『また、同じ夢を見ていた』の読書感想文を書く予定の皆さん、こんにちは。
住野よるさんが贈るこの心温まる青春小説は、幸せとは何かを問い続ける小学生・奈ノ花の成長物語です。
本作は、現実と夢が交錯する不思議な世界観の中で、少女が様々な大人たちとの出会いを通して真の幸せを見つけていく感動的な作品として多くの読者に愛されています。
年間100冊以上の本を読み続けている私が、この小説の読書感想文を書く際のポイントを詳しく解説していきますよ。
中学生・高校生の皆さんが心に響く感想文を書けるよう、丁寧にサポートしていきますね。
『また、同じ夢を見ていた』の読書感想文を書くうえで外せない3つの重要ポイント
『また、同じ夢を見ていた』の読書感想文を書く際に、必ず押さえておきたい重要なポイントがあります。
これらのポイントを理解することで、作品の核心に迫った深い感想文が書けるようになりますよ。
- 「幸せとは何か」という普遍的な問いへの向き合い方
- 登場人物たちとの出会いが持つ深い意味
- タイトルに込められた多重的なメッセージ
この3つのポイントを軸にして感想文を構成すれば、読み手の心に響く文章が完成するでしょう。
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょうね。
「幸せとは何か」という普遍的な問いへの向き合い方
『また、同じ夢を見ていた』の最大の魅力は、主人公・奈ノ花が「幸せとは何か」という問いに真摯に向き合っていく姿です。
国語の授業での課題をきっかけに始まるこの探求は、読者である皆さんにも同じ問いを投げかけてきます。
奈ノ花は最初、自分の賢さを誇り、周りの人々を見下すような少女でした。
しかし物語が進むにつれて、彼女の「幸せ」に対する考え方は大きく変化していきます。
感想文では、奈ノ花の幸せ観がどのように変わっていったのかを具体的に追ってみましょう。
「幸せは勝ち取るもの」から「足元にあるささやかなもの」へ、「一人で得るもの」から「他者との繋がりの中にあるもの」へと変化する過程は、私たちにも多くの気づきを与えてくれます。
皆さん自身が「幸せ」について日頃どう考えているか、奈ノ花の成長を見てどんなことを感じたかを率直に書いてみてください。
この作品を読んで、自分なりの「幸せ」の定義が変わったかどうかも重要な視点になりますね。
奈ノ花の心の動きを丁寧に読み取り、自分の体験や価値観と重ね合わせることで、説得力のある感想文になるでしょう。
登場人物たちとの出会いが持つ深い意味
『また、同じ夢を見ていた』では、奈ノ花が出会う大人たち一人ひとりが特別な意味を持っています。
南さん、アバズレさん、おばあちゃんという三人の女性は、それぞれ異なる人生を歩み、奈ノ花に大切なことを教えてくれる存在です。
感想文を書く際は、これらの登場人物がどのような役割を果たしているのかを深く考察してみましょう。
南さんは奈ノ花に「自分がここにいていいって、認めてもらうこと」が幸せだと教えてくれます。
アバズレさんは「誰かのことを真剣に考えられること」の大切さを伝えてくれますね。
おばあちゃんは温かい存在として、奈ノ花の心の支えになってくれます。
これらの出会いが、孤独だった奈ノ花にとってどれほど意味深いものだったかを考えてみてください。
また、彼女たちとの会話や交流を通して、奈ノ花がどのように変わっていったのかも重要なポイントです。
感想文では、自分だったらこの三人の大人たちからどんなことを学びたいか、どの言葉が一番心に響いたかなども書いてみると良いでしょう。
登場人物たちの存在が、奈ノ花の成長にとって不可欠だったことを、具体的なエピソードを交えて説明することで、作品への理解の深さが伝わります。
タイトルに込められた多重的なメッセージ
『また、同じ夢を見ていた』というタイトルには、作品全体を貫く深い意味が込められています。
このタイトルを単純に「同じ夢を繰り返し見る」という現象として捉えるだけでは、作品の本質を見逃してしまいます。
感想文では、このタイトルが持つ多層的な意味について、自分なりの解釈を述べることが大切です。
一つの解釈として、奈ノ花が様々な出会いを通して「人生において何度も向き合うべきテーマ」に繰り返し触れることを表している可能性があります。
また、「幸せ」という抽象的な概念を、異なる角度から繰り返し見つめ直す奈ノ花の姿を象徴しているとも考えられますね。
さらに深く読み込むと、このタイトルは時間軸を超えた繋がりを示唆している可能性もあります。
過去、現在、未来が循環する中で、奈ノ花が大切なメッセージを受け取っていく様子を表現しているのかもしれません。
感想文では、このタイトルを見たときの第一印象と、作品を読み終わった後の印象の変化についても触れてみましょう。
タイトルの意味を考えることで、作品全体への理解がより深まり、読後の余韻についても語ることができるでしょう。
自分なりの解釈を恐れずに書くことで、オリジナリティのある感想文になりますよ。
※『また、同じ夢を見ていた』で作者が伝えたいことはこちらの記事でご紹介しています。

『また、同じ夢を見ていた』を読んだら感想をメモしておきたい3項目
『また、同じ夢を見ていた』を読んだ後、感想文を書く前にぜひメモしておきたい項目があります。
これらの項目について自分の素直な気持ちを整理しておくことで、説得力のある感想文が書けるようになりますよ。
- 奈ノ花の成長過程に対してあなたが感じたこと
- 「幸せ」というテーマに対してあなたが感じたこと
- 登場人物たちの言葉や行動に対してあなたが感じたこと
これらの感想をメモしておくことで、自分だけの視点を持った感想文が完成します。
それぞれの項目について詳しく見ていきましょうね。
奈ノ花の成長過程に対してあなたが感じたこと
主人公・奈ノ花の変化や成長について、皆さんがどう感じたかをメモしておくことは非常に重要です。
奈ノ花は物語の始まりでは、自分を特別視し、周りを見下すような少女でした。
しかし様々な出会いを通して、他者を思いやる心や、真の強さとは何かを学んでいきます。
この成長過程を見て、皆さんはどんなことを感じましたか?
共感できる部分はありましたか?
それとも「自分だったら違う選択をしただろう」と思う場面はありましたか?
奈ノ花の成長に感動したのか、時には歯がゆく感じたのか、素直な気持ちをメモしておきましょう。
また、奈ノ花の変化を見て、自分自身の成長について考えたことがあれば、それも大切な感想の材料になります。
中学生・高校生の皆さんにとって、奈ノ花の姿は自分と重なる部分があるかもしれませんね。
「幸せ」というテーマに対してあなたが感じたこと
『また、同じ夢を見ていた』の中心にある「幸せとは何か」というテーマについて、皆さんがどう感じたかをメモしてみましょう。
この作品を読む前と読んだ後で、「幸せ」に対する考え方に変化はありましたか?
奈ノ花が探し続けた「幸せ」の答えに、皆さんは納得できましたか?
それとも「自分にとっての幸せはもっと別のものだ」と感じましたか?
日常生活の中で「幸せ」を感じる瞬間について、この作品を読んで改めて考えることがあったかもしれませんね。
家族との関係、友人との繋がり、将来への希望など、様々な角度から「幸せ」について考えた気持ちをメモしておくと良いでしょう。
また、奈ノ花のように「幸せ」について深く考える機会があまりなかった人は、この作品がきっかけで初めて真剣に向き合ったかもしれません。
そうした新鮮な気持ちも、感想文の大切な材料になりますよ。
登場人物たちの言葉や行動に対してあなたが感じたこと
南さん、アバズレさん、おばあちゃん、そして桐生くんなど、登場人物たちの言葉や行動について感じたことをメモしておきましょう。
どの登場人物の言葉が一番心に響きましたか?
共感できる登場人物はいましたか?
それとも「理解できない」と感じる登場人物もいましたか?
例えば、南さんの「自分がここにいていいって、認めてもらうこと」という言葉をどう受け取ったでしょうか。
アバズレさんの「誰かのことを真剣に考えられること」という幸せの定義についてはどう思いましたか?
また、桐生くんとの関係で見せる奈ノ花の変化についても、皆さんなりの感想があるでしょう。
登場人物たちの行動や選択について、「自分だったらどうするだろう」と考えてみることも大切です。
これらの感想をメモしておくことで、登場人物への理解を深め、作品全体への洞察力を高めることができますね。
※『また、同じ夢を見ていた』の理解を助ける解説はこちらの記事にまとめています。

『また、同じ夢を見ていた』の読書感想文の例(中学生)
【題名】「自分らしい幸せを見つける旅」
私は『また、同じ夢を見ていた』を読んで、幸せとは何かについて深く考えさせられた。主人公の奈ノ花は最初、自分が周りより賢いと思い込んで、一人でいることを選んでいた。でも、様々な大人たちと出会うことで、本当の幸せとは何かを学んでいく。
この物語で一番印象に残ったのは、奈ノ花が「幸せとは何か」という問いに向き合い続ける姿だった。国語の授業の課題から始まったこの問いは、私にとっても身近な疑問だった。普段、幸せについて真剣に考えることはあまりなかったが、奈ノ花の姿を見て、自分なりの答えを探してみたくなった。
南さんが言った「自分がここにいていいって、認めてもらうこと」という言葉が特に心に響いた。私も時々、自分の存在価値について悩むことがある。周りの人から認められたいという気持ちは、きっと多くの人が持っているものだと思う。南さんの言葉を聞いて、人から認められることの大切さを改めて感じた。
また、アバズレさんが奈ノ花に教えた「誰かのことを真剣に考えられること」という幸せの形も印象深かった。最初は一人でいることを好んでいた奈ノ花が、桐生くんのことを真剣に考えるようになる場面では、人との繋がりの温かさを感じることができた。私も友達や家族のことを考えるとき、心が温かくなることがある。アバズレさんの言葉を聞いて、その気持ちが幸せなのだと気づかされた。
奈ノ花の成長過程を見ていて、自分自身のことも振り返ってみた。私も奈ノ花のように、時には周りの人を見下してしまうことがある。でも、この物語を読んで、そうした態度が自分を孤独にしてしまうことを学んだ。奈ノ花が桐生くんと向き合う姿を見て、相手の気持ちを考える大切さを改めて感じた。
タイトルの『また、同じ夢を見ていた』という言葉も不思議で印象的だった。物語を読み終わった今、このタイトルには深い意味があるのだと感じている。奈ノ花が繰り返し夢を見ながら、大切なメッセージを受け取っていく様子は、私たちが人生で何度も同じようなことを学び続けることを表しているのかもしれない。
この物語を読んで、幸せは特別で大きなものではなく、日常の中にある小さなものなのだと思うようになった。家族との何気ない会話や、友達との他愛のない時間、そうしたものすべてが幸せなのだろう。奈ノ花のように、自分らしい幸せを見つけていきたいと思う。
『また、同じ夢を見ていた』の読書感想文の例(高校生)
【題名】「真の成長とは何かを問いかける物語」
住野よるさんの『また、同じ夢を見ていた』は、主人公・奈ノ花が「幸せとは何か」という問いに向き合いながら成長していく物語である。この作品を読んで、私は幸せの意味について深く考えさせられただけでなく、真の成長とは何かについても多くの気づきを得ることができた。
物語の冒頭で描かれる奈ノ花の姿は、多くの読者にとって複雑な感情を抱かせるものだった。彼女は確かに同年代の子どもたちより知識豊富で、大人びた言い回しをする賢い少女である。しかし、その賢さが災いして周囲を見下し、孤独な毎日を送っている。この奈ノ花の姿を見て、私は現代社会における教育や競争について考えざるを得なかった。知識や学力が重視される中で、人間性や共感力が置き去りにされてしまう危険性を、奈ノ花の姿は象徴しているように感じられた。
奈ノ花が出会う三人の大人たち─南さん、アバズレさん、おばあちゃん─は、それぞれ異なる人生を歩み、異なる視点から「幸せ」について教えてくれる存在である。南さんの「自分がここにいていいって、認めてもらうこと」という言葉は、現代の若者が抱える承認欲求や自己肯定感の問題と深く関わっている。私たちは常に他者からの評価を気にし、自分の存在価値を外部に求めがちである。南さんの言葉は、そうした現代人の心の奥底にある渇望を的確に表現していると感じた。
一方、アバズレさんが奈ノ花に伝えた「誰かのことを真剣に考えられること」という幸せの定義は、より能動的で建設的な視点を提示している。自分が認められることを求めるだけでなく、他者への思いやりや関心を持つことの大切さを教えてくれる。この二つの視点は対立するものではなく、むしろ相互に補完し合う関係にあると思う。自分が愛され認められる経験があるからこそ、他者を愛し思いやることができるのではないだろうか。
おばあちゃんの存在は、より穏やかで包容力のある愛を表現している。彼女の温かさは、奈ノ花にとって心の安らぎとなり、成長の土台となっている。三人それぞれが奈ノ花に与えた影響を考えると、人間の成長には多様な形の愛や関わりが必要なのだと改めて感じさせられる。
奈ノ花の桐生君との関係も、この物語の重要な要素である。最初は桐生君を助けようとして拒絶される奈ノ花の姿に、私は人間関係の難しさを感じた。善意であっても、相手の気持ちや状況を十分に理解しなければ、かえって相手を傷つけてしまうことがある。奈ノ花がアバズレさんのアドバイスを受けて桐生君に向き合い直す場面は、真のコミュニケーションとは何かを考えさせられる場面だった。相手の立場に立って考え、その人なりの戦い方や感じ方を尊重することの大切さを学んだ。
この物語で最も印象深いのは、タイトルにもなっている「また、同じ夢を見ていた」という表現である。物語を読み進める中で、この夢が単なる睡眠中の現象ではなく、より深い意味を持っていることが明らかになってくる。人生における学びや成長は、一度で完了するものではなく、様々な形で繰り返し訪れるものなのかもしれない。奈ノ花が繰り返し出会う「夢」は、彼女が人生で何度も向き合うべきテーマを象徴しているように感じられた。
また、この作品を読んで、私は自分自身の成長について振り返ることができた。奈ノ花のように、時には自分の知識や能力を過信し、周囲を見下してしまうことがある。しかし、真の成長とは知識を蓄えることだけではなく、他者との関係の中で自分を見つめ直し、より良い人間になろうと努力し続けることなのだと思う。奈ノ花が三人の大人たちとの出会いを通して学んだように、私たちも様々な人との関わりの中で成長していくのだろう。
現代社会では、個人の能力や成果が重視される傾向が強い。しかし、この物語は、真の幸せや成長は他者との繋がりの中にあることを教えてくれる。奈ノ花が最初に抱いていた「幸せは勝ち取るもの」という考え方から、「幸せは日常の中にある小さなもの」「他者との繋がりの中にあるもの」という理解に変化していく過程は、現代を生きる私たちにとって重要なメッセージを含んでいる。
『また、同じ夢を見ていた』は、表面的には小学生の少女の成長物語だが、その奥には現代社会を生きる私たち全てに向けられた深いメッセージが込められている。幸せとは何か、成長とは何か、人との繋がりとは何か─こうした普遍的な問いに対して、この作品は優しくも力強い答えを示してくれた。奈ノ花の物語を通して、私も自分なりの幸せを見つけ、他者との関係を大切にしながら成長していきたいと思う。
振り返り
『また、同じ夢を見ていた』の読書感想文の書き方について、詳しく解説してきました。
この記事で紹介した3つの重要ポイントと、感想をメモするための3項目を参考にすれば、きっと素晴らしい感想文が書けるはずです。
何より大切なのは、皆さん自身が作品を読んで素直に感じたことを大切にすることです。
奈ノ花の成長に共感したり、登場人物たちの言葉に心を動かされたり、そうした率直な気持ちこそが感想文の核となります。
中学生・高校生の皆さんには、この作品を通して自分なりの「幸せ」について考える良い機会にしてほしいと思います。
完璧な感想文を書こうとするよりも、自分の言葉で自分の想いを表現することを心がけてください。
皆さんの心に響いた感想文は、読む人の心にもきっと届くでしょう。
※『また、同じ夢を見ていた』のあらすじはこちらをご覧ください。

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