本田有明さんの児童文学『願いがかなうふしぎな日記』のあらすじを簡単に解説していきますね。
この作品は2012年にPHP研究所から出版された小学生向けの成長物語で、読書感想文の課題図書としても人気を集めています。
主人公の小学5年生・光平が、おばあちゃんからもらった不思議な日記を通して、願いを叶えるために努力し成長していく心温まる物語です。
年間100冊以上の本を読む読書好きの私が、短くて簡単なあらすじから詳しいあらすじ(ネタバレなし)まで、丁寧に解説しましょう。
本田有明『願いがかなうふしぎな日記』のあらすじを簡単に短く
本田有明『願いがかなうふしぎな日記』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)
小学5年生の井上光平は、亡くなったおばあちゃんから譲り受けた古い日記帳を発見する。
その日記には「願いごとを書くと叶う」という不思議な言い伝えがあった。
光平は小学3年生のときに水泳教室でおぼれた経験から「オボレンジャー」というあだ名をつけられ、泳ぐことが大の苦手になっていた。
今年こそは泳げるようになりたいと強く願い、半信半疑ながらもその願いを日記に書き込んでみる。
また、両親の仲が悪くなっていることを心配し「お父さんとお母さんが仲直りしてほしい」という願いも記す。
さらに「もう一度おばあちゃんに会いたい」「のぞみ号にまた乗りたい」といった切ない願いも綴っていく。
ある日、光平は公民館で家族と離れて暮らしているおじさんと出会う。
おじさんは「ふるさとに帰りたい」という願いを持っており、光平はそのおじさんの願いも日記に書いてあげる。
しかし、水泳教室での練習はうまくいかず、まだ1メートルも泳げない現実に直面する光平。
やがて、願いを叶えるのは日記の魔法ではなく、自分自身の決意と継続的な努力によるものだと気づいていく。
『願いがかなうふしぎな日記』のあらすじを理解するための用語解説
物語をより深く理解するために、重要なキーワードを解説しますね。
用語 | 説明 |
---|---|
願いがかなうふしぎな日記 | おばあちゃんが光平に贈った日記帳。 願いを書くことで自分の目標を明確にし 行動の動機づけを与える象徴的な存在。 |
オボレンジャー | 光平が水泳教室でおぼれた後につけられたあだ名。 彼の水への恐怖心と 泳げないコンプレックスを表している。 |
言霊 | 言葉や文字に宿る不思議な力という考え方。 願いを文字にすることで 目標達成への意識が高まることを示している。 |
目標設定 | 自分の叶えたい願いを具体的な目標として定めること。 日記に書くことで願いを明確化し 実現への道筋を立てる行為。 |
心の成長 | 願いを叶えるために努力する過程で得られる精神的な発達。 自分の力で目標を達成することの大切さを学ぶテーマ。 |
これらの用語は『願いがかなうふしぎな日記』の核となる概念ですので、覚えておくと物語の理解が深まりますよ。
『願いがかなうふしぎな日記』の感想
私がこの『願いがかなうふしぎな日記』を読んで一番感じたのは、作者の本田有明さんが子どもの心理を本当に丁寧に描いているということでした。
主人公の光平くんの気持ちがとてもリアルで、読んでいて「あぁ、小学生のころってこんな風だったなぁ」と自分の子ども時代を思い出してしまいましたね。
特に「オボレンジャー」というあだ名をつけられてしまう設定が秀逸です。
小学生って、こういう些細なことでからかわれたり、それがずっと心に残ったりするものですよね。
光平くんが水泳に対して感じている恐怖心や劣等感の描写が、とても自然で共感できました。
そして、この物語の素晴らしいところは、単なるファンタジーで終わらないところです。
最初は「日記に書けば願いが叶う」という魔法的な設定かと思いきや、実際には光平くん自身の努力と成長が物語の軸になっているんです。
これがものすごく良かった!
願いを叶えるのは日記の力ではなく、自分の決意と行動だということを、説教臭くならずに自然に伝えているんですよね。
公民館で出会うおじさんのエピソードも印象的でした。
光平くんがおじさんの願いを日記に書いてあげるシーンでは、人のために何かをしてあげたいという優しい気持ちが伝わってきて、思わずほっこりしました。
そして、そのおじさんも最終的には自分の努力で願いを叶えるという展開が、物語のメッセージを強化していて素晴らしかったです。
家族関係の描写も丁寧でしたね。
両親の仲が悪くなっていることを心配する光平くんの気持ちや、亡くなったおばあちゃんへの想いなど、子どもが抱える複雑な感情がリアルに描かれていました。
特に「もう一度おばあちゃんに会いたい」という願いは、読んでいて胸が熱くなりました。
文章もとても読みやすく、小学生でもすらすら読めるような工夫がされているのも好印象です。
漢字の使い方や表現の仕方が適切で、対象年齢を意識した丁寧な文章構成になっていました。
ただ、一点だけ気になったのは、物語の展開が少し予想しやすかったことでしょうか。
「努力すれば願いは叶う」というメッセージは素晴らしいのですが、もう少しひねりがあっても良かったかなと思いました。
それでも、読後感は本当に爽やかで、光平くんの成長を見守っているような温かい気持ちになれる作品でした。
読書感想文を書く学生さんにとっても、テーマが明確で書きやすい小説だと思います。
努力することの大切さ、目標を持つことの意味、家族や人とのつながりの大切さなど、感想文に書けるポイントがたくさんありますからね。
『願いがかなうふしぎな日記』は、子どもたちに勇気と希望を与えてくれる、とても価値のある児童文学だと私は思います。
※『願いがかなうふしぎな日記』の読書感想文の例と書き方はこちらで解説しています。

『願いがかなうふしぎな日記』の作品情報
項目 | 内容 |
---|---|
作者 | 本田有明 (作家・エッセイスト) |
出版年 | 2012年8月6日 |
出版社 | PHP研究所 |
受賞歴 | 公的な受賞歴はなし (読書感想文課題図書として人気) |
ジャンル | 児童文学、児童向け成長物語 |
主な舞台 | 現代日本、小学生の日常生活 |
時代背景 | 現代(2010年代前後) |
主なテーマ | 努力の大切さ、目標達成、心の成長 |
物語の特徴 | ファンタジー要素と現実的メッセージの融合 |
対象年齢 | 小学校中学年から高学年向け |
青空文庫の収録 | 未収録 |
『願いがかなうふしぎな日記』の登場人物と簡単な説明
物語に登場する主要キャラクターをご紹介しますね。
人物名 | 紹介 |
---|---|
井上光平 | 主人公の小学5年生。 水泳が苦手で「オボレンジャー」というあだ名がある。 おばあちゃんの日記を通して成長していく。 |
おばあちゃん | 光平に不思議な日記を遺してくれた人。 「願いごとを書いてみなさい」と光平を励ます存在。 |
公民館のおじさん | 家族と離れて暮らしている男性。 故郷に帰りたいという願いを持ち 光平との交流を通して願いを実現する。 |
石原さん | 光平の幼なじみ。 引っ越しで別れることになり 光平は喧嘩別れしたことを後悔している。 |
光平の両親 | 光平の家族。 仲が悪くなっていることを光平は心配している。 家庭内の問題も物語の重要な要素。 |
これらの登場人物を通じて、『願いがかなうふしぎな日記』は人とのつながりや家族の大切さを描いています。
『願いがかなうふしぎな日記』の読了時間の目安
『願いがかなうふしぎな日記』の読書にかかる時間をまとめてみました。
項目 | 詳細 |
---|---|
ページ数 | 151ページ |
推定文字数 | 約90,600文字 |
読了時間(大人) | 約3時間 |
読了時間(小学生) | 約5~7時間 |
読了期間の目安 | 2~3日程度 |
児童向けの作品なので文章は読みやすく、夏休みの読書にもちょうどいい分量ですね。
小学生でも無理なく読み進められる長さで、読書感想文を書くのにも適したボリュームです。
『願いがかなうふしぎな日記』はどんな人向けの小説か?
『願いがかなうふしぎな日記』は特に次のような人におすすめです。
- 目標を持って頑張りたい小学生や中学生
- 努力することの大切さを学びたい子どもたち
- 家族や友達との関係を大切にしたい人
逆に、複雑なストーリーやサスペンス要素を求める読者には物足りないかもしれません。
しかし、シンプルで分かりやすいメッセージが込められているからこそ、多くの子どもたちに愛され続けているのでしょうね。
読書感想文の課題図書としても最適で、テーマが明確なので感想を書きやすい作品です。
あの本が好きなら『願いがかなうふしぎな日記』も好きかも?似ている小説3選
『願いがかなうふしぎな日記』と似たテーマや雰囲気を持つ作品をご紹介しますね。
『しゅくだいクロール』シリーズ
小学生が苦手なことに挑戦する成長物語として非常に似ています。
主人公が逆上がりや跳び箱、クロールなどの身近な課題に取り組む過程が、『願いがかなうふしぎな日記』の光平くんが水泳を頑張る姿と重なります。
どちらも「努力すれば必ず成長できる」というポジティブなメッセージが込められていて、読後感がとても爽やかなんです。
『望みがかなう 魔法の日記』
こちらは『願いがかなうふしぎな日記』のスピンオフ作品で、光平くんの友達・竜也が主人公です。
同じように日記に願いを書いて目標達成に向けて頑張るストーリーなので、テーマや設定がほぼ同じですね。
『願いがかなうふしぎな日記』が気に入った方には、ぜひ読んでもらいたい続編的な位置づけの作品です。
『夢をかなえる未来ノート』
目標設定と自己成長をテーマにした児童文学として共通点が多い作品です。
ノートに目標を書いて、それを実現するために努力する子どもの姿が描かれており、『願いがかなうふしぎな日記』と同様に「自分の力で夢を叶える」ことの大切さを伝えています。
どちらも子どもの自己肯定感を育む内容になっているのが特徴ですね。
振り返り
『願いがかなうふしぎな日記』は、小学5年生の光平くんが成長していく過程を通して、努力することの大切さや目標を持つことの意味を教えてくれる素晴らしい児童文学でした。
単なるファンタジーではなく、現実的なメッセージが込められているところが本当に良いですね。
読書感想文を書く学生の皆さんにとっても、テーマが分かりやすく書きやすい作品だと思います。
光平くんの成長を見守りながら、自分自身の目標や努力について考えるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
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