『銀河鉄道の夜』の読書感想文を書く予定の皆さんに向けて、今回は感想文の書き方を詳しく解説していきますよ。
『銀河鉄道の夜』は宮沢賢治による童話作品で、孤独な少年ジョバンニが友人カムパネルラと銀河鉄道の幻想的な旅をする物語です。
この作品は宮沢賢治童話の代表作のひとつとされており、生と死、友情、そして「ほんとうのさいわい」というテーマが深く描かれています。
この記事では、読書が趣味で年間100冊以上の本を読む私が小学生・中学生・高校生それぞれの学年に合わせた例文を800字・1200字・2000字で用意しました。
書き出しから構成まで、皆さんがパクリではなく自分の言葉で感想文を書けるようにサポートしていきますね。
『銀河鉄道の夜』の読書感想文で触れたい3つの要点
『銀河鉄道の夜』の読書感想文を書くときには、以下の3つの要点を必ず押さえておきましょう。
- 「ほんとうのさいわい」とは何かという哲学的テーマ
- ジョバンニとカムパネルラの友情と自己犠牲
- 孤独から成長への主人公の心の変化
これらの要点について読みながら「自分はどう感じたか」をメモしておくことが大切です。
感情や考えを書き留めておくことで、あとから感想文を書くときにスムーズに書けるようになりますよ。
メモの取り方としては、印象に残った場面や登場人物の行動について「なぜそう思ったのか」「自分だったらどうするか」という視点で書いておくといいでしょう。
「どう感じたか」が重要な理由は、読書感想文では自分の考えや感情を表現することが最も評価されるポイントだからです。
「ほんとうのさいわい」の意味
物語の中で繰り返し登場する「ほんとうのさいわい」というキーワードは、『銀河鉄道の夜』の核心となるテーマです。
ジョバンニとカムパネルラは銀河鉄道の旅を通じて、様々な人々と出会い、それぞれの生き方や価値観に触れていきます。
特に「蠍の火」のエピソードでは、自分の命を犠牲にして他の生き物を救った蠍の話が語られ、自己犠牲の美しさが描かれています。
この場面を読んで、あなたは「本当の幸せ」についてどう考えましたか。
自分だけが幸せになることと、誰かのために生きることの違いについて、自分なりの考えを整理してみてください。
現代社会でも通じる普遍的なテーマなので、身近な体験と結び付けて考えると深い感想が書けるでしょう。
ジョバンニとカムパネルラの関係性(友情と自己犠牲)
ジョバンニとカムパネルラの関係性は、この物語の感動的な核となっています。
カムパネルラは学校では人気者で優等生として描かれていますが、ジョバンニがクラスメイトにからかわれているときも気の毒そうにしている優しい少年です。
銀河鉄道の旅では、二人は「みんなの本当の幸いのためにどこまでも一緒に行こう」と誓い合います。
しかし現実世界では、カムパネルラは川に落ちた友達を救うために自分の命を犠牲にしてしまうのです。
このカムパネルラの行動について、あなたはどう感じましたか。
友情とは何か、本当の勇気とは何かについて、自分の経験や価値観と照らし合わせて考えてみましょう。
また、友達を失ったジョバンニの気持ちについても想像して、言葉にしてみてください。
孤独と成長のプロセス
ジョバンニは物語の始まりでは、家庭の事情や周囲からの視線によって深い孤独を感じている少年として描かれています。
父親が長らく家に帰らず、病気の母親の世話をしながらアルバイトもしなければならない厳しい状況にあります。
学校でもクラスメイトからからかわれ、まるで幽霊のような存在として扱われています。
しかし銀河鉄道の旅を経験し、カムパネルラの死という現実と向き合うことで、ジョバンニは大きく成長していきます。
物語の最後では、父親の帰還という希望も見えてきて、ジョバンニは新しい自分として歩み始めるのは読んだ通り。
この変化について、あなたはどのような印象を持ちましたか。
孤独や困難をどう乗り越えるかという問題は、多くの人が経験することです。
自分自身の体験と重ね合わせながら、成長について考えてみてください。
※『銀河鉄道の夜』が伝えたいことや疑問点の解説はこちらの記事が詳しいです。


『銀河鉄道の夜』の読書感想文の例文(800字の小学生向け)
【題名】星の旅で学んだ本当の幸せ
私は『銀河鉄道の夜』を読んで、本当の幸せとは何なのかについて考えた。
主人公のジョバンニは、お父さんが家にいなくて、お母さんが病気で、クラスの友達からもいじめられていて、寂しい毎日を送っていた。
でも、親友のカムパネルラと一緒に銀河鉄道に乗って、きれいな星空の旅をすることになる。この旅がとても美しくて、まるで本当に宇宙を旅しているような気持ちになった。
銀河鉄道では、いろいろな人たちと出会う。特に印象に残ったのは、船が沈んでしまって亡くなった人たちが乗ってくる場面だった。その中の女の子が「蠍の火」の話をしてくれるのだけれど、この話がとても心に残った。
蠍は自分の体を燃やして、みんなのために明かりになったという話で、誰かのために自分を犠牲にすることの大切さを教えてくれる。
そして、この物語で一番悲しかったのは、カムパネルラがいなくなってしまうことだった。現実の世界では、カムパネルラは川に落ちた友達を助けようとして、自分が流されてしまったのだ。
カムパネルラは本当に優しくて勇気のある人だと思った。自分よりも友達の命を大切にして、助けに行ったのだから。
でも、ジョバンニが悲しんでいるのを見て、私も胸が苦しくなった。大切な友達を失うことは、とてもつらいことだと思う。
この本を読んで、私は「本当の幸せ」について考えた。お金持ちになるのが幸せなのではなく、誰かのことを心から大切に思える気持ちや、困っている人を助けることが本当の幸せなのだろう。
カムパネルラのように、自分よりも他の人のことを考えられる人になりたいと思った。
ジョバンニも最初は寂しくて孤独だったけれど、カムパネルラとの友情や、銀河鉄道での体験を通して、強くて優しい人になったと思う。私も、友達や家族を大切にして、みんなが幸せになれるような人になりたい。
そして、困っている人がいたら、カムパネルラのように勇気を出して助けてあげたいと思った。『銀河鉄道の夜』は、本当に大切なことを教えてくれる素晴らしい物語だった。
『銀河鉄道の夜』の読書感想文の例文(1200字の中学生向け)
【題名】宇宙に響く友情のメッセージ
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を読み終えて、私は人生において本当に大切なものは何かということについて、これまで以上に深く考えるようになった。
この物語は、主人公ジョバンニが親友カムパネルラと共に幻想的な銀河鉄道の旅をする話だが、そこには人間の生き方や価値観について重要なメッセージが込められていると感じた。
まず印象的だったのは、ジョバンニの置かれている状況である。
父親が長期間家を空けており、病気の母親の世話をしながらアルバイトをしなければならない彼の生活は、決して楽なものではない。
学校でもクラスメイトからからかわれ、孤独感を深めている様子が丁寧に描かれている。
現代でも、家庭の事情や人間関係で悩んでいる人は多いと思うが、ジョバンニの境遇には多くの人が共感できるのではないだろうか。私自身も、時々周りから理解されていないような気持ちになることがあるので、ジョバンニの寂しさがよく分かった。
銀河鉄道の旅では、様々な乗客との出会いがある。
特に心に残ったのは、沈没船の事故で亡くなった人たちが乗車してくる場面である。その中で語られる「蠍の火」のエピソードは、自己犠牲の美しさを象徴的に表現している。
蠍が自分の体を燃やして他の生き物のために光となる話は、誰かのために生きることの意味を深く問いかけている。この話を聞いたジョバンニとカムパネルラが「みんなの本当の幸いのために」共に歩もうと誓い合う場面は、友情の純粋さと尊さを感じさせてくれる。
しかし、物語の結末で明かされるカムパネルラの運命は、読者に大きな衝撃を与える。
川に落ちたザネリを助けようとして、自分が溺れてしまうという彼の行動は、まさに「蠍の火」のエピソードを現実に体現したものだった。
カムパネルラは言葉だけでなく、実際の行動で「ほんとうのさいわい」を示したのである。この場面を読んで、私は本当の勇気とは何かについて考えさせられた。
自分の身の安全を顧みずに他人を助けるカムパネルラの行動は、確かに立派だが、同時に友を失ったジョバンニの悲しみも痛いほど伝わってくる。それでもなお、誰かのために行動することの価値を、この物語は私たちに問いかけているのだと思う。
また、ジョバンニの成長についても注目したい。物語の始まりでは孤独で消極的だった彼が、銀河鉄道の体験とカムパネルラの死という現実を受け入れることで、新しい決意を固めていく過程が丁寧に描かれている。
『銀河鉄道の夜』を読んで、私は「ほんとうのさいわい」とは何かについて自分なりの答えを見つけたいと思った。それは決して自分だけの幸せを追求することではなく、周りの人たちと共に幸せになれるよう努力することなのかもしれない。
カムパネルラのような究極の自己犠牲は簡単にできることではないが、日常の小さな思いやりや優しさから始めることはできると思う。この作品が多くの人に愛され続けているのは、時代を超えて通用する普遍的な価値観が描かれているからだろう。
私も、友情を大切にし、困っている人がいたら手を差し伸べられるような人間になりたいと強く思った。
『銀河鉄道の夜』の読書感想文の例文(2000字の高校生向け)
【題名】永遠に輝く友情の光
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を読み終えて、私は人間の存在意義と真の幸福について、深く考えこんでしまった。
この作品は、一見すると少年二人の幻想的な宇宙旅行を描いた童話のように見えるが、その奥底には生と死、友情、自己犠牲、そして人生の意味といった重厚なテーマが織り込まれている。
物語の主人公ジョバンニの境遇は、現代社会においても決して珍しいものではない。
父親の長期不在、母親の病気、経済的困窮、そして学校での孤立感など、彼が直面している問題は形を変えながらも現在でも存在している。
特に、家庭の事情により同世代の子供たちと同じような生活を送れないジョバンニの状況は、格差社会と言われる現代においてより深刻な問題として捉えることができる。
朝の新聞配達から夕方の活版所でのアルバイトまで、幼い肩に重い責任を背負わされているジョバンニの姿は、読者に強い同情を呼び起こす。
このような現実的な設定から始まる物語が、やがて幻想的な銀河鉄道の旅へと展開していく構成は実に巧妙である。
現実の重圧から逃れるように始まる旅は、しかし単なる逃避ではなく、むしろ人生の本質的な問題と向き合うための準備段階として機能している。
銀河鉄道で出会う様々な乗客たちは、それぞれが異なる人生観や価値観を体現しており、ジョバンニとカムパネルラにとって重要な学びの機会を提供している。
特に印象深いのは、タイタニック号を思わせる客船の沈没事故で亡くなった姉弟と家庭教師の青年である。彼らが語る「蠍の火」のエピソードは、この作品の中核となるメッセージを象徴的に表現している。
自分の身を犠牲にしてでも他者のために尽くすという蠍の行動は、キリスト教的な愛の精神を連想させると同時に、仏教的な慈悲の概念とも通じるものがある。
この「蠍の火」の話を聞いたジョバンニとカムパネルラが「みんなの本当の幸いのためにどこまでも一緒に行こう」と誓い合う場面は、友情の純粋さと崇高さを表現した名場面だ。
しかし、この美しい誓いが現実世界では悲劇的な形で実現されることになる。
カムパネルラがザネリを救うために自らの命を犠牲にするという結末は、読者に強烈な印象を残すと同時に、言葉と行動の一致という重要なテーマを提示している。
カムパネルラの行動は確かに崇高で美しいが、同時に残された者の悲しみという現実も無視することはできない。友を失ったジョバンニの心境を思うとき、私は自己犠牲の美しさと同時にその重い代償についても考えざるを得ない。
カムパネルラの選択は、道徳的に正しい行動とその結果について、私たちに深い思索を促している。
また、この作品で注目すべきは、ジョバンニの精神的成長の過程である。
物語の冒頭では受動的で内向的だった彼が、銀河鉄道の体験を通じて徐々に自己を見つめ直し、最終的には現実と向き合う勇気を得ていく。カムパネルラの死という現実を受け入れることで、ジョバンニは一回り大きな人間として成長している。
この変化は、青春期における自我の確立という普遍的なテーマとも重なり、現代の若者である私自身も、ジョバンニの成長過程には多くの共感を覚えた。
困難な状況に直面したとき、それを単に避けて通るのではなく、正面から受け止めることの大切さを、この作品は教えてくれている。
『銀河鉄道の夜』が提起する「ほんとうのさいわい」という問題は、現代社会においてもきわめて重要な意味を持っている。
物質的な豊かさや個人的な成功が幸福の指標とされがちな現代において、他者との関わりの中でこそ見いだされる真の幸福について考えることは、決して古臭い道徳論ではない。
むしろ、グローバル化が進む現代社会において、異なる背景を持つ人々と共生していくために必要不可欠な視点である。
カムパネルラの自己犠牲的な行動は極端な例かもしれないが、日常生活における小さな思いやりや配慮から始まる「みんなのさいわい」への貢献は、誰にでも可能なことである。
学校や職場、地域社会において、自分だけの利益を追求するのではなく、周囲の人々の幸福も同時に考えることの重要性を、この作品は私たちに示しているだろう。
宮沢賢治独特の詩的な文体と幻想的な世界観は、読者を日常から解放し、想像力を豊かに刺激してくれる。
科学的知識と宗教的情熱、現実的な社会意識と理想主義的な世界観が絶妙に調和した作品世界は、他に類を見ない独創性を持っている。
『銀河鉄道の夜』を読むことで、私は文学作品が持つ力の大きさを改めて実感した。
この作品との出会いを通じて、私は友情の尊さ、他者への思いやりの大切さ、そして困難に立ち向かう勇気について多くのことを学んだ。
これからの人生において、カムパネルラの純粋な友情と自己犠牲の精神を胸に刻みながら、「ほんとうのさいわい」を追求していきたいと思う。
振り返り
今回は『銀河鉄道の夜』の読書感想文について、小学生から高校生まで各学年に応じた書き方を詳しく解説してきましたね。
重要なのは、作品の3つの要点を理解した上で、自分なりの感想や考えを素直に表現することです。
パクリではなく、あなた自身の言葉で書かれた感想文こそが、読み手の心に響く素晴らしい作品になります。
書き出しに悩んだときは、今回紹介した例文を参考にしながら、自分の体験や価値観と重ね合わせて考えてみてください。
800字でも1200字でも2000字でも、文字数に関係なく、あなたの心に響いたポイントを大切にして書いていけば、必ず良い感想文が完成しますよ。
『銀河鉄道の夜』という素晴らしい作品との出会いを通じて、あなたも「ほんとうのさいわい」について深く考える機会にしてくださいね。
※『銀河鉄道の夜』の読書感想文を書く際に役立つ記事がこちらです。


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