『バッテリー』のあらすじをご紹介していきますよ。
この小説は才能あふれるピッチャー原田巧とキャッチャー永倉豪の成長と友情を描いた青春小説で、あさのあつこさんの代表作。
私は年間100冊以上の本を読んでいるので、小説の分析は得意なほうです。
そんな私が読書感想文を書く予定の皆さんの力になれるよう、短くて簡単なあらすじから詳しいあらすじまで、また登場人物の紹介や私の感想まで丁寧に解説していきます。
それではさっそく進めていきましょう。
『バッテリー』の短くて簡単なあらすじ
『バッテリー』の中間の長さのあらすじ
『バッテリー』の詳しいあらすじ
祖父の井岡洋三が住む岡山県新田市に引っ越してきた原田巧は、圧倒的な才能を持つ中学1年生のピッチャー。自分の才能に絶対の自信を持ち、周囲と衝突することの多い巧だったが、新田でキャッチャーの永倉豪と出会い、お互いの実力を認め合いバッテリーを組むことになった。
新田東中学校に入学した巧と豪だったが、そこで待っていたのは監督・戸村真の徹底的な管理野球だった。自分を貫こうとする巧は周囲と衝突し、その態度や才能に反感を持つ先輩たちからいじめを受けることになる。部活動停止という事態も経験しながら、巧と豪は互いを信頼し支え合っていく。
やがて横手二中との練習試合が組まれるが、巧の球を豪が捕りきれず、共倒れになってしまう。それをきっかけに二人の関係にすれ違いが生じるが、再び行われる横手二中との試合に向けて、互いの才能と成長に向き合いながら、真のバッテリーとしての絆を深めていく二人の姿が描かれている。
『バッテリー』のあらすじを理解するための用語解説
『バッテリー』のあらすじを理解するための専門用語を解説します。
用語 | 説明 |
---|---|
バッテリー | ピッチャーとキャッチャーのペアを指し 野球において投手と捕手の連携を意味する。 物語の中心となる関係。 |
ピッチャー | 野球でボールを投げる選手。 原田巧は天才ピッチャーで、物語の主人公。 |
キャッチャー | ピッチャーの投球を捕るポジション。 永倉豪は巧のキャッチャーでパートナー。 |
新田市 | 物語の舞台となる岡山県の架空の市。 巧の祖父が住んでいる場所。 |
新田東中学校 | 巧と豪が入学した中学校。 野球部の厳しい環境と管理野球が描かれる。 |
管理野球 | 監督が戦略や練習を厳密に管理する野球スタイル。 戸村監督の手法。 |
『バッテリー』の作品情報
『バッテリー』の基本情報をまとめてみました。
この本についての理解を深めるために、ぜひ参考にしてくださいね。
作者 | あさのあつこ |
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出版年 | 1996年12月から2005年1月まで刊行 |
受賞歴 | 1997年第35回野間児童文芸賞 |
ジャンル | 児童文学・青春小説・スポーツ小説 |
主な舞台 | 岡山県新田市(架空の都市) |
時代背景 | 現代(1990年代後半) |
主なテーマ | 友情、成長、才能と努力、自分らしさを貫くこと |
物語の特徴 | 繊細な心理描写と短いセンテンスでキレのある文章 |
対象年齢 | 中学生以上(大人でも十分楽しめる) |
『バッテリー』の主要な登場人物とその簡単な説明
『バッテリー』をより深く理解するために、重要な登場人物たちを紹介します。
それぞれのキャラクターが物語の中でどんな役割を担っているのか見ていきましょう。
人物名 | キャラクター紹介 |
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原田 巧(はらだ たくみ) | 主人公。中学1年生のピッチャー。 圧倒的な才能とプライドを持ち周囲と衝突することも多い。 誰も認める天才投手。 |
永倉 豪(ながくら ごう) | 準主人公。巧のキャッチャー。 大病院の跡取り息子で母親からは野球を反対されている。 温厚で包容力がある。 |
原田 青波(はらだ せいは) | 巧の3歳下の弟。 病弱で激しい運動ができないが、兄に憧れて野球を始める。 繊細で優しい性格。 |
井岡 洋三(いおか ようぞう) | 巧の祖父。 新田高校を甲子園に何度も連れていった名監督。 一緒に暮らすようになり、 巧に野球の楽しさを伝えたいと思っている。 |
原田 真紀子(はらだ まきこ) | 巧と青波の母親。 野球漬けだった父・洋三の影響で野球嫌いになったが、 徐々に変化していく。 |
戸村 真(とむら まこと) | 新田東中学校の野球部監督。 管理野球を徹底するが、徐々に巧の才能を認めていく。 |
海音寺 一希(かいおんじ かずき) | 新田東中のキャプテン。 責任感が強く、チームのために尽くす。 |
門脇 秀吾(かどわき しゅうご) | 横手二中の天才スラッガー。 巧の球を打ちたいと純粋に思っている。 |
瑞垣 俊二(みずがき しゅんじ) | 横手二中の5番打者。 門脇の幼馴染で、策士。 巧と豪のバッテリーを崩すきっかけを作る。 |
永倉 節子(ながくら せつこ) | 豪の母親。 息子に医者になってほしいと願い、野球に反対している。 真紀子の幼馴染。 |
これらの登場人物が織りなす人間関係と成長が『バッテリー』の魅力の一つとなっていますよ。
『バッテリー』の文字数と読むのにかかる時間
『バッテリー』を読むのにどれくらいの時間がかかるか、目安をお伝えします。
自分のペースに合わせて読書計画を立ててくださいね。
シリーズ | 全6巻 |
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ページ数(1巻) | 272ページ(角川文庫版) |
推定文字数 | 約163,200文字(600文字×272ページ) |
1巻の読了時間 | 約5時間26分(500字/分で計算) |
全巻の読了時間 | 約32時間36分(6巻分) |
読むスピードには個人差がありますので、あくまで目安として参考にしてくださいね。
すべての巻を読み通せば、物語の深みがより理解できるでしょう。
『バッテリー』を読んだ私の感想
『バッテリー』、読み終えて素直に感動しちゃいましたね。もう40代のいい年のおじさんなんですけど、なんだか子供の頃に戻ったみたいな、すっごく爽やかな気持ちになれましたよ。
これ、ただの野球物語じゃないんです。友情とか成長はもちろん、「自分って何だろう?」って、ちょっと深く考えさせられるテーマがぎゅっと詰まってるんですよね。
まず、主人公の巧と豪の関係が、もう最高に魅力的で。ピッチャーとキャッチャーっていう「バッテリー」の絆が、物語の土台をしっかり支えてるんですよね。二人の信頼関係と、ぶつかり合いがまたリアルに描かれてて。
巧の天才的な才能と、豪の支える力、それに二人それぞれが抱える葛藤にも、すごく共感できました。いろんな壁にぶつかりながらも、それを乗り越えていく姿は、ほんと胸にきますね。
舞台が田舎の中学校っていうのも、またいい味出してるんですよ。都会のキラキラ感はないけど、だからこそ人間関係とか野球部の雰囲気が、もう丁寧に描かれてて、逆にすごくリアルに感じられました。
監督の厳しい管理野球なんかも含めて、スポーツを通じて成長する痛みとか喜びが、じんわりと伝わってくるんです。
あと、巧のプライドとか才能にまつわる葛藤は、大人になった今だからこそ、もうグッと胸に響きましたね。才能があるからこその孤独とかプレッシャー、周りとの摩擦って、きっと多くの人が共感できるんじゃないでしょうか。
才能だけじゃなくて、人としてどうあるべきか、自分をどう肯定するか、なんてことを改めて考える良いきっかけにもなりました。
この作品の良さって、決して大げさに盛り上げたりせず、登場人物たちの心情とか日常を淡々と積み重ねていくところにあるんですよね。だからこそ、最後まで飽きずに読めるし、読み終わったあとも心にじんわりと温かい余韻が残るんだと思います。
個人的な感想としては、若い頃にまた読み返したいって思うのはもちろん、自分の子どもにもぜひ読ませたい一冊ですね。スポーツ小説っていう枠を超えて、人間の成長とか葛藤を描いた普遍的な物語だから、本当にいろんな世代に届いてほしいなって思います。
肩の力を抜いて読めるんで、野球のルールに詳しくなくても、キャラクターたちの感情とか成長にすんなり入り込めますよ。私もこの物語から、「自分らしく生きるってどういうこと?」とか、「大切な人との信頼関係って、やっぱり大事だよね」って、改めて考えさせられました。
※『バッテリー』の読書感想文の例文と書き方はこちらでご紹介しています。

『バッテリー』はどんな人向けの小説か
『バッテリー』はどんな人に読んでほしい小説なのか、その魅力が特に響く読者層をまとめてみました。
- スポーツや野球が好きな人
- 友情や人間関係の機微に興味がある人
- 才能と努力の関係について考えたい人
- 自分らしさを貫くことの意味を探っている人
- 心理描写が丁寧な小説を好む人
- 成長物語や青春小説が好きな人
野球をテーマにした作品ですが、実はスポーツが苦手な人でも十分楽しめる内容になっています。
なぜなら、この小説の本質は野球そのものよりも、登場人物たちの心の動きや関係性の変化にあるからなんですね。
特に10代の読者には、自分自身の成長や友人関係と重ね合わせながら読むことができるでしょう。
また大人の読者にとっては、純粋な情熱や迷いを持つ少年たちの姿に、忘れかけていた何かを思い出すきっかけになるかもしれません。
『バッテリー』に類似した内容の小説3選
『バッテリー』を読んで感動した方に、ぜひ読んでいただきたい似た雰囲気の作品を3つ紹介します。
これらの作品も青春や成長、スポーツを通した人間関係を描いており、『バッテリー』と共通するテーマを持っています。
『風が強く吹いている』by 三浦しをん
大学の寮に住む元エリートランナーの蔵原と、アフリカからの留学生ハイジが中心となって箱根駅伝を目指す青春小説です。
『バッテリー』と同じく、スポーツを通じての仲間との絆、才能と努力の関係性などが描かれています。
個性豊かなキャラクターたちがそれぞれの課題を乗り越えながら成長していく様子は、『バッテリー』の巧と豪の関係に通じるものがありますよ。

『一瞬の風になれ』by 佐藤多佳子
高校生の陸上選手が主人公のこの小説も、『バッテリー』と共通するテーマを持っています。
才能ある主人公と彼を取り巻く友人たちの関係性、スポーツに打ち込む純粋さ、そして成長の過程が丁寧に描かれています。
『バッテリー』が野球を通して描いたものを、陸上競技を通して描いた作品と言えるでしょう。
心理描写の丁寧さも『バッテリー』に通じるものがあります。
『ガールズ・ブルー』by あさのあつこ
『バッテリー』と同じあさのあつこさんの作品で、高校2年生の3人の女子生徒を主人公にした青春小説です。
スポーツものではありませんが、繊細な心理描写と等身大の高校生活が魅力的な点は『バッテリー』と共通しています。
登場人物たちの内面の葛藤や成長、友情の深まりが丁寧に描かれており、『バッテリー』を楽しんだ方にはぴったりの作品です。
振り返り
『バッテリー』のあらすじから読書感想文のポイントまで、幅広く紹介してきました。
この作品は単なる野球小説ではなく、友情や成長、自分らしさを貫くことなど、普遍的なテーマを持つ深い物語です。
短くて簡単なあらすじと詳しいあらすじのどちらも参考にしながら、ぜひ本を手に取ってみてください。
また、読書感想文を書く際には、紹介した3つの重要ポイントを意識すると、より深みのある感想文が書けるはずですよ。
それと似た雰囲気の作品もぜひチェックしてみてください。
それぞれに違った魅力がありますが、『バッテリー』と通じる何かを感じられるはずです。
素晴らしい読書体験と、充実した読書感想文作成をお祈りします!
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