大きく深く成長するヒントが詰まった『君たちはどう生きるか』(本/小説)のあらすじをたっぷりとご紹介しますね。
『君たちはどう生きるか』は1937年に吉野源三郎さんが書いた青春小説で、思春期のコペル君が叔父さんとの対話を通して人としての生き方を探求していく物語です。
私は年間100冊以上の本を読む読書家として、この物語の素晴らしさに何度も心を揺さぶられてきました。
今回は読書感想文を書く予定の皆さんのために、短いあらすじから詳しい内容まで段階的にご紹介していきます。
『君たちはどう生きるか』の短くて簡単なあらすじ
『君たちはどう生きるか』の中間の長さのあらすじ
『君たちはどう生きるか』の詳しいあらすじ
旧制中学2年生の本田潤一は、叔父から「コペル君」というあだ名をもらう。それは彼が銀座のデパートから人々を見下ろした時、自分も世界の一部に過ぎないと気づいたからだった。この気づきは、コペルニクスが地動説を唱えたことになぞらえられる。
コペル君はクラスでのいじめ事件で、北見という正義感の強い友人に感銘を受ける。また粉ミルクの缶から連想して、世界中の人々が生産関係でつながっていることを学ぶ。貧しい友人・浦川との交流を通じて貧富の差について考え始める。
ある雪の日、北見が上級生から殴られる事件が起き、事前の約束にもかかわらずコペル君は友人を守れなかった。深く後悔した彼は友人たちに謝罪する。また、庭で見つけた水仙の芽の生命力や、ガンダーラの仏像の話を通じて、人類の進歩の力強さに感動した。
叔父からの手紙や対話を通して、コペル君は自己中心性から脱却し、社会の中での自分の役割や責任について深く考えるようになっていった。
『君たちはどう生きるか』のあらすじを理解するための用語解説
『君たちはどう生きるか』のあらすじを理解するための用語を解説したのがこちらの表です。
用語 | 解説 |
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コペルニクス | 太陽を宇宙の中心に据え 地球がその周りを回っているとする 地動説を提唱したポーランドの天文学者 |
ガンダーラ | ギリシャ文化とインド仏教が融合した 古代の文化圏・美術様式で有名な 現在のパキスタン・アフガニスタン周辺の古代王国 |
ノート | 叔父さんがコペル君に贈る、 人生や社会について考えるための手記。 |
いじめ | コペル君が直面する学校での出来事。 人間関係の難しさや倫理が問われる。 |
貧乏と金持ち | 作中で描かれる社会の格差。 コペル君が社会の現実を知るきっかけとなる。 |
良心 | 人間が持つべき道徳的な心の声。 叔父さんの手紙で繰り返し語られるテーマ。 |
偉い人 | 歴史上の人物や思想家たち。 叔父さんの手紙で彼らの生き方や考え方が紹介される。 |
物の見方 | 物事を多角的に捉え、本質を見抜く視点。 叔父さんがコペル君に教える大切なこと。 |
真理 | 普遍的な道理や法則。 コペル君が探求しようとするテーマの一つ。 |
『君たちはどう生きるか』の作品情報
『君たちはどう生きるか』の基本的な情報をまとめました。
この作品がどのような背景で書かれたのか、どんな特徴があるのかが一目でわかりますよ。
作者 | 吉野源三郎 |
---|---|
出版年 | 1937年(初版) |
出版社 | 新潮社(初版)、岩波書店(文庫版)ほか |
受賞歴 | 特になし(ただし長期ベストセラー) |
ジャンル | 教養小説・児童文学 |
主な舞台 | 1930年代の日本 |
時代背景 | 戦前の日本社会 |
主なテーマ | 人間の成長、社会との関わり、生き方の探求 |
物語の特徴 | 物語と教育的な解説が交互に登場する構成 |
対象年齢 | 中学生以上(大人も十分に楽しめる) |
『君たちはどう生きるか』の主要な登場人物と簡単な説明
物語を理解するうえで重要な『君たちはどう生きるか』の登場人物たちをご紹介します。
それぞれのキャラクターがコペル君の成長にどう関わっていくのか、注目してみてくださいね。
人物名 | キャラクター紹介 |
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本田潤一(コペル君) | 主人公の旧制中学2年生。 叔父から「コペル君」と呼ばれる。 自己中心的な視点から徐々に脱却していく |
叔父さん | コペル君に手紙やノートを通じて 人生の指針を示す重要な人物。 哲学的な考察を伝える |
北見君 | 正義感が強く、いじめられている友人を守るため 立ち上がる勇敢な少年 |
浦川君 | 貧しい豆腐屋の息子。 コペル君が貧富の差について考えるきっかけとなる |
水谷君 | コペル君の友人。 北見君が上級生にいじめられた時に助けに行く |
水谷君の姉 | ナポレオンの話をして少年たちに影響を与える |
いじめられていた友人 | 貧しくて運動も勉強も冴えない、 クラスでいじめの対象になっていた少年 |
いじめの張本人 | クラスでいじめを主導していた生徒 |
上級生 | 北見君を「生意気だから」という理由で殴った先輩 |
これらの登場人物たちとの関わりを通して、コペル君は少しずつ成長していきます。
特に叔父さんからの手紙や北見君との友情は物語の核心部分といえますね。
『君たちはどう生きるか』の文字数と読むのにかかる時間
『君たちはどう生きるか』の本をどのくらいの時間で読めるのか気になる方も多いと思います。
以下の表で、読了時間の目安をご紹介しますね。
推定文字数 | 約20万4千文字 (340ページ/岩波文庫) |
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読了時間の目安 | 約7時間(1分間に500字読む場合) |
1日1時間読んだ場合 | 約7日で読了 |
1日2時間読んだ場合 | 約3〜4日で読了 |
読みやすさ | 平易な文章で読みやすい |
『君たちはどう生きるか』は文章が平易で読みやすく、物語と解説が交互に登場する構成なので、飽きることなく読み進められる小説です。
中高生でも無理なく数日で読み終えることができますよ。
※『君たちはどう生きるか』で作者が伝えたいことは、以下の記事で考察しています。

『君たちはどう生きるか』を読んだ私の感想
いやー、まさかこの歳になって、こんなにも心に響く本に出会うとは思いませんでしたね。
『君たちはどう生きるか』。タイトルは知ってましたけど、正直、子供向けの本でしょ?って敬遠してた自分が恥ずかしいです。
主人公のコペル君が、学校生活や友達との関係で悩み、葛藤しながら成長していく姿が、もうね、自分の少年時代と重なって仕方ないんですよ。あの頃の自分も、あんな風に悩んで、でもどうしていいか分からなくて、ただただ立ち尽くしてたな、なんて。
特に、叔父さんの手紙のパートが素晴らしい。コペル君の疑問や出来事に対して、人生の先輩として、でも押し付けがましくなく、優しく問いかける言葉の数々。あれが、本当にじんわりと心に染みてくるんです。
「人間としてどうあるべきか」「世の中とどう向き合うか」なんて、普段は照れくさくて考えないような、でも一番大切なことを、この本は真正面から問いかけてくる。しかも、説教くさくないのがいい。
読んでいるうちに、自然と「自分はどう生きてきたんだろう?」「これからどう生きていきたいんだろう?」って、深く考えさせられました。
若い頃に読んでいたら、もっと違った人生を送っていたかもしれない、なんて大げさかな?でも、それくらい、人生の指針になるような、普遍的なメッセージが詰まっている一冊だと思います。
大人になって改めて読むと、また違った気づきがある。むしろ、色々な経験を積んだ今だからこそ、より深く理解できる部分もあるのかもしれません。
ぜひ、多くの人に読んでほしい、そんな名著でした。
※『君たちはどう生きるか』の読書感想文の書き方と例文はこちらにまとめています。

『君たちはどう生きるか』はどんな人向けの小説か
『君たちはどう生きるか』は、様々な年齢層の人に読んでほしい本です。
特に以下のような方におすすめですよ。
- 自分の生き方や人生の意味を考えたい若者
- 子どもの教育や成長に関心のある親や教育者
- 社会の仕組みや人間関係について深く考えたい人
- シンプルながらも深い人生の知恵を求めている人
- 世界の見方を広げたいと考えている全ての年代の人
この小説は、一見すると若者向けの児童文学のように思えますが、実は大人が読んでも多くの気づきがある奥深い作品なんです。
80年以上前に書かれた本ですが、「どう生きるべきか」という普遍的なテーマは、現代の私たちにも強く響きます。
特に、日々の忙しさの中で立ち止まって自分自身や社会との関わりについて考えたいと思っている方には、心に残る一冊になるでしょう。
『君たちはどう生きるか』に類似した内容の小説3選
『君たちはどう生きるか』を読んで感銘を受けた方のために、似たようなテーマや雰囲気を持つ作品を3つご紹介します。
これらの本も、人間の成長や生き方を考える上でとても参考になりますよ。
『失われたものたちの本』(ジョン・コナリー)
『失われたものたちの本』は、現実と幻想が交錯する物語で、主人公の少年が本の世界を通して成長していく過程が描かれています。
宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』の参考文献の一つともされており、父親の死と再婚、異世界での冒険など、似通ったテーマが見られます。
人間の成長と自己発見というテーマで共通していて、読み比べると新たな気づきがあるかもしれません。
『アルケミスト』(パウロ・コエーリョ)
『アルケミスト』は人生の意味や自己発見をテーマにした寓話的な物語。
主人公が旅を通じて自己の使命や人生哲学を見つけていく点で、『君たちはどう生きるか』と重なる部分があります
『コンビニ人間』(村田沙耶香)
『コンビニ人間』は、社会の中での自分の居場所や生き方を模索する主人公の姿を描いた小説です。
『君たちはどう生きるか』とは時代設定や対象年齢は異なりますが、社会の中で「どう生きるべきか」という問いに向き合うという点では共通しています。
特に、社会の中での「普通」や「正しさ」について考えさせられる内容で、独自の視点で生きることの意義を問いかけています。

振り返り
『君たちはどう生きるか』のあらすじをさまざまな角度からご紹介してきました。
この小説は単なる少年の物語ではなく、私たちに「どう生きるべきか」という普遍的な問いを投げかけています。
コペル君の成長過程や、叔父さんとの対話を通して描かれる人生の知恵は、80年以上経った今でも色あせることなく、私たちの心に深く響きます。
読書感想文を書く際は、単なるあらすじの要約にとどまらず、自分自身の経験と照らし合わせながら、物語から学んだことを深く掘り下げてみてください。
それが本当の意味で「読書」から得られる豊かな体験につながるでしょう。
この記事が、あなたの読書感想文作成の一助となれば幸いです。
素晴らしい本との出会いが、あなたの人生をより豊かにしてくれることを願っています。
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