欲を阻害し 自己表現の自由さを奪ってしまう心理的作用。 やまねこたちの言葉がこれにあたります。 |
初心 | 物事を始めた頃の純粋な気持ちや意欲。 きつねが一度見失った描きたい」という気持ちを うさぎとの交流を通じて思い出すことが重要な場面になっています。 |
これらの用語を理解すると、『それで、いい!』の中心テーマである「自分らしさを失わない自己表現」の意味が深く分かりますよ。
『それで、いい!』を読んだ私の感想
『それで、いい!』を読んで、まず思ったのは「あぁ、これは大人にも刺さる話だな」ということでした。
児童書という枠を超えて、自己表現や創作活動に悩む全ての人に響く内容なんです。
きつねが最初に絵を描いているシーンは本当に微笑ましくて、私も子どもの頃はこんな風に何も考えずに好きなことに夢中になっていたなと懐かしく思いました。
ノートの隅やチラシの裏に自由に描く姿は、まさに純粋な創作の喜びそのものですよね。
ところが、やまねこたちの批判が始まると、きつねの表情がどんどん曇っていく。
この変化の描写がとても丁寧で、読んでいて胸が痛くなりました。
「本物とずいぶん違う」「ちゃんと色を塗らなきゃダメだ」という言葉は、大人になってからも聞いたことがある厳しい声です。
私自身も文章を書いたりするとき、他人の評価を気にしすぎて楽しさを忘れてしまった経験があるので、きつねの気持ちが手に取るように分かりました。
特に印象的だったのは、きつねが「すごい絵」を描こうとして悩むシーンです。
岩山の頂上で大きなわしを見つけて「これだ!」と思ったのに、描いているうちにどんどん自信がなくなっていく。
何度も書き直しては塗りつぶして、最終的に手が止まってしまう場面は、創作活動のリアルな苦悩を表現していて本当に秀逸でした。
「あんなに楽しかった絵描きが、今はちっとも楽しくない」という心境の変化は、多くの人が体験したことがあるのではないでしょうか。
でも、うさぎとの出会いからの展開が素晴らしかった!
うさぎがきつねの絵を家に飾って元気をもらっていたという事実は、きつねにとって大きな気づきになったと思います。
「自分は描きたいから描いているのだ」「好きな物を描けばいい、それでいいのだ」という初心を思い出すシーンは、読んでいて涙が出そうになりました。
はたこうしろうさんの挿絵も本当に温かくて、文章とのバランスが絶妙です。
特にきつねの表情の変化が細やかに描かれていて、読者の感情移入を深めていました。
展覧会の日のシーンでは、やまねこたちは相変わらず批判的だけれど、多くの人がきつねの絵に笑顔になっている描写があります。
ここで『それで、いい!』が伝えたいメッセージが明確になるんですよね。
評価は人それぞれで、自分らしく表現することに価値があるということ。
この作品は79ページという短い中に、自己肯定感や創作の自由について深いテーマを込めていて、礒みゆきさんの技量の高さを感じました。
小学校低学年向けとはいえ、大人が読んでも学ぶことが多い一冊だと思います。
読書感想文を書く子どもたちにとって、この本は自分の体験と重ね合わせやすい内容になっているので、きっと良い感想が書けるでしょうね。
※『それで、いい!』の読書感想文の書き方と例文はこちらにまとめています。

『それで、いい!』の作品情報
『それで、いい!』の詳細な作品情報をまとめましたので、参考にしてくださいね。
項目 | 内容 |
---|---|
作者 | 礒みゆき(文) はたこうしろう(絵) |
出版年 | 2022年11月 |
出版社 | ポプラ社 |
受賞歴 | – |
ジャンル | 児童読み物(児童書)、絵本的要素を含む読物 |
主な舞台 | 特定の地理的舞台はなく、森を中心とした日常 |
時代背景 | 現代 |
主なテーマ | 創作活動の自由、自己肯定感、自己表現の大切さ |
物語の特徴 | 動物キャラクターによる寓話的構成で 子どもの心情を丁寧に描写 |
対象年齢 | 主に児童〜小中学生向け(小学校低学年が中心) |
青空文庫の収録 | なし |
『それで、いい!』は2022年に出版された比較的新しい作品で、現代の子どもたちが抱える問題を扱った現代的な児童書です。
『それで、いい!』の主要な登場人物とその簡単な説明
『それで、いい!』に登場する主要な人物たちをご紹介しますね。
登場人物 | 簡単な紹介 |
---|---|
きつね | 絵を描くのが大好きな主人公。 好きなものを思うままに描く自由な心を持つが 森の仲間たちの批判や期待に戸惑う。 最終的に自分らしく絵を描くことの大切さに気づく。 |
やまねこたち | 森のきつねの仲間たち。 きつねの絵を批判したり もっと上手に描けと言ったりする存在。 周囲の評価やプレッシャーを象徴している。 |
うさぎ | きつねの絵の大ファン。 きつねが絵を描いていた時の気持ちや その価値を理解し励ます存在。 きつねが自分の初心を思い出すきっかけとなる重要な人物。 |
これらの登場人物を通じて、『それで、いい!』は「自分らしさを失わずに表現することの大切さ」や「他人の評価に左右されない自己肯定感」を伝えています。
『それで、いい!』の読了時間の目安
『それで、いい!』の読了時間について詳しくご説明しますね。
項目 | 詳細 |
---|---|
ページ数 | 約79ページ |
推定文字数 | 不明 |
読了時間 | 10分前後 |
読み聞かせ | 10~20分前後 |
『それで、いい!』は絵本的要素を含む児童書なので、挿絵も多く実際の文字数は少なめです。
小学校低学年の子どもでも無理なく読み進められる分量で、読書感想文を書く際にも丁度良いボリュームですよ。
『それで、いい!』はどんな人向けの小説か?
『それで、いい!』は特に以下のような方におすすめしたい作品です。
- 自分のやりたいことに自信が持てない子どもや、周りの目を気にしすぎてしまう子ども
- 絵を描くことや創作活動が好きな子ども、また自己表現の自由や自己肯定感を育みたい親御さん
- 読書感想文の課題図書として選ばれているため、読書感想文を書こうとする小学校低学年の子どもたち
一方で、高学年以上の読者や複雑なストーリー展開を求める方には、内容がシンプルすぎると感じられる可能性があります。
ただし、『それで、いい!』の温かいメッセージは年齢を超えて多くの人の心に響く内容となっているので、親子で一緒に読むのもおすすめですよ。
あの本が好きなら『それで、いい!』も好きかも?似ている小説3選
『それで、いい!』と似たテーマやメッセージを持つ作品をご紹介しますね。
自己表現や創作活動の大切さを描いた作品がお好きな方なら、きっと気に入ると思います。
『くれよんのくろくん』なかやみわ
なかやみわさんの『くれよんのくろくん』は、仲間外れにされた黒いくれよんが主人公の絵本です。
最初は他の色のくれよんたちに「汚い色」と言われて絵に参加できなかった黒くんが、最後に重要な役割を果たすストーリー。
『それで、いい!』と同じく、自分らしさの価値や個性を認め合うことの大切さを描いており、どちらも創作活動を通して自己肯定感を育む内容になっています。
『おしいれのぼうけん』古田足日・田畑精一
古田足日作・田畑精一絵の『おしいれのぼうけん』は、保育園を舞台にした名作児童書です。
主人公のさとしとあきらが、先生に叱られておしいれに入れられてしまい、そこで不思議な冒険を繰り広げる物語。
『それで、いい!』と共通するのは、子どもの内面的な成長と自分らしさを見つける過程を丁寧に描いている点で、どちらも読み手に勇気と自信を与えてくれます。
『はじめてのおつかい』筒井頼子・林明子
筒井頼子作・林明子絵の『はじめてのおつかい』は、小さな女の子みいちゃんが初めて一人でお使いに行く物語です。
不安や恐怖を乗り越えて成長していく過程が丁寧に描かれており、『それで、いい!』のきつねが自信を取り戻していく姿と重なります。
どちらの作品も、子どもが自分の力を信じることの大切さや、小さな成功体験が自己肯定感につながることを教えてくれる素晴らしい作品です。
振り返り
『それで、いい!』は絵を描くことをテーマに、子どもの創作活動や自己表現の大切さを温かく描いた素晴らしい児童書でした。
礒みゆきさんの文章とはたこうしろうさんの挿絵が見事に調和し、きつねの心境の変化を丁寧に表現した作品として、多くの読者に愛され続けているのも納得です。
特に他者の評価に左右されがちな現代の子どもたちにとって、「自分らしくいることの価値」を教えてくれる貴重な一冊だと思います。
読書感想文を書く際にも、自分の体験と重ね合わせやすい内容になっているので、きっと深みのある感想が書けるでしょう。
79ページという手頃な分量で、小学校低学年でも無理なく読み進められる『それで、いい!』を、ぜひ多くの方に読んでもらいたいですね。
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