『エルマーのぼうけん』のあらすじを簡単に短く、そして詳しく紹介していきますね。
1948年にアメリカで出版されたルース・スタイルス・ガネット作の児童文学『エルマーのぼうけん』は、世界中で愛され続けている冒険物語です。
9歳の少年エルマーが、年老いた野良猫から聞いた竜の子どもを助けるために、知恵と勇気で大冒険を繰り広げる感動的な作品なんですよ。
読書感想文を書く予定の皆さんが『エルマーのぼうけん』を深く理解できるよう、ネタバレありで簡単から詳しいあらすじまで丁寧に解説していきますよ。
この記事を読めば、物語の全体像が把握でき、感想文作成に必要な情報が手に入るはずです。
年間100冊以上の本を読む読書家の私におまかせください!
ルース・スタイルス・ガネット『エルマーのぼうけん』のあらすじを簡単に短く(ネタバレ)
9歳の少年エルマーは、雨の夜に出会った年老いた野良猫から、どうぶつ島に囚われている竜の子どもの話を聞いた。
竜は動物たちに捕らえられ、川の渡し舟として無理に働かされているという。
エルマーは竜を助けるため、チューインガムや歯ブラシ、輪ゴムなど身近な道具をリュックに詰め込んで冒険の旅に出発する。
貨物船に密航してみかん島を経由し、どうぶつ島に潜入したエルマーは、次々と現れる猛獣たちに持参した道具で対処していく。
最終的にワニたちの背中を橋代わりにして川を渡り、ジャックナイフで竜を縛る綱を切って見事に救出に成功した。
ルース・スタイルス・ガネット『エルマーのぼうけん』のあらすじを詳しく(ネタバレ)
かれき町に住む9歳の少年エルマー・エレベーターは、ある雨の夜に年老いた野良猫と出会い、家でこっそり世話をしていた。
しかし母親に見つかって猫は家を出ることになってしまう。
公園で猫と再会したエルマーは、猫から「どうぶつ島」に囚われている竜の子どもの話を聞かされた。
竜は猛獣たちに捕らえられ、川を渡るための乗り物として無理に働かされているという。
猫はかつて竜と友達になって助ける約束をしたが、老いて行けないためエルマーにその役目を託した。
エルマーは猫に教わった通りリュックサックにチューインガム、棒付きキャンディ、輪ゴム、長靴、磁石、歯ブラシ、リボン、虫眼鏡などを詰め込んで冒険に出発する。
船に密航してみかん島に到着したエルマーは、夜陰に乗じてどうぶつ島へ渡った。
島では次々と猛獣に遭遇するが、トラにはチューインガム、サイには歯ブラシ、ライオンにはくしとリボン、ゴリラには虫眼鏡を渡してピンチを切り抜けていく。
最後に17匹のワニが立ちはだかったが、棒付きキャンディを輪ゴムでワニの尻尾に結んで橋を作り、竜のもとへたどり着いた。
エルマーはジャックナイフで竜を縛る綱を切り、竜の背中に乗って島からの脱出に成功した。
『エルマーのぼうけん』のあらすじを理解するための用語解説
『エルマーのぼうけん』を理解する上で重要な用語を以下の表でまとめました。
これらの用語を押さえておくと、あらすじがより分かりやすくなりますよ。
用語 | 説明 |
---|---|
どうぶつ島 | エルマーが竜の子どもを助けに向かう舞台となる島。 様々な動物が住み、竜を川の渡し舟として使っている。 |
みかん島 | どうぶつ島の隣にある島。 エルマーがまず上陸し、 準備を整えてからどうぶつ島へ向かう中継地点。 |
リュックサック | エルマーが冒険に持参するアイテム類の総称。 チューインガムや歯ブラシなど、 すべて動物との交渉に活用される。 |
綱(縄) | どうぶつ島で竜の子が川辺に縛り付けられている太い綱。 エルマーがジャックナイフで切って 竜を解放する重要なアイテム。 |
ワニの橋 | エルマーが棒付きキャンディと輪ゴムでワニの尻尾を繋ぎ 橋のように渡る名シーン。 知恵と持ち物を活用した象徴的な場面。 |
これらの用語は物語の流れを理解する上で欠かせない要素ばかりです。
『エルマーのぼうけん』の感想
『エルマーのぼうけん』を読み終えて、まず感じたのは「子どもの頃に読みたかった!」という強烈な羨ましさでした。
9歳の少年が身近な道具だけで大冒険を成し遂げるなんて、まさに子ども心をくすぐる最高の設定じゃないですか。
私が特に感動したのは、エルマーが動物たちと戦うのではなく、それぞれの悩みや欲求を理解して解決してあげる点です。
トラにはチューインガムをあげて興味をそらし、サイには汚れた角を歯ブラシで磨いてあげる。
ライオンには絡まったたてがみをくしできれいにして、ゴリラには虫眼鏡でノミ取りを手伝わせる。
この発想力と優しさに、読んでいて心が温かくなりましたね。
暴力や力で解決するのではなく、相手のことを思いやる知恵で問題を乗り越えていく姿勢が素晴らしいんです。
そして何より、エルマーが持参した道具の絶妙なチョイスにやられました。
チューインガムや歯ブラシ、輪ゴムなんて、どこの家庭にもある普通のものばかりなのに、それが冒険で大活躍するわけです。
子どもたちが読んだら「自分にもできそう!」って思えるのが、この作品の魅力だと感じます。
ワニの橋のシーンなんて、もう鳥肌ものでしたよ。
17匹のワニの尻尾を棒付きキャンディと輪ゴムで繋いで橋にするなんて、どんな大人が考えても思いつかない発想でしょう。
でも物語の中ではそれが当然のように成功して、エルマーが竜のもとへたどり着く。
この展開に、童心に戻って手に汗握りながら読み進めていました。
竜の設定も良かったですね。
凶暴なドラゴンではなく、子どもで飛ぶのが上手ではない可愛い存在。
動物たちに捕らえられて無理やり働かされているという設定に、読者の同情心をかき立てられます。
エルマーが竜を助けたいと思う気持ちが自然に理解できるんです。
ただ、大人目線で読むと少し物足りない部分もありました。
動物たちがなぜ竜を奴隷のように使っているのか、その背景がもう少し詳しく描かれていたら、物語により深みが出たかもしれません。
また、エルマーがあまりにもスムーズに問題を解決していくので、もう少しピンチの場面があっても良かったかなと思います。
でも、これは児童文学だからこその配慮なのかもしれませんね。
子どもたちに恐怖や不安を与えすぎず、安心して読める範囲でのドキドキ感を提供している。
その絶妙なバランスがこの作品の魅力でもあるわけです。
翻訳も素晴らしくて、渡辺茂男さんの訳文は自然で読みやすく、原作の魅力を十分に伝えていると感じました。
「ぼくのおとうさんのエルマー」という語りかけの形式も、物語に親しみやすさを与えていて効果的です。
読み終えた今、私も子どもの頃にこの本に出会って、エルマーと一緒に冒険の世界にどっぷり浸かってみたかったと心から思います。
※『エルマーのぼうけん』の読書感想文の例文や書き方は小学生と中学生向けにこちらで解説しています。

『エルマーのぼうけん』の作品情報
『エルマーのぼうけん』の基本的な作品情報を以下の表にまとめました。
項目 | 詳細 |
---|---|
作者 | ルース・スタイルス・ガネット |
出版年 | 1948年(アメリカ)、1963年(日本) |
出版社 | 福音館書店(日本版) |
受賞歴 | ニューベリー賞オナー賞 |
ジャンル | 幼年童話・児童文学・冒険小説 |
主な舞台 | かれき町・みかん島・どうぶつ島 |
時代背景 | 現代(特定の時代設定はなし) |
主なテーマ | 勇気・知恵・友情・冒険・思いやり |
物語の特徴 | 身近な道具を使った問題解決・動物との交流 |
対象年齢 | 読み聞かせ5~6歳から 自分で読むなら小学低学年から |
青空文庫の収録 | なし(著作権保護期間中) |
この作品は世界中で愛され続けている児童文学の名作として位置づけられています。
『エルマーのぼうけん』の主要な登場人物とその簡単な説明
『エルマーのぼうけん』に登場する重要な人物・動物を重要度順に紹介します。
各キャラクターの役割を理解すると、物語がより深く楽しめますよ。
登場人物 | 紹介 |
---|---|
エルマー・エレベーター | 物語の主人公で9歳の勇敢な少年。 かれき町に住み、知恵と勇気で竜を助ける冒険に挑む。 |
竜(ボリス) | そらいろこうげんに住む竜の子ども。 うまく飛べずにどうぶつ島に墜落し、 動物たちに捕らえられて 川の渡し舟として働かされている。 |
年老いた野良猫 | エルマーと竜を引き合わせる重要な役割を担う。 若い頃は旅行家で、 どうぶつ島で竜と友達になった経験を持つ。 |
7匹のトラ | エルマーが最初に対峙する猛獣たち。 チューインガムが大好物で、 エルマーに騙されて興味をそらされる。 |
サイ | 角の汚れを気にしている動物。 エルマーに歯ブラシで角を磨いてもらい、 夢中になって磨いている間にエルマーを逃がしてしまう。 |
ライオン | クロイチゴの小枝がたてがみに絡まって困っている。 エルマーにくしとリボンをもらい、 たてがみの手入れに熱中する。 |
ゴリラ | 短気で気が荒く 体についた蚤に悩まされている。 エルマーから虫眼鏡をもらい、 小猿たちと一緒に蚤取りに集中する。 |
17匹のワニ | 川の中に住み、エルマーの最後の難関となる。 棒付きキャンディが好物で、 エルマーによって橋として利用される。 |
ねずみ | どうぶつ島でエルマーが最初に出会った小動物。 偵察役だが、あわて者で言葉の順番をよく間違える。 |
エルマーの母親 | 野良猫を家から追い出してしまうが、 後に飼うことを許可する。 エルマーの冒険の直接的なきっかけを作った人物。 |
これらのキャラクターが織りなす交流が物語の魅力を支えています。
『エルマーのぼうけん』の読了時間の目安
『エルマーのぼうけん』の読書時間について以下の表でまとめました。
読書計画の参考にしてください。
項目 | 詳細 |
---|---|
ページ数 | 128ページ |
読了時間の目安 | 約1時間30分~2時間 |
読み聞かせ時間 | 約1時間30分(数日に分けて) |
小学生なら2~3日かけてゆっくり読めば十分楽しめる長さです。
読み聞かせなら毎晩少しずつ読んで、1週間程度で読み終えることができますね。
文章も平易で読みやすく、児童文学入門としても最適な読みやすさです。
『エルマーのぼうけん』はどんな人向けの児童小説か?
『エルマーのぼうけん』は以下のような人に特におすすめしたい作品です。
- 5歳から小学校低学年の子どもたち(冒険や動物が好きな子に特に適している)
- 親子で読み聞かせを楽しみたい家庭(子どもの想像力を育みたい親御さん)
- 児童文学や冒険小説の入門作品を探している人(読書習慣をつけたい子ども)
この作品は特に、勇気や知恵の大切さを学びたい子どもたちや、親子のコミュニケーションツールとして本を活用したい家庭にぴったりです。
逆に、複雑な心理描写や大人向けの深いテーマを求める読者には物足りないかもしれません。
また、リアリティを重視する人には、動物たちとの交流シーンがファンタジックすぎると感じる可能性があります。
あの本が好きなら『エルマーのぼうけん』も好きかも?似ている小説3選
『エルマーのぼうけん』が気に入った方におすすめしたい、似たテイストの児童文学作品を3つ紹介します。
どの作品も子どもの冒険心をくすぐる素敵な物語ばかりですよ。
岡田淳『二分間の冒険』
小学校6年生の悟が竜を倒す冒険に挑む日本の児童文学です。
異世界に迷い込んだ主人公が仲間と協力して困難を乗り越えていく展開が『エルマーのぼうけん』と共通しています。
特に竜が登場する点と、子どもの成長と勇気をテーマにした冒険譚という点で、エルマーファンにはたまらない作品でしょう。
松谷みよ子『龍の子太郎』
日本の民話をベースにした児童文学で、龍(竜)が重要な役割を果たす点で共通しています。
太郎という少年が大冒険の中で成長していく姿は、エルマーの冒険と重なる部分が多いんです。
日本の文化的背景を持ちながらも、子どもの勇気と成長というテーマは『エルマーのぼうけん』と同じ魅力を持っています。
上橋菜穂子『守り人シリーズ』
女用心棒バルサが幼い王子を守りながら異界の危険な旅を続けるファンタジー冒険小説です。
『エルマーのぼうけん』よりも読み応えがありますが、冒険と友情、そして困難を知恵で乗り越えていく展開が似ています。
小学校高学年以上なら十分楽しめる、壮大な冒険物語としておすすめです。
振り返り
『エルマーのぼうけん』は、9歳の少年が身近な道具と知恵で竜を救う心温まる冒険物語でした。
簡単なあらすじから詳しい内容まで、ネタバレを含めて紹介しましたが、実際に読んでみるとより深い感動が味わえるはずです。
特に親子での読み聞かせや、子どもの読書感想文作成には最適な作品だと感じます。
エルマーの勇気と優しさに触れて、皆さんも素敵な冒険の世界を体験してみてくださいね。
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