『高慢と偏見』小説のあらすじを簡単に(ネタバレあり)

『高慢と偏見』のあらすじ あらすじ

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『高慢と偏見』のあらすじをみなさんにご紹介していきます。

『高慢と偏見』はジェイン・オースティンによる18世紀末から19世紀初頭のイギリスを舞台にした恋愛小説。

私は年間100冊以上の本を読みますが、この作品の魅力は200年以上も読み継がれているだけあって、数回の再読くらいでは色褪せません。

それで読書感想文を書く予定の皆さんの力になれるよう、短くて簡単なあらすじから詳しいあらすじまで、丁寧に解説していきますね。

ネタバレを避けたい方は、最初の簡単なあらすじだけ読んでくださいね。

『高慢と偏見』の簡単なあらすじ

田舎町に住むベネット家の次女エリザベスと、裕福な青年ダーシーの物語。二人は出会った当初お互いに悪い印象を持つが、様々な出来事を通じてエリザベスはダーシーへの偏見を、ダーシーは自分の高慢さを克服していく。誤解と偏見から始まった関係は、真実を知ることで少しずつ変化し、最後には二人の心が通じ合うまでを描いた恋愛小説。

『高慢と偏見』の中間の長さのあらすじ

18世紀末のイギリスの田舎町ロンボーン。ベネット家の5人姉妹の父親が亡くなれば、家も土地も遠縁の従兄弟の手に渡ってしまう。母親のベネット夫人は娘たちに金持ちの婿を取らせようと必死だった。町に独身の資産家ビングリーがやってきて長女ジェーンに好印象を持つ一方、次女エリザベスはビングリーの友人ダーシーの高慢な態度に反感を抱く。しかし様々な誤解と偏見を乗り越え、エリザベスとダーシーは互いの本当の姿を知り、最後には結ばれることとなった。

『高慢と偏見』の詳しいあらすじ(ネタバレあり)

18世紀末のイギリスの田舎町ロンボーン。ベネット家には5人の娘がいるが、父親が亡くなれば家も土地も遠縁の従兄弟コリンズ氏の手に渡ってしまう。母親のベネット夫人は娘たちに金持ちの婿を取らせようと必死だった。町に独身の資産家ビングリーがやってくると、長女ジェーンと相性が良く関係が進展する。一方、次女エリザベスはビングリーの友人ダーシーの高慢な態度に反感を抱く。

軍人のウィカムから「ダーシーに遺産を奪われた」と聞かされたエリザベスはダーシーへの嫌悪感を強める。コリンズ牧師からの求婚を断ったエリザベスは、親友シャーロットの結婚を機に旅に出る。そこでダーシーから突然の求婚を受けるが、ジェーンとビングリーの仲を引き裂いたのもダーシーだと知り、激しく拒絶する。

後日、ダーシーからの手紙でウィカムの嘘やジェーンへの誤解を知ったエリザベスは自分の偏見に気づく。さらに末妹リディアとウィカムの駆け落ち事件をダーシーが解決したことを知り、彼の本当の姿を理解する。最終的にダーシーは再びエリザベスに求婚し、二人は結ばれた。長女ジェーンもビングリーと婚約し、ベネット家に幸せが訪れるのだった。

『高慢と偏見』の作品情報

『高慢と偏見』についての基本情報をまとめました。

作者 ジェイン・オースティン
出版年 1813年1月28日
出版社 T. Egerton, Whitehall(初版)
受賞歴 なし(当時の文学賞制度はほぼ存在せず)
ジャンル 恋愛小説、風俗小説
主な舞台 イギリスの田舎町ロンボーン
時代背景 18世紀末から19世紀初頭のイギリス
主なテーマ 高慢と偏見、階級社会、結婚観、女性の自立
物語の特徴 精緻な人物描写、軽妙な会話、風刺、皮肉
対象年齢 中学生以上
(内容の理解には近代イギリスの背景知識があると望ましい)

『高慢と偏見』の主要な登場人物とその簡単な説明

『高慢と偏見』に登場する主要な人物たちを紹介します。

それぞれの人物の個性や立場を理解すると、物語の理解がより深まりますよ。

人物名 キャラクター紹介
エリザベス・ベネット 主人公。ベネット家の次女。
知性と才気にあふれ、鋭い観察眼を持つ。
勝気で感情表現が豊か。愛称はリジー。
フィッツウィリアム・ダーシー ビングリーの友人。
容姿・資産ともに優れるが、
気難しさと誇り高さから誤解されがち。
本来は誠実な人物。
ジェーン・ベネット ベネット家の長女。美人で温和、心優しい性格。
人を疑うことを知らない純粋な心の持ち主。
チャールズ・ビングリー 資産家の青年。ネザフィールドの別荘を借りる。
明るく社交的な性格で、ジェーンに好意を持つ。
ベネット夫人 五人姉妹の母。
自己中心的でヒステリックな性格。
娘たちの結婚に必死。
ベネット氏 五人姉妹の父。
高い見識を持つが「ことなかれ主義」的な人物。
エリザベスを特に愛している。
リディア・ベネット ベネット家の末娘。
16歳の美人だが、軽率で計算高い性格。
物語の中で大きな事件を起こす。
ジョージ・ウィカム 軍人。チャーミングだがずる賢い性格。
ダーシーの過去について嘘の話を広める。
シャーロット・ルーカス エリザベスの親友。
27歳の分別ある女性。実利的な結婚観を持つ。
キャサリン・ド・バーグ夫人 ダーシーの叔母。高慢で権威的な貴族。
自分の娘とダーシーの結婚を望む。

『高慢と偏見』の読了時間の目安

『高慢と偏見』を読むのにどれくらいの時間がかかるのか、目安をお伝えします。

自分のペースで読み進めることが大切ですが、読書感想文の締め切りがある場合は計画的に読み進めましょう。

ページ数 672ページ(中公文庫
推定文字数 約400000文字
読書時間(1日1時間) 約13日間(1分間に500字で計算)
読書時間(1日2時間) 約7日間
読書時間(1日3時間) 約4〜5日間
読みやすさ 会話文が多く、文体は比較的読みやすい。
ただし、19世紀の社会背景の知識があると理解が深まる

ページ数は中公文庫版で672ページですが、翻訳者や出版社によって異なります。

また、個人の読書ペースによっても読了時間は変わってきますので、あくまで参考としてください。

『高慢と偏見』の読書感想文を書くうえで外せない3つの重要ポイント

『高慢と偏見』の読書感想文を書く際に、特に注目したいポイントを3つ紹介します。

これらを押さえておくと、深みのある感想文が書けるでしょう。

  • 主人公の成長と変化
  • 結婚観と当時の社会背景
  • 「高慢」と「偏見」というテーマの普遍性

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

主人公の成長と変化

エリザベスとダーシーの内面的成長は、この物語の核心となるポイントです。

最初、エリザベスはダーシーに対して「高慢で傲慢な男性」という偏見を持ちます。

一方、ダーシーもエリザベスの家柄や周囲の人々に対して高慢な態度を取っていました。

しかし、物語が進むにつれて二人は自分たちの誤りに気づき、変化していきます。

特にエリザベスがダーシーからの手紙を読み、自分の偏見に気づくシーンは重要です。

彼女は「私はなんて愚かだったのだろう。なんて偏見に満ちていたのだろう」と気づき、自分の判断力を過信していたことを反省します。

ダーシーもまた、エリザベスの指摘を受け入れ、自分の高慢さを改めようと努力します。

二人の成長過程を追うことで、人間が自分の欠点に向き合い、それを乗り越える姿を感じ取ることができるでしょう。

結婚観と当時の社会背景

この小説が書かれた19世紀初頭のイギリスでは、女性が自立できる職業はほとんどなく、結婚は単なる愛情の問題ではなく、経済的安定を得るための重要な手段でした。

物語の中では、様々な結婚観が描かれています。

シャーロットのような現実的な結婚観(「幸せな結婚というのは全くの偶然です。お互いの性格をどれだけ知っていても、結婚してみなければ幸せかどうかなんてわからないもの」)。

ベネット夫人のような財産重視の結婚観(「娘たちに金持ちの婿を取って片付けてしまおう」)。

そしてエリザベスのような愛情重視の結婚観(「世界中の富をくれても、あなたのような方とは結婚できません」)。

当時の社会では、未婚の女性が家族の扶養から離れて生きていくことは非常に困難でした。

そのため、良い結婚相手を見つけることが女性にとって切実な問題だったことを理解すると、作品の理解がより深まります。

「高慢」と「偏見」というテーマの普遍性

タイトルにもなっている「高慢」と「偏見」というテーマは、200年以上経った現代においても普遍的な人間の特性を表しています。

私たちは今でも、第一印象や限られた情報から他者を判断しがちです。

エリザベスがウィカムの話だけを信じてダーシーを誤解したように、私たちも一方的な情報だけで人を判断することがあります。

また、ダーシーのように自分の社会的立場や能力に自信があるあまり、相手を見下してしまうこともあるでしょう。

この物語は、そうした人間の弱さを描きながらも、相互理解と自己成長によってそれらを乗り越えられることを示しています。

「本当の人間性を見極めるには、先入観を捨て、相手をよく知ることが大切だ」というメッセージは、今日の私たちの人間関係にも通じるものがあるでしょう。

『高慢と偏見』の読書感想文の例(原稿用紙4枚/約1600文字)

私は今回、ジェイン・オースティンの『高慢と偏見』を読んだ。200年以上も前に書かれた本だけれど、登場人物たちが抱える悩みや成長する姿が、現代に生きる私たちにも通じるものを感じた。

物語の主人公エリザベス・ベネットは、最初から完璧な人間として描かれていない。むしろ彼女は自分の判断力を過信し、ダーシーという人物に対して強い偏見を持っていた。私も人を見た目や最初の印象だけで判断してしまうことがあるから、エリザベスの気持ちがよく分かった。

特に印象に残ったのは、エリザベスがダーシーの手紙を読んで自分の誤りに気づくシーンだ。「私はなんて愚かだったのだろう」というエリザベスの気持ちは、自分の間違いに気づいたときの恥ずかしさをリアルに表現していて、思わず共感してしまった。人は誰でも間違えるけれど、それを認めて成長できる人が本当に強いんだと思う。

この物語を通して、私は「本当の人間性を見極めるには時間がかかる」ということを学んだ。エリザベスはダーシーの本当の姿を知るまでに多くの出来事を経験し、自分の偏見と向き合わなければならなかった。私たちも普段、SNSなどで人の一面だけを見て判断しがちだけど、それって実はすごく危険なことなのかもしれない。

また、当時の女性たちの結婚観についても考えさせられた。シャーロットは27歳という当時では「売れ残り」の年齢で、愛のない結婚を選んだ。現代の私たちからすれば理解しがたい選択かもしれないけれど、当時の社会では女性が自立して生きていくことがほぼ不可能だったことを考えると、彼女の決断も納得できる。今の時代に生まれた私はすごく恵まれているんだと実感した。

ベネット家の五人姉妹の性格もそれぞれ違っていて面白かった。特に末っ子のリディアは、今でいうインフルエンサーみたいな感じで、軽率だけど行動力があって周りを巻き込んでいく。彼女が起こした事件は今読んでも「やばい」と思うくらいスキャンダラスで、そこから家族を救うダーシーの行動には感動した。

ダーシーという人物も興味深かった。最初は「超高飛車」な印象だったけど、実は内気で社交が苦手なだけという一面もあり、エリザベスへの愛情から自分を変えようとする姿勢には心を打たれた。人は誰でも多面的で、表面だけではわからない部分があるということを改めて感じた。

この物語は恋愛小説というくくりに収まらない深さがある。確かに主人公たちの恋模様は面白いけれど、それ以上に「自分を知ること」「他者を理解すること」の難しさと大切さを教えてくれる。高慢と偏見は、人間関係を壊す原因になりうるけれど、それを乗り越えることで人は成長できる。

文体も面白くて、特に登場人物たちの会話のやり取りが絶妙だった。エリザベスの機知に富んだ受け答えや、ベネット夫人の滑稽なまでの心配りなど、キャラクターたちの個性が台詞から伝わってくる。翻訳本だけど、原作の魅力がしっかり伝わってきた。

最後に、この作品の普遍性について考えた。200年以上前のイギリスという、私たちの生活とはかけ離れた世界の話なのに、なぜこんなにも共感できるのだろう。それは人間の本質的な部分—誤解、偏見、プライド、そして愛情—が時代や国を超えて変わらないからなのだと思う。

『高慢と偏見』は長い小説だったけれど、読み終えた後には達成感と同時に少し寂しさも感じた。もっとエリザベスやダーシーの物語を知りたいと思ったし、彼らの世界にもっといたいと思った。それが本当に素晴らしい小説の証だと思う。

この本のおかげで、私は人との関わり方について改めて考えるきっかけを得た。先入観にとらわれず、相手の本当の姿を見ようとすることの大切さを、これからの生活に活かしていきたい。

『高慢と偏見』はどんな人向けの小説?

『高慢と偏見』はどんな人に向いている小説なのでしょうか?

200年以上も読み継がれてきた理由は、様々な人の心に響く普遍的な魅力があるからです。

  • 人間関係の機微に興味がある人
  • 古典文学の名作を楽しみたい人
  • 精緻な心理描写を味わいたい人
  • 19世紀初頭のイギリス社会に興味がある人
  • 恋愛小説が好きな人
  • 風刺や皮肉の効いた会話を楽しみたい人
  • 女性の自立や選択について考えたい人

特に、人間の成長や変化の物語が好きな人にとって、この小説は大きな感動を与えてくれるでしょう。

エリザベスとダーシーの関係性の変化は、今日の人間関係にも通じるものがあります。

『高慢と偏見』に類似した内容の小説3選

『高慢と偏見』を読んで面白かった方は、以下の作品も楽しめるかもしれません。

どれも人間関係や社会の描写に優れた作品ばかりです。

『細雪(ささめゆき)』(谷崎潤一郎)

昭和初期の関西を舞台に、四姉妹の結婚話を中心に展開する小説。

特に三女・雪子の結婚問題を中心に、当時の上流階級の生活や価値観が細やかに描かれています。

『高慢と偏見』と同様に、結婚が女性の人生を左右する重要な問題として描かれており、家族関係や社会的体面の描写が類似しています。

『エマ』(ジェイン・オースティン)

同じオースティンの作品で、裕福な家庭に育った美しく聡明な娘エマが、周囲の縁談に首を突っ込むうちに自分自身の恋愛に気づいていく物語です。

エマの「おせっかい」から生まれる誤解や偏見が物語を動かし、『高慢と偏見』のエリザベスと同様に、主人公の成長が描かれています。

『ジェイン・エア』(シャーロット・ブロンテ)

貧しい家庭に育った孤児ジェインが、家庭教師として働く屋敷の主人ロチェスターとの恋愛を描いた小説です。

『高慢と偏見』と同じく、階級の違いを超えた恋愛が描かれていますが、より暗く情熱的な雰囲気を持っています。

主人公の強い意志と自立心、そして真実の愛を求める姿勢は、エリザベス・ベネットと通じるものがあります。

振り返り

今回は、ジェイン・オースティンの名作『高慢と偏見』について、あらすじや登場人物、読書感想文のポイントなどを紹介しました。

この小説は単なる恋愛物語ではなく、人間の成長や相互理解、社会背景と個人の選択など、様々なテーマを含んだ奥深い作品です。

長い本ですが、読み進めるほどに引き込まれる魅力があります。

読書感想文を書く際は、主人公の成長や当時の社会背景、そして「高慢」と「偏見」というテーマの普遍性に注目すると、より深い考察ができるでしょう。

ぜひこの機会に『高慢と偏見』の世界を楽しんでください。

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