森鴎外の名作『舞姫』のあらすじをご紹介します。
留学先のドイツで出会った踊り子との切ない恋の行方を描いた物語として、学校の教科書でも定番の小説。
今回は、この小説のあらすじを100文字、200文字、そして400~800文字でまとめてみました。
さらに、登場人物や読了時間、どんな人におすすめなのかについても詳しくお話ししていきますね。
それでは、まずは短いあらすじから見ていきましょう。
『舞姫』の100文字の短く簡単なあらすじ
『舞姫』の200文字あらすじ
『舞姫』の400文字の詳しいあらすじ
豊太郎は幼少期に父を亡くし、母に育てられ、周囲の期待に応えてトップの成績を収め続けたが、それは恐れからだった。大学卒業後、官職に就き、ドイツ留学を命じられてベルリンに渡る。そこで受動的な生き方に気づき、態度を変えた結果、立場が悪化する。教会前で出会った少女エリスを助けたことで交流が始まり、彼女に惹かれていく。
二人の仲を誤解され豊太郎は職を失うが帰国せずベルリンに留まる決断をする。母の訃報を受け、エリスと深く結ばれ、友人の相沢から駐在通信員の職を得る。相沢に「別れて帰国すべき」と助言され、心は揺れていた。
エリスが豊太郎の子を身ごもり、職を失う中、ロシア訪問中の豊太郎は「もう離れて暮らせない」というエリスの手紙に胸を痛める。帰国を決意するが、どう伝えるか悩んで倒れ込む。目覚めるとエリスは心を病み、彼女の姿に豊太郎は後悔する。帰国前、エリスの母に生活費を託すが、友人へのわずかな憎しみが心に残る。
『舞姫』の800文字の長いあらすじ
豊太郎は幼少期に父を亡くし、母に育てられた。周囲の期待に応え、常にトップの成績を収めたが、それは自信ではなく恐れからだった。大学法学部を卒業後、官職に就いたが、数年後にドイツ留学を命じられベルリンへ渡る。そこで受動的な生き方に気づき、態度を変えたことで立場を悪くしてしまう。
ある日、教会前で泣く少女エリスと出会う。父の葬儀代がなく、母に叩かれたという。彼女を助けたことで交流が始まり、エリスと豊太郎は師弟のような関係になる。舞姫として貧しいながらも清らかさを保ち慎ましく生きるエリスに、豊太郎は惹かれていった。
だが、二人の仲を歪めて報告する者が現れ、豊太郎は職を失う。帰国の旅費は支給されるという話もあったが、ベルリンに留まることを決断する。母の死を知らせる手紙を受け取ると、エリスが懸命に支え、二人は深く結ばれる。
友人の相沢謙吉が駐在通信員の職を紹介し、エリスの母親の家に同居することになった。相沢は天方大臣を紹介し、大臣の翻訳を手伝う仕事が舞い込む。相沢は豊太郎に「エリスと別れて日本に戻るべきだ」と助言し、豊太郎は一度は応じたが、心は揺れていた。
その矢先、エリスが子を身ごもり、舞姫の職を失う。ロシア訪問で通訳として活躍する豊太郎のもとに、エリスの手紙が届く。「もう離れて暮らせない」と綴られたその言葉に豊太郎は胸を痛めた。
帰国すると、エリスが子供のために用意したオムツの山が出迎える。大臣から帰国を誘われ、相沢からもしがらみのないことを確認され、豊太郎は帰国を決意する。
帰宅途中、エリスにどう伝えるか悩み、公園で倒れ込む。雪の中で目覚め、帰宅した豊太郎はそのまま昏倒した。
目覚めると、心を病んだエリスがいた。裏切られたと錯乱する彼女の姿を前に、豊太郎の心は後悔で覆われる。帰国に際し、エリスの母親に生活費を託し、子供のことも頼んだ。だが、友人に対するわずかな憎しみが、心の中に残り続けていた。
『舞姫』の読書感想文を書くうえで外せない3つの重要ポイント
『舞姫』の読書感想文では、以下の3つのポイントを押さえておくと、より深い考察ができますよ。
- 豊太郎の心の葛藤
- 自由と束縛のテーマ
- 日本と西洋の価値観の違い
豊太郎の心の葛藤
エリスへの愛と、日本でのエリートとしての将来。
豊太郎はこの二つの選択肢の間でゆれ動きます。
最後まで悩み続ける豊太郎の姿は、私たちに「本当の幸せとは何か」を考えさせてくれます。
自由と束縛のテーマ
ドイツで感じた自由な生き方と、日本社会からの期待という束縛。
このふたつの価値観の狭間で苦しむ豊太郎の姿を通して、「自分らしく生きる」ことの難しさが描かれています。
日本と西洋の価値観の違い
明治時代の日本とヨーロッパ。
まったく異なる文化や考え方の違いが、豊太郎の選択に大きな影響を与えています。
この価値観の違いは、今を生きる私たちにも通じるものがありますね。
※『舞姫』で作者が作品を通して伝えたいことは、以下の記事でご確認ください。

『舞姫』の登場人物紹介
『舞姫』の主要な登場人物たちを簡単にご紹介します。
名前 | 説明 |
---|---|
太田豊太郎 | 主人公。エリート官僚でドイツへ留学。まじめで優秀だけど、何かと周りの目を気にしてしまう性格。 |
エリス | ヴィクトリア座の踊り子。純粋で優しい性格の持ち主。豊太郎を心から愛する。 |
相沢謙吉 | 豊太郎の友人。天方伯の秘書官。豊太郎の将来を考えて行動する。 |
天方伯 | 大臣。豊太郎の語学力を高く評価し、帰国を勧める。 |
『舞姫』の文字数と読了時間
『舞姫』の文字数と、読むのにかかる時間をまとめました。
項目 | 数値 |
---|---|
総文字数 | 17,126文字 |
ページ数(1ページ600文字として) | 約29ページ |
読了時間(1分間に500文字として) | 約35分 |
『舞姫』はこんな人におすすめの小説
『舞姫』は、こんな方に特におすすめの作品です。
- 恋愛と仕事の両立に悩んでいる人
- 人生の岐路に立たされている人
- 周りの期待に応えることに疲れている人
- 自分の本当の気持ちに正直に生きたい人
- 明治時代の文学に興味がある人
『舞姫』に似た作品たち5選
『舞姫』のテーマに共感した方におすすめの作品を5つご紹介します。
夏目漱石『こころ』
人間関係の複雑さや心の葛藤を描いた名作です。
主人公の苦悩する姿は、『舞姫』の豊太郎を思い起こさせます。
川端康成『雪国』
芸者との恋愛を通じて、男女の感情の機微を繊細に描いた作品。
『舞姫』同様、身分の異なる男女の恋愛がテーマです。
村上春樹『ノルウェイの森』
純愛と現実の狭間で揺れ動く青年の姿を描いています。
『舞姫』と同じく、愛と理性の葛藤が印象的な作品です。
大岡昇平『野火』
生きるか死ぬかの極限状況での人間の選択を描いた作品。
『舞姫』のように、人生の岐路での決断がテーマです。
泉鏡花『外科室』
医師と患者の禁断の恋を描いた物語。
『舞姫』同様、身分違いの恋愛と社会の壁がテーマとなっています。
振り返り
『舞姫』は、恋と出世の間で揺れ動く若者の姿を描いた、心に染みる物語です。
100年以上前の作品なのに、今を生きる私たちの心にもグッとくるのは、人の心の機微をていねいに描いているからかもしれません。
ぜひ、あなたも豊太郎の選択に思いを巡らせながら読んでみてくださいね。
コメント