夏目漱石の『三四郎』は、明治時代を舞台にした心温まる青春小説。
今回は、この作品のあらすじを簡単に短いバージョンから詳しくて長いバージョンまで、いろんな長さでまとめてみました。
読書が大好きで年間100冊以上の本を読んでいる私が、特に読書感想文を書く予定の学生さんに向けて、作品の重要なポイントや登場人物たち、そして読了時間までくわしく解説していきます。
『三四郎』の短いあらすじ
『三四郎』の簡単なあらすじ
『三四郎』の詳しいあらすじ
明治41年、23歳の小川三四郎は、大学進学のため九州から上京する。東京での新生活に戸惑いながらも、同級生の与次郎や、先輩格の野々宮宗八と親交を深めていく。ある日、大学の池のほとりで美しい女性・里見美禰子と出会う。
知的で魅力的な美禰子に、三四郎は次第に心惹かれていく。しかし、美禰子の言動は時として謎めいており、三四郎は彼女の真意を測りかねていた。画家の原口のアトリエで美禰子のモデル姿を目にした三四郎は、自分の気持ちを告げようとするが、そこへ見知らぬ紳士が現れ、美禰子を連れ去ってしまう。
その後、美禰子の縁談が決まったことを知った三四郎は、最後の別れを告げに彼女の家を訪れる。美禰子は三四郎へ香水の染みついたハンカチを渡し、かすかなため息とともに結婚の話を認めるのだった。
『三四郎』の読書感想文で外せない3つの重要ポイント
『三四郎』には、読書感想文を書く際に必ず押さえておきたい重要なポイントがあります。
以下の3つについて、くわしく解説していきますね。
- 田舎から都会への上京がもたらす心理的変化
- 美禰子との出会いによる成長
- 「迷える子羊(stray sheep)」というテーマ
田舎から都会への上京がもたらす心理的変化
九州の田舎から東京という大都会に出てきた三四郎の心理的な変化は、当時の日本の近代化を象徴する重要な要素です。
都会の文化や価値観に戸惑いながらも、徐々に適応していく様子が繊細に描かれています。
美禰子との出会いによる成長
知的で魅力的な美禰子との出会いは、三四郎の人生を大きく変える転機となります。
彼女との関係を通じて、三四郎は恋愛感情や人間関係の機微を学んでいく過程で成長していくんですね。
「迷える子羊(stray sheep)」というテーマ
作品全体を通じて繰り返し登場する「stray sheep(迷える子羊)」というモチーフは、近代化する日本社会の中で自己を見失う若者の姿を象徴しています。
※『三四郎』を通して夏目漱石が伝えたいことは、以下の記事で解説しています。

『三四郎』の主な登場人物たち
『三四郎』の物語を彩る個性豊かな登場人物たちを、表でまとめてみました。
人物名 | 説明 |
---|---|
小川三四郎 | 主人公。23歳。九州から上京して東京帝国大学に入学する青年 |
里見美禰子 | 23歳の都会の女性。知的で魅力的な性格の持ち主 |
佐々木与次郎 | 三四郎の大学での友人。明るく社交的な性格 |
野々宮宗八 | 理科大学の教師。三四郎の同郷の先輩 |
広田萇 | 第一高等学校の英語教師。独身で物静かな性格 |
『三四郎』の文字数と読了時間
『三四郎』の文字数から読了時間の目安を予測してまとめました。
項目 | 数値 |
---|---|
総文字数 | 189,113文字 |
ページ数 | 約315ページ |
読了時間の目安 | 約6時間20分 |
『三四郎』はこんな人におすすめ
『三四郎』は、以下のような方に特におすすめです。
- 青春時代の繊細な心情に共感したい人
- 明治時代の東京や学生生活に興味がある人
- 切ない恋愛小説が好きな人
- 人間関係の機微を丁寧に描いた作品を読みたい人
※『三四郎』の面白いところは以下の記事で解説しています。

『三四郎』に似た作品3選
『三四郎』の世界観や雰囲気に近い作品を3つ紹介します。
村上春樹『ノルウェイの森』
主人公が地方から上京し、大学生活を送りながら恋愛を経験するという設定が『三四郎』と重なります。
若者の心の揺れや成長が繊細に描かれています。
夏目漱石『それから』
『三四郎』の続編として位置づけられる作品です。
主人公の心理描写や人間関係の機微が丁寧に描かれており、『三四郎』と同様の魅力があります。

有川浩『阪急電車』
都会を舞台に、さまざまな出会いと別れを描く青春小説です。
登場人物たちの繊細な心情描写という点で『三四郎』と通じるものがあります。
振り返り
青春、恋愛、そして成長をテーマにした『三四郎』は、100年以上の時を経た今でも多くの読者の心に響く名作です。
特に、主人公の心情描写の繊細さは、現代の若者にも共感を呼ぶはず。
読書感想文を書く際は、ぜひこの記事で紹介したポイントを参考にしてみてくださいね。
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