『双子の星』のあらすじをご紹介します。
宮沢賢治が大正7年に書いた『双子の星』は、天の川の西岸に住む双子の星の冒険を描いた短編小説。
私は年間100冊以上の本を読む読書家ですが、この作品の純粋さと優しさには特別な魅力を感じています。
この記事では、短く簡単なあらすじから詳しいあらすじまで、読書感想文に役立つポイントも含めて丁寧に解説していきますよ。
読書感想文を書く予定の皆さんの力になれると思います。
『双子の星』の短くて簡単なあらすじ
『双子の星』の中間の長さのあらすじ
『双子の星』の詳しいあらすじ
天の川の西の岸に住む双子の星、チュンセ童子とポウセ童子は、毎晩星めぐりの歌に合わせて銀笛を吹くことが役目だった。ある朝、チュンセ童子はポウセ童子を誘い、西の野原の泉へ行き、風車で霧を作り小さな虹を飛ばして遊ぶことにした。
泉に着いた二人が滝を作るために石を運んでいると、大烏の星と蠍の星が現れて喧嘩を始めた。蠍の毒で大烏が倒れると、チュンセ童子は毒を吸い出して大烏を助け、二人で傷ついた蠍も家まで送り届けた。しかし役目の時間が近づき、遅れそうになったところを稲妻が王様の命令で迎えに来て、無事にお宮に戻ることができた。
ある晩、彗星が現れて二人を旅に誘った。王様の許可を得たと嘘をついて騙し、海に落としてしまう。海の底で二人はひとでになってしまうが、海蛇の王様の手配した竜巻のおかげで天上に戻ることができた。二人は再びお宮に戻り星めぐりの役目を続け、彗星はばらばらになって海に落ち、なまこになったと言われている。物語は、双子の星が王様に感謝し、再び銀笛を吹いて星めぐりの歌を奏でる場面で静かに幕を閉じる。
『双子の星』の概要
宮沢賢治の『双子の星』について、基本的な情報をまとめました。
作者 | 宮沢賢治 |
---|---|
出版年 | 大正7年(1918年)作成、生前未発表 |
出版社 | 偕成社、新日本出版社、岩崎書店など |
受賞歴 | 特になし |
ジャンル | 童話、ファンタジー |
主な舞台 | 天の川の西岸、天上世界、海の底 |
時代背景 | 空想の世界のため特定の時代設定なし |
主なテーマ | 優しさ、高潔さ、友情、責任 |
物語の特徴 | 幻想的な宇宙観、星の擬人化、道徳的教訓 |
対象年齢 | 子どもから大人まで(子ども向け要素が強い) |
『双子の星』は宮沢賢治の処女作でありながら、彼の文学的特徴がよく表れた作品ですよ。
『双子の星』の主要な登場人物とその簡単な説明
『双子の星』の個性的な登場人物たちを紹介します。
それぞれのキャラクターが物語に深みを与えていますよ。
人物名 | キャラクター紹介 |
---|---|
チュンセ童子 | 天の川の西岸に住む双子の星の一人。優しく勇敢な性格で、毎晩星めぐりの歌に合わせて銀笛を吹く役目を持つ。 |
ポウセ童子 | チュンセ童子の双子の兄弟。同じく優しい心の持ち主で、チュンセ童子と共に星めぐりの役目を担う。 |
大烏の星 | 蠍の星と喧嘩をし、その毒で倒れるが、双子の星に助けられる。 |
蠍の星 | 大烏の星と喧嘩をし、自らも傷を負う。双子の星に家まで送られる。 |
彗星 | 嘘をついて双子の星を騙し、海に落とす悪者。後にばらばらになり、なまこになったと言われる。 |
海蛇の王様 | 海の底で助けを求める双子の星(ひとで)を助け、竜巻を手配して天上に戻れるよう支援する。 |
王様 | 双子の星が仕える天上の王様。役目に遅れそうになった彼らを迎えに稲妻を送る。 |
稲妻 | 王様の命令で双子の星を迎えに来て、彼らが役目に間に合うよう助ける。 |
これらの登場人物たちが織りなす物語は、読む人の心に優しさや思いやりの大切さを教えてくれますよ。
『双子の星』の文字数と読むのにかかる時間
『双子の星』は短編小説なので、比較的短い時間で読み終えることができます。
読書感想文を書く前に、どれくらいの時間が必要かを確認してみましょう。
文字数 | 約11,550文字 |
---|---|
ページ数 | 約19ページ(1ページ600文字計算) |
読了時間 | 約23分(1分間に500字読む計算) |
読みやすさ | 比較的易しい(子ども向けの要素が強い) |
短くて簡単な物語なので、どんなにゆっくり読んでも1日で十分に読み終えることができますよ。
物語の内容もわかりやすいので、読書感想文を書く課題にもぴったりです。
『双子の星』の読書感想文を書くうえで外せない3つの重要ポイント
『双子の星』の読書感想文を書くときに、特に注目したいポイントをまとめました。
これらの要素を押さえることで、より深い内容の感想文が書けるでしょう。
- 主人公たちの優しさと高潔さ
- 天上世界の描写と善悪の対比
- 作品のメッセージ性(理想の人格や道徳観)
それでは、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
主人公たちの優しさと高潔さ
『双子の星』の中心となるのは、チュンセ童子とポウセ童子の優しさと高潔な心です。
二人は大烏の星と蠍の星の喧嘩に遭遇したとき、敵味方に分かれることなく、両方を助けました。
特に、チュンセ童子が蠍の毒で倒れた大烏から毒を吸い出す場面は、自己犠牲の精神を表しています。
また、自分たちを騙した彗星に対しても、最後まで恨みを抱かず、むしろ慈悲を示す姿勢は、読者に強い印象を与えます。
こうした優しさと高潔さは、宮沢賢治が理想とした人間像を体現しているといえるでしょう。
感想文では、主人公たちのどのような行動や言葉に感銘を受けたか、具体的に述べると良いですよ。
天上世界の描写と善悪の対比
物語の舞台となる天上の水晶のお宮や、西の野原の泉など、宮沢賢治特有の幻想的な世界観は『双子の星』の大きな特徴です。
この美しい天上世界を背景に、善良な双子の星と、傲慢な蠍や悪者の彗星といった対照的な存在が描かれています。
こうした善悪の対比を通じて、作品は読者に何を伝えようとしているのでしょうか。
感想文では、こうした対立する価値観や、幻想的な世界観から受けた印象について、自分なりの解釈を述べると良いでしょう。
また、物語の中で天上から海の底へ落とされ、再び天上に戻るという旅の象徴的な意味についても考えてみると、より深い感想になりますよ。
作品のメッセージ性
『双子の星』は単なる空想物語ではなく、道徳的なメッセージを含んだ物語です。
「献身的な無償の行為」や「他人を疑わない純粋さ」といった価値観が、物語全体を通じて表現されています。
双子の星が役目を果たす責任感や、困っている者を見過ごさない優しさは、読者に強いメッセージを与えます。
感想文では、こうした作品のメッセージをどう受け止めたか、また、それが現代社会においてどのような意味を持つのかについても触れると良いでしょう。
宮沢賢治が伝えようとした「理想の人格」や「優しさの価値」について、自分の意見や感想を述べることで、より個性的な読書感想文になりますよ。
※『双子の星』で宮沢賢治が伝えたいことは、以下の記事で考察しています。

『双子の星』の読書感想文の例(原稿用紙3枚強/約1400文字)
宮沢賢治の『双子の星』を読んで、私はたくさんのことを考えさせられた。この物語は天の川の西岸に住む双子の星の冒険を描いた短い童話だが、その中に込められた優しさや思いやりのメッセージは、現代を生きる私たちにも通じるものがあると感じた。
まず印象に残ったのは、主人公のチュンセ童子とポウセ童子の優しさと高潔さだ。彼らは大烏の星と蠍の星が喧嘩をしているのを見つけたとき、どちらかの味方をするのではなく、両方を助けようとした。特に、チュンセ童子が蠍の毒で倒れた大烏から毒を吸い出すシーンは、自己犠牲の精神を表していると思う。今の時代、自分の利益だけを考える人が多い中で、こんな風に誰かのために危険を冒せる人がどれだけいるだろうか。私自身、友達が困っているときに助けることはあっても、見知らぬ人や自分と仲の良くない人を積極的に助けることはほとんどない。この物語を通して、そんな自分の姿勢を見直すきっかけをもらった気がする。
次に考えさせられたのは、物語に描かれる天上世界と善悪の対比だ。水晶のお宮や西の野原の泉など、宮沢賢治が描く幻想的な世界は美しく、読んでいるだけで心が洗われる感じがした。そんな美しい世界の中でも、傲慢な蠍や嘘つきの彗星のような存在がいる。これって、どんなに理想的な環境でも、そこに生きる存在によって善悪が生まれるってことを示しているのではないだろうか。
彗星が王様の許可を得たと嘘をついて双子の星を騙す場面では、「なんでそんな嘘つくんだよ」ってイライラしたけど、騙されて海に落とされた双子の星が最後まで彗星を憎まず、むしろ慈悲を求める姿勢には感動した。私だったら絶対に許せないと思うけど、彼らの心の広さは本当にすごい。今の社会でもSNSとかで簡単に誰かを攻撃したり、許せないと感情的になったりすることが多いけど、もっと相手の立場に立って考えることの大切さを教えてくれたと思う。
作品全体を通して強く感じたのは、宮沢賢治が伝えたかった「理想の人格」についてのメッセージだ。双子の星は常に自分の役目(星めぐりの歌に合わせて銀笛を吹くこと)を大切にしながらも、困っている者を見過ごさない優しさを持っている。彼らが海に落とされてひとでになってしまった後も、海蛇の王様の助けを借りて再び天に戻り、役目を果たそうとする責任感は素晴らしいと思った。
私たちの生活に置き換えてみると、学校での勉強や家族との約束を果たしながらも、周りの人を思いやる心を持つことの大切さを教えてくれている気がする。最近、テスト前で忙しくて友達の相談に乗れなかったことがあったけど、もっとバランスを考えるべきだったのかもしれない。
また、物語の最後で双子の星が再び星めぐりの役目に戻る場面は、どんな困難があっても最後は自分の居場所に戻ることができるという希望を感じさせてくれた。私も中学生になって新しい環境に戸惑うことがあるけど、自分の役割をしっかり果たしていけば、必ず居場所は見つかるんだと勇気づけられた。
『双子の星』は短い物語だけど、その中に宮沢賢治の優しさや思いやりの精神がぎっしり詰まっている。単なるファンタジーではなく、私たちの生き方や心のあり方について深く考えさせてくれる作品だと思う。これからも困難な状況に直面したとき、チュンセ童子とポウセ童子のように勇気を持って行動できる人になりたいと思った。そして、日々の小さな役目をしっかり果たしながらも、周りの人への優しさを忘れない生き方を心がけていきたい。
『双子の星』はどんな人向けの小説?
宮沢賢治の『双子の星』は、幅広い読者層に楽しんでもらえる小説ですが、特に以下のような方々におすすめですよ。
- 純粋な心と想像力を持つ子どもたち
- ファンタジー文学を楽しみたい読者
- 優しさや思いやりの価値を大切にする人
- 宮沢賢治の文学世界に触れてみたい人
- 短時間で読める物語を探している人
- 道徳的な教訓が含まれた物語が好きな人
この作品は子ども向けの要素が強いですが、大人が読んでも心が洗われるような純粋さと優しさに満ちています。
特に、現代社会で失われがちな「他者への無償の思いやり」や「自己犠牲の精神」といった価値観を再確認したい方には、心に響く物語となるでしょう。
また、忙しい日々の中で、短時間でも心が豊かになるような読書体験を求めている方にもぴったりの一冊ですよ。
『双子の星』に似た小説3選
『双子の星』を楽しんだ後は、似たテーマや雰囲気を持つ作品もぜひ読んでみてください。ここでは、特に『双子の星』に通じる要素を持つ小説を3つ紹介します。
『星の王子さま』(サン=テグジュペリ著)
小さな星から来た王子様の物語で、星々を巡る旅が描かれています。
『双子の星』と同じく、星を擬人化した幻想的な世界観が特徴で、純粋な心を持つ主人公が様々な出会いを通して成長していく姿が描かれています。
両作品とも、子どもにも大人にも響く哲学的なメッセージが込められているところが似ていますよ。
『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治著)
同じ宮沢賢治の代表作で、主人公のジョバンニが銀河鉄道に乗って星座の間を旅する幻想的な物語です。
『双子の星』と同様に、宇宙や星をテーマにした作品であり、賢治特有の幻想的な世界観と美しい描写が魅力です。
また、自己犠牲や友情といったテーマも共通しており、賢治の思想や世界観をより深く理解するのに役立つ作品ですよ。

『プラネタリウムのふたご』(いしいしんじ著)
プラネタリウムで拾われた双子の兄弟を主人公とした現代小説です。
『双子の星』と同じく双子を主人公としており、星空を背景にしたストーリー展開が魅力です。
双子の絆や成長が描かれている点も共通しており、『双子の星』を楽しんだ方には、現代的な解釈による双子と星の物語として興味深く読めるでしょう。
振り返り
この記事では、宮沢賢治の『双子の星』について、簡単なあらすじから詳しいあらすじ、読書感想文のポイントまで幅広く紹介しました。
チュンセ童子とポウセ童子という双子の星の冒険を通して描かれる優しさや高潔さは、現代を生きる私たちにも大切なメッセージを与えてくれます。
短くて簡単な物語なので、短時間で読み終えることができるのも魅力の一つです。
もし読書感想文を書く課題があるなら、この記事で紹介したポイントを参考にしながら、自分なりの感想をまとめてみてください。
『双子の星』の美しく幻想的な世界観と、心温まるストーリーがきっとあなたの心に響くことでしょう。
コメント