新美南吉『手袋を買いに』あらすじを簡単に短く※ネタバレ

新美南吉『手袋を買いに』のあらすじ あらすじ

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『手袋を買いに』のあらすじをご紹介します。

新美南吉さんが書いたこの児童文学は、雪の日に手袋を買いに人間の町へ行く子ぎつねの物語。

長年にわたって読書を愛し、年間100冊以上の本と向き合ってきた者として、この物語の魅力をお伝えできるのはうれしいです。

読書感想文を書く予定の皆さんに、あらすじだけでなく感想文のポイントまで丁寧に解説していきますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

さっそく、短くて簡単なあらすじから詳しいあらすじまで、順番に見ていきましょう。

『手袋を買いに』の簡単なあらすじ

雪の朝、子ぎつねの冷えた手を心配した母ぎつねは手袋を買ってやろうと決心した。子ぎつねは片手を人間の手に変えられ、一人で町へ行く。帽子屋で間違えて本物の手を出してしまうが、優しい店主は黙って手袋を売ってくれた。「人間はちっとも怖くない」と子ぎつねは感じる。

『手袋を買いに』の中間の長さのあらすじ

雪の朝、外で遊んだ子ぎつねの手が冷え切っているのを見た母ぎつねは、手袋を買ってやろうと考えた。夜になって町へ向かう途中、母ぎつねは子ぎつねの片手を人間の手に変え、帽子屋での買い方を教えた。しかし子ぎつねは店で間違えて本物のきつねの手を出してしまう。店主は気づきながらも、お金が本物と分かると黙って手袋を渡した。「人間はちっとも怖くない」と喜ぶ子ぎつねに、母ぎつねは「ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやいた。

『手袋を買いに』の詳しいあらすじ(ネタバレあり)

雪の降る寒い冬の朝、外で走り回った子ぎつねの手が冷たくなっているのを見た母ぎつねは、手袋を買ってやろうと心に決めた。夜になって町へ向かう途中、母ぎつねは人間を恐れて立ち止まってしまう。そこで子ぎつねの片手だけを人間の手に化かし、一人で帽子屋へ行かせることにした。「戸を少しだけ開けて人間の手を出し、『手袋をください』と言いなさい。間違えて狐の手を出すとひどい目に遭うから気をつけて」と教えた。町についた子ぎつねは帽子屋を見つけ戸を叩いた。しかし、店主が戸を開けた際の明かりにまぶしさのあまり、うっかり狐の手を出してしまう。店主は子ぎつねが狐だと気づいたが、差し出された銅貨が本物と確認すると黙って手袋を売った。帰り道、子守歌を聴きながら家に戻った子ぎつねは「人間ってちっとも怖くない」と母に報告する。母ぎつねは驚きながらも「ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやくのだった。

『手袋を買いに』のあらすじを理解するための用語解説

用語 解説
手袋 寒さから手を守るためのおしゃれで実用的な小物。
子ぎつねが冷えた手を温めるために必要とされるもの。
人間の町 物語の舞台となる場所。
子ぎつねが初めて一人で手袋を買いに行く、
動物にとって未知で怖い場所。
化ける 動物が姿や部分を人間のものに変えること。
母ぎつねが子ぎつねの片手を人間の手に変える設定。
偏見 事実を知らずに抱く恐れや誤解。
母ぎつねが人間に怖さを持つ一因。
勇気 怖がらずに困難に立ち向かう心。
子ぎつねが一人で町へ出て手袋を買いに行く行動に表れる。

『手袋を買いに』の作品情報

『手袋を買いに』についての基本情報をまとめました。

作者 新美南吉
出版年 1943年
(童話集「牛をつないだ椿の木」に収録)
出版社 岩波書店
受賞歴 なし
(ただし、日本の代表的児童文学作品として広く認知)
ジャンル 児童文学・童話
主な舞台 雪の降る冬の森と人間の町
時代背景 明確な記述はないが、昔の日本の田舎町
主なテーマ 親子の愛情、偏見と理解、勇気、思いやり
物語の特徴 やさしい言葉遣いと深い余韻を残す結末
対象年齢 5歳~小学生(大人が読んでも新たな発見がある)
青空文庫 収録済み(こちら)

『手袋を買いに』の主な登場人物と説明

『手袋を買いに』に登場する主な人物(キャラクター)たちをご紹介します。

キャラクター キャラクター紹介
子ぎつね 物語の主人公。純粋で素直な性格。
寒い冬に手袋が欲しくて、
初めて一人で人間の町へ冒険に出かける。
母の教えを守ろうとするが、
間違えてぎつねの手を出してしまう。
母ぎつね 子ぎつねを深く愛する母親。
子どもの冷えた手を心配して手袋を買おうとするが、
人間を恐れて町まで行けない。
子ぎつねを守りながらも成長させようと葛藤する。
帽子屋さん 町の帽子屋の店主。
子ぎつねが狐だと気づきながらも、
本物のお金を出したことを見て
黙って手袋を売ってあげる心の広い人物。

この三人の登場人物たちの関わりを通して、物語は優しさや信頼の大切さを伝えています。

『手袋を買いに』の読了時間の目安

『手袋を買いに』は短編童話ですが、どのくらいの時間で読めるのか気になりますよね。

総文字数 約3,630文字
ページ数の目安 約6ページ(1ページ約600文字として)
読了時間の目安 約7~10分(読書速度500字/分として)
難易度 易しい(小学校中学年から読める優しい言葉遣い)

1回の読書時間で十分に読み終えられる長さですが、物語の奥深さを味わうには、ゆっくり読むことをおすすめしますよ。

『手袋を買いに』を読んだ私の感想

『手袋を買いに』を、久しぶりに読み返してみました。

子供の頃に読んだきりでしたが、40歳を過ぎて改めてページをめくると、当時とは全く違う感動が押し寄せてきましたね。いや、正直、こんなに深い話だったのかと驚いています。

物語の冒頭、子狐が母親に甘える姿は、本当に愛おしい。冬の夜、冷たい雪の上で「僕の手が冷たい」と訴える我が子に、母狐は「明日、町へ行って人間の手袋を買ってきましょうね」と優しく語りかけます。

この親子のやりとりが、もう最高に温かい。親として、自分の子どもが寒がっていたり、何かを欲しがったりするのを見ると、なんとかしてあげたいと思うあの気持ち、痛いほどわかるんですよ。

そして、手袋を買いに行く子狐が、人間の世界に初めて足を踏み入れるシーン。人間の持つ「怖さ」と「温かさ」の両面が、本当に巧みに描かれています。

母親に言われた通り、子狐は片方の手を人間の手に見せかけますが、店主が子狐の手を触ったとき、彼は驚きながらも、迷いなく温かい手袋を差し出してくれる。この店主の行動が、この物語の核だと思います。

見かけや種族で判断するのではなく、目の前の命に温かさを差し伸べる。なんて心が広いんだろう。

僕が子供の頃は、ただ「狐さんが手袋を買えてよかったね」としか思っていませんでした。でも、今では、これは親から子への愛情、そして人間が持つべき「優しさ」について語っている物語なのだと気づかされました。

そして、そんな単純な物語の中に、こんなにも深いテーマが込められているなんて……。

この物語を、今度は自分の子どもにも読んであげたい。そして、親の深い愛情と、人を信じることの温かさを、一緒に感じられたら嬉しいですね。

※『手袋を買いに』の読書感想文の書き方と例文はこちらでご紹介しています。

『手袋を買いに』の読書感想文|小学生の書き方と例文
『手袋を買いに』の読書感想文の書き方を小学生向けに解説。書くべき3つのポイント、テンプレート、800字・1200字の例文を紹介。題名や書き出しのコツも含めた完全ガイド。コピペではなく自分の言葉で書ける方法を丁寧に説明します。

『手袋を買いに』はどんな人向けの小説か

新美南吉の『手袋を買いに』は、その優しい言葉と深いメッセージから、幅広い読者に愛される作品です。

特に以下のような方々におすすめできますよ。

  • 小学生を中心とした子どもたち
  • 子どもに読み聞かせをしたい親や教育者
  • 親子の絆や優しさについて考えたい人
  • 短い時間で心に残る物語を読みたい人
  • 偏見や思い込みについて考えるきっかけを探している人

物語はシンプルですが、年齢や立場によって気づく点が変わってくる奥深さを持っています。

親になってから読み返すと、また新たな発見や感動があるという声も多く聞かれます。

『手袋を買いに』に似た類似した内容の小説3選

『手袋を買いに』の世界観や主題が気に入った方には、次のような作品もおすすめです。

『ごんぎつね』(新美南吉 著)

同じ作者の代表作で、人間と狐の心のすれ違いを描いた物語です。

いたずら好きだった子狐のごんが、兵十という若い漁師に償いをしようとしますが、その真意は伝わらず悲しい結末を迎えます。

『手袋を買いに』と同様に動物と人間の関わりを描き、一方通行の優しさの切なさや、分かり合えない悲しみを感じさせる作品です。

『ごんぎつね』のあらすじを短く簡単に&英語でも!
『ごんぎつね』のあらすじを短く簡単にまとめた内容から詳しいものまで紹介。新美南吉の名作童話を読んだ私の感想や作品情報も解説しています。

『泣いた赤鬼』(浜田廣介 著)

人間と仲良くなりたいと願う優しい赤鬼と、そんな友達のために自分が悪者になることを選ぶ青鬼の物語です。

『手袋を買いに』と同じく、異なる存在(鬼と人間)の間の偏見や、真の友情、相手のための優しさといったテーマが描かれています。

帽子屋さんの優しさと通じる部分があり、見た目や先入観を超えた理解の大切さを教えてくれる童話です。

『モチモチの木』(斎藤隆介 著)

臆病な男の子・豆太が病気のおじいさんのために、真夜中に一人で山道を医者へ走るという物語です。

『手袋を買いに』の子ぎつねと同じように、大切な人のために自分の恐れを乗り越えて勇気を出す姿が描かれています。

子どもの成長と、大切な人を思う気持ちの強さという点で、『手袋を買いに』と共通するテーマを持つ心温まる名作です。

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振り返り

『手袋を買いに』は、短い物語ながら私たちの心に深く響くメッセージを持つ作品ですね。

子ぎつねと母ぎつねの愛情、未知の世界へ踏み出す勇気、そして相手を受け入れる優しさは、時代を超えて私たちに大切なことを教えてくれます。

短い物語だからこそ、一人ひとりの読者が自分なりの解釈や感想を持てるのが魅力です。

ぜひ原作を手に取って、雪の降る森と町を舞台にした心温まる物語を、あなた自身の目で確かめてみてくださいね。

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