『コンビニ人間』の面白いところを紹介したいと思います。
この小説はコンビニでバイトをする36歳の女性を通して、私たちの「普通」という考え方に疑問を投げかける物語なんです。
でも、ただの「コンビニで働く人の話」じゃないんですよ。
私たちの周りにある「誰かを正常な人間にしようとする圧力」の正体を、とってもユニークな視点で描いているんですね。
今回は『コンビニ人間』の魅力や面白いポイントを詳しく紹介していきましょう。
この小説を読むか迷っている人に、私が感じた面白さが少しでも伝われば嬉しいです。
『コンビニ人間』の面白いところ
まずは、『コンビニ人間』の面白いポイントを箇条書きで紹介します。
- マニュアル通りの行動で「普通の人」になれると信じる主人公の姿が新鮮
- コンビニという場所が持つ不思議な魅力
- 私たちの周りにある「普通」という価値観の正体があらわになる点
マニュアル人間になりたい主人公
主人公の古倉恵子は、子供の頃から周りの人たちと同じように振る舞えない女性です。
でも、大学生の時にコンビニでバイトを始めたことで人生が変わります。
なぜなら、コンビニにはマニュアルがあったから。
声の大きさ、お辞儀の角度、笑顔の作り方まで、全部マニュアルに書いてあります。
そのマニュアル通りに動けば、誰からも変な目で見られることはありません。
むしろ「いい店員さんだね」って褒められるんです。
この設定がすごく面白いんですよね。
コンビニという不思議な空間
作品の舞台になるコンビニは、とても興味深い場所として描かれています。
24時間営業で、いつも同じ商品が同じ場所に並んでいて、店員は同じ言葉を繰り返します。
まるで時間が止まったような空間なんです。
そんなコンビニの中で、主人公は「普通の人」として生きられる居場所を見つけます。
私も学生時代にコンビニでバイトしていたので、この描写にはとても共感できました。
「普通」という呪縛
この小説を読んでいると、私たちの周りにある「普通」という価値観が見えてきます。
36歳で独身、正社員じゃない、恋人もいない。
そんな主人公に向けられる周りからの視線が、とてもリアルに描かれているんです。
「早く結婚しなよ」「もっといい仕事を探したら?」
こういう言葉の裏には「普通じゃない人生を送っている人を普通にしよう」という圧力が隠れています。
※『コンビニ人間』のあらすじはこちらの記事でご確認ください。

『コンビニ人間』の面白い場面
次は、私が特に印象に残った『コンビニ人間』の名シーンを3つ紹介します。
- 主人公が初めてコンビニバイトを始める場面
- 迷惑なお客さんが排除される場面
- コンビニの「声」が聞こえる場面
コンビニデビューの場面
主人公が初めてコンビニでバイトを始める場面は、とても印象的。
研修で「コンビニ店員の動き方」を学んでいくうちに、彼女の表情が明るくなっていきます。
「これならできる」「これなら私も普通の人になれる」
そんな希望に満ちた気持ちが伝わってくるんですね。
私も初バイトの時の緊張感を思い出しながら読みました。
迷惑客の排除シーン
店内で大声を出したり、他のお客さんに話しかけたりする迷惑なおじさんが登場します。
最初は周りのお客さんも店員も困った表情を浮かべるんですが、店長が静かにおじさんを外に連れ出します。
その後、お店の空気がスーッと元に戻っていく様子がとても印象的でした。
まるで「普通じゃないもの」が排除されて、(コンビニ限定の)秩序が取り戻された感じが奇妙でありながら落ち着くというか……。
コンビニの声が聞こえる場面
物語のクライマックスで、主人公にコンビニの「声」が聞こえてくるシーンがあります。
「お弁当の在庫が少なくなってきた」「アイスの陳列を直さないと」
そんな声が次々と聞こえてくるんです。
普通なら「幻聴かな?」って思うところですが、なぜか読んでいて心地よい感覚になります。
ここまできたら私(読者)もコンビニ人間の一部なのかもしれません。
※『コンビニ人間』で作者が伝えたいことは、以下の記事で考察しています。

『コンビニ人間』の評価表
評価項目 | 点数 | コメント |
---|---|---|
ストーリー | ★★★★★ | 独特な設定と展開が魅力的 |
感動度 | ★★★★☆ | 主人公の生き方に考えさせられる |
ミステリ性 | ★★★☆☆ | 謎解き要素は少なめ |
ワクワク感 | ★★★★☆ | 展開に引き込まれる |
満足度 | ★★★★★ | 読後感がとても良い |
『コンビニ人間』を読む前に知っておきたい予備知識
『コンビニ人間』をより楽しむための予備知識を3つ紹介します。
- 芥川賞を受賞した話題作
- 作者の村田沙耶香さんの代表作
- コンビニバイト経験がなくても楽しめる
芥川賞受賞作品
『コンビニ人間』は2016年に芥川賞を受賞した作品です。
でも難しい表現や分かりにくい言葉は使われていません。
とても読みやすい文章で書かれているので、文学作品が苦手な人でも楽しめると思います。
実際に芥川賞の審査員のひとりである作家の山田詠美さんは、こんな寸評を残しています。
山田詠美は、「コンビニという小さな世界を題材にしながら、小説の面白さの全てが詰まっている。十年以上選考委員を務めてきて、候補作を読んで笑ったのは初めてだった」と評価した。
村田沙耶香さんの代表作
作者の村田沙耶香さんは、現代社会の問題をユニークな視点で描く作家として知られています。
特に「普通」や「常識」という価値観に疑問を投げかける作品が多いです。
この作品を読んで面白いと感じた人は、他の村田作品も楽しめると思います。
コンビニ未経験でもOK
コンビニでバイトした経験がなくても、十分に楽しめる作品です。
むしろコンビニという誰もが知っている場所を舞台にすることで、物語の不思議さがより際立っています。
『コンビニ人間』を面白くないと思う人
『コンビニ人間』は、以下のような人には面白さが伝わりにくいかもしれません。
- ドキドキするような展開を期待する人
- ハッピーエンドが好きな人
- 主人公に共感できる部分を求める人
- 現実的な生き方を望む人
振り返り
『コンビニ人間』は、一見すると変わった主人公の物語に見えます。
でも読み進めていくと、私たちの社会が持つ「普通」という価値観について考えさせられます。
コンビニという身近な場所を舞台に、現代人が抱える生きづらさを描いた秀作だと思います。
コンビニが好きな人も嫌いな人も、ぜひ一度手に取ってみてください。
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